「R.P.G.」宮部みゆき

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宮部 みゆき
R.P.G.

作者自らあとがきでも語っているように「単行本にするには少々枚数が短く、中短編集に入れるには独立性が強すぎて収まりが悪い」アイディアなので、「初の文庫本書き下ろし」となった作品。


しかし十二分に堪能させてもらった。


やはりこの作家の資質、人物の描写や登場人物の語りが十分に書き込まれている長編の方に(この「R.P.G.」が本当に長編という括りでいいかどうかの議論はおいといて)より向いていると改めて確認させられた。




ネット上の疑似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に刺殺された女性との遺留品が共通している合同捜査の過程で、「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか?呪縛なのか?舞台劇のように、時間と空間を限定した長編現代ミステリー。宮部みゆきが初めて挑んだ文庫書き下ろし。




実は「模倣犯」も「クロスファイア」も未読なので、うまく小説世界に入り込めるか不安だったのだが、そんな心配は杞憂に過ぎず、一つの独立した作品として完成されている。



ここからはネタバレになるので、読みたい方は反転させてください。


読んでいる途中で、これは一美を引っかけるための罠じゃないかということは予測がついたが、ミノルとカズミとお母さんがR.P.G.だというのは読めなかった。


まさしく、やられたーという感じ。


あとがきで「地の文の中に真実ではない記述がある」ので、「先にお詫びしておきます。ごめんなさい」とあるが、この程度であれば、充分許容の範囲内だと思う。

もっと、ひどいルール違反をして平気な顔をしている作家は山のようにいる




ただし、一つ野暮な注文を付けるとすれば、動機が弱いと思う。

(ナカさんは「不幸な事故だ」と表現していたが・・・)


ここ数日世間を騒がせている町田の高1殺害事件もそうであるが、現実の事件から動機らしき動機が失われつつある世の中だからこそ、せめて小説の中ぐらいはやむにやまれぬ動機を見せて欲しいと願う

(逆に現実に合わせているから、こういう動機になったのかも知れないが・・・)




ところで、P133の7行目の「一美はうなずいた。」は「律子はうなずいた。」の間違いじゃないのかな???



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ブックオフにて100円で買った「地下街の雨」「ある閉ざされた雪の山荘で」「とり残されて」「人質カノン」そして「R.P.G.」の五冊全て読み終わった。


今回はとても満足度が高く、お買い得だった。


いつもこんな上手な買い物ができると良いのだが・・・。

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