ことばと音楽★世界で遊ぶ♪英語と古楽

「気楽にやってみよう♪」をモットーに、英語や古楽などの言葉と音楽に関連するイベント、ワークショップ、レッスン、ツアーを開催しています。
キーワード:英語、イギリス、アイルランド、ヨーロッパ、語学、国際交流、海外、古楽、バロック、アンサンブル、英語劇、朗読


テーマ:
今日は、作家の木村洋平氏主宰の「本のカフェ」に参加して、
『星の王子さま』の翻訳についてお話ししてきました~。

リンク→pk本のカフェとは

恵比寿のカフェ&レンタルスペース「カルフール」さんにて。
ここはお茶の種類が充実していて、選ぶのが毎回楽しみ

今回本の紹介をしたのは、こちらの面々。

{9E0607FE-3A78-4590-B06D-49C216ECD2BC:01}

(左)『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 東江一紀訳
(右)『石の花』坂口尚
(真ん中2名)『星の王子さま』サンテグジュペリ

その本はどんなお話なのか、
作者はどんな人なのか、
紹介者さんはどのようにしてその本に出会って、
どんなところに惹かれたか・・・・

そんな、それぞれの物語をシェアして、
他の参加者のみなさんとお話をする、
ゆるやかだけど刺激的な空間。


通常は1人の方が1つの本について語るというスタイルなのですが、
これからやっていく予定のオンライン言語トークイベントのプチ・デモンストレーション的な感じで、
イレギュラーですが2人での発表をさせていただきました。

image


今回扱ったのは、21章で王子さまとキツネが出会うシーンです。
まず、青空文庫の大久保ゆうさんの日本語訳を、
木村氏と私で朗読。

{6517C808-A49A-44EF-B809-650239B02ACA:01}

木村氏が王子さま、私がキツネ(^ω^)

このシーンの中のキツネのセリフ、
「君(王子さま)とは遊べない。ぼくは○○されていないから」
この○○は原語では"apprivoiser"という単語なのですが、
この言葉にぴったりな訳語がない!・・・ということで、いろんな言語で議論になっています。

第1義が「飼いならす」なので、それを使っている訳もあれば、
「いや、それは不自然だから・・・」と、「なつかせる」という言葉にしていたり、
よりわかりやすい「友達になる」としてみたり・・・
日本語訳の比較はこちらのサイトの表がわかりやすいです。
青いキツネ『星の王子さま総覧』

日本語では本当に多くのパターンの訳があるのですが、
ヨーロッパ言語では、賛否両論ありつつも、みな第1義をそのままとった訳です。
オランダ語(tam)、ドイツ語(
zähmen)などのゲルマン語系は英語で言うところの"tame"系、
スペイン語(domesticar)、イタリア語(addomesticare)などのラテン語系は"domesticate"系。
(リンク先でそれぞれの言語の翻訳が読めます)

英語にはtameもdomesticateもあるので、
どちらを選択することも(または他の訳語にすることも)できたはずですが、
初版で大人気を博したKatherine Woods訳も、
現在主流のRichard Howard訳も、
Kindleで読めるI. Mina訳も、
すべて"tame"です。

英語がdomesticateではなくtameを採用していることに関して私が考えているのは、
tameはゲルマン語系で英語にとっては「お国言葉」的なものにあたるので、
おそらく、やや外来語的な響きのあるラテン語系domesticateよりも、
よりキツネのセリフとしてしっくりくるからではないか、ということです。
日本語で例えるなら、和語「おひるごはん」、漢語「昼食」、借用語「ランチ」の中で、
「おひるごはん」という言葉が一番絵本の中のキツネのセリフとしてしっくりくるかな、という感じです。

さて、そんなtameとdomesticateですが、
これらはいずれも強制力や上下関係が強く出ている言葉です。
それに対して、「原語のapprivoiserは、もっとフレンドリーな響きの言葉だ!」という指摘があります。

「飼いならす」という意味では、フランス語でも類義語dompterやdomestiquerがあり、
それらではなくapprivoiserを使っているのは、apprivoiserがもっと優しい意味合いだからだ、というわけです。

<参考意見(リンク先は英語の文献です)>
・Clémentine Beauvais (仏英児童文学の研究者、児童文学作家) "The Mighty Child: Time and power in children's literature" p37
Robert Moss (オーストラリアの作家、元古代史研究者) "The price of Fox's secret"
・Nick Palazzolo (ペンシルバニアの学生) "Called to Friendship"


私が仏語ネイティブに聞き取り調査したところによると、
apprivoiserの語感は、
・フレンドリー。「友達になる」と言ってもいい
・相手の内面を尊重して、相手を知ろうとする
・時間をかけて相手との関係性を築こうとする
・詩的な響きがある
という感じでした。

確かに、そうだとすると、「飼いならす」, tame, domesticateはしっくりこない感じがしますね。

ただ、ここで思ったのは、
フランス語にしかこの語感がないということは、
この意味合いは比較的最近生まれたもので、
サンテグジュペリがこの作品にこの言葉を使ったことで新しく生まれたものなのではないか?
ということでした。

フランス語の意味を使われた年代と共に載せた辞書(CNRTL)を見ても
それに関する記述が見つからなかったので、

検証はできていないのですが、
今日の参加者井上さんによると、そういう説は以前から言われているそうです。

だとしたら、第1義の「飼いならす」を訳語に使って、
その、あるいみ不自然なこの言葉に、
この物語の中で新たな意味を持たせるということが妥当なのではないか、
という意見もよくわかります。

ただ私自身は、それでも、「飼う」という言葉が入っている以上は、
新たな意味として「親しくなる」という意味をあててフレンドリーな語として読むのは難しいなぁと感じていて、
それであれば、「なつく」「なつける」あたりが良いのではないかと思っています。

これは、フランス語の単語選択にも同じことが言えるのではないかと思うのです。
仏語でdompterやdomestiquerではなくapprivoiserをとったのには、
前の2語に入っているdomには語源的にdome、つまりhomeという意味があり、
「家のものにする=家畜化する」という語感がぬぐえないから・・・ということがあるのではないかと。
apprivoiserであれば、"learn"(学ぶ)という意味のapprendreと同じ語幹を持っていて、
時間をかけて関係を作る」という意味合いにしてもしっくりくるのではないかな。
そして、その時間的なことと、内面的な働きかけを含意できる「なつく」が訳語として良いかなと思ったのでした。

このシーンには思い入れがある方が多く、
参加者の方々とのフリートークがとっても盛り上がりました

このシーンの訳に関してはもう1つ注目したいところがあったのですが、
イベントでは時間が足りず、
この記事では長くなりすぎそうなので、また別記事。
(続き⇒ 『星の王子さま』翻訳 多言語比較その2:「誰の利?」


今日のイベントで紹介された本と、
参加者の青木さんが持ってきてくれた『星の王子さま』のいろんな言語バージョン。

{0FCC55A0-DDD8-4D9E-9F5E-142A8507E601:01}

なんと参加者の方々はフランス語が分かる人がほとんどで(!)、
他の言語がわかる人もいたので、言語トークができてすっごく楽しかったです!!(≧▽≦)

今後、オンラインで言語トークのイベントをやっていこうと思っています。
どんな言語でもいいので、日本語+もう1つ好きな言語がある方、
ぜひぜひ語りましょう~(*´▽`*)
(外国語【で】語るイベントではなくて、言語に関することを語るイベントです☆)

FacebookかGoogle+にグループを作ろうかな?と検討中です。
このブログやTwitter、コトオンfacecbookページなどで告知しますね!
言語好きさん、カモンです!!!

追記:
というわけで、早速作ってみたFacebookグループがこちら!
言語好きの集い:コトオンこあら(仮名)
言語好きな方、参加リクエストお待ちしております!
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

みかりさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。