里中 満智子
ブッダをめぐる人びと

あなどれない一冊。

図書館の新刊棚にあって、あまり読む気もしなかったのですが
漫画だったので借りてみました。

里中満智子さんは存じあげてはいましたが、
漫画を読むのは初めて。

ブッダ(お釈迦さま)をめぐる弟子や、親族など26人が
ブッダに出会い、ブッダの言葉を聞いて、
どのように変わっていったか・・・というようなエピソードがまとめられています。

はじめは、昔の少女漫画によくある、ちょっと大袈裟な表現が気になったり、
ひとつのエピソードが短くて、内容が薄いのかな・・・と思っていたんですが、

いやいや、5人目のエピソードあたりから、どんどんおもしろくなってきて、

最後には、漫画だからとあなどってはいけない、
イイ本じゃないか!と思ってしまいました。

ブッダがとてもおだやかで美しく描かれていながら、
なおかつ我々と同じ人間なのだ、と感じられ、
とても魅力的です。

仏教には
前世とか生まれ変わりという考え方もあって、

私はそういうことには今まで懐疑的だったんですが、

この本を読んでいるうちに、

前世とか生まれ変わりは、「あるかないか」で考えるんではなくて、

例えば、いま目の前にいる猫が、前世の母親の生まれ変わりかもしれない・・・

と、考えたら、その猫を大切に扱うことができる。

要は、「前世はあるかないか」が大事なことなんではなくて、

猫に限らず生き物全般、周りの人々に
「思いやりをもって接すること」の方が大事。

その「思いやりをもって接すること」ができるようになるために編み出された(?)のが、前世とか生まれ変わりっていう考え方なのかなぁ・・・と

今、私は考えたりしているのでした。
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大角 修
図説 法華経大全―「妙法蓮華経全二十八品」現代語訳総解説

充実の内容。

ちょっと専門書の粋に入ってるかなぁ~とも思える本なので、
軽く記事にしておきます。

「なんみょーほーれんげーきょー」と言えば、
お経なんて知らないよ、という方でもご存知なのでは。

その「妙法蓮華経」というお経は、全部で28章あって、
ちょっぴり物語っぽくなっています。

登場するのは、仏や如来、菩薩。

現代人からしたら、荒唐無稽とも思える内容で、
長さも結構なものです。

いくら現代語訳されているとはいっても、
仏教に興味のある方でも、なかなか読了するのは大変かもしれません。

が、この本はなんと言っても資料が豊富で、
脚注やコラムも充実しているので、

頑張って読めば、得るものは大きいです。

般若心経や観音経などの入門書などにちょっと触れたことがある方が
この本を読めば、なお一層、理解も深まってくるかと思います。

少し厚めの本で、お値段もやや高めですが、
内容は充実していて、読みやすいので、

仏教系の本にご興味のある方にはオススメです。
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松原 泰道
わたしの法華経―「梁塵秘抄」を通して

頭が上がりません・・・

この本も、昨年の7月に読了して記事は書いておいたのですが
ブログにUPしていなかったので、少々修正してUPしておきます。



この本の作者・松原泰道(まつばら・たいどう)師は
今年100歳になられます。

今現在も、勉学に励まれ、執筆もされています。

少しの間でしたが、高齢の祖母と同居していた私としては
ただただ、恐れ入るばかり。

この本は、法華経を
平安期の歌集「梁塵秘抄」と共に解説されたもので、

結構分厚く、文字の量もあります。

それを、松原泰道師は、今から6年前に手書きで執筆されたのだから、本当に驚きです。

そして、もっと驚くべきは、その内容。

決して上から「教えてやろう」なんて言い方でもなく、ご自身の教養をひけらかすでもなく、
「一緒に学んでいきましょう」という、謙虚な語り口。

それでいて、内容や引用からは、
老師の博学さ、頭の良さがうかがえ、感動してしまいます。

解説は、少々専門的になっているので、
仏教に興味のない方や、1冊も仏教系の本を読んだことがない方には難しい部分もあると思いますが、

この法華経の内容、実は大変文学的で、壮大なんです。
読んでいて、思い出したのは、なぜかゲーテの『ファウスト』。

(『ファウスト』は悪魔だけれど、『法華経』は釈尊と菩薩です)

本自体には、法華経の経文は載っていないので、
次は岩波文庫で経文を読もうと思いました。

そして、ものすごく心にグッときた文章がいくつかあって、
本当にもう感動して、頭が上がらない思いでした。

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ひろ さちや
「般若心経」実践法

「で・あ・い」の精神。

本好きの方なら、きっとわかっていただけると思うのですが、

中身を見なくても、なんとなく自分の肌に合わない本って、わかると思います。

なんというか、いつのまにか培われた”本好きの第六感”のようなものが働くんです。

で、仏教系の本をいろいろ、あさっては読んでいるなかで、
実はこの”ひろ さちや”さんは、なぜか避けていました。

でも、「偏見はいかん。読んでみなくちゃわからないだろう!」ということで、
自分の第六感を無視して、読んでみました。

その結果・・・やっぱり、自分の勘はちょっぴり当たってたなぁ、と・・・。

でも、誤解しないで下さい。
悪い本だ!おもしろくないぞ!というんではなくて、私には合わないなぁということです。


この本は、般若心経の内容を細かく解説していくといったものではなくて、

作者が般若心経から、学び取ったことを
我々がどんな風に日常生活に活かしていくか、といったことが書かれています。

その中心となるのは、「で・あ・い」の精神。
「で」は、「デタラメ」
「あ」は、「あきらめ」
「い」は、「いい加減」です。

なかには、「なるほど」とうなずける箇所もあって、
仏教色は薄く、仏教に詳しくない方が読むにも良いと思います。

でも、ところどころ「?」と、あまり同調できない部分もあって、
こんなふうにハッキリおっしゃるタイプの宗教学者の方もいるんだなぁ、と思いました。

”良い・悪い”ではなく、本も人も相性だと思うので、
こういう風に書かれる方なのかぁ、とわかっただけでも、収穫でした。

玄侑 宗久
釈迦に説法

「へぇ」とタメになる。

禅僧でもあり、芥川賞作家でもある玄侑 宗久氏の、
初めてのエッセイ集。

今となっては、ちょっと懐かしいアゴヒゲアザラシのタマちゃんのことや
小泉内閣メールマガジンのことなど、時事ネタが多いです。

しかも、ものすごく玄侑さんの知識の幅が広くって、
もちろん、仏教・禅の知識だけでなく、

遺伝子や物理、宇宙の話など、
理系や、難しい言葉に弱い私は、ちょっとキビシイところもありました。

ですが、言葉の語源のような、ちょっとしたトリビアは
「へぇ」と楽しめました。

例えば、
「めでたい」は、動詞「愛でる」に願望の助動詞「たい」がくっついたもの。

「ネコもシャクシも」は、ネコが禰子(神道の信者)で、シャクシが釈子(仏教徒)のことだったり。

「自」然の「分」身を「自分」と考えたり・・・。

特に「いろは歌」はおもしろくって、
TVで、無罪で殺された人の恨みの歌だとか、ちょっとホラーな感じで紹介されていたりもしましたが、

この本では、「有為の奥山」を越えることを「死」と捉えます。
それも、暗かったり恐かったりってイメージじゃなくて、
山並みの向こうの光の中へ行く感じ。

それは「死」と捉えるだけじゃなくて、「人生の再出発の歌」と捉えることも出来る、と玄侑さんは書いています。

そういうちょっと宗教的な死生観のある歌で、日本人が言葉を覚えて、
それが今でも日本人のどこか奥深くに流れてる、

そのことに、私はちょっと嬉しい感動を覚えました。
瀬戸内 寂聴
寂聴 生きる知恵―法句経を読む

美しく、意味深い詩。

法句経は、最も古い時代のお経で、
お釈迦さまの語った言葉を、詩の形にまとめたものです。

全部で423の詩があるんですが、
この本では、寂聴さんが特にいいものを、

寂聴さんの訳で、解説や自身のお話も加えながら、
語られています。

法句経は、詩なので短くて、読みやすいのですが、
なかなかその奥深い意味までは

知識のある方の解説がないと、なかなか理解できません。

よく知られているのは、中村元氏の完訳なんですが、
あちらは解説(訳註)も専門的で、読むのに苦労するのですが、

寂聴さんの訳は、リズム感があって読みやすく、
解説も美しく、わかりやすいです。

特に、蜂が、蜜をもらっていくさまを詠んだ詩と解説が美しく
印象的でした。

蜂はただ、花の蜜だけをもらって、花びらを傷つけずに
出たり入ったりします。

それは、本当は何でもないことなのだけれど、
人間は、キレイな花を見たら折って持って帰ってしまったり、

欲張ったり、傷つけたりしてしまいます。

その蜂のさまを、寂聴さんがとても美しく描写されていて、
改めて、蜂の偉大さと美しさに感心してしまいました。


ちなみに、私が読んだのは↑ですが、手軽な文庫もあります↓
瀬戸内 寂聴
寂聴生きる知恵―法句経を読む

『般若心経』/山田無文

テーマ:
山田 無文
般若心経

一番やさしくて、一番ためになる本は何ですか?

近頃、仏教関連の本を多く記事にしているので、
興味のない人には、まったくもってつまらないだろうなぁ・・・と
ちょっと申し訳なく思っています。

でも、自分が読んだ本を正直に申告(?)しているので
ご了承いただきたいと思います。

さてさて、
般若心経は、本文わずか262文字。

題号(題名)を入れても、272文字の、
お経の中でも一番短いものだといわれています。

短いといっても、内容はかなり深くて、
「一番やさしくて、一番ためになる本は何ですか?」という質問に、
「それは般若心経だ」と答えた人もいるそうです。

この本では、昭和の名僧・山田無文老師が
般若心経の272文字を、
細かく、わかりやすく説明してくれています。

本文の上に、ところどころ内容の要約が載っているので、
そこをパラパラ見るだけでも、実にためになります。

般若心経は、最後を飾る言葉、

羯諦羯諦。波羅羯諦。波羅僧羯諦。菩提薩婆訶。
(ぎゃていぎゃてい。はらぎゃてい。はらそうぎゃてい。ぼじそわか)

ここが、とてつもなく大事で、一番盛り上がるところなのですが、

山田無文老師の説明も、この最後が近づくにつれて
だんだんと盛り上がりを見せます。

あまりに盛り上がりすぎて、その説明・意味は高みに到達してしまい、
凡人には恐れ多い、「いやぁ・・・それは私にはちょっと無理です・・・」というところまで
話は向かいます。

でも、そういう大変頭の下がるような境地に到達し、
それを我々に伝えることができるのは、

やっぱり名僧なのだなぁ、と思いました。

完璧にその境地に行くことは出来ないけれど、
少しでも心の片隅に置いて生活していくこと、それも大事で、

知らないよりは知っていた方が良い智慧です。

おもしろいですよ。

『十牛図』/山田 無文

テーマ:
山田 無文
十牛図―禅の悟りにいたる十のプロセス

悟りを開いて、悟りを捨てる。

十牛図(じゅうぎゅうず)は、
12世紀に作られた、十枚の絵とコメントと詩で出来たものです。

本来の自分の心は、鏡のように透きとおったもので、
その鏡のような心(仏性とも言います)を、

牛に例えて、探しに行って、見つけて・・・というプロセスを表現したのが
十牛図です。

この本は、昭和の名僧・山田無文老師が、
大学を卒業して、道場に入ったばかりの、ほやほやの雲水さんたちに語ったお話です。

なので、一般の人にはちょっとそぐわないお話も出てきますが、
でも、十分に読みやすく、わかりやすいです。

一般の人には、ピンと来ない悟りの境地・・・無我の境地が
ものすごく具体的に書かれていて、

ほぉーそういうものなのかぁ・・・と思うのと同時に
それってメチャクチャ難しいよなぁ・・・と私なんかは思ってしまいました。

でも、これから修行に入る雲水さんたちは、
それをやらなきゃいけないわけで、

無文老師は、この本の中で、その心構えを教えたり励ましたりしています。

この本の場合、内容も詳細で具体的、語り口もやさしく、
わかりやすいのですが、

十牛図に、もっと手軽に触れてみたいという場合には、
松原 哲明さんの『十牛禅図』 をオススメします。

松原さんの本では、
十牛図(十枚の絵)がイラスト調でとてもかわいかったのですが、

無文老師の方は、版画になっていて、
味があって、日本昔ばなしのような感じで、これも良かったです。

じっくりと読み、深く味わうことができる
良い本でした。
寂聴の仏教入門

瀬戸内 寂聴, 久保田 展弘
寂聴の仏教入門

入門書ではない、かも・・・?

混雑していて、写真が撮れなかったんですが、
今日はお釈迦様の降誕祭に
生まれて初めて行ってきました。

陰暦で4月8日が、お釈迦様のお誕生日なので、
たぶん皆さんが住んでいる地域でも、

4月や5月には、”降誕祭”とか”花まつり”なんて呼び名で
お寺で、お釈迦様に甘茶をかけて、無病息災なんかを願う行事があると思います。

私が行ったところは、出店もたくさんでていて、
お寺もものすごく綺麗で立派で、にぎわっていたので楽しかったです。


さてさて、そんな行事にちなんで、本日はこの本です。

瀬戸内寂聴さんと、仏教研究者の久保田展弘さんの対談集です。

『仏教入門』と銘打っていますが、
久保田さんが加わったぶん、内容はいささか堅く、難しめになっています。

仏教とはどのようなものなのか、どんな教えなのか、などが知りたい方は、
この本よりも、『痛快!寂聴仏教塾』 の方が、

読みやすく、やさしく、わかりやすいのでオススメです。

ちなみに、この本は、
戒名や仏壇で悩んでいたり、疑問を持っている方や

お盆とお彼岸って、どこから来たの? なんて疑問を持っている方には
たいへん興味深い内容になっていると思います。

どちらにせよ、何冊か仏教系の本を読んだ後の方が、
読みやすいと思います。
梅原 猛
梅原猛の『歎異抄』入門

秘伝の書。

『歎異抄』(たんにしょう)は、親鸞の言動を伝える代表的な著作なのですが、

長い間、一般の人にはもちろんのこと、
宗門の学者にさえ、存在さえ知られていなかった書物なのです。

梅原猛さんによる『歎異抄』の現代語訳の一番最後にも、
このように記されています。

この聖なる教えの書は、わが念仏の一門の大切な聖書であるが、
前世から善根のない者には、むやみに見せてはいけないのである。

なんだか、そう書かれているものを、
現代の私たちが見てよいものか、という気がしますが・・・。

内容も確かにすごいです。

罪を犯した人よりも、むしろ偽善者に厳しく、
念仏だけで、極楽浄土ヘ行けるという内容は、

なかなか難しくて、
完全には理解しにくいです。

前半は、親鸞の人生や人となりがまとめてあり、
日本での仏教の歴史なども、さらっと知ることができます。