吉本 隆明
ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ

考え方が広がる。

初めて読んだ吉本隆明さんの本。

今までのイメージでは、非常に難しくて硬いことをおっしゃる方なのかと思っていましたが、

読んでみると、非常に読みやすくわかりやすくて驚きました。

この本の、インパクトのある題名は
たぶん編集者の方が考えたのだと思うけれど、
別に誰も彼も「ひきこもれ!」と勧めているわけではなく、

ひきこもり(がちな性格)だっていいじゃないか。

ひとりの時間は考えを深め、価値を生むんだ、というような

受容と励ましの本。

他にも不登校やいじめ問題などにも触れています。

マスコミなどで流れる情報で、「ひきこもり=よくないこと」というイメージが
一般的に持たれているけれど、
それがすべてなんかではなくて、

こんな風な考え方もできるんだなぁ、こんな見方もできるんだなぁ、と
自分のなかに新たな考え方が加わって、
刺激的でなおかつ風通しが良くなりました。

価値観の多様化と言いながら、実は画一的な見方を強いられているような
世の中でもあると思うので、
こんな風に、個々人の性格や気質を受容して尊重する考え方は重要だなぁと思いました。

もっとこういう声が世間に広がっていけば、子供たちも生きやすくなるだろうに。

ちなみに、装丁は五味太郎さん。
これがまた、本の内容・雰囲気に合っていて、素敵です。


文庫版もあります↓(でも、装丁は絶対↑の方が良いと思う・・・)


吉本 隆明
ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ
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ポール・オースター, 柴田 元幸
ポール・オースターが朗読する ナショナル・ストーリー・プロジェクト

素晴しき実話の数々。

更新再開しておいてすぐにほったらかし、というのもなんなので
以前、記事だけは書いておいてUPしなかったものを、ご紹介します。


久々に「これは!」という本に巡り会いました。

ポール・オースターが1999年から2001年にかけてホストを務めていた、
アメリカのラジオ番組”National Story Project”。

その番組でオースターは、アメリカ人に実話を投稿してもらい、
おもしろいものをオースター自身が読みあげていました。

そのラジオ番組から生まれたのがこの本で、
オースターの朗読CDが2枚付いています。

さらに、左ページは英文で、右ページが和訳文という作り。

英語を勉強している人向け、といった感じですが、
英語嫌いな人にも、この本はオススメです。

なんといっても、この本に掲載されている、アメリカの人々の実話の数々が本当に素晴しいのです。

胸を打つ家族の話、信じられないような愛の話・・・

そのどれもが、説教臭くもなく、ひどく感傷的でもなく、
淡々と、ありのままに、経験した人でなきゃわからない過不足ない表現で、
つづられています。

特に服役中の囚人が投稿してきた実話は印象的で、
しかも彼の文章表現は素晴しく、なんでこんな文章を書ける人が服役しているのだろうと考えずにはいられません。

なかには、とても切ない実話、哀しい実話もありますが、笑える実話もありますし、

その数々が、実際に誰かの身に起きて、
そして、今日も彼らは生きている・・・その事実には、なんだか希望が沸きます。

誰かのとても個人的な大切な思い出を共有したような、
今、アメリカで自分と同じように日常を生きている一人一人とつながれたような
そんな心強い気持ちにもなれます。

ちなみに、この本には18本の実話が入っていたんですが、
ちゃんと180本収められている本を発見。
それが、『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』 だったんですが、
少々値段もお高め。

でも、手元に是非置いておきたい本なので、
購入しようかどうか迷っています。


というのが、以前書いておいた記事なのですが、
この中で、今でも印象に残っているのは、

頭を撃たれた男性のお話。
本当にビックリするような展開に、小説?!と 思ってしまうんですが、実話なんです。

嘘のような本当の話。
このお話は、本当に信じられないようなお話なので、オススメです。
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白洲 正子
西行

いつか再読したい本。

実は、この本、私が読むには何十年と早かった気がします。

西行に感心があって、読んだわけではなく、
白洲正子さんに興味があって、Amazon で見てみたら、この本が上位にランクインされていたので、安易な気持ちで読んでみたのです。

ですが、この本を読みこなすには、事前にきちんとしたものが
なくてはならないと、痛感しました。

今の私に足りなかったのは、

・日本史の基本的な知識
・西行に対する、最低限の知識
(これは、事前に『山家集』の現代語訳を読んでおくべきだったと痛感しました)
・和歌に対する知識
・古語の読解能力

などです。

これらが、少しでも足りていれば、もっと楽しめたと思います。

だから、今の私には白洲さんの伝えたかったであろうことは全然受け取れていなく、
おバカなことしか書けなくて情けないのですが、

おもしろかったと思うところを私なりに・・・。

西行は、待賢門院(じけんもんいん)という女性を、とても愛していました。
(読んでいるこちらも、切なくなるくらいに)

ですが、この待賢門院の生い立ちが、なかなか昼ドラなのです。

待賢門院は生まれてすぐに、白河法皇の寵妃・祇園女御の養女となります。

この待賢門院、幼時からすぐれて美しい子供だったらしく、
白河法皇は、孫のように可愛がったそうなんです。

がっ!白河法皇、かわいさのあまり(?)
待賢門院が13歳くらいの頃から、手をつけてしまったそうなんです・・・。

その頃、白河法皇はすでに60歳に達していたとか!

しかも、白河法皇、その待賢門院を、自分の孫の鳥羽天皇のお嫁さんにしちゃうんです。

そして、お嫁さんにしたあとも、
白河法皇は、待賢門院との関係を続け、

結局、待賢門院は白河法皇の子供を産みます。

でも、そのあと、ちょっぴり哀しいのは、
鳥羽天皇が、その子供を ”叔父子(おじご)” と呼んでいたこと。

祖父の白河天皇の子供だから、”叔父” であると同時に、
名目上は、自分の ”子” でもあるから・・・という理由で。

他にも、この待賢門院、なかなかおもしろいエピソードをたくさん持っています。

そして、肝心の西行ですが、
日本各地、さまざまな場所へ行き、
紆余曲折、悩み苦しんだ末に、辿り着いた境地・和歌には感動します。

が、まだまだわからない点も多く、
これから他の本も読んでみたいなと、興味もそそられました。

そして、白州さんの行動力や
時々ハッとさせられたり、心に染みる一文があったりする、その文章力もとても魅力的でした。

これから日本史や和歌の知識も増やして、
あと何十年かしたら、ぜひ再読したいと思える
重厚な本でした。
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養老 孟司
養老孟司の“逆さメガネ”

なるほど。

この本を読もうと思ったキッカケは、
養老さんと初期仏教の長老スマナサーラさんの
対談集『希望のしくみ』 (当ブログ記事は→こちら )です。

『バカの壁』が大ベストセラーになっても、
一切興味を持たなかったので、
これが、初めての「養老さん本」です。

内容を簡単に言うと、

逆さメガネをかけて、世の中を見て、考えて、
教育について語った本です。

子供は「自然」なものだから、
都市化された今の世の中では、「ないこと」にしてしまう

とか、

なんでもボタンひとつで出来てしまう今の私たちは
身体感覚を忘れてしまう 

とか、普段感じていたけれど、もやもやと言葉にならなかったことが
言葉になっていたので、「なるほど、そういうことだったのか」
と、思いました。

養老さんは『バカの壁』が売れすぎたこともあって
Amazon のレビューを見ていると、
賛否両論、極端で楽しめます。

私は、
養老さんのおっしゃっていることが、
正しい・間違っている、良い・悪いではなくて、
こういう考え方もあるんだな、できるんだな、と

文系の頭には新鮮でした。

教育試論なので、
子育て中の方が、一読すると良いかもしれません。
司馬 遼太郎, Robert Mintzer, Donald Keene, ドナルド キーン, ロバート ミンツァー
対訳 21世紀に生きる君たちへ

普遍的なもの。

今日、ものすごくビックリしたことがありました。

10日ほど前に、Amazon をネットサーフィンしていて
偶然↑この本に出会い、

それまで司馬さんの本など1冊も読んだことがなかったのに
図書館で借りて、昨日読みました。

すると、今日、フジテレビの「ノンフィクション」という番組で
司馬遼太郎さんのこの本を取り上げていたのです。

すごい偶然だなあ、と思っていたら
今日は司馬遼太郎さんの没後10年にあたる日なんだそうです。

偶然とはいえ、
なんだか呆然としてしまうくらい、ビックリした出来事でした。

この本は、
小学校5年生と6年生の国語の教科書用に書かれた
司馬さんのエッセイです。

「21世紀に生きる君たちへ」と「洪庵のたいまつ」の
2作が収められています。

フジテレビの番組内で見たのですが、
司馬さんの直筆原稿は、修正だらけでした。

原稿用紙が、緑色の色鉛筆で塗りつぶされて、
赤い文字が加えられ、何度も何度も書き直されていました。

短い文章量のなかに、平明でありながらも
凝縮され、胸に伝わってくる文章になっているのは

こうした司馬さんの熱い想いがあったからなのだと、
知りました。

”私の人生は、すでに持ち時間が少ない。
 例えば、21世紀というものを見ることができないにちがいない。”

司馬さんは、この本のなかにそう書き残しています。
そして、本当に21世紀を見ることなく、この世を去ったのです。

この文章と、その事実だけでも
私の胸はいっぱいになります。

人が後世のために何かを残そうとすること、
その強さが胸に響きました。

著者: ポール・オースター, 柴田 元幸, Paul Auster
タイトル: トゥルー・ストーリーズ

嘘のような本当の話と金銭問題と・・・

よく恋愛ドラマとかであるでしょ?

電車で痴漢にあって、助けてもらった人が、
後日行った合コンの相手だったとかっていう

偶然の一致というやつです。

見てる方は、「はいはい、都合がいいこと。ドラマはいいよねぇ~」
なんて思いますが、

なんと、偶然の一致はドラマのなかだけの話ではなかった!
事実は小説よりも奇なり
この本の作者、ポール・オースターの周りでは、
それが驚くほど起きているんです。

たとえば
読みたくて探し回っている本があるけれど、それがいっこうに見つからない。
でも、ある日、駅でその本を読んでいる女性に出くわして、
しかも、いま読み終わったからあげる、と言ってもらえたり、

間違い電話から初めての小説の着想を得て、
登場人物の名前をクインにした。
そして、何年もたったあとオースターの元に間違い電話がかかってくる。
相手は、なんとクインという人に電話をかけてきたと言うのだ。

と、言ったような嘘のような本当の話の数々が披露されます。

村上春樹は、作家の書くことは、ほとんどが嘘だと思ってもいい、
というようなことを述べていましたが、

嘘だろうが本当だろうが、おもしろい話には変わりはありません。

そして、オースターの自伝的なお話もおもしろい!
作家になるまでの紆余曲折
それが苦労話貧乏話で、当時の本人は本当に辛かっただろうけど、
読んでいるこちらは、大変興味深く読みました。

オースターは本当にさまざまな人に出会って、
さまざまな経験をしていて、
濃いです。

最後は、少し社会派なエッセイ。
9.11テロのこと、サッカー戦争のこと、ホームレスのこと。
(ホームレスの話は胸にきます)

意地悪に疑いたくなるんではなくて、
こころにスッと入ってきて、信じられる
そんな語り口とお話の数々。

そう言えば、
世の中も人生も、偶然に満ち満ちているよなぁ・・・
と思った一冊です。
著者: 柳家 小三治
タイトル: ま・く・ら

笑えて泣けて、これが話芸だ!

世の中、お笑いブームだなんていわれてだいぶ経ちますが、
私自身は、お笑い好きですし、
最近の若手芸人も嫌いじゃあ、ありません。

でも、これだけ次から次にいろんな人が出てくると、
「ん? ちょっと待て」と、言いたくなってきます。

毒舌や勢いだけで笑わせられると思ったら、大間違い。

そもそも、笑いっていうのは、
頭の良い人がやるもんだ(生き残るもんだ)と
私は思っています。

本来、笑いは芸なんです!
(って、エラそうに言える立場じゃないんですけどね・・・)

その話芸とはいかなるものか
それがこの本を読めばよくわかります。

この本の著者、柳家小三冶さんは落語家です。(名前見ればわかりますね・・・)

で、「まくら」というのは、寝るときに使うあれではなくて、
落語の噺に入る前にする話のこと。

小三冶さんは、そのまくらがおもしろいということで、
これ1冊にまくらだけが収められています。

例えば、齢五十を過ぎて行ったサンフランシスコ留学の話に
駐車場に住みついちゃったホームレスの話。

趣味のバイクや、CDの音質ハチミツの話など。

おもしろいネタを話すからおもしろいんじゃないんです。
おもしろいネタだろうが、ささいなことだろうが、
小三冶さんが話すとおもしろい。

これが話芸なんだ、と感心しきり。

英語に奮闘する小三冶さんに爆笑し、
CDの音を良くする方法に「ほほう」とうなずき、
もっとタメになったのは、の話。

今は、専売法というのが撤廃になったそうなので違いますが、
ちょっと前の日本は、っていっても、塩化ナトリウムという薬品を
売っていたんだそうです。
だから、日本の塩はまずい
外国の塩は本当の塩だからおいしいんだそうです。
(特にベトナムの塩がおいしいんだそうですよ)

しかもね、この本、笑えるだけじゃないんです。
泣けるんです。

小三冶さんのお父さんの思い出話もいいですが、
私は口上けました。

人生論、教育論にもなっていて、
自分の性格や生き方に悩んでいる人、
はたまたお子さんの教育に悩んでいる人なんかが読んでも
十分に感じるものがあると思います。

小三冶さんの落語口調そのままに書かれているので、
小気味良く、すらすらと読めます。

オススメです!
著者: 柳家 花緑
タイトル: 柳家花緑と落語へ行こう

落語の「ら」の字も知らないので・・・

「タイガー、タイガー、じれっタイガー!」というわけで、
金曜日は「タイガー&ドラゴン」の日。

つまり、落語の日なわけです。

高名な作家さんや、芸人さんなんかが
絶対に知っておいた方が役に立つ、とおっしゃるのが
落語だったりします。

じゃあ、少しは触れてみないと・・・
でも、落語の「ら」の字も知らないよ・・・

と、手に取ったのがこの本でした。

花緑さんは、NHK の「トップランナー」という番組で
ちょっと興味を持ちました。

この本を読むと、花緑さんがいかに落語の普及
心血を注いでいるのかがわかります。

第1章の「落語いろは」イラスト
寄席のチラシ・看板の見方寄席の内部
落語の仕草と小道具などが説明されていて、

何も知らない身としては、「ほほう」と勉強になりました。

第3章の「落語のススメ」では、落語CDの紹介や
落語のちょっとしたあらすじ紹介、
それに登場人物の紹介があります。

(私、全然知らなかったんですが、落語の登場人物って
決まってるんですって。例えば、ご隠居なら「やかん」
「つる」「茶の湯」などの落語に登場するんだそうです)

この本、落語の噺の本ではなく、落語の前知識の本なんです。
あくまでも「寄席に来て!」って本なんです。
なので、いまいち落語の「噺」自体のおもしろさが伝わってこない・・・。

でも、「タイガー&ドラゴン」では「茶の湯」の回が
とてもおもしろく、落語の「噺」の方に興味が沸きました。

落語家さんが必死に落語の魅力を伝えようとしているのに、
テレビドラマの方が落語の魅力が伝わった
っていうのも、ちょっと皮肉な話です・・・。

著者: 齋藤 孝
タイトル: 座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本

ゲーテってイイ。

期待せずに読んだのだけれど、
ところがどっこい、おもしろかった!

著者はTVでの露出も多いので、
その分、構えてしまう人もいるかもしれないけれど、

ゲーテパワーのせいなのか、
著者の力なのか、
すらすら読めて、なおかつ「ほほう」と素直に思えました。

ゲーテって名前は聞いたことがあるけれど、
その実、どんなことを考えて、どんな人なのかは
まったく無知でした。

が、この本を読むと、
ゲーテへの興味がむくむくといてきます。

例えば、「自分を限定する」

日頃、ころころと興味が移ってしまう私。
これ、と言った得意分野があるわけではないし、節操がないなと思っていましたが、

むしろ、吸収面は幅広くして、表現面で狭く深くすればいいんだとか。

あとは、「最高を知る」「独創性などない」
「当たったら続ける」「計り知れないものが面白い」

など、ごもっともです、と思わず何度もうなずいてしまいました。

ゲーテって、なんか小難しいことを言っていて、
私では読みこなせないんだろうなと敬遠していましたが、

本書のなかで引用されている文章は、読みやすく
ゲーテってユーモアがあって、頭がやわらかい人なんだな
と思いました。

最近、気づいたんですが、

天才と言われる人に共通している点は、
深いこと、難しいことを
ユーモアを交えてやさしくおもしろく
他者に伝えられる人なのではないか、ということ。

ゲーテの本を読んでみよう、と気軽に思える
きっかけになりました。
著者: 益子 貴寛
タイトル: 伝わるWeb文章デザイン100の鉄則

「伝わる」文章の基本は変わらない。

以前、ホームページを作ろうと思って購入した本。

でも、HTMLタグに挫折して、結局アメブロに落ちつきました。
(今思えば、それで本当によかったと思う。)

本書は3部構成になっていて、
はじめに技術編として、Web 文章デザインについて書かれています。

利用者にとっての使いやすさを追求するユーザビリティーの4要素や、
レイアウトSEOテクニックなんかについても語られていて、

特に今回はCSSのページが参考になりました。
背景色やテキスト装飾のやり方、見やすさについて書かれています。

 

次は表現編として、「読ませる」Web 文章テクニック
句読点の正しい使い方、書き出しで引きつけるなんていうのは、

Web 上の文章じゃなくても言えること。

結局、媒体が変わっても、「伝わる」文章の基本は変わらないんだな、
と思いました。

最後は応用編として、メールマガジンの文章技術なんですが、
私はメールマガジンは書いていないので、
ここは未読。

相手のことを考えた使いやすさや見やすさって、
案外、基本的なことなんだけれど、
書いている(作っている)本人は
あんなこともできるこんなこともできるって、
いろんなことをしてしまいがち。

たまに読むと、ちょっと反省点が見えてきたりします。

でも、この本。

欠点なのは、著者が運営しているサイトで、
内容がほとんど読めてしまうことなんだな・・・。
(私は、買ってから気がつきました・・・)