アガサ・クリスティ, 高見沢 潤子
ミス・マープルと13の謎

なんでもわかるおばあさん。

2006年1月の挫折本を、読了しました!

といっても、挫折したのは『火曜クラブ』 という本で、児童書。

でも、中身は一緒です。(児童書の方が、収録作品が少ないのですが)



ミス・マープルは、セント・メリー・ミードという村に住んでいるおばあさんです。

平穏無事に生活してきて、

世の中のことなんて知らないだろうと思われているおばあさん。

その、ミス・マープルのうちに
甥の作家や女流画家、元ロンドン警視庁の総監や教区の牧師、弁護士が集まったとき、

自分だけが結末を知っている怪事件の話をして、みんなで推理をしようということになり・・・

中毒死に、不気味な祠で起こった凶器のない殺人、溺死・・・

次から次に話される難事件に、誰もが答えを出せずにいるなか、

ズバリと真相を言い当てたのは、なんとミス・マープルだった!


短編集ですが、ひとつひとつの物語がしっかりしていて、読みごたえがあります。

結末の会話も洒落ていて良いし、

ミス・マープルが必ず、
かつて村であった同じような例を引き合いに出してくるというお決まりもあって、

”推理小説を楽しむ”にはうってつけです。
AD
乙一
銃とチョコレート

怪盗と、宝の地図と冒険と・・・。

久しぶりに小説を読みました。
たまには、空想の世界にどっぷり浸るのも気持ちがいいなぁ、と改めて実感。

さてさて、この本は、
”かつて子どもだったあなたと少年少女のための”ミステリーランドシリーズのうちの1冊。

なので、内容も
怪盗ゴディバと、それを追う子どもたちのヒーローである探偵ロイズ。

そして、貧乏だけど家族想いな少年・リンツの
ドキドキ、ハラハラな冒険を描いた、子供向けのミステリーです。

読み始めて、ちょっと驚いたのは、
作者である乙一さんが、かなり子供を意識して書いていること。

ちゃんと児童文学になっていて、
こういうものも書けるのだなぁ、と改めて乙一さんの実力に恐れ入りました。

けれど、そこは乙一さん。
今までの作品でも見せてくれた、ユーモアや
子供にはちょっぴり悪影響(?)な描写も健在です。

人名などの固有名詞が、チョコレートに関係する名前になっていて
そんな遊び心も楽しめます。

そして、読んでいてなぜか頭に浮んだのが、
宮崎駿監督も携わっていたアニメ『名探偵ホームズ』

あの雰囲気がちょっこっと感じられて、
これはアニメ映画にしても、おもしろいんじゃないかなぁ、と思いました。

でも、あえて難点を言えば、
漢字の変換が微妙なコト。

漢字にはだいたいルビがふってあるのですが、
それは漢字にした方がいいだろう、っていうものがひらがなになっていたりして、読みにくい。

そして、もうひとつは挿絵。

物語を読んでいくうちに頭の中で、自分なりの登場人物の姿形が想像されていたのに、
挿絵でそれを粉々に打ち砕かれてしまいました・・・。

特にお母さんがヒドかったです・・・(泣)

でも、挿絵はどれもヒドイってわけでは決してなくて、
装丁なんて抜群です。

↑のAmazon の画像は箱に入った状態なんですが、
コレ、箱から出すと、ものすっごく重厚で、キレイな装丁なんです!

この装丁は私の好きなものの3本に確実に入るくらいです。

子供向けなので、ラストも驚愕!って程ではありませんが、
一気に読めて楽しめる物語でした。

AD
著者: 黒崎 緑
タイトル: しゃべくり探偵の四季―ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンの新冒険

ボケとツッコミ満載のミステリー。

なんか笑える小説ないかなぁ・・・と、ある日ふと思い立って
調べてみたところ、このシリーズに出くわしました。

主人公はボケのホームズ・保住君
ツッコミはワトソンならぬ和戸君

この二人の漫才風の会話だけで、
(つまり、ひとつの短編に 「」 のセリフだけが延々と続きます)
日常のちょっとした謎が提示されて、
保住君がバカを言いながらも、するりと解決してしまいます。

二人の会話はコテコテの大阪弁で、
なんか漫才の台本や、落語を読んでいるような気分です。
ちゃんとオチもありますし。

会話だけで推理小説が成立するっていうのも、
新しい発見でした。

この本には、
つの短編が収められていて、
全編を通すと、保住君の一年間になります。

「保住君の新学期」では、
和戸君のおばあちゃんの家の幽霊騒ぎの謎

「保住君の年の暮れ」では
トイレで消失した女の謎。

どれも解けそうで解けない謎といった感じで
おもしろいです。
(会話はおバカ満載なのに、トリックは練られている感じです)

なかでも「保住君の夏の思い出」で、
高原での殺人事件の謎があるんですが、
その犯人・・・というかトリックが
え~そんなのありっ? って、
ちょっと私からしたら、反則スレスレかなぁ、とも思いました。

ちなみに、表紙の絵はおっさん二人ですが、
本編の保住君と和戸君は、大学生なんです。

なんで、この表紙なのかも、私にはですが・・・。

それと、これはシリーズ2作目です。
なんで1作目から読まないんだよ?!と思われた方、
その謎の答えは、以前書いた「図書館本事件」 にあります・・・。
AD
著者: 乙一
タイトル: 暗いところで待ち合わせ

装丁からすると想定外。

乙一作品のなかでも、
結構評価が高い作品のようです。

が、私の評価は普通なんですよね・・・。
(ファンの方、本当にごめんなさい。)

乙一さんは、やっぱり短編の作家かな、と
個人的には思います。

長編になると、少しまどろっこしくなる感が・・・
と思うのは私だけなんでしょうか・・・。

しかし、この作品で特筆すべきは
設定の妙です。
(もう、この設定だけでおもしろい作品を掴んだも同然。すばらしいです)

駅のホームで起きた殺人事件の犯人として
追われる身となったアキヒロ

アキヒロが逃げ込み、隠れることにした家には、
ひとり孤独に暮らす盲目の女性・ミチルがいました。

目が見えないから
自分がいることはわからないだろうと思うアキヒロと

身を守るために気づかない振りをするミチル。

ふたりの奇妙な生活がはじまり・・・。

この装丁からすると、恐ろしいミステリーなのか?って感じですが、
実は全然違うおはなしです。
なんで、こんな装丁にしちゃったんでしょうかね。

物語もさることながら、装丁でもイメージを沸かせておいて、
最後はアッと驚かせたかったんでしょうか・・・。

乙一作品(特に白乙一と言われる切ない系の作品)は、
孤独や寂しさ・不安を感じている人を、
弱々しいながらも優しく受け入れようとするところが
ステキです。

ある意味、この作品は純愛ミステリーといった感じ。

ウワサによると、映画化も決定した模様。
映画はその純愛色の方を強く出していくのかな?
今、純愛ブームだしね・・・。
ポール
著者: ポール・オースター, 柴田 元幸, Paul Auster
タイトル: 幽霊たち

君も私も本当は幽霊かもしれないんだ。

人間、誰でも1度は文章を書いたことはありますよね?

例えば、小学生だった頃の作文や感想文。
それに、今、私が書いているこのブログの記事だって
文章です。

文章を書くことに、もどかしさを覚えることはありませんか?

自分の思っていることや、考えていることがうまく書けない。
ズレが生じてしまう。
本当はもっとこんな感じを伝えたいのに・・・って。

私の言葉よりも、もっと的確な文章があります。
この本の最後に載っている、三浦雅士さんの解説から
抜粋してみます。

人は自分が誰であるかを確認しようとして書く。けれど結果は逆に自分を見失うことになる。
なぜなら言葉は決して自分に属してなどいないからだ。いや、世界にさえ属していない
それは恣意的に世界や自分をかすっていくだけだ。
言葉の世界に入りこめば、入りこむほど、人は自分の影が薄れてゆくことに気づかざるをえない。
まるで幽霊のように。

これをキーワードに、この小説を読みと、一層わかりやすいかもしれません。
内容はこうです。

私立探偵ブルーは、変装した男・ホワイトから奇妙な依頼を受けます。
真向かいの部屋の男・ブラックを見張るように、と。

ブラックはただ毎日、本を読み、何か書き物をするだけ。
何の事件も起きません。

次第にブルーは考えごとを始め、不安にかられていきます。
そして・・・。

淡々とした文体が新鮮で、小説のなかに散りばめられたエピソード
また魅力的

時折、ハッとさせられてこころをつかまれる一文があったり、
内容は深いです。

小説の登場人物は、歴史上の人物をのぞいて、
すべて色の名前です。
巻末の伊井直行さんの解説を読むと、
またその意味の深さにうなります

ちなみに1つ注意事項が。
最後の三浦雅士さんの解説は、読後に読みましょう。
あらすじがラストまで書いてありますので。

※この本は、usa1004 さんのブログ When You're Smiling で知りました。



著者: 乙一
タイトル: きみにしか聞こえない―CALLING YOU


たまには涙してみる。

花粉症がひどくって、頭が働きませぬ。
なので、ワケのわからない文章になっていたら、ごめんなさい。
でも、でき得る限り最善をつくすぜ。

『Calling You』『傷』『華歌』の3編がおさめられています。

なかでも『Calling You』
ファンのあいだで支持率が高い物語のうちの
1つなのではないでしょうか。

孤独な女子高生の頭のなかにある日、携帯電話が現れます。
かけてみると、電話口に同じようにさみしい少年が
出て・・・。

泣ける物語に仕上がっていますが、
私は泣けなかったんですよね・・・。

こころが汚れてるんだわ・・・と、ちょっとショックだったり。

『傷』は他人の傷を自分自身に移すことができる
少年の物語。
少年の弱さやもろさが痛い。

『華歌』これは、あまりしゃべりすぎるとおもしろくなくなってしまうので、
読んでみて、驚かれるのがいいんではないかと思います。
私は読み終わってすぐ、頭から読み直して挿絵もよーく見直しました。

3編とも、傷ついたり孤独に苛まれていても、
最後には、大丈夫、希望に包まれているんだぞ、と
勇気づけられる世界が描かれています。

ともすれば、クサくて読めなさそうな物語ですが、
乙一はそこがウマイ

きちんと切なくなったり、ホロリときたりして、
読める物語になっています。

『GOTH』のダークな乙一しか知らない方は、
新たな乙一の一面が見られると思います。

素直に涙するのも、たまにはいいんではないでしょうか。




著者: 乙一
タイトル: ZOO


十回、驚く本。

前々から、この本を取り上げようと思っていたのですが、
映画公開に合わせようと思っておりました。
(別に特別な意味があるわけじゃないんですが・・・)

で、やっと本日より映画公開です。
(詳細は公式サイトへ。)

この本は、十作の短編集
そのひとつひとつがどれも違ったテイストで、
いわば十人十色ならぬ十作十色

ドタバタ風、切ないもの、狂気を感じるもの・・・とさまざまです。
その十作にいずれもハズレがない意外な結末が待っているのです。

特に出色なのは「SEVEN ROOMS」
ある姉弟が、
窓のない小さな四角い部屋に閉じ込められているところから
物語は始まります。

姉弟は誰に、なんのために閉じ込められているのか?

狂気恐怖
そして驚愕のラストが待ち受けています。

読後、思わず本を閉じてしまいました。
心がかき乱されて仕方がない。

この作品、映画化されたのですが、
仕上がりが気になります。

気になりますが、近くの劇場では見られないので、
とりあえずDVD化を待とうかな・・・。




著者: アガサ・クリスティー, 恩地 三保子
タイトル: 杉の柩


優しく温かなミステリー。

これは1940年に書かれました。
今から65年も前だというのに、
死にまつわるお金は、いつの世も騒ぎを巻き起こすようです。

エリノアは愛する幼なじみ・ロディー結婚する予定でした。
そして、二人には金持ちの伯母からの遺産も入ってくる予定でした。

けれど、野バラのように美しいメアリイに、
ロディーをしてしまったことで、
エリノアの運命は崩れていきました。

嫉妬に苦しむエリノア。
看護婦が失くしたモルヒネ
伯母の突然の死
エリノアが作ったサンドイッチ
口にしたメアリイは毒殺
エリノアの逮捕
隠された過去の秘密

伯母の担当医であったロードは、
エリノアの無実を証明するよう、ポアロに頼みます。

果たして、本当に、エリノアは無実なのか?

最後に突然明かされる事実にはビックリ

そして、ラストのポアロ『カリオストロの城』銭形警部を思い起こさせました。
(ニクいねぇ~、ポアロ。って感じです)

未読の人の楽しみを減らしたくはないので、言いにくいですが、
優しく温かな気持ちになるミステリー
イイ話です。



著者: 乙一
タイトル: 暗黒童話


グロテスクなホラー・ミステリー

童話といわれれば、
明るくてかわいいものを思い浮かべちゃいます。

その童話の頭に暗黒がつくと、
なにやら急に不穏な空気が・・・。

物語の主人公(女子高生)は
突然の事故で左眼記憶を失います。

臓器移植で眼球移植角膜ではないことからして、
もう乙一ワールド)を受けますが、
やがて激しい痛みと共に見知らぬ映像がよぎるように。

それはかつて
左眼の持ち主であった人間の記憶でした。

主人公はその映像をたよりに、
持ち主が生前住んでいたへと旅に出ます。

そして、恐ろしく、気持ちの悪い事件へと
主人公は巻き込まれていきます。

この物語は、上記の主人公の視点のほかに、
童話(カラスと両目のない女の子の話)と、
ある童話作家の視点という3つで成り立っています。

一応、犯人探しのミステリーもあり、
これがまた私はだまされてしまったんですが、
今回はトリックうんぬんの感想は横に置いておきます。

特筆したいのは、犯人がしていたこと。(以下、ややネタばれ)

グロテスクで気持ちが悪い表現が多々あるのですが、
そこには痛み苦しみという感情が排除されています。

これはいかがなものか、と正直、思いました。
他者に対する想像力の欠如を促すようでいかんだろう・・・と。

私は乙一好きではありますが、
やっぱり乙一さんは長編よりは短編
才能が発揮されるような気がします。

深いこと考えずに、
純粋に犯人探しを楽しむには良いんではないでしょうか。





著者: アガサ・クリスティー, 堀内 静子
タイトル: ABC殺人事件


Eの人はドキドキしただろうな。

『ABC殺人事件』
これって、日本版にすると、
「あいう殺人事件」ってことになるなあ・・・と、
ぼんやりくだらないことを思ったりして。

苗字が「わ」の人は、まだまだ大丈夫って安心したり・・・。
(あっ。これって、学校の予防接種と一緒だあ)

さてさて、この物語。
まずは名探偵・ポアロのもとに挑戦状が送られてきます。

そして、その挑戦状の予告どおり、殺人は起こります。

タバコ屋を営んでいる老婆・アッシャーが撲殺。
頭文字はAです。

つづいて、第二・第三の挑戦状が届き、
ベクスヒルでバーナードというが、
チャーストンでクラークという初老の紳士が殺されます。
頭文字はBとC

しかも、どの現場にも必ずABC鉄道案内(いわゆる五十音順鉄道案内)が
残されていました。

そして、第四のDの事件が・・・。

犯人はなぜアルファベット順に殺人を犯すのか?
現場に置かれた鉄道案内の意味は?

名探偵・ポアロとその友人ヘイスティングズがその謎に挑みます。

ラストにはクリスティーらしく、
やさしさとハッピーがあります。
(くわしく言っちゃうとネタばれになっちゃうのでご了承ください)

ポアロがの時点で解決してくれたから、よかったものの、
のつく場所に住んでいて名前もから始まる人は、
ドキドキしていただろうなあ・・・。

順番がある程度わかってる殺人事件なんて、
精神衛生上よろしくないな、と思ったりもして。