クーパー エデンズ, Cooper Edens, 角田 光代
もしも空が落ちてきたら朝食に雲をいただきましょう

もし**なら・・・

原題『 If You're Afraid of the Dark, Remember the Night Rainbow 』 は

1979年に刊行されて、多くの賞を受賞し、

100万部以上売れたベストセラーになったそうです。

私は、以前記事にした方(『もしも暗闇がこわかったら夜空に星をくわえましょう』 )がベストセラーなのかと思っていましたが、勘違いしてました・・・。

(『もしも暗闇が~』の記事は→こちら

なんで勘違いしたかというと、『もしも暗闇が~』の方が私は好きだからです!

この絵本も体裁は『もしも暗闇が~』と一緒。

もしも空が落ちてきたら、もしも鍵をなくしてしまったら、もしも電球が切れてしまったら・・・

こんな風にしてみたら? こんな風に考えてみたら?

ということが、ちょっぴりシュールに、ちょっぴり素敵に紹介されていく絵本です。

さらりと読めてしまうけれど、読んでいくうちに

温かい気持ちになって、ふわっと微笑んでしまいます。
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クーパー エデンズ, Cooper Edens, 角田 光代
もしも暗闇がこわかったら夜空に星をくわえましょう

なんだか、いい。

この絵本、アメリカでは多くの賞を受賞し、

100万部以上売れて、ベストセラーになったそうです。


※訂正:この絵本ではなくて、もう一冊の方『もしも空が落ちてきたら朝食に雲をいただきましょう』 の方でした。
(『もしも空が~』の記事は→こちら

「ふ~ん、こんな本が・・・なんでだろう?」

と、思って読み始めましたが・・・。


真四角のこの本は、開いてみると、

左のページが、2行ほどの短い文章。

右のページが、絵になっています。


私が好きなのは、たとえばこんなページ。

”あなたの世界がほろほろほどけてしまったならば
しっかりと水平線に結びつけましょう”


右のページは、水平線のところに安全ピンがとまった絵になっています。

他にはこんなのも好き。

”おっきなおっきなタコが あなたを乗せて逃げるというなら
いっそのこと 思いきり運命に流されてみましょう”

”迷子になってしまったのなら
あなたがいるところはどこでも あなたの家だと思いましょう”


他にも素敵なページがいっぱいあります。

クスッと笑えたり、ジンとしたりして、読みすすめていくうちに、

いつのまにかページが終わって、

気がつくと、そこには、なんだかちょっと泣きたいような、感動している自分がいます。

100万部のベストセラーになったワケにも納得。

なんてことはない本のようだけど、不思議な魅力に溢れた、いい本です。

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Chris Van Allsburg, 村上 春樹, クリス・ヴァン オールズバーグ
魔術師アブドゥル・ガサツィの庭園

不思議で不穏な味。

まず、声に出して題を読んでみましょう。

『魔術師アブドゥル・ガサツィの庭園』

・・・舌噛みそうです。

しかも、この「なんじゃこりゃ?」っていう題名に負けず劣らず、
内容もとってもヘンな感じ。

逃げ出した犬を追って、少年が入ってしまったのは

”ぜったいに、何があっても、犬を庭園に入れてはいけません。引退した魔術師ガサツィ。”と書かれた庭園。

そこで、少年が体験した不思議な出来事とは――。

読み終えたときに、「こういうお話も絵本になるんだなぁ」という軽い驚きがありました。

なんというか、お話の構成自体はシンプルで、想像のつくような展開なのですが、
読み終えると、奇妙な味が残るといった感じ。

そのヘンな感じを強烈にしているのは、
オールズバーグの絵。

全ページモノクロというシンプルさながら、
やっぱりとっても奇妙。

絵なのに、動いているような不気味な躍動感があって、
とっても不穏な感じです。

小さな時に出会っていたら、「なんかわかんないけど、気持ち悪いけど心惹かれるようなヘンな感じ!」と大人になっても印象深い1冊になっていたと思います。

もちろん大人が読んでも、やっぱりヘンに印象に残ることは間違いありません。

奇妙なお話や読後感が好き、という方にはオススメです。
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フランシスとたんじょうび

ラッセル・ホーバン, リリアン・ホーバン, まつおか きょうこ
フランシスとたんじょうび

ホントにいそうな姉妹。

アナグマのフランシスの妹・グローリアのお誕生日のおはなしです。

妹の誕生日がちょっとおもしろくないフランシスは、

妹と言い争ってケンカしちゃったり、
みんなが妹にプレゼントをあげるのに、自分だけあげるものが何にもないと泣いてみたり。

そこで、お小遣いを2回分もらったら、
妹にプレゼントをあげられるのだけれど、とお母さんにおねだり。

お母さんも「いいお姉さんね」と、フランシスにお小遣いをあげます。

でも、フランシス、
いざ、風船ガムとチョコレートを買ったら、

妹にあげるのは何だか惜しくなってきて・・・・・・。


いじわるしたりしちゃうけど、本当は仲良しな姉妹が
ユーモラスに描かれていて、かわいいです。

やけに現実感たっぷりな姉妹は、
どこにでもいそうで、

アナグマという姿ながら、とても人間クサくて
身近に感じられます。

この絵本でも、他のフランシスの絵本同様、食べ物がおいしそうで、
特に気になったのは、

”チョムポ”です。
(正式名称は、チョムポチョコレート)

言葉の響きがおもしろくて、どんなお菓子なんだ?!と思っていたら、
ちゃんと途中に、説明がありました。

”チョムポは、まんなかが ヌガーで、そのまわりに やわらかい キャラメルが あって、そのそとがわが ナッツのはいった チョコレートに なっているんだよ。”

いわゆる、”スニッ○ーズ” みたいなチョコレート菓子のようです。

めちゃくちゃ甘くて、高カロリーだから、
私はここ何年も食べてませんが、

この絵本を読んだら、食べたくなってくるので要注意です。
フランシスのおともだち

ラッセル・ホーバン, リリアン・ホーバン, まつおか きょうこ
フランシスのおともだち

おとこのこ、おんなのこ。

子供が成長していく上で、必ず出会う、
年齢の差と、性別の差。

お姉ちゃんの遊びに、いつだってくっついて行きたい、ちっちゃな妹や
男の子の遊びについて行きたい女の子。

その自分と、相手のちょっとした違いに気づき始める頃を
ユーモラスに、ほほえましく描いたのが、この絵本です。


小さすぎる妹のグローリアとは遊んでやらない、アナグマのフランシス。

でも、フランシスも一緒に遊びたかった男の子たちから
”おんなぬき”でやってるから、と相手にされません。

怒ったフランシスは、妹・グローリアと友達になってあげることにして、
二人で(二匹で?)”おとこのこぬき”の運動会をすることに。

途中、男の子のお友達・アルバートの家の前を通ると、
アルバートは、フランシスたちが持っていたお弁当につられて、
仲間に入れてと言い出しますが・・・・・・


後半、アルバートが男らしくて、かっこいいです(笑)

作者が、さりげなく、女の子よりも男の子の方が強かったり、頼もしかったりするんだよ、と描いていて、ラストもかわいらしく、ほほえましくて、とても素敵です。

そして、特筆すべきは、アルバートも誘惑されてしまった
フランシスのお弁当!

とても長々とした会話で、説明されるお弁当の中身・・・例えば、


アサツキの入ったのと、ゼリーの入った2種類のクリームチーズのサンドイッチ。

サラミソーセージと、コショウの入ったのと2種類ある、たまごのサンドイッチ。

キャベツのサラダに、ポテトチップス。

飲み物は、氷に詰めて冷やしたコーラで、デザートはスイカに生クリームをかけたイチゴ。

黒と緑のオリーブに、ピクルス。アイスキャンデーにプレッツェル!


そりゃ、アルバートも仲間に入れてもらいたくなるってもんです。

そんな、おいしそうな食べ物と、アルバートの男らしさが素敵な絵本です。
西内 ミナミ, 堀内 誠一
ぐるんぱのようちえん

ふさわしい場所を求めて。

前々から気になっていた、ぐるんぱ。
新歌さんのブログ でご紹介されているのを見て、ようやく読んでみました。

ぐるんぱは、ひとりぼっちで寂しくて、
汚くて、くさーい匂いのするゾウでした。

それを見かねた仲間のゾウたちが、
ぐるんぱをキレイに洗って、働きに出すことにします。

はじめはビスケット屋さん。

でも、ぐるんぱ
張り切りすぎて大きな大きなビスケットを作っちゃったから、

大きすぎるし、売れないしで、
クビになってしまいます。

そして、次から次に、いろんなところに働きに行くのだけれど、
そのつど、こんな調子だから、

ぐるんぱは、次から次にクビになってしまいます。


次から次に展開するお話が、
同じような文章で、リズミカルに進んでいきます。

しまいには、ぐるんぱの”しょんぼり”と、行く先々でぐるんぱが作ったモノが
たくさんたくさんになっちゃって、

読んでる方も、「あぁ~どうしよう・・・」と思っていると・・・・・・


行き場のなかったぐるんぱ自身だけでなく、
ぐるんぱが作った、どうにもできなさそうなモノたちでさえも、

すべてが、役に立つモノだったんだ!とわかるラストも素晴しく、

実は、とても良く出来た構成のお話になっています。

しかも、カラフルで、勢いがあって、かわいらしくユーモアもある
堀内誠一さんの絵も、素晴しいのです。

ちょっと飾っておきたくなるような絵本でした。
フランシスのいえで

ラッセル・ホーバン, リリアン・ホーバン, まつおか きょうこ
フランシスのいえで

幸福感に、満ち満ちて。

ずっとずっと、読もうと思いつつ、読んでいなかったフランシスシリーズ。

実は、絵があまり好きではなくて、敬遠していたのだけれど、
読んでみたら、思いっきり感動してしまいました。

アナグマの家族、おとうさんとおかあさんとフランシスのおうちに
グローリアという赤ちゃんが生まれます。

そしたら、なんだか、おうちのなかは、
フランシスの思うようにはいかなくなってきて、

ある日、フランシスは家出をしようと思い立ちます・・・


絵本だけれど、この絵本は子供のためだけじゃなくて、
実は親になった(なる)大人のためにもなっています。

下の子が生まれて、不機嫌な子供に接するにはどうすれば良いか、
親はそんな子供にどんな風に、愛情を伝えれば良いか、

それらが、本当にさりげなく、温かく、ユーモラスに描かれています。

そして、その両親の温かさや愛情が、
しっかりと読んでいる子供にも伝わるようにも描かれているのです。

だから、読み終わった後は、大人も子供も幸福感に満たされて、
うっとりと、もしくは、ちょっぴり泣きそうになるくらい、
素敵な気分になります。

今までは、表紙だけを見て、あまり好きじゃないな、と思っていた絵も、
ページを開いてみれば、

ほんのりと、淡くやわらかなピンクと黄色だけの彩色で、
その2色だけの色使いが、かえって温かく、安心感のある絵になっていて

おはなしにピッタリなのです。

久しぶりに、しばらく幸福な余韻に浸ってしまった、良い絵本でした。
ラッセル ホーバン, Russell Hoban, Lillian Hoban, 福本 友美子, リリアン ホーバン
むしゃくしゃかぞく

ふわふわぽわん

久しぶりに絵本を読みました。

『フランシス』シリーズで有名な著者の絵本です。
(と言いながら、実は『フランシス』シリーズを読んだことがありません・・・)

さてさて、この絵本。どんなお話かというと・・・

暗い森のなかに、むしゃくしゃ家族が住んでいます。
むしゃくしゃパパに、むしゃくしゃママ。

むしゃくしゃにいちゃんに、むしゃくしゃねえちゃん。
そして、むしゃくしゃぼうや。

絵を見てみると、このむしゃくしゃ家族、
何者なのかわかりません。

動物?ではなさそうで、怪物?・・・のような謎の生き物です。

彼らの日常は最悪。
ごはんはおいしくないし、兄弟はケンカして
遊びも上手くはいきません。

でも、ある日、むしゃくしゃぼうやが
不思議なものを見つけたことによって・・・・・・


不思議なものは、具体的なモノではなくて、
とても抽象的なモノ。

でも、読んでいるこちらも、
むしゃくしゃ家族同様、「いい感じ」になってしまうような
素敵なモノです。

その素敵なモノを拾う前と、あとの生活が
上手く対比されているので、

ほんのちょっとの変化が、大きな違いになっていく様子が
わかりやすく、より心に響きます。

よかったねぇ~と安心できて、
温かくやさしい気持ちになれる絵本です。
ビアトリクス・ポター, Beatrix Potter, いしい ももこ
ひげのサムエルのおはなし

ネズミの方が強くて、恐い!ネコのおはなし。

タビタ・トウィチットさんというお母さんネコと、
モペット、ミトン、トムという、いたずら盛りの子ネコたちの住むおうちには、

ネズミが住んでいます。

ネコのうちにネズミ? ネコなら退治すりゃいいじゃない、と思ったら
大間違い。

このおうちにいる、ひげのサムエルというじいさんネズミと、ばあさんネズミは
まあ、恐くて強いんです。

ある日、子ネコのトムは、おうちから逃げようとして煙突を登っていきました。
すると、迷子になってしまい、落っこちたのは、
なんと!ひげのサムエルのベッド。

そのあとが、恐怖です!

トムは、あっという間に、ばあさんネズミにくるくる巻きにされ、ひもで縛られ、
”ねこまきだんご”(!)にされてしまうのです!!

バターを塗りたくられ、ねり粉でおおわれ、めん棒で形を整えられるトム・・・

途中、逃げ出そうともがくトムの絵は、妙にリアルで、
二匹のネズミが、一生懸命トムを料理しようとしている姿は恐ろしいです(笑)

トムが食べられちゃうよぉ! 早く助けて!というハラハラドキドキの展開と
ネズミの方が強いというユーモラスさ。

この経験のあとに、
モペット、ミトン、トムがどんなネコに成長したのかというオチも
とても楽しめます。

かわいらしく、生き生きとしたポターの絵が、
今回はブラックなお話に、妙にリアリティーを与えていて
笑えます。

トムは、本当に恐かったんだろうなぁ・・・。
T. ファリッシュ, B. ルーツ, 村上 春樹
ポテト・スープが大好きな猫

おじいさんと雌猫の日々。

村上春樹さんが訳した絵本です。

村上春樹さんが訳していなかったら、果たしてこの絵本は
日本語訳されて、なおかつ多くの人に読まれることになったのでしょうか。

絵本の内容うんぬんよりも、「村上春樹だから・・・」というのを
出版社の方も押し出しているし、
読者もそこに興味を持っている気もします。

だって、絵本にしてはとても珍しいと思うのですが、
最後のページには、結構な文章量の「訳者あとがき」が付いているのですから。

とか、なんとか言いながら、
かくいう私も、村上春樹の名前につられて読んでしまったのですが・・・。

お話の内容は、

おじいさんが、一匹の雌猫と暮らしています。

この猫、鳥やねずみなどの獲物をまったく捕まえようとはしません。
好物は、おじいさんの作るポテト・スープです。

おじいさんと猫は、よく湖に魚釣りに行きます。
そこでも、猫は何も捕まえようとはしません。

ある日、おじいさんがいつものように魚釣りに行こうとすると、
猫はぐっすり眠り込んでいて、起きません。

仕方なく、おじいさんは1人で出かけていきました。

今度は、猫が目を覚ますと、おじいさんがいません。
猫はおじいさんを探しに、出かけていきます。

そして、おじいさんが帰ってくると、猫がいません。
次の日になっても、また次の日になっても猫は帰ってきません・・・・・・


もしや、とんでもなく哀しい展開になるんじゃ・・・と途中、嫌な予感がしつつも
読みすすめました。

でも、大丈夫。哀しいことは起こりません。安心して読めます。

温かな絵で、中ほどに霧のたちこめた湖の絵があるのですが、
その絵がとても良いです。

「訳者あとがき」も、しっかりと絵本に深みを持たせてくれて
村上さんは、細かいところまで見ているのだなあ、と感心もさせられました。

ほのぼのと、ちょぴりユーモアもあって
やわらかな気持ちで読める絵本です。