基金(その2)~一般社団法人の基金 | 【公益法人・NPO法人・社会福祉法人】非営利会計ナレッジ

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非営利会計専門業務経験8年、研究も行う公認会計士内野恵美が、急速に変わりつつある非営利会計について気づきをシェアするブログです。

【公益法人・NPO法人・社会福祉法人】非営利会計ナレッジ-フレシマ湿原2008

■(法人法の)基金は純資産であるが、返還義務を負う一種の外部負債。
■基金は、社団法人のみが設定可能
■基金の拠出者の地位は、社員の地位とは関係なし。

こんにちは。公認会計士の内野恵美です。

 上記の写真は私が2008年6月に北海道・根室のフレシマ湿原で撮影したものです。
 タンチョウも繁殖しているという太平洋沿いの湿原です。
 当時、日本野鳥の会の保護区である旨の看板と湿原を見渡す小さな展望台があり、湿原の先は立入禁止となっていました。

   実際に日本野鳥の会のサイトには「渡邉野鳥保護区フレシマ」という説明があり、渡邉氏の寄付を財源として203.7ヘクタールを買い取ったとあります。
http://www.wbsj.org/activity/conservation/bird-reserve/watanabe_gj_fureshima/

   また同会のサイトの財産目録(11ページあたり)には、買い取った土地(渡邉野鳥保護区)とともに「渡邉基金特定預金」が特定資産に計上されています。
http://www.wbsj.org/jigyou/report/pdf/report_2012_03.pdf

この基金は、おそらく寄付金のうち土地を取得していない部分と推察されます。

 特定資産などについてはあらためてご説明したいと思います。

 といいつつ、今日は予告通り、この基金(借方・資産)ではなくて、一般社団法人の基金(貸方・純資産)の方の話をします。

 現行の「基金」、つまり一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(法人法)第131条の「基金」とは、一般社団法人において拠出された金銭その他の財産であって、拠出者に対して、法及び両者間の合意により返還義務を負うものとされています。

 拠出は金銭以外の財産でも可能であり、拠出時の財産価額に相当する金銭の返還義務があります。

 基金制度は、公益法人改革三法の成立により剰余金の分配を目的としない社団法人でも、寄附や借入金以外にその活動の原資となる資金を調達する手段を設けるためのもので、規定としては旧有限責任中間法人(改革三法の成立によりそのまま一般社団法人に移行)における基金制度をほぼ引き継いでいます。

 前回のエントリーの図のように基金は純資産に属するもの一方、返還義務があることから一種の外部負債ともいわれます。

 基金は、一般社団法人と特例社団法人のみが設定することができ、一般財団法人と特例財団法人は設定することはできません

 もちろん一般社団法人および特例民法法人が公益認定を受けて公益社団法人に移行しても、基金を設定することができます。

 また、基金の拠出者の地位は、一般社団法人の社員の地位とは関係なく、社員が拠出してもよいし、社員以外の第三者が拠出してもよいのです。

ここまでお読みくださってありがとうございます。

次回はこの基金について若干の補足をして今回のシリーズ中締めにしたいと思います。