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分数のわり算は,なぜ逆数をかければよいのか

テーマ:数学
2012-05-11 02:32:06

分数のわり算は,小学校の計算の最後(6年上の教科書)に出てきます。

÷分数の分母分子の数を逆にして,×逆数とするわけですが,このやり方でなぜ良いのか,このやり方で良いことをどう教えるかとなると,大変です。

私が塾講師になった20数年前の最初の授業がこれで,テキスト(四谷大塚)を読んでも説明などなく,仕方なく文字式を使った説明をしたら教室が凍りつき,鳩が豆鉄砲を食らったような生徒の顔が今も目に浮かびます。

その後,いろいろ本を読んでみたが,どれも苦心惨憺していることはわかるが釈然としない。計算の理由などわからなくても,やり方だけ覚えれば良い,というスタンスもあるし。

分数のかけ算については,数教協のタイル図を応用した面積図で,縦11の正方形を縦横分母の数だけ分割した小タイルを,縦横分子の数だけかけた部分の大きさとして納得できる。しかし,わり算では,この逆で説明しようと思ってもうまくいかない。数教協の説明もまだるっこしい。

図を使って説明するとなると,1つ分を求めるわり算といくつ分を求めるわり算の2通りについて説明しないとまずいのではないか,などと考えてしまう。そもそも分数とは何か,わり算とは何かに戻らざるをえないところがあるなぁと考えてしまった。

今,教科書は3通りほどの説明を掲げ,生徒がそのどれかで(あるいは自分なりに)納得できれば良い,というスタンスのようです。(掲載したのは,東京書籍『新しい算数6上』平成23年発行)


メタメタの日-分数のわり算1


メタメタの日-分数のわり算2

私的には,わられる分数とわる分数の双方にわる分数の逆数を掛ければよいのだから,という説明がすっきりしているが,この説明で生徒にもすっきりしてもらうには,次のような理解が前提になっていることが必要となる。

つまり,わり算とは,わる数を1にしたときのわられる数を求めること,ということ。

6個のミカンを3人で分けると1人何個か。15個のミカンを1人に3個ずつ配ると何人に配れるか。0.6m3kgの鉄棒の1mの重さは何㎏か。1m2kgの鉄棒の1.2㎏は何mか。

それぞれ,式と答を単位も付けて表すと,

6個÷3人=2個/人 ……(等分除)

15個÷3個/人=5人 ……(包含除)

3kg÷0.6m5kgm  ……連続量で1当たりを求める。除数が1より小。

1.2㎏÷2kgm0.6m ……連続量でいくら分を求める。

このように,等分除,包含除,除数が1より小の割算などといろいろあるが,けっきょく,除法は,除数1にあたる被除数の値を求めることになる。

分離量の等分除であれば,等分したとき除数1に当たる被除数の値を求めることになり,分離量の包含除なら,除数の大きさを単位1として被除数を測るときの被除数の値を求めることになり,連続量の場合は,除数が1より小であっても,除数を1としたときの被除数の数値を求めることになり,あるいは,除数の大きさを単位1として被除数を測ったときの被除数の値を求めることになる。

以上のわり算を分数で表せば,分母を1としたときの分子の数値が商となる。

6321

15351

30.651

1.220.61


わり算について,数量が整数や小数でなく分数で表されていても,同様に考えられる(と考える)。つまり,整数や小数という「数」で成立したアルゴリズムと同様のことを,分数という数でもおこなう,と考える。おはじきやタイルなど半具象物で分数のわり算の意味を理解するのではなく,抽象的な数の操作として,アルゴリズムの妥当性を納得するという方向です。分数のわり算でも,分母が1のときの分子の数値が商である,とアルゴリズムを理解するのである。

45÷23 なら,分母を1とするために,分母の逆数32を分母にかける。分母に32をかけたのなら,分子にも32をかけなければ,式全体の値が異なってくる。かくして(以下はほとんど算数の教科書どおりですが),

45÷23=(45×32)÷(23×32

     =(45×32)÷1

     =45×32

     =65

このように,分数のわり算はなぜ逆数をかければよいのかを納得するのが,いちばんスッキリしているように思える。

6の段階にもなったら,抽象的な数の操作で数式を理解する方が良いでしょう。1年後,中学では,数をさらに抽象した文字の計算をすることになるのだから。


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コメント

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1 ■特殊から一般へ

>かくして
>いちばんスッキリしているように思える。

遠山啓「数学の学び方・教え方」(岩波新書)p109では、「しかしこの説明方法は形式的でどうも感心できません」とあります。

 その直前に水槽の水の量での説明があるのですが、わかりやすいかどうか疑問です。しかも等分除のみ。私は等分除も包含除も区別ないと思っているので別に構わないのですが。

 私自身は、1/nで割る=n倍する、というのは納得できていたので、その延長で理解していたと思います。

 すごくできる子に教えたときは、分数のかけ算もわり算も教えないで、2/3mで4/5㎏のロープ7/6mの重さは?という問題を考えてもらいました。最初は分子が1などの簡単な場合をやりながら徐々に一般化して正解に行き着いていました。

2/3mで4/5㎏なら、10mで12㎏

と考えていたようなので、結果的に「感心できない形式的説明」となりますね。

 普通に教える場合は、1/2で割る=2倍になる、とかこういう簡単な例からやっていく事になると思います。

 特殊から一般、ですね。

2 ■私なりの方法

私なりの方法になりますが、
4/5 ÷ 2/3
通分の要領で分母をあわせる
12/15 ÷ 10/15
分子同士の割り算でいいとイメージ出来る
12/10 = 6/5

個人的にはこの方法がイメージし易いです。

3 ■いまは6年生でこの程度ですか…

4年生くらいで、ひっくり返してかけると聞いた記憶があります。

それ以上の説明はなかったと思います。

わり算はかけ算の逆算なのは分かっていたし、約分も通分も分かっていたので、やり方だけ聞いただけでも理由は分かりました。

ずっと田舎の公立学校で塾にも行ってない(みんなそれが普通である)ですが、まわりの人間を見てもこれが分からなくて困ったなんて人はいなかったと思います。

いまは約分するとバツをつける馬鹿教師もいるとか噂で聞きますが、本当かどうか知りませんが、本当にいてももう驚きません。

私の先生も組合活動とやらで、裏面に答が印刷してあるプリントをわたして、自分でやって自分でまるつけしろとか言いまして、黒板に自学自習とか大書して姿を消したりしましたが、それで困ることなんか何も無かったですし…

4 ■私の場合

 私は教わった記憶はないのですが,自分が機会があって,中学生などに教える方法は,メタメタさんが引用された教科書の中では,しんじ君の説明に近いです。

 ですが,この説明では誤解を受けるように思います。

 私はこう説明します。

 たとえば,2÷(2/3)という問題があったとします。これはこう変形できます。

     2
  ――――
 2
    ―
     3

 分数の分母と分子に同じ数を掛ける場合,元の分数の数と大きさは変わりません。なぜならば,分母と分子に同じ数を掛けるというのは1を掛けていることになるからです。

 よって,上の事例では,


     2×(3/2)
 =  ―――――
 2
    ―×(3/2)
     3

  と同値変形できます。  

  本当は,3 の形で書きたいのですが,
       ―
        2
 図が崩れてしまうので,(3/2)となっています。

 上記式を計算すると,分母は1ですから消えて,
 
 =2×(3/2)

 となります。

 以上より,分数はひっくり返して掛けることになります。

 分数の通分も,1を掛けても大きさは変わらないという理論で私は説明します(中学生などに教える機会がある場合にはです)。

5 ■私の場合②

3の上に来るはずの2が左の方にズレてしまいました。2を3の―の上に配置してください。

6 ■私の場合③

 機会があって,中学生に少し教えることがあったのですが,その時に驚いたのが,通分と方程式の解き方の混同です。

 たとえば,(3/2)x+(5/4)=10のような場合,両辺を4倍しても左辺と右辺はイコールのままですから,両辺を4倍することができます。

 しかし,これを通分にも行う人がいるのです。

 たとえば,(3/2)+(5/4)という問題がある場合に,3/2にも,5/4にも4を掛ける人が沢山出てきたのです。
 それは,4×(3/2)+4×(5/4)ですから,元の式の(3/2)+(5/4)とイコールではありません。

 記事本文に引用された教科書のしんじ君の説明は,そういう誤解を招く説明だと思います。

 そういう意味で,前2つのコメントをしてます。

 内容的に,メタメタさまの本文記事の最後にある説明と同じということになると思いますが,ビジュアル的なものが違うと考えています。

 私は数学には図とかイメージが大切であると思っているので,メタメタさまが書かれたことと違う意見であると言ってもよいと思っているのです。

 ちなみに,メタメタさまの記事を読む前から上記のような教え方をしています。機会があった場合にはです。

7 ■通分と分数の逆数を掛ける論理は同じ

 ちなみに,通分の場合は,もうお気づきの人も多いと思いますが,こうします。

 (3/2)+(5/4)が問題とします。

   3×2       5
――――― + ――――
2×2 4


 (3/2)に(2/2)を掛けても1を掛けたにすぎませんから,元の分数の大きさは変わりません。ですから,(3/2)に(2/2)を掛けることができます。

 だから,この論理は「上記分数による割り算は,分数をひっくり返して掛ける(つまり逆数を掛ける)ことと同じである。」という論理と同じなわけです。

 上記式は,
    6       5
= ――― + ―――
4 4

=11/4

となります。

8 ■図(計算式)が崩れました

図(計算式)がひどいことになってしまいました。

 2×2は3×2の下に位置します。2×2の横の4は5の下に位置します。

 4 4の最初の4は6の下に位置します。次の4は5の下に位置します。

 先生のこちらの記事http://ameblo.jp/metameta7/entry-10905666999.htmlを読みました(最近,かなりコメントしましたが,こちらにはコメントしていません)が,先生の記事でさえ,図がズレています。アメブロさん,何とかしてほしいですね。

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