空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)/北村 薫
¥714
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勝手に採点 ☆☆


文学好きの女子大生と人気落語家がコンビを
組んで、彼らの近辺で巻き起こる日常の些細
な謎や疑問を明快な論理で解決に導く軽妙なミステリ。


文章自体が難解なうえに女子大生が主人公と
読む意欲を削ぐのに十分な条件。


それほど難しくない内容なはずなのに、書い
てあることがあっちこっちと飛んでいって、
比喩も多いことで読解力を試される。


さらに全く興味のでない落語までもが謎解きの
重要な要となるので、男性にとっては逃げ出し
たくなること請け合い。


かといって、事件自体は全くたいしたことのない
もので、刑事事件でもない。


若い女性達が喫茶店で大量の角砂糖を飲み物に入
れている事件や夜の公園に赤頭巾を被った少女が
現れるといった類。


それをここまで引っ張られること自体が苦痛。
このシリーズは二度と手に取ることはない。

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ジェネラル・ルージュの凱旋/海堂 尊
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆☆☆


愚痴外来・田口医師シリーズ第三弾。


前作ナイチゲールの沈黙と同時進行していた別の事件に
スポットを当てた意欲作。


今回の主人公は、抜群の医療技術と迅速・的確な判断で
急患を引き受け、能力に劣らず強引な性格からジェネラル
と畏怖されている速見救急部長。


リスクマネジメント委員長を務める田口へ速見が業者と癒
着して裏金を作っているという投書が来る。


早速、高階病院長の許可を受け、調査に乗り出すが・・・。


展開のスピード感と設定のリアルさ、個性溢れる登場人物
が相まって、優れたオリジナリティーを発揮している。


人をむやみに殺さなくとも、優れたミステリーは成立する
良い見本。


三作目ともなるとマンネリ化が進み、新鮮さがなくなっていく
ものだが、ぜひとも次回作が待たれる良作となっている。

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玻璃の天/北村 薫
¥1,250
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勝手に採点 ☆☆☆


時代は昭和初期。士族上がりながら祖父は軍隊、父は財界
で成功し名門華族となった花村家の長女・英子。


彼女と彼女に仕える美貌の運転手・別宮を主人公に彼らの
周辺で起こる事件に立ち向かう。


今までにない時代設定、シチュエーションである意味新鮮。

箱入りのお嬢様ながら、別宮の強力な助力と文学的知識、
推理力、行動力でかなりの活躍を見せる英子。


その鋭さはさながら女版の探偵・榎木津といったところか。


当時の上流階級の暮らしぶり中心に描かれているため、親
しみは持てないものの、昭和ロマンに浸りたい方にはお勧め。


短編とはいわず、長編でよりドラマティックな展開を望みたい。

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勝手に採点 ☆☆☆☆


10年ほど前に出版された大門団長でお馴染み渡哲也の
自叙伝。


毎日新聞の記者が彼の生き方に惹かれ、二年半の取材を
かけて綴った彼の生涯。


最近は缶コーヒーのCMでコミカルな演技も披露し、お茶
の間にもお馴染みだが、直腸がん、大腸がんという大病
を克服し、芸能界の第一線で活躍する様は感動すら覚える。


さらに石原プロ社長としての責務から、自身が最も望んだ
スクリーンから20年以上も離れ、西部警察などの荒唐無稽な
テレビドラマに出演せざるを得なかった苦悩も垣間見れる。


社員から親方と慕われ、いまも味のある演技と渋い魅力を
保ち続けている彼には、もっともっと活躍して欲しいもの。

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)/ジャック ケッチャム
¥720
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勝手手に採点 ☆☆


隣家に引越してきた美少女メグをめぐる壮絶な虐待劇。

ラストも悲惨。


あまりの救いようのなさにほとんど読み飛ばす感じに。

なんとなく映画「ミザリー」を思い出してしまった。


こういう作品を出版する意味はあるのだろうか。

一人二役/河本 準一
¥1,365
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勝手に採点 ☆☆☆☆


人気お笑いコンビ次長課長の河本準一が、これまで
の半生を母との数々のエピソードで綴る自叙伝。


とにかく母の愛情と母親への愛情が溢れている。


なんと、最近でも母親と風呂に入るらしい。
それも違和感なく。


題名も離婚した父親の役割をずっと担ってきた母へ
の感謝の気持ちが込められている感じ。


北島三郎似と揶揄しているものの。


それと意外だったのは、画面でみる限りそんな気配
はないが、河本自身かなりのスポーツマンで運動神
経が抜群だったこと。


中学、高校とバレーボール、野球、サッカーに真面目
に取り組みとかなりの腕前だったらしい。


すべらない話でもよく語られる母親のユーモア溢れた
行動には爆笑させられる。


聞いたことのない方はぜひご一読を。


また、早くに離婚した父親と最近になって和解したエ
ピソードは感動的。


そんな彼に一言いいたい。


今の家庭、奥さん、子供を大事にして自分が味わった
苦労を子供に味わせないこと!!

ナイチンゲールの沈黙/海堂 尊
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆


チームバチスタの栄光に続く第二弾。

舞台は東城大学医学部付属病院。


眼球摘出手術を控える男子中学生の父親が何者かに殺害される。
遺体はバラバラに切り刻まれると言う凄惨なもの。


警察庁から地元署に出向中のキャリア加納が最新科学装置を
武器に捜査の指揮を取る。


そこへおなじみ田口医師と厚生労働省の白鳥のコンビが加わり
犯人究明に協力するが・・・。


とにかくキーパーソンが多すぎ。


田口、白鳥を始め、加納や伝説的歌手や看護婦浜田、被害者の
息子など、誰に感情移入しても次々と主体が変わってしまう。


特に今回から新たに登場した人物の描写がなおざりに。

しかも殺人事件は不必要。


看護婦と入院患者の交流や強制入院させられた歌手と病院関係
者とのやり取りは、微笑ましくもドラマティック。


このあたりを大きく膨らませた方がよりリアルで感動的な話に
仕上がるはず。安っぽいミステリーになってしまった分、この
あたりのトピックが台無しに。


また、犯行現場を再現する画像装置や犯人の心理状況を把握す
るために歌を活用するなど、突然非科学的描写も出てきて漫画
的な色彩も強い。


筆者は医師で題材も病院ものなのだから、得意分野から逸脱しない
ことを心がけてほしいもの。

RUN!RUN!RUN!/桂 望実
¥1,500
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勝手に採点 ☆☆☆☆


「県庁の星」でスマッシュヒットを放った著者が描く

箱根駅伝を舞台にした青春スポーツストーリー。


主人公岡崎優は、高校駅伝のスーパーヒーローで将来

の夢はオリンピックでマラソンの金メダルを取ること。


そんな彼は、箱根駅伝の新興有力校S大学陸上部

に入部する。


並外れた身体能力の高さと輝かしい実績から、部内に

チーム岡崎が結成され、彼を全面的にバックアップしていく。


しかし、医学部に通う兄・翼が自殺したことから彼の運命は
急速に変化を迎える。彼が知った驚愕の事実とは!?


「県庁の星」同様、最初はエリート意識むき出しで、周囲と

の摩擦も意に介さない嫌な奴だった主人公が、段々と周囲

に影響され人間性を取り戻して成長していく様を描く物語。


箱根駅伝というドラマティックな題材同様、ストーリ自体も

ラストにかけてかなり引き込まれ感動的。


しかしながら、一点だけ気になる点が・・・。


それが「遺伝子操作」。いとも簡単に優れたアスリートが生ま

れるという設定に唯一リアリティにかける。


しかも、遺伝子検査が実施されることを懸念して駅伝への出

場を辞退するあたりは、これだけ聡明な主人公からは想像が

つかない慌てた対応。


そこが本書のミソになっているので致命的。

警察裏物語/北芝 健
¥1,260
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勝手に採点 ☆☆☆


元警視庁刑事の著者が現役時代の経験と人脈を生

かした内部情報を元に警察内部の実態を明かす!


大の警察擁護派を自認するだけあって、警察組織へ

の愛着、エールがにじみ出る。


内容は至って平易。


どちらかというと、夕刊紙ネタのような裏事情を書き

綴っている印象。


本人も現場経験者であるため、ヤクザとの付き合いや、

取調べのコツ、おまわりさんの勤務実態などごく日常に

スポットライトを当て、特に目からウロコのような新鮮味

のあるネタは乏しい。


横山秀夫の著書を読んだり、「踊る大走査線」を見ている

人なら驚くに値しない。


驚くといえば、踊る~の原案は彼から出ているらしい。


その他にも自慢ネタが結構披露されているので、微笑ま

しいと感じる反面、卑しさもにじみ出ている。


結構メディアに露出しているらしいが、未だ見ていないの

でご尊顔を拝見したい。

日本沈没 下 小学館文庫 こ 11-2/小松 左京
¥600
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勝手に採点 ☆☆☆


最近久しぶりに映画化もされた大ベストセラー。


日本大陸が急激に沈下し、海に沈むと予測した異端の科学者。

彼の考えをサポートする謎のフィクサーと、国家規模で対応を

検討する政治家たち。


未曾有の危機に瀕した日本国民は果たして生き残れるのか!?


日本の消滅となるとさすがにスケールが大きすぎて、イマイチ

焦点が定まらない。主人公がいるのだが、だからといって大

活躍する訳ではないし、全編に渡って登場する訳でもない。


確かに、科学的な視点も踏まえ、より具体的に危機管理、防災

対応を検証した画期的作品で、阪神大震災で現実に証明された

危惧も数多い。


しかしながら、娯楽作品としては少々難解。


特にマントルや大陸プレートなど沈没のメカニズムを何ページ

にも書き連ねるのはいかがなものか。


分かりやすく伝えようとする意図は理解できるものの、小説とし

てはそこまで詳細な説明は不必要。


登場人物や場面設定も多彩すぎで誰かに感情移入できない点

が残念。まるで一日の生活を書き連ねる小学生の絵日記のよう。


ところで、主人公を探し回ってた女性はどうしてそんなに彼に

こだわっていたのだろう。