狼花 新宿鮫IX (新宿鮫 (9))/大沢 在昌
¥1,680
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆☆☆


ご存じ「新宿鮫」最新シリーズ。


テンポの良さと事件の構図が明快なため、エンタテイメ
ントとして十分楽しめる一作。


警視庁新宿署の鮫島警部が今回追い詰めるのは盗品市場。


盗品をシステマチックに換金するシステムを暴力団の
支配を巧みに逃れながら独立性を保ち運営されている
らしい。キーになるのは、バイヤーの中国人女性。


彼女の素性を暴くため単独で捜査を行う鮫島。


すると意外なことに前作で取り逃がした仙田が背後にい
ることが判明し、事態は急展開を見せる・・・。


さらに鮫島と同期のキャリア管理官・香田との微妙な
バランス関係が崩れ、確執が最高点に達する。


香田が主張する暴力団を使って不良外国人を排除する
システムは現実的で説得力があり、鮫島の理想論よりも
即効性のある策といえる。


鮫島もこのあたり理解しているだけに単純な対立とは
異なり関係が複雑化している。


本編では謎に包まれていた仙田の素性も明らかになり、
彼がどうのようにして国際的な犯罪者になっていった
かが判明する。


神出鬼没、大胆不敵な彼には似つかわしくないあっけない
幕切れで肩透かしの感が強いが、仕事に私情を挟んだ報い
を受けたというところか。


鮫島の上司・桃井の存在も内容に厚みを持たせるとともに、
捜査状況を説明する下りなどは、読者の頭の整理にも最適。

さらに良かったのは、恋人・晶の出番が少ないこと。


彼女がいないと、リアリティと男臭さが損なわれない。


それにしてもこのシリーズは毎回期待を裏切らないので、
次回作が待たれる。

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「Kの日々」

テーマ:
Kの日々/大沢 在昌
¥1,785
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆


元刑事の探偵がヤクザから足を洗った二人組からある依頼
を受ける。依頼の内容は彼らが強奪し、仲間が隠したはず
の大金の在り処を探し出すこと。


早速彼は事情を知っていると思われるKという女性にコン
タクトし、金の隠し場所を探し始めるが・・・。


この探偵、口が軽すぎる。依頼人の秘密をバンバンしゃべり
まくる。挙句の果てには、Kに惚れて依頼人を裏切る気満々。


スジが通っていないので、どうしても好きになれないし、
感情移入も難しい。


さらにKという頭の悪い女性もいただけない。


普通、見ず知らずの男性には警戒を抱くはずの若い女性が、
探偵の嘘にホイホイと簡単に乗っかってしまう。


金をもてあましたオバサンじゃないんだから。


ストーリーの強引さに取って付けたような薄っぺらい登場人物。
リアリティが完全に欠如した駄作。

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「雪蛍」

テーマ:
雪蛍
¥914
株式会社 ビーケーワン

勝手に採点 ☆☆☆


静岡の薬物リハビリ施設に勤める佐久間。

元探偵の彼は、時折、人探しを依頼され引き受けていた。


今回は、資産家令嬢の女子高生の失踪事件を依頼される。


一見ただの家出に見えたが、裏には家族間の複雑な問題

が絡んでいた!彼は無事に彼女を探し出せるのか!


展開のスピードがかなり遅く、肝心なところにたどり着くころ

には、もう飽きちゃったという感じ。


設定自体が元探偵とありきたりである上に、ヤクザの妨害

や関係者の殺害、その犯人が家族内にいるなど、これは

という目新しさ、斬新さに欠ける。


また、手の付けられないリハビリ施設の問題児も、ごくあっ

さりと改心してしまうあたりは肩透かし。


そもそも、ハードボイルド=探偵

という設定は平和な日本では成り立ちにくい


浮気調査=探偵ならわかるが。


その点では警察官の方が拳銃を携帯しているし、捜査権を

持っているので、ハードボイルド刑事が成り立ちやすい。


新宿鮫のようなスピード、スリル、バイオイレンスをマイルド

にし過ぎた分、魅力も半減。


ぜひ新作「狼花」に期待したいところ。

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「魔女の笑窪」

テーマ:
大沢 在昌
魔女の笑窪

勝手に採点 ☆☆☆


男を完璧に見抜く力を持つ女性が主人公の異色ハード

ボイルド。映画「ニキータ」ばりのアクションが鮮烈。


コンサルタント、占い師として活躍する水原は地獄島から

抜け出した伝説の遊女。


ある事件をきっかけに素性がバレ、地獄島の番人に追わ

れるが・・・。


ニヒルな男性が主役をつとめることが多い大沢作品のなか

ではかなり珍しい設定で、かつ相当ありえないよ~的ストー

リーに面食らう。


なかでも、暴力団でさえ敵わない番人を拳銃を使って血祭

りに上げ、警察の捜査をかわしていくあたりは、法治国家

日本では実行不可能。


警察がそんな売春島の存在を黙認していること自体説明が

つかないし、追求がかなり甘い。


もちろん、そうでないと話が進まないのだが、それでもある

程度の納得性は必要。


それとも裏社会にはこういう伝説の女性も存在するということか。

「天使の爪」

テーマ:


著者: 大沢 在昌
タイトル: 天使の爪〈上〉

勝手に採点 ☆☆

捜査中、銃撃により瀕死の重傷を負ったものの脳移植に
よって奇跡的に回復したアスカ。

警視庁の刑事から麻薬取締官に身分を代え、相棒古芳
とともに、同じく脳移植を施されたロシア人テロリスト
との闘いに挑む!

「天使の牙」の続編ということもあって、先に前作を読んで
おけば良かったと後悔。

米ロの諜報合戦が、日本を舞台に派手に繰り広げられる
という現実離れした設定がイマイチピンと来ない。

何と30人以上の警官、ヤクザが殺される!

どうも感情入するのが難しくストーリーに集中できず
読み飛ばすような感じでページをめくる。

上司やCIAの友人関係など、多くの設定があまりに都合
良くできていて納得できない部分が多いのも難点。

特にテロリストの脳移植手術は、いくらなんでもそんな訳
ないだろ!と突っ込みたくなる。

とはいえ、娯楽アクション作品なのでそっち方面で熱くして
くれれば文句はないがそれも期待はずれ。

惨劇が散発して連続性がなく、緊迫感も足りない。
米特殊部隊でさえあっさり殺されるのに、主役の二人は決して
殺されないのも摩訶不思議。

美人で頭の切れるスーパーウーマンでも、読者のハートを
ガッチリ掴むのは難しそう。


著者: 大沢 在昌
タイトル: パンドラ・アイランド

勝手に採点 ☆☆

小笠原諸島にほどに近い南国の孤島「青國島」
ここには、米軍駐屯の名残から保安官を置く制度があった。

警視庁捜査一課を退職した主人公が赴任した途端、連発する
殺人事件。古巣の本庁の刑事たちも来島し捜査を開始する。

この島に隠されたある財産について嗅ぎ回る島の鼻つまみ者
たちに訪れる悲劇。犯人は誰か、そして島の財産の正体とは!?

久しぶりの大沢作品。新宿鮫の新作「狼花」の連載もスタートして
いるようなのでこちらも楽しみ。

ハードボイルドと南の島という取り合わせが一見ミスマッチだが、
自身、海の親父といった著者ならではの取り合わせ。

村長、助役、収入役、オットー先生など一癖も二癖もある登場人物
に誰が犯人なのか首を傾げる。

会話中心の文章で読みやすいものの、分量としてはかなり長めで、
読了するのが一苦労。

ポイントは前保安官の死に方。心筋梗塞かと思いきや実は・・・。
それだけクリアするとどうということのない凡庸な内容。

緊迫して盛り上がるところがない割りには、結構人が死ぬ。
それも大した意味なく殺されてしまう。

全体的にバラバラでちぐはぐな印象が最後まで拭いきれない。

やはり平和な南の島には物騒な話しは似合わない。

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