ベーコン/井上 荒野
¥1,470
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勝手に採点 ☆☆


若手女流作家による短編集。


だから何なのよ?と突っ込みたくなる話ばかり。


女性的な視点で食べ物にまつわる話をまとめた、
いかにも芥川賞候補に上りそうな作品。


でもどうやら直木賞候補だったらしい。


こんな作品ばかり作っているようでは、いつまでたって
も女性作家の地位向上、実力の認識にはつながらない。


ごく平凡な日常の風景をただダラダラと描くだけの若手
女性作家には最近落胆されられるケースが多い。

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彼岸の奴隷 (角川文庫)/小川 勝己
¥820
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勝手に採点 ☆☆☆


究極のグロ・エロ・バイオレンス小説。


警視庁捜査一課の蒲生とタフな所轄刑事の和泉が、
首と手首を切断されて殺害された老女殺害犯を追う。


主人公の二人は完全に変態。


蒲生は、ガンマニアで人間を射撃することに快感を覚え、
和泉はなんと強姦魔であるうえに暴力団と癒着し、様々
な悪事に手を染めている。


そんな二人がコンビを組んで、事件を解決するどころか
引っ掻き回して、上げ句にヤクザを殺しまくる展開。

とても一般人向けではない。


その他の登場人物も狂っている奴らばかりで、何をしで
かすか分からない。


そういった意味では先が読めないスリリングな展開。


しかし、ラストはいただけない。
それだけ殺してお咎めなしとは・・・。

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象の背中/秋元 康
¥1,575
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勝手に採点 ☆☆☆☆


秋元康が書き下ろした話題作。


不動産会社で部長を勤め、仕事と愛人のために家庭を顧
みない主人公が、ある日突然末期ガンを宣告され、人生
の終わりを意識する。


延命処置を断り、残された時間を自分のやりたいことに
費やす決意を固め、自分探しが始まる・・・。


あまりに自分勝手な生き様は共感出来ない。


また、幼馴染や昔の恋人にはすぐに逢え、愛人の存在も
うやむやになるなど、全体的に安易にうまく収まるとこ
ろも違和感が残る。現実はこれほど甘くない。


短い生涯とはいえ、ここまで好き勝手やれれば本望だろう。


秋元氏はやはり多彩な才能に恵まれている。


本作も安易な結末に陥る穴はあるものの、ドラマ化や映画
化など話題にはこと欠かず、原作者としての名声も欲しい
まま。


ただ惜しむらくは、器用貧乏的な印象が拭えないこと。


こんな懸念を吹き飛ばすためにも、次回作は渾身の感動作
を期待したい。

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鬼平犯科帳〈5〉 (文春文庫)/池波 正太郎
¥540
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勝手に採点 ☆☆☆☆


このシリーズでは、宿敵・網切の甚五郎を追い詰め成敗する
平蔵の活躍が主。


自身も何度も暗殺されかけ、身内にまで危害を及ぼそうとし、
さらには部下の佐々木を失わせしめた悪党に対する平蔵の
報復はまさに鬼の名に相応しい。


手足を切って嬲り殺しにするという壮絶なやり口は、いつも
の温厚の彼とは全くの別人。


また、誤認逮捕という失態を演じた部下と監督責任を感じた
自身に対する対応は厳しい。自らその尻拭いを行い、堂々と
過ちを認める姿は上司の鏡。


そんな彼にはこの回でも盗人や剣客仲間といった味方・助っ人
が集まる。


こうして構築された人間関係に助け助けられ、平蔵の活躍は
続いていく・・・。

鬼平犯科帳〈4〉 (文春文庫)/池波 正太郎
¥540
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勝手に採点 ☆☆☆☆


このシリーズでは、平蔵の単独潜行の話が主。


昔馴染みのおもんが新たに彼の密偵となり、その窮地を
単身で救う「血闘」や辻斬りに手を染めた高位の旗本を
闇に葬り去る「夜鷹殺し」。


いずれも密偵を使った単独捜査で悪人を追い詰める。


そのため、返って自らが窮地に追い込まれ、間一髪の
ところで部下達に命を救われる場面も。


豪傑で容赦のない厳しさと、部下や弱者に見せる慈愛の
コントラストが鮮やかで、誰もがその人柄に心惹かれる。


すぐにまた新しいシリーズを読みたくさせる魅力的で
秀逸な作品があることに喜びを覚える。

鬼平犯科帳〈3〉 (文春文庫)/池波 正太郎
¥540
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勝手に採点 ☆☆☆☆


勧善懲悪の明快なストーリー。


鬼平こと長谷川平蔵の善人に対する温かさと悪人
に対する厳しさが対照的。


いつも凶悪犯の取締りで忙しい彼が、今回は珍しく
休暇で京都・奈良へ旅する。


その道中で出会う犯罪に超人的な活躍で乗り切る様
を描いている。


単純な犯科帳に止まらず、彼の青年時代の恋物語や
若い部下の活躍・失態、平蔵の妻の過去などが明か
され、物語は深みを増す。


時代を超えて愛されるロングセラー。


その理由が本当に理解できる貴重なシリーズ。

銃とチョコレート (ミステリーランド)/乙一
¥2,100
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勝手に採点 ☆☆☆


久々の乙一作品。


名探偵とそれに憧れる田舎の少年を主人公に繰り広げられる
ゴシックファンタジー。乙一の新たな世界観が広がる。


独特の時代・世界設定が秀逸。


敢えて例えるならシャーロックホームズに近いのだろうが、
この設定で最後まで乗り切るのはかなり難しい。


だが、物語としては勧善懲悪に徹していない分、中途半端
感が否めない。とはいっても勧悪懲悪でもない。


悪さ加減を煽っておいて尻すぼみで終わってしまうので読者
にとってはフラストレーションが溜まったまま。


悪人の名探偵にはそれ相応の報いが必要。


また、ラストにかかる展開も奇抜さ・独創性に欠け期待を
裏切られる結果に。


なんでそんな程度のオッサンの犯行が見抜けなかったのか?
詳しく説明して欲しいところ。


優れた構想の割りに平凡な中身に幻滅を覚える一作。

カニバリズムの系譜―なぜ、ヒトはヒトを喰うのか。/池田 智子
¥1,575
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勝手に採点 ☆☆☆


古今東西の人肉食い話を集めた奇譚集。


あくまで筆者が調べて読んだものなので生々しさ緩和され
ているのでご安心を。


やれどこがおいしいとか、まずいとかの味の話をはじめ
古代中国で起ったあんなこと・こんなこと、アメリカの連
続殺人はどう言ったこう言っただのという感じ。


タブーに対する背徳心からかこういった話題は避けがちで
あるが、一方で興味をそそられる部分も多い。


それにしても思うのは中国6千年の歴史は奥深い。

空飛ぶタイヤ/池井戸 潤
¥1,995
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勝手に採点 ☆☆☆☆☆☆!


トラックの脱輪事故で若い母親の尊い命が奪われる。


事故を起こした運送会社の社長は、当初自社の整備不良を疑うが、
整備担当者の仕事振りを目の当たりし、製造元である財閥系自動車
メーカーの欠陥を確信し孤独な戦いを始める。


実際に起った三菱ふそうの事件を下敷きにしている。


被害者家族、メーカー関係者、取引銀行、警察、週刊誌記者たちが
複雑に絡み合い、事件は迷走するが・・・。


大企業VS中小企業という分かりやすい構図に、中年社長の苦悩、奮闘、
家族の協力などがブレンドされ、とても感情移入がしやすい。


関係者が多く登場するも、それぞれの役割分担が明確なため、それほど
混乱することなく読み進めることが出来る。


中盤、スクープが発表されて事態が好転すると思い気や不発に終わり
ますます事態が悪化して行くあたりは思わずガンバレと応援したい気持ちに。


終盤にかけて支援銀行が登場し、強制捜査が入るなど胸のすく納得の
展開に。被害者の夫までもが謝罪に訪れるなど、ひとつ残らず社長に有利
な展開となるがそれもご愛嬌。


また、PTA会長である彼が悪の権化のような母親から突き上げを食うあたり
も絶妙なスパイス。


絶体絶命をピンチを幾度となく切り抜け、従業員と家族を守り通した社長
に拍手喝さい!

心にナイフをしのばせて/奥野 修司
¥1,650
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勝手に採点 ☆☆☆


世間を震撼させた酒鬼薔薇事件をさかのぼること二十数
年前。


高校入学間もない同級生をナイフでメッタ刺しで殺害した
うえにクビを切り落とすという類似の凄惨な事件が起っていた。


さらに驚くべきことに、その後少年院を出所した少年は
なんと弁護士として成功し地元の名士となっていた!!


残された被害者の家族にスポットライトを当て、その後
の心の葛藤、家族の悲しみを描くドキュメンタリー。


やはり殺人犯には「眼には眼を歯には歯を」が原則!


残された家族がこんなにも苦しい思いを引きずって生き
ていかなければならないのに、その加害者がこうものう
のうと暮らせるなんて絶対におかしい。


極論を言うと、子供に限らず大人でも、犯した罪と同様
の苦しみを味あわせるべき。


殺人を犯したら自分が殺される、人を傷つけられたら、
全く同じ傷を負わされるのがスジ。


どうして日本の法律はこうも被害者の人権を無視するのか。
殺人を犯したような人間の人権など二の次であるべき。


さらに驚くのは、犯罪者の更正には何百億という税金が
費やされているのに、被害者家族にはなんと数億円しか
使われていない現実。


なんで悪いヤツに使って、深い悲しみを味わってる人に
使わないのか。


そしてなんと言っても言語道断なのは、弁護士になった
元少年の態度。これが更正したということか。許せない。

題名は被害者の妹の言葉。


加害者に会ったときにきちんと対決できるように
「心にナイフをしのばせて」生きるということ。


少年犯罪の実態は以下をご参考に。ホント腹立たしい。

http://nikonikobun.blog104.fc2.com/blog-entry-129.html