貴志 祐介
クリムゾンの迷宮

勝手に採点 ☆☆☆

突然オーストラリアの荒野に投げ出され、死のロールプレイング
ゲームに巻き込まれた元証券マン。


飢えと大自然に翻弄されつつも、偶然出会った耳の不自由なパート
ナーと協力し、迫りくる追っ手から逃れ脱出することが出来るか!?


設定はあまりに非現実的。

ところが読み進めるうちに結構引き込まれていく。


特に人食いチームの卑劣で残酷な振る舞いからの逃避行は手に汗握
る白熱した展開。そんなことあるわけないけど、あったら怖い!


それに引き換え曖昧なのが首謀者の目的。
憶測だけで描かれていないので消化不良の感。


想像するに本プランを企画実行した納得できる理由は見つからなかっ
たのでは?


さらに腑に落ちないのはパートナーの存在。


幾らなんでも、義眼に小型カメラが仕掛けられていたなんて、あまりに

アイロボットすぎる!?

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著者: 貴志 祐介
タイトル: 硝子のハンマー

勝手に採点 ☆☆☆

六本木のとあるオフィスビルで起こった密室殺人事件。
被害者は介護サービス会社の社長。

状況から長年仕えた専務が容疑者に浮上。

専務の弁護を務める女性弁護士と防犯コンサルタントが挑む
密室のトリック。

真犯人は一体誰か?殺人の目的は?

典型的な推理小説物で題材もかなり手垢がついた題材なので
新鮮味には欠ける。

介護ザルやロボットといった奇抜な手法を早々に引っ込め、
防犯コンサルタントの推理も二転三転するなど、早く真相を
という気持ちが先を急がせる。

そして、中盤過ぎから突然始まる犯人の生い立ちと犯行理由。
これって誰だっけ?と思わせるほど印象の薄かった人物。

そういう意味ではちょっと反則なような気もするが、降って
涌いたような登場にあまり違和感は感じない。

新たな人生を踏み出すため綿密な計画を練り上げていく様に
感情移入もしやすくなかなか引き込まれる。

ただ、わざわざ殺すこともないんじゃない・・・。

殺害方法も文章を読む限り分かりにくい。

睡眠薬で眠らせた被害者をロボットで運び、スライドするはめ
込み硝子に頭部を近づけた上で、ボーリングの玉を・・・。

想像力の欠如からか、ビジュアル的にイメージすることが
できない・・・。

また、上場を間近に控えた企業のトップの不正を会計士などが
見抜けない理由やユダヤ人じゃあるまいし、今時ダイヤで蓄財
なんてといった疑問も残る。

とまあ細部にツメの甘さは残るものの、全体的には良くまとま
った推理小説に仕上がっている。続編に期待したい。

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「黒い家」

テーマ:


著者: 貴志 祐介
タイトル: 黒い家

勝手に採点 ☆☆☆☆ 

映画化もされた第4回日本ホラー小説大賞受賞作。
生命保険会社のサラリーマンが、呼び出された顧客の家で子供の
遺体を発見する。

不審を抱いて調べるうちに巻き込まれる事件の数々と驚愕の事実。
犯人の執拗な攻撃から身を守ることが出来るのか?

狂気の犯人がジワジワと迫り来る精神的な恐怖と犯行現場における
おぞましい描写の視覚的恐怖、貞子的ともいえる心霊的恐怖が三味
一体となって五感を襲う。

恐怖感を一層現実味を持たせるのに一役買っているのは、物語の背景
となる生保会社の内情。筆者の経験に裏打ちされたやりとりがリアル
に伝わってくる。

日々夫がカウンターに訪れ、保険金をしつこく要求するあたりは、何
とも言えず不気味でおぞましい雰囲気が漂う。

さらに、犯人の得体の知れない怖さは、まさにモンスターというべきで、
そんなのに襲われたら勝ち目ないなーと戦意を喪失すること請け合い。

なぜ超人的な力を発揮できるのか、どうやってここまで異常に成長した
のか疑問に残る部分はあるものの、圧倒的恐怖がそれを忘れさせるほど。

多額の保険金を狙った殺人は、現実にも事欠かず、日々ワイドショーを
賑わせている。そういう意味で最も怖いのは、際限のない人間の欲望か
もしれない。

いわゆる保険金詐欺とサイコホラーを見事に融合させた上質なサスペ
ンスであり、犯行の猟奇性・冷酷性には戦慄を覚えるほどだ。

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