ドリームバスター 4 (4)/宮部 みゆき
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勝手に採点 ☆☆


時間迷宮のなかで迷子になってしまった地球人の
三人を助けるべく奮闘するシェン。


数々の妨害や試練を乗り越えて、無事に彼らを
送り届ける事が出来るのか!?


相変わらずの分かりづらい場面設定でうんざり。


RPGをそのまま小説に盛り込んでいるので、その
手のゲームが苦手な人には苦痛を伴う。


さらに、今回は場面がコロコロ変わって地底に
行ったり、山登りをしたりする割には興奮や
スリルが掻き立てられない。


ハリーポッターのような冒険活劇を狙っている
のかいないのか・・・。本家には遠く追いつかないデキ。


ここまで読んでしまったので、次作が出たら惰性で
読まなければならない義務感ばかりが先行する。


もう良い加減に完結していただきたい。

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我らが隣人の犯罪/宮部 みゆき
¥470
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勝手に採点 ☆☆☆


宮部氏初期の作品で少年が主人公の中編集。


東野氏の初期の作品にもこういった謎解きがメインの
パズルを解くような嗜好のものがあるが、最近は流行らない。


題名にもなっている「我らが隣人の犯罪」では、叔父と中学生
の主人公が、脱税を行っている隣家の家人を脅して、あわよくば
その分け前に与ろうという話。


叔父さんはまるで恐喝者。いくら犬の鳴き声がうるさいとはいえ、
こんな悪者に簡単に加担する考えが分からない。


とばっちりを食った反対側の家も可哀想なほど。


それに比べると、同じ年頃の少年が主人公の試験管ベイビーの話
は心和ませるストーリー。


追い詰められたシングルマザーの切迫感を優しい少年の気持ちが
うまく包み込み事態は一件落着。


愛情とアイデアが凝縮された一編。

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名もなき毒/宮部 みゆき
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勝手に採点 ☆☆☆


「誰か」に続く杉村三郎シリーズ第二弾。


元編集者で今はある財閥グループの広報室に勤務する杉村。


問題児の彼のアシスタントが社内でイザコザを起こしクビ
にしたことから始まる嫌がらせ。


会長から直々に処理を任された彼は、紹介されたある探偵を
尋ねたところ・・・。


読みはじめた途端、前にも読んだ設定と思いきや、「誰か」
続編。


しかし、前作のそこはかとない暖かい雰囲気とは一変し、
連続殺人とそれに絡む主人公の生臭い話。


何の関係もない主人公に、事件関係者の母と娘がいやに
まとわりついてくる非現実性、不自然さががとても気にかかる。


さらに、警察の捜査の網をらくらくと掻い潜る神出鬼没の元
アルバイト女性もありえない設定。


そして極めつけは連続殺人事件の犯人を主人公自ら割り出し、
自供させ、自分で警察へ連行中になんとその女性が自宅で娘を
人質に取って立てこもるなんて!


あまりにもドラマティックな展開に空いた口が塞がらず。


また、土壌汚染やシックハウスに関するうんちくが多く、こじ
つけ気味に「毒」に結びつけるあたりの展開は強引。


殺人事件やRPGゲームを扱う題材はもう飽きてるし、展開が強引
過ぎてついていけないので、ヒューマニティに焦点を絞った
暖かい題材を選んで欲しいもの。

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ドリームバスター〈3〉/宮部 みゆき
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆


地球人の夢のなかに逃げ込んだ凶悪犯たちを捕ま

えるため、別次元の人類から来たドリームバスター。


彼らの二つの世界での活躍を描く冒険活劇。


そもそも設定自体が複雑で容易に理解できないので、

万人に受け入れられるタイプの内容ではない。


そのうえ、このパート3は完全に次作へのつなぎとなって

おり、すべて中途半端な形で終わってしまう。


長編大作であれば、模倣犯のように厚くても完結する

形で出版して欲しいもの。


もしや「日本版ハリーポッター」を狙っているのではと

疑いたくなるようなつくり。


宮部氏の作家としての力量は衆知が認めるところだが、

こと趣味であるゲーム関連の題材ものは、いささか完

成度に難があるといえる。


ただ、本作を読んだ以上は当然次を読まないと無駄に

なってしまうので、早々に出版をお願いしたい。

夢にも思わない
¥619
株式会社 ビーケーワン

勝手に採点 ☆☆


男子中学生を主人公に彼が巻き込まれた殺人事件を通じて、

友情や恋愛を深め、人間的に成長していく姿を描く推理小説。


中学生が主人公とあって、全く感情移入ができず、読み進め

るのに一苦労。


同じ少年からの視点で描いた「龍は眠る」のような緊迫感や

スピード感に欠け、少年探偵団的展開がリアル感にも乏しい。


親友の島崎との友情はなかなかうまく描かれ、もどかしい

感がうまく引き出されているものの、クドウさんとの恋愛に

ついては今ひとつ。


何でそこまでこだわるのかが理解出来ない。それも少年

特有の潔癖性的な性分か。そういう心情が分からないと

ころがおじさんのつらいところ。


それと決定的に違和感を感じるのが刑事たち。


たかが中学生に秘密であるはずの捜査情報を与え、まる

で小間使いとして使っている。ありえない。

宮部 みゆき
幻色江戸ごよみ

勝手に採点 ☆☆☆☆


江戸時代の庶民描写に定評のある宮部氏が怪談や不思議

体験を絡めて描く短編集。


特徴的なのは体言止のような余韻を残したラスト。


病弱な娘のために年一回神無月の頃に押し込みを働く父親や、

禁令を破って見事な装飾を施したかんざしを仕上げた職人の

話など、その後を読者に想像させる見事な手腕。


また、怪談を活用した火事場で活躍する猫頭巾の話は怖さと

悲しみ、そして希望が絶妙のマッチング。


自分の身の程を知った少年が歩む人生はどうなるのだろう。


希望といえば、ご隠居さんから首を括った神様の逸話を聞いた

少年が自らも成功を収めていくサクセスストーリーは、ユーモア

たっぷりでしゃれている。


現代社会に設定を移した悲喜こもごもを描いて欲しいところ。

「孤宿の人」

テーマ:
宮部 みゆき
孤宿の人 下

勝手に採点 ☆☆


待望の時代物最新刊。


江戸中期、讃岐国丸海藩へ幕府で勘定奉行を務めた大物

加賀がある罪を負って流されてくる。


その罪とは、妻子と部下を切り捨てたというもの。


理由を語らぬ悪魔の所業に影響されたのか、藩内でも流行病

や殺人、暴動が次々と発生する異常事態に。


藩のお家騒動と加賀の真意を巡って混迷の度を深めていくが・・・。


あまりに暗く、いつもの清清しさと全く無縁。


登場人物のほとんどがあっさり死んでいってしまい、

感情移入をする間もない。


それも死に至る理由が不可解で強引。

女子供たちまでも殺すことはなかろう。


親分や石野が殺されなければならない理由も乏しい。

ほうや宇佐が置かれている境遇も悲惨で陰鬱。


さらに不可解なのは加賀の存在と庶民の暴動に至る不安感

の増長。背景は分からないでもないが、あまりに難解。


これでは一般読者のハートはがっしりつかめない。

宮部 みゆき
長い長い殺人

勝手に採点 ☆☆☆


保険金殺人の疑惑により世間の注目を浴びる男女。

しかし、彼らにはれっきとしたアリバイが。


事件にかかわる刑事や探偵、被害者などをそれぞれ

の財布から見た視点で描かれるユニーク作。


後の「模倣犯」に通じるところが多い事件設定。

世間の注目を浴びたいという過剰な自己顕示欲から

引き起こされる暴走。


翻ってみると、今のホリエモン報道の過熱といい、マス

コミの異常なまでの報道姿勢が世間に与える影響は

物凄い。


これを意識し、利用しようする輩が出没するのも必然か。


ただ文体として、財布を擬人化した手法を使ったところは

事件のリアル感に水を差す雰囲気が否めずいただけない。


場面設定も次々と変わってしまうため、被害者や加害者の

心理描写が中途半端で物足りず、じっくり読み込みたい人

には不向き。


ただ、それをきちっとやろうとすると「模倣犯」になる気が・・・。


鋭く賢い少年やベテラン刑事、有能な探偵、頭はいいが引き

こもりの犯人、目立ちたがり屋のフィクサーなど、後々宮部

作品で活躍する魅力的な人物が続々登場。


本編で不満に残った点が後の作品で見事に処理・解決され、

多くの人に支持される結果につながったともいえる、まさに

彼女の原点ともいえる作品。

「日暮らし」

テーマ:
宮部 みゆき
日暮らし 上

勝手に採点 ☆☆☆


「ぼんくら」で活躍した下町同心・井筒平四郎と甥の弓之助の活躍

を描く長編時代小説。


富商・湊屋総右衛門の血を引く植木職人の佐吉が音信普通だった

母の葵を殺害したかどで番屋に引っ張られる。


真犯人を突き止めるべく、岡っ引きの政五郎やおでここと三太郎と

ともに、その謎に挑むが・・・。


「ぼんくら」の続編なのでまずはこちらを読むのがお勧め。


佐吉や久兵衛、お徳の活き活きとした鉄瓶長屋での暮らしぶりに触

れた上で本編に進むと各々のキャラクターがくっきりと浮かび上がる。


個性的で憎めない登場人物たちに好印象を持つこと請け合い。


ストーリー的には、そこはかとない情緒や深みに欠け、単なる殺人

事件の追跡劇に終わっているところが惜しい。


幻術一座を使った巧みな演出も「巷説百物語」シリーズに酷似して

おり二番煎じの感。


葵が殺害される理由やその犯人の殺害動機にも必然性が見つけら

れず、唐突な印象がぬぐいきれない。


このシリーズに人が死ぬような血なまぐさいシーンは似合わない。

著者: 宮部 みゆき
タイトル: ステップファザー・ステップ

勝手に採点 ☆☆☆

ひょんなことから双子の兄弟の父親役を引き受けることに

なった若い泥棒。


彼は持ってるところから盗って一部は待たざるものに還元

するという風変わりなポリシーの持ち主。

兄弟の言動に振り回されながらも本業では推理を働かせ、

次々と荒稼ぎして難事件を解決!?

あらためて思うのは、少年たちの描き方が上手なこと。


今回も一風変わった双子をユーモラスにちょいとシリアス

に仕上げている。

イニシャルが描かれたTシャツを着て、変わりばんこに会話

する姿を思い浮かべるだけでニヤリせずにはいられない。

普通、少年が主人公の話になるとジェネレーションギャップ

についていけなくて違和感を覚えることがあるがこれは別。

両親とも愛人と失踪して、お互い気づいていないなんて、

設定としてはかなり非現実的だが、フィクションと割り切

って十分に楽しめる雰囲気。

万屋の廃業した弁護士や仕事仲間の画聖、魅力的な担任

の先生など、登場人物も個性的でユニーク。

いつまでもこのにぎやかな生活が続けばいいのに。