「家日和」

テーマ:
家日和/奥田 英朗
¥1,470
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勝手に採点 ☆☆☆☆


主婦や作家、サラリーマンなど、彼らにとっての
マイホームで巻き起こるちょっとした日常を切り
取った短編集。


こういった軽妙でユーモアセンス溢れた文章では
この人の右に出るものはないなという印象。


同世代が主人公とあって、一部を自分に重ねて
読むことが出来るので感情移入もたやすい。


別居中に自分の理想の部屋を作り上げる夫の

行動などは、やってみたい!と思わせる典型。


ネットオークションに嵌って、売っちゃいけない

ものまでに手を出してしまう主婦の心情もつい

自分に重なって理解できる。


作家が主人公の一編は、奥田氏がモチーフに

なっているのだろう。お金持ちも彼らなりの悩み

があるということ。


奥さんに気を使って、書きたいネタをボツにする

という悔しいこともあるらしい。

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鬼平犯科帳〈4〉 (文春文庫)/池波 正太郎
¥540
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勝手に採点 ☆☆☆☆


このシリーズでは、平蔵の単独潜行の話が主。


昔馴染みのおもんが新たに彼の密偵となり、その窮地を
単身で救う「血闘」や辻斬りに手を染めた高位の旗本を
闇に葬り去る「夜鷹殺し」。


いずれも密偵を使った単独捜査で悪人を追い詰める。


そのため、返って自らが窮地に追い込まれ、間一髪の
ところで部下達に命を救われる場面も。


豪傑で容赦のない厳しさと、部下や弱者に見せる慈愛の
コントラストが鮮やかで、誰もがその人柄に心惹かれる。


すぐにまた新しいシリーズを読みたくさせる魅力的で
秀逸な作品があることに喜びを覚える。

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「被害者は誰?」

テーマ:
被害者は誰? (講談社文庫)/貫井 徳郎
¥650
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勝手に採点 ☆☆


貫井氏にしては珍しい短編集。


警視庁捜査一課の桂島刑事が、学生時代の先輩である
ミステリー作家・吉祥院慶彦に依頼する難事件の数々。


明快な推理と横暴極まりない態度で事件を解決に導く
痛快ミステリー。


設定が東野氏の湯川助教授や法月氏の倫太郎ものと
変わるところがなく全く新鮮味に欠ける。


そもそも捜査情報を第三者に公然と漏らしてしまう
のはいかがなものか。


さらにいただけないのは、情緒や感情に迫ってくる
「心」がない作品であるということ。


単に謎ときとトリックに重点を置いたパズルゲーム。

この手の作品は時間つぶしにさえ使いたくない。

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玻璃の天/北村 薫
¥1,250
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勝手に採点 ☆☆☆


時代は昭和初期。士族上がりながら祖父は軍隊、父は財界
で成功し名門華族となった花村家の長女・英子。


彼女と彼女に仕える美貌の運転手・別宮を主人公に彼らの
周辺で起こる事件に立ち向かう。


今までにない時代設定、シチュエーションである意味新鮮。

箱入りのお嬢様ながら、別宮の強力な助力と文学的知識、
推理力、行動力でかなりの活躍を見せる英子。


その鋭さはさながら女版の探偵・榎木津といったところか。


当時の上流階級の暮らしぶり中心に描かれているため、親
しみは持てないものの、昭和ロマンに浸りたい方にはお勧め。


短編とはいわず、長編でよりドラマティックな展開を望みたい。