スケープゴートとルサンチマン | 真実の空模様

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不満や憎悪、責任を直接的原因となるもの及び人に向けるのではなく、他の対象に転嫁すること。それらの解消や収拾を図るといった場合のその不満、憎悪、責任を転嫁された対象を指してスケープゴートと呼ぶそうです。

簡単な使われ方として、事態を取りまとめるために無実の罪を着せられた『身代わり』や無実の罪が晴れた場合の『冤罪』などが存在すると言われています。

政治の一つの手法として使われる意味合いとしては、方針や主義に不利益とされる小規模な集団や社会的に弱い立場の人間をスケープゴートとして排除するなどして、社会的な支持や統合を目的とするといったものもあるといいます。

具体的には、第二次世界大戦中のナチスが行ったホロコースト(この言葉も聖書からきている)は、ユダヤ人をスケープゴートの対象としたものであることが挙げられています。

また、ユダヤ人は上述のホロコースト以外でもあらゆる時代や地域で差別を受けているため、スケープゴートとして犠牲になるまえに、他の地域へ移住することによって難を逃れることもあるといいます。


心理学の一つの用語としても存在します。特に精神分析学や社会心理学において、人は無意識のうちに、不満や不快を覚えると、不快感やルサンチマンなどを他者に対して抱く、このような現象はあらゆる集団で発生しうるものと言われており、そうした不快感を押し付けられたり被られたりした個人は、その特定の集団内においてスケープゴートとなるのです。

それ故、スケープゴートとして犠牲者になるまえに、上述のユダヤ人の移動行動のように適切な対処を行わなければならないとされています。


また、ルサンチマンとは、主に強者に対しての弱い者の憤りや怨恨、憎悪、非難の感情をいいます。

デンマークの思想家セーレン・キェルケゴールにより確立された哲学上の概念です。

ルサンチマンを持つ人は非常に受け身で、無力で、フラストレーションを溜めた状態にあります。
つまり、実際の行動をとるには社会的な制約があり、自身の無力を痛感している人であると言われています。そういう状態にあっては誰であってもルサンチマンを持つ状態に陥ります。

社会的に強者であれば、嫉妬や反感といった感情に主体的に行動することができるため、フラストレーションを克服することができるため、仮にルサンチマンの状態に陥ったとしても、一時的なものですが、反対に社会的な弱者はルサンチマンから逃れられず、フラストレーションをむしろ肯定し、何もできないことを正当化するようになると言われています。社会的な価値観を否定したり、反転した解釈を行うようになるのです。


こうしたルサンチマンの表れの例として、敵を想定し、その対比として自己の正当性を主張するイデオロギーにあります。こういったイデオロギーは、敵が悪の元凶とし、だから反対に自分は道徳的に優れていると主張、『彼らは悪人だ。従ってわれわれは善人だ』というわけです。

敵として想定される存在は、自分が無力だと感じさせる対象が選ばれる。

例えば、貧しさに無力を感じるルサンチマンの敵は資本家や大企業になるわけです。

さらに、そのルサンチマンの敵が拡大すると、対象が社会全体になり、『世界はどうしようもなく悪によって支配されている。したがって、我々のほうが世界より優れている。』拡大解釈されるようにもなるのです。


記:真正大和撫子