メメントCの世界

演劇ユニット「メメントC」の活動・公演情報をお知らせしています。


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「彼の僧の娘―高代覚書」新宮お披露目会と戻り公演


お盆です。
わが遠州地方では8月がお盆です。

「彼の僧の娘」東京試演会の後、ちょっと新宮にお邪魔して那智の浜のウォータースライダーで、子どもを遊ばせてもらいました。去年からこの、浜辺のスライダーに子どもが病み付きです。
私は胃が痛いので、新宮の知人の息子さんに子供らを託して休ませてもらいました。
ああ、他人任せの夏の思い出は楽しい思い出!
新宮の浜辺は太平洋の輝きで、勝浦の海はリアス式な奇岩がいっぱいある海。
濱が違えば人も町も違います。各浜で壮大な花火大会が繰り広げられていました。
勝浦には、駿田峠に加寿地蔵さんという熊野古道の歴史の片隅にひっそりと伝えられる加寿姫を祀ったお地蔵さんがあり、そこの例会のバーベキューに子どもとお邪魔しました。

http://www.kinokuni-sanka.jp/modules/landscape/index.php?lid=1029

ここを守っている中田さんは、私の太平洋食堂取材時からの寄宿先です。
地元力で映画を二本も撮った中田さんは、映画監督で、マグロ屋さんで、数年前まで数学の先生でした。

http://www.kasujizo.com/regendekumano.html


地方の力って実際すごいです。土地に力があるんですね。川下りのイベントや花火、全部参加するのに還暦になってしまいそうです。
山とか川とか海とか、平らじゃない地方は不便ですが力があります。
わが遠州地方は平らな土地なので、こういう迫力のある自然を見るとノックアウトされてしまう私でした。

それでもって遠州の実家に戻りまして、あれこれ母に使われております。

さて、東京試演会はまずまず好評の内に終わりました。
特に女性は長い深いメールを感想で下さいました。
パターチャーラーは関係ないけど、前にオルガンの不二稿さん、西山水木さんでお寺でやったパターチャーラーと関連付けて、感想をくださった方も居ました。




手直しをしながら、色々な空間でこの後も上演を続け、本公演(いつになるやら)を目指します。試演会で、五十手前の手習いの三味線と長唄を担当しております。堅田先生の御蔭で、試演会に間に合いました。私がこれを担当するのは正法寺までの予定ですが、目覚めた長唄の世界は新たなフィールドになりそうです。まあとにかく、本公演というのは中々すぐには出来ないんで、気長におまちください。



というわけで、9月は下記で試演会シリーズが続きます。

新宮公演日程
日時:9月3日(土曜日)
場所:しょうすけギャラリー(新宮市仲之町2−2−24)
時間:昼の部:開場15時。開演15時半〜
   夜の部:開場18時半。開演19時〜
定員:各25名。上演時間:1時間20分の予定。
お問い合わせ:080−6152−2085(太田)
チケット受付:090−7608−0785(池田)
※ 駐車場はございません。
日時:9月4日(日曜日)
住所:熊野荘(新宮市元鍛治町2−4−5)
時間:開場12時、開演12時半〜
定員:45名
お問い合わせ・チケット受付:090−7608−0785(池田)
※ 駐車場はございません。


東京戻り公演

9月9日 16時 19時 二回公演
*上演時間1時間15分
会場 京王線・明大前 徒歩七分 正法寺




作・演出 嶽本あゆ美
音楽監修 堅田喜三代
衣装協力 竹内将
振り付け協力 田所勢津子

チケット 全席自由 前売り3000円 当日3500円
*お求めは出演者へ直接メッセください。
又はtaiheiyousyokudou@moco.so-net.jp
まで、御名前 ご住所 電話番号 ご希望日時 枚数をお知らせください。

・会場はバリアフリーですが、座席は椅子席と座布団席がございます。
・ご入場順の着席となりますのでご了承ください。
・席数が50席程度と限られております。必ずご予約ください。またキャンセルの場合も、必ずお知らせください。
・お問合せ 080-5526-0109


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「千年の愉楽」と顕明

 2013年の7月に初演した「太平洋食堂」は大逆事件を和歌山市新宮から見た作品だった。始まりは中上健次原作の「千年の愉楽」から脚本を編んだ「オリュウノオバ物語」
 今ではその時の稽古台本もどこにあるのか分からない。一冊は、新宮市の佐藤春夫記念館に展示されている。
 私にとっての高木顕明というのは、どうしても中上健次の小説群の中にいるレイジョさんに近い。もっともレイジョさんは、祥月命日に生者よりも死者と会話しながら、路地の家々を回っている人で、後ろ姿ばかりが浮かびあがってくる。毛坊主と言われながらも、大逆事件の無住となった浄泉寺の檀家の家々で経を上げ続けた。元々のモデルは名前からいうと高木礼譲なのだが、この人の生涯とは何の関係もない。ただ、名前を借りたのだろう。

 演出は大橋也寸さんで、三年間の死闘?の果てに脚本を書いた。三年かかったんだじゃなくて、まず、五時間かかる歌舞伎みたいなものを書き、それから超SFなマージナルな物を書き、それから大ケンカして、さっさと「オリュウノオバ物語」を書き上げた。続編も書いたが、岸田今日子さんが他界なさったので、上演されなかった。
大橋のやっさんは、中上氏を「やさしさ」「かなしさ」と言う言葉で語った。へえ、と思うことしかできなかったのが、10年前の私。

 「太平洋食堂」初演の時に、オリュウノオバのお孫さんが高円寺まで観劇に来て下さった。新宮でも再会したが、オバというのは小説のキャラクターではなく、本当に実在したのだと新宮へ行ってとても良くわかった。そのオバからの口述が昇華されて小説になったのだ。だから、小説を読んで分からないことは、新宮へ行くようになってよくわかった。土地の記憶はそこでしか聞けなかった。

 「半蔵の鳥」の中で、半蔵は夜、山道を不安に駆られて歩く途中、幽霊を見る。そのことをオバに話すと、オバはきっと前の住職が路地の者を心配して幽霊になって出てきたんだ、と半蔵に言う。オバらにとっては、顕明は殺されたのである。実際には、秋田監獄で自死したのだが、その「殺された」という思いが土地の記憶なのだ。
 私の実家の地方は曹洞宗が多く、真宗を全く知らなかった。その宗教の中で土地の住職というのは、ある種の柱なのだ。現世的なモノサシでしか生きていない私には、祥月命日のお詣りと、日常の用事の優先順位は日常である。しかし、長い長い講という組織を中心に前近代を生きてきた土地にとっては、宗教行事を壊されその中心人物を失うことは、悲痛なことだったのだ。

 南谷の墓地の写真がチラシの写真だった。そこへ行くと、本当に死者が積み重なっていることが実感としてよくわかる。そして、オバの目の前の路地は極楽浄土に繋がっている。いや、その路地こそが極楽の蓮の池なのだ。それは、真宗というものに触れるまで、理解できなかった。
オバは、レイジョの唱える経から、感覚として「地獄は一定すみかぞかし」をひっくり返して語ったのじゃないかと。そんなことを最近思う。

「地獄極楽はあの世にあるんじゃないよ、この世にあるのだ」
と顕明の娘は語ったと言われている。

 祈り、というものに力があることを、「彼の僧の娘」の取材で思い知った。それはだんだん、私自身が若いころのように、物事を進められなくなり、体が悲鳴を上げてきたこととも関係している。どうにもならないものがあることを嫌というほど知った。病というものが、勿論、原因はあるのだが、心から出てくるものが大きいことも思い知った。


 顕明の実直な日常は、残された「復命書」という宗派の調査の下書きからも明らかだが、実際に居たオリュウのオバらの口伝えの中では、よりひっそりとしている。
 過酷な労働による若年での死を強制され、絶対的な貧しさや差別によって虐げられる弱者に静かに寄り添う南無阿弥陀仏は地の下へ下へとのびている。彼が書いた「余が社会主義」は、一見して新思想へのあこがれと仏教を結ぶようなキャッチーな部分に目が行くけれども、彼がそれを信仰告白として書いたこと、外へ向かって発信するつもりのものではなかっということを理解して読み直すと、その葛藤の強さに驚く。信仰と世の中の繋ぎ目や現状への懐疑をどれほど苦しく抱えていたのだろうか。

 新宮を追われた妻子は、苦界の中で細く細くわずかな接点で繋がりあって支えあっていたことも、今回知ることができた。
 芸者に売られた顕明の養女の一生は苦難の先に、精神の豊穣があった。それぞれの信仰は違うものだが、不朽の信仰が打ち立てた心は、どんなものでも壊すことができなかった。大逆事件は、日露戦争の非戦運動と国家帝国主義の暴虐の戦いの中から既に始まっていた。24人の死刑判決の後、日韓併合、シベリア出兵、大陸への侵略、第二次世界大戦とひた走った歴史の裏で、ひっそりと生きていた人々、私が知らないたくさんの人生があるのだろう。全てが明らかにされる必要があるわけではないけれども、そういう苦難がこの先、来ないという保障はない。



 読み返した泉鏡花の「歌行灯」、石牟礼さんの「苦界浄土」、何かが語られると必ず出て来る「売られる娘たち」

近代史の中で見捨てられてきた「売られる娘」、その一生が人の記憶に残ることは稀だが、一人一人の人生がやはりそこにあったことを稽古しながら思うのでした。
 弱者を見捨てる社会がどんどん進む中、高木加代子さんの生き方というものは、一つの光でもあるのだった。祈りは強かった。写真は、ホール稽古での明樹由佳さん演じる「高代」
「高代覚書」は来週、東京試演会を迎えます。



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彼の僧と娘とそのほか

いやはや、暑いですなあ。
ブログが滞ってすんんません。
それには理由があるんです。どうも不調の極みでした。
夏が来~~れば思いだす~~~遥かな 新宮 太平洋食堂~
と去年の7月は怒涛も怒涛、台風と共に新宮公演でした。
よくまあ、一年過ぎたもんです。

来週の8,9日に座高円寺の阿波踊りホールでやります「彼の僧の娘」は、その新宮のサポーターの皆さんに、何か恩返しできないかなあと思いつつ、明樹由佳さんと企画しました。
恩返しといっても、また新宮公演でお世話になるのですから押し掛け女房のようなもんです。
でもまあ、私にしか紡げないお話をお届けしたいとおもいました。

高木加代子さんの事を書かねばと、この前にも書きました。
大逆事件の遺家族としての苦しみは他人には分かりません。
ましてやあまり消息も知られていなかったので、いろんな想像ばかりふくらんでいました。

しかし、苛烈な運命、戦前を生き抜いた彼女は生きるパワーに満ちた人でした。
今、稽古が佳境ですが、非常に苦しい部分も描いています。
まずは、彼女の中での顕明さんはほんとに生きる支えとなった、尊父だったということ。
南無阿弥陀仏に縋っていた父が、南無阿弥陀仏の教団によって捨てられたこと。
父・顕明が色々な主義によろめいて行く中、最後には「南無阿弥陀仏でなければならない」と
その六文字にかえって行くのだけれど、運命は苛酷だったこと。
そういう意味では、加代子さんは南無阿弥陀仏をどのように思っただろうか?

細々と辿られる実母や養母とのかかわりの中、女の共同体は強かったということも、彼女の天理教入信の大きな理由でしょう。

明治期に爆発的に増えた天理教は新宮でも、流行していました。
多くの人が、病気直しが入信のきっかけとなっています。そして陽気な世直しを始めるのです。
自分も、熊野の教会で話を聞くうちに、「なぜ人間は生まれたのか?」という
問いかけが、どすんと胸に響きました。

また、あらゆる宗教で語られる、「命の尊さ」はどうやら同じようにも思いました。
「人身受け難し」とは、人の世に生まれて来るのは難しいということで、それで仏の言葉を耳に聞くのは、やはり難しいことだから、もう生きて居るだけでまる儲け、というのが仏教のぶっちゃけです。
天理には、泥海古事記というのがあり、八千八度の生まれ変わりによって人間が世に生まれる過程が語られます。このさい、数はおいといて、人間に生まれることは大変なんだということでしょう。


まあしかし、人間に生まれても苦しいことが山盛りです。
だから、ほんとにえらいこっちゃです。
今日は東京都知事選で、私は神奈川県民だから外野です。
でも、なんで都民はああいう選択なのか・・・

がっくりなってましたが、今日は「真田丸」に清田正浩氏が、ちょっと出演していたので単純な私は息子がテレビに出たお母さん状態になってしまいました。お坊さん役で、決してこの人が彼の僧ではありません。

いやはや
暑いので、ご自愛ください。

「彼の僧の娘」東京試演会公演日が迫ってまいりました。
8月8日16時は、まだ席があります。
9日15時は残席若干です。

9月9日に明大前の正法寺さまにて、19時より再演もございます。
写真は地歌舞の「黒髪」練習中の図です。

是非、お見逃しなく!


href="http://stat.ameba.jp/user_images/20160731/23/mementoc/15/93/j/o0240040013711649529.jpg">




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過去からの声 

五月、六月、激動の二か月と参院選挙が終わって7月も10日。
暑い・・・私は慢性的過労によって慢性的な胃炎とか消化器とか、みんなダメージが酷くて、もう使い古した農協の米袋状態です。
去年の今頃は、「太平洋食堂」大阪は本町の南御堂会館で公演中でした。
まあ大変だったあの公演から一年、台風がもう来てたよねって、今年は台風来ないねえと
思い出したりする猛暑日です。スイカが美味しいです。

 この二か月、いろんな出会いがあり何というか運命とかの渦を感じます。
大内史子と一緒に、クララ室伏の従妹の方からお話を聞いたりしました。まだまとまりませんが、たくさん大事な話を頂きました。そしてクララの父である室伏高信という人への興味も。戦前のリベラリストで、ヒトラー「我が闘争」を翻訳し、対米戦を批判して追われ、戦時中は山小屋で。戦後は憲法草案の為に筆をとった人物。
 歴史の向こう側で遠いところにいたクララがずんずん近づいてきました。(ずんずんは静岡の方言だそうですね)

 そして、高木顕明の曽孫にあたる方、養女だった高木加代子さんのお孫さんにも会う事が出来ました。「彼の僧の娘―高代覚書」は、大逆事件後の遺族の一人である女性の半生を描きました。まだ、試演会ということで次のステップがあるのです。ただこの時期にどうしても、やっておきたいと感じたんです。
 「プロキュストの寝台」で中山みきや大本教をテーマに書きました。高木顕明については、耳にタコができるほど書いたのですが、やっぱり蒸し返しておきます。
一息で言うと、「新宮の浄泉寺の住職として赴任、貧しい門徒の生活や生業を知り、被差別部落への差別を我が身の事として感じて、「遍く平等に仏は救う」を実践し、日露戦争に反対して「極楽社会に戦はない」という信仰告白を書き、大石誠之助らと遊郭反対運動をして性の売買に不器用に誠実に反対し、大逆事件の冤罪で無期懲役になって、秋田監獄で無念の自死を遂げた真宗大谷派の僧侶」です。息が続きますか?

 その娘は高木が教団から永久追放されたため、芸者置屋に売られ花街の苦界を生きて、やがては自分の信仰としての天理教に目覚めました。彼女は教祖である中山みきの「ひながた」手本・手掛かりとなる救済の生き様を体現し、社会からはじき出される人々のコミュニティ作りに情熱を燃やしたのです。もう大河ドラマに匹敵する生々流転の人生です。それは不幸だったに違いない!!という私の先入観をぶち破って、これこそユートピアというものです。

 ユートピアは極楽とかやりたい放題遊び放題な遊園地ではありません。それぞれが生きていくのに圧迫されず、誰かに必ず手を差し伸べてもらえる世界がユートピアです。明るく笑いに満ちた「陽気暮らし」でした。とても気風の良い女性だったそうです。その陽気はどこから来た?大逆事件の遺家族として昭和の治安維持法改悪や戦争への爆走の時代を生き、特高の監視まで受けてどんなに苛酷なことだったか。

何故に彼女は生きぬいたのか?それが執筆動機ですが、その大きな答えを現代の悩める人に見せてくれるでしょう。

「プロキュストの寝台」でヒロインの水野ゆふさんに「陽気に暮らそう~」と叫ばせておきながら、陽気に暮らす具体的な姿が、私にはありませんでした。大体、私はちっとも陽気じゃないんですよ。四六時中、雑用が押し寄せ、息子はぶーぶー言い、忘れ物やら提出物を学校で指摘され、数人の小学生がリビングで我が物顔で遊んでいる生活です。陽気だって??私は引き籠りなんですよ。静かに本を読みたいんです。私のユートピアはどこに?
やっぱり「薔薇の名前」の図書館でアドソは引き籠りになるのでした。
ああ、暑い。スイカ食べようっと。


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「彼の僧の娘―高代覚書」東京試演会

稽古始まりました。
2016年8月8日 16時~  
   9日  15時~
(*チラシに2017年とありますが、2016年、今年の間違いです。)


座・高円寺 阿波踊りホール
座・高円寺地下2階

出演 明樹由佳  間宮啓行
チケット 2500円 (当日2800円)
メールにてご予約頂き、当日、御精算いただきます。


チケットご希望の方は、

taiheiyousyokudou@moco.
so-net.jp

まで、ご希望日時などをご連絡ください。
定員、50名と限られております。必ず、ご連絡くださいませ。
9月に新宮公演、戻り東京公演を予定しております。






試演会です。
照明も無し、美術もなし、語りと踊り、芝居で見せます。
上演時間は1時間15分程度です。
平日昼のみですみませんが、太平洋食堂をご覧になり、高木顕明についてご興味のある方、是非ごらんくださいませ。




「太平洋食堂の作家・嶽本あゆ美の新作を新宮からスタートさせる会」
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