「セブン・イレブン・チャージ(ロイヤルティ)」について

2009-06-23 18:13:43 Theme: 会計に関するあれこれ
さて、前回の日記において、見切り販売肯定派の意見として

「本部にとって、ロイヤリティの計算上、値引きしてでも売り切るより定価で売れないなら廃棄した方が都合が良いという背景がある」

というのを取りあげました。


これはmixiの日記をいろいろ辿っているうちにぶつかった主張でしたが、これについての記事があるという『週刊金曜日』695号(2008年3月21日号)を入手してみました。

ネットでも概要は検索できますが、興味のある方は公式HPよりバックナンバーを取り寄せるか、常備している書店に問い合わせてみて下さい。


バックパッカー会計士補の『日々雑感』。


ちなみにこの記事で取りあげられている「セブン・イレブン・チャージ」(要するにロイヤリティ)は粗利に対して一定のレートによりが賦課される仕組みとなっています。

しかしここで鍵となるのは、粗利の計算にあたって、廃棄した商品の原価(要するに廃棄損失)が売上原価に含まれないということです。


先に申し上げておきますと、ロイヤルティの算定から廃棄損失を除外する事自体は、会計上違反にはなりません。

あくまでロイヤルティの計算方法は会社自身が決めたルールですので、あらかじめ廃棄損失を含まない旨を社内で決めているのであれば、一貫して除外していれば『企業会計原則』にある一般原則の一つである「継続性の原則」に合致するので、適正な会計処理と見なされます。

(もちろん、当年度は含めて前年度は含めない…など処理方法をコロコロ変えるのはNGです)


しかしこの記事では、この売上総利益の計算にあたって、廃棄損失が含まれないということについてFC店側に十分説明がされていなかったのではないのかという旨が指摘されています。

もしそうだとしたら、会計とは別次元の問題となるでしょう。


さて話を戻しますが、記事上であるFC店の実際のP/L(廃棄損失を原価から除外)と、「あるべきP/L」(廃棄損失を原価に含める)とで比較がなされていますので、以下引用します。

(単位:千円)

科目実際のP/LあるべきP/L
売上16,77116,771
総売上原価△12,633△12,633
仕入値引298-
商品廃棄等314-
棚卸増減150-
純売上原価△11,871△12,633
売上総利益4,9004,138
ロイヤルティ△2,833△2,391
差引2,0671,747
その他営業費△1,881△1,417
営業利益186330
雑収入-298
最終利益186628


(脚注)
・この事例では、ロイヤリティのチャージ率は57.8%
・仕入値引=取引先からのリベートの受け取り
・棚卸増減=万引き等による商品の消失
・実際のP/L上のその他営業費には、商品廃棄等及び棚卸増減を含んでいます。


なんと廃棄損失・リベート・その他の消失分を含めるか含めないかだけで、加盟店側の利益が442千円も違ってくるのです。

売り切れによる機会損失を避けるという論理もありますが、これでは廃棄が出ようが出るまいがセブンイレブン本部にとっては知った事ではないという事になってしまいます。


また、これは情報ソースが十分でないのですが、ただでさえ需要の予測が困難な生鮮食品の発注は、必ずしも100%加盟店側の自由裁量に委ねられている訳ではないようです。

参考↓
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1204969313&owner_id=14091158
http://www.ver-law.ne.jp/franchise.html

他方、本部のスーパーバイザーやマーケティング担当者が○○を何個仕入れるように指示してきたという話も散見されました。


一方、ここで売れ残り品を廃棄せずに見切り販売した場合、見切り販売分の売上原価は「純売上原価」に含まれてしまうので、値引き売価が原価を下回っている限り粗利が減少し、ひいてはロイヤルティまでが減少してしまいます。



なお、一緒に買った『週刊金曜日』687号(2008年1月25日号)にも、同様にセブンイレブンへの批判記事があります。

これは会計の話から脱線しますが、セブンイレブンに商品を仕入れている納入業者には、急な商品の納入や新商品の開発がしばしば依頼されるそうです。

しかしその後また急に依頼が撤回され、業者は開発費や設備投資だけが残って泣き寝入り…という構図に。


その後、セブンイレブンは廃棄損失の15%を負担すると発表しました。

この負担が大きいか小さいかについては、ここでは議論しませんが、自己の利益のみを追求し末端の加盟店や消費者の満足を顧みないのであれば、業界全体が崩壊しかねないでしょう。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090623-OYT1T00876.htm


ただでさえ店舗数が飽和状態であり、大量消費の象徴にさえなりかねないコンビニエンスストア。

ユリウス・カエサルが「どんな物でも、もともとは有用な存在であったものだ」と語ったように、大量供給・大量消費に根ざしたコンビニエンスストアのビジネスモデルは、もともとその時代の消費者のニーズに合致したものでした。

だからここまで、コンビニ業界が今日に至るまで成長したのです。


しかしながら翻って現在は、当時と比べて消費者の関心は変わりつつあります。

店舗経営者の過酷な労働条件についても、見直しを迫られるかも知れません。


流通業界の根底から覆る地殻変動が、今回の処分をきっかけに生じそうな予感です。


ブログランキング、ありがとうございますm(___)m
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