心温まる一首
今年もまた、お盆の季節になりました。里帰りをされる方も多いと思いますが、今回はこんな歌をご紹介します。
垂乳根の母が釣りたる青蚊帳をすがしといねつたるみたれども
長塚 節
「年老いた母の釣ってくれた青蚊帳の中で、すがすがしい思ひで眠ったことであるよ。少したるんでいたけれども」
という意味です。
「垂乳根の」は母または親にかかる枕詞。「青蚊帳」というのは蚊を防ぐために部屋に釣り下げて寝床を覆う網のような道具のことです。
この歌は大正3年、作者が35歳の頃の歌です。この当時、作者は喉頭結核にかかり、静養していました。
「すがしといねつたるみたれども」という言葉から、たるんでいる青蚊帳であるけれど、「涼しいよ」と言う作者の姿や、年老いていても息子に青蚊帳を用意してあげる母の姿が不思議と浮かび上がり、心が温かくなります。
歌には「ありがとう」という言葉は使われていません。しかし使わなくとも十分感謝の念が伝わってきます。
お盆休みに帰省する方も多いと思いますが、和歌(短歌)によって感謝の思いを両親や大切な人に伝えてみるのも良いかもしれませんね。
ちなみに、今回ご紹介した歌は明成社刊「平成新選百人一首」の中で紹介されています。上で紹介した歌以外にも多くの優れた歌を紹介しています。
/一茶
『平成新選百人一首』
宇野精一/編
http://www.meiseisha.com/katarogu/hyakunin/heiseisyousai.htm






