FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

ようこそ、いらっしゃいませ。
キレイなお花で一杯の庭園のように、たくさんの「素敵」な出来事を綴ったブログになっていれば嬉しいです。
小説がメイン(のつもり)ですが、そのほかにもお好みの記事があれば嬉しいです。どうぞごゆっくりご覧下さいませ。








☆お陰様で、「東めぐみ」は今年で筆歴21年を迎えました。アクセス数に関係なく、自分の書きたいもの、伝えたいことを自分の言葉で紡ぎ出してゆけば良い。そして、それを読んで「何か」を感じたり、良かったと思ってくれる人が一人でもいれば良い。それが私の夢であり、究極の目標です。

筆歴24年の大きな節目を迎えた今年、「一人でも多くの方に自分の作品を読んで頂きたい」という初心に戻り、これからも書き続けてゆこうと決意も新たにしています。





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新連載「梔花哀憐~くちなしの花、香る朝に~

~あなたに逢いたい―。今、あなたは、どこでどうしているの?~     

私が「彼」に出逢ったのは、まだ幼い少女の頃だった。

利発そうな、凛々しい面立ちの男の子の名は私と同じ名前、

ジュチといった。

11歳の幼さで王族に嫁ぎ人妻となった少女ジュチには、忘れられない初恋の男がいた。数年後、王宮での「彼」との予期せぬ再会を果たした時、「彼」はあろうことか、宦官となっていた。

逢えない長い間、屈託なく笑っていた少年に何が起こったのか? 再会の歓びとなお消えやらぬ彼への恋情に激しく揺れる少女の心。更には、年上の夫が強い執着と嫉妬でジュチを縛ろうとするが―。

 

「国王殿下に拝謁の栄誉を賜り、恐悦至極に存じます」
両手を組んで眼の高さに掲げ、深々と頭を下げる。
「今日は急に呼び立てて済まなかった。さあ、遠慮せず、もっと近くヘ参られよ」
ジュチは〝はい〟と応え、ゆっくりとした足取りで玉座へ近づいた。少しく離れた手前で止まり、顔をうつむけて王への礼を尽くす。
「光興君妃、朕(わたし)は光興君の従弟であり、あなたはその奥方だ。言わば我らは親戚ではないか。そのように堅苦しくする必要はない。何も私はあなたを罰せようとわざわざ宮殿に呼んだわけではないのだ」
「仰せ、ありがたく存じます」
「下を向いていては、話もできぬ」
「申し訳ございません」
ジュチは慌てて面を上げた。国王は良人王承よりも一歳年下、つまり三十歳になる。十九歳で元帝国の皇帝の姫君を正室に迎えたものの、王妃は二年後、難産が祟って亡くなった。
以来、亡くなった王妃のことを想い、いまだに後添えどころか側室さえ迎えないほどの愛妻家だ。早くに亡くなった王妃には申し訳ないけれど、そこまで良人に愛される王妃がやはり羨ましいとは思うジュチだった。
「ホホウ、しばらく見ぬ間に美しくなったな」
王が感じ入ったように溜息をついた。
「あなたに逢ったのはもう数年前のことであろう。確か王室で開かれる仏事に来たのを見たのが最後であった。あのときはまだ子どもだと思ったが、随分と大人びて美しくなった。光興君は幸せ者だ」
「身に過ぎるお言葉でございます」
「今日、朕がそなたを呼んだのは他でもない。まずは光興君の最近の行状のことだ」
やはり、と、ジュチは内心、冷や汗が流れる心地であった。良人が夜な夜な忍びで色町に出かけているのを王が知らぬはずはない。
ジュチはこの場は正直に対した方が良いと判断した。王は自分を信頼してくれたからこそ、この場に招いたのだ。
「真にお恥ずかしい限りでございます。国王殿下のご厚情を賜りながら、相変わらずの日々を重ねております」
王が重い息を吐いた。
「それでなくても、廷臣たちから苦情が出ている。朕が光興君の処遇について甘すぎるとな。そこでだ」
王は少し言い淀み、後はひと息に言った。
「いかの朕でも、これ以上の愚行が続けば庇い立ては難しい。実は、例の一件で流刑となった者が流刑先で病を得て亡くなったのだ。それで、また光興君への風当たりが強くなってきている。まだ光興君が反省を示して屋敷で大人しくしていれば良いのだが、連夜のごとく遊廓通いとあっては」
王が苦渋に満ちた表情で首を振った。
「昔から確かに遊び好き女好きの男ではあったが、ここのところの行状は正気の沙汰ではない。朕は幼い頃から、あの者をよく知っている。けして阿呆ではなく、むしろ、朕などよりよほど頭の切れる男だ。事がこれだけ深刻になっている今、それが判らぬほど愚かな者ではないと思う。何か原因があるのだろうかとも考えてな。当人に問いただして返事が返ってくるはずもなく、それゆえ、そなたに来て貰った」
ジュチは恐縮した。
「私も殿下と同じことを考えておりました。最近の良人は何か自棄になっているようにも見えるのです」
「朕は最近からではないと考えている。あの者の放蕩が眼に見えて烈しくなったのは、そなたを娶ってからだ」
「―っ」
ジュチは固唾を呑んだ。王が苦笑する。
「許してくれ。言葉が過ぎた」
「私は光興君さまのお側にいない方がよろしいのでしょうか?」
暗に去れといわれているのかと思い、伺いを立てる。
「いや、そうではない。勘違いして貰っては困るし、朕がこのようなことを告げて、そなたが離縁を決めたと知れば、光興君は朕を刺し殺しに来るかもしれぬ」
王の苦笑いがいっそう深くなり。ジュチは戸惑い気味に王を見上げた。
「朕がそなたに伝えたかった二つめは、むしろ逆だ。朕はそなたに礼を言いたかった」
無言のジュチに、国王は破顔した。
「よくぞ耐えてくれた」
王は小さく息を吐いた。
「光興君に蟄居謹慎を命じた時、よく実家に戻らなかった。朕はてっきり、そなたが離縁を望むとばかり思っていたのだ。さりながら、そなたは従兄の許にとどまった」
ジュチはここでも本音を口にした。
「殿下、畏れながら、私の存在が王承さまを苦しめているのではないのでしょうか? 私自身、先ほども申し上げましたように、良人が何かに悩み苦しむがゆえに酒色に溺れているように見えるのです。ですが、その原因が我が身にあるとは正直、考えたこともありませんでした。されど、殿下がご指摘のとおり、私が迂闊にも気付かなかっただけで、あの方は私の存在に我慢ならず、さりとて離縁も言い出せずで自棄になっておられるのでは」
これには、王は微笑を浮かべた。
「夫婦間のことは、他人には判らぬものだ。ゆえに朕が余計な口出しはできぬ。さりながら、光興君妃よ、そなたがあの者の側からいなくなれば、あの者は更に奈落へ―堕ちるところまで堕ちてゆくだろう。今日、朕がそなたに頼みたかったのは、従兄をこれから先もよろしく頼むということと、後は出来得る限り、色町には行かせないようにして欲しいということだ。難しい頼みだとは判っているが」
言い終え、王はおもむろに立ち上がった。愕いたジュチが見つめる前で、彼は玉座を降り、つかつかとこちらに向かって歩いてくる。
王の傍らに控えていた老内官が恭しく縦長の盆を捧げ持っている。王は盆に載った美しい螺鈿細工の箱を取り上げ、蓋を開けた。
「これは宮廷お抱えの職人に作らせたものだ。朕が描いた白木蓮の花を象ったものよ。久しぶりに花の絵なぞ描いたが、なかなかに愉しかった。大きな声では申せぬが、おなごに簪など贈ったのは亡くなった王妃以来だ。どうか、これより後も我が従兄のことを見限らないでやってくれ。朕は光興君が本当は暗愚な男ではないと知っている。だが、宮殿にいては彼と腹を割って話すことなどできない。せめて、いつも側にいるそなただけでも従兄の心に寄り添ってやって欲しいのだ」
ジュチは王手ずから簪を賜った。国王が若い頃はよく花の絵を好んで描いていたという逸話はジュチも聞いたことがある。王妃が元国から嫁いできた新婚時代はよく国王夫妻が庭園をそぞろ歩き、王が庭園の花を描く様子を王妃が微笑んで見つめていたという。
時には王は、王妃の絵を描くこともあった。本当に誰が見ても幸せな気持ちになるような仲睦まじいご夫婦であった―と、今も語りぐさになっているほどだ。
良人に愛される幸せな妻、そんな王妃を天は無情にも王から奪い去った。結婚二年目、美しい王妃は第一王子を出産後、亡くなった。
白木蓮の花は早春に咲く美しい花だ。名前のとおり純白で大ぶりな花はさながら天上にひらく花のように気高い美しさを湛えている。今、その花を象った白蝶貝の簪が王からジュチの手に渡った。

 


「光興君も馬鹿な男だ。時には気持ちを伝えねば判らぬこともあるというに」
最後の王の呟きは、ジュチには理解できない内容だった。
「ありがとうございます。大切に使わせて頂きます」
ジュチは深々と頭を下げ、簪を押し頂いた。
王が退出し、無事拝謁は終わった。
謁見の間を出た途端、パタパタと小さな脚音が聞こえ、ジュチはハッとした。
廊下をまだ幼い少年が駆けてくる。
「王子さま、世子邸下(セジャチョハ)」
少年の後を追いかけてくるのは何と周緻であった。眼を丸くしているジュチに、少年が駆け寄った。
「あなたが伯父上の奥方なの?」
「え、はい」
周緻が〝世子邸下〟と呼ぶからには、この少年が王太子に違いない。国王と亡くなった王妃との間に生まれたこの国の世継ぎの君である。
王太子は確か九歳になったばかりだ。九歳にしてはいささか小柄で線が細い感もあるが、この年頃の子どもは急激に成長するものだ。美形揃いとの噂に違わず、先刻、あいまみえたばかりの国王も端正な風貌をしておられたが、その一粒種である王太子もまた美しい少年である。
あまりに華奢なので、少年のいでたちをしていなければ、美少女といっても通りそうなほどだ。
 

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