FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

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☆お陰様で、「東めぐみ」は今年で筆歴21年を迎えました。アクセス数に関係なく、自分の書きたいもの、伝えたいことを自分の言葉で紡ぎ出してゆけば良い。そして、それを読んで「何か」を感じたり、良かったと思ってくれる人が一人でもいれば良い。それが私の夢であり、究極の目標です。

筆歴24年の大きな節目を迎えた今年、「一人でも多くの方に自分の作品を読んで頂きたい」という初心に戻り、これからも書き続けてゆこうと決意も新たにしています。






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小説 闇に咲く花

~王を愛した美しき刺客~

―私が領議政に命じられたのは国王暗殺―

その日、翠月楼で天下を揺るがす怖ろしき密談が行われた。

〝暗闇に艶やかに咲き誇る花となり、その色香で国王を虜にし、意のままに操るのだ。そして生命を奪え〟

「国王殿下(チュサンチョナー)をしいし奉れとおっしゃるのか?」

果たして、王暗殺は成功するのか?

女官として近付いた美しい翠玉に、若き国王は次第に心奪われてゆく。

 

 

 逢わなかったのはひと月にも満たないのに、もう一年、いや十年も逢わなかったように思えた。
「元気にしていたか?」
 穏やかな声音で問われ、誠恵は頷いた。
「そなたに逢わなかった日々がやけに長く感じられてならぬ。まるで十年も顔を見ていなかったようだ」
 誠恵はクスリと笑みを零した。
「どうした、予が何かおかしなことを申したのか?」
 光宗は意外そうに訊ねる。
 誠恵は小さく笑み、首を振る。
「ご無礼致しました。殿下、私も今、丁度、殿下と全く同じことを考えておりましたゆえ、二人とも同じであったことがおかしかったのです」
 それを聞き、光宗も笑った。
「なるほど、予もそなたも互いを恋しく思うていたと、そういうわけだな」
 その時、唐突に光宗の顔から笑みが消えた。
「―そなたは真に心からそのように思うているのか?」
 問いの意味が判らないというように小首を傾げる誠恵の表情は、あどけなくさえあった。
 時には純真無垢な少女の顔を持ち、時には色香溢れる妖艶な熟女の顔を持つ。そうやって、くるくると表情を変え、男の心を掴み意のままに操っていく魔性の女。
 それが、張緑花という少女、いや、少年だ。
 三日前、柳内官から一部始終の報告を受けた光宗はその夜、大殿から緑花の許へ渡る途中も二度とあの女(男)に騙されるものかと息巻いていた。
 だが、久しぶりに緑花の顔を見ると、どうにも柳内官の話がすべて偽りのような気がして、緑花の調子に乗せられてしまう。もちろん、内侍府の調査に間違いなど、あろうはずがない。義禁府ですら調べ得ないこと、手に負えぬ事件でも内侍府の監察部に任せれば、忽ちにして片付く―そう言われるほどの優秀な部隊なのだ。
 今もつい、緑花の顔を見た嬉しさのあまり、親しく声をかけてしまったことを悔いている。
 一方、誠恵は、急変した光宗の態度に嫌な予感を抱いていた。とはいっても、別にひと月前のように乱暴されるとか、その手の危機を感じたわけではない。ただ、光宗の自分を見る眼が以前と違って冷めたものであることに気付いたのだ。
 ひと月前のことがあるだけに、突然の夜のお召しを受けたときは不安でならなかった。が、現れた光宗の表情も態度も穏やかで、以前の誠恵がよく知る光宗に戻っていたので、ホッと胸撫で下ろしたばかりだった。
 ゆえに、再び冷ややかな態度を取り始めた光宗を目の当たりにして、衝撃は大きかった。
 急に黙り込み、口を引き結んだ光宗を見ている中に、誠恵の心に不安が漣のように湧き立つ。
 もしや、殿下は我が身が領議政の手先であることにお気づきになったのでは―。
 まさかとは思うが、その可能性が全くないとはいえない。
 そろそろ潮時なのかもしれない、と、誠恵は考えた。四日前、領議政孫尚善に月華楼で陵辱の限りを尽くされて以来、まだ香月からは何の連絡もない。
 だが、このまま手をこまねいていて良いはずがないのだ。尚善はこれ以上ないというほど残酷なやり方で裏切った誠恵を罰した。
―何度でも抱いて、私のことしか考えられなくしてやる。
 あの男は誠恵の身体を弄びながら無慈悲にも耳許で囁いたが、誠恵は少しも尚善に情を感じてなどいなかった。あれは、ただ屈辱と苦痛だけ与えられ、身体を奪われたにすぎない行為だった。
 あの男のために動こうとはさらさら思わないけれど、冷酷な男は、誠恵が〝任務〟を完遂しない限り、しつこく近づいてくるに違いない。もう、あんな辱めを受けるのは二度とご免だ。指一本触れられたくない。
 それに、村にいる家族も気がかりだ。誠恵がこのまま〝任務〟を果たせなければ、あの蛇のような男は今度は本当に家族にまで危害を与えるかもしれない。誠恵への見せしめとして、折檻ともいえる性交を強要したのが、その何よりの証だった。
 考えてみれば、今宵はまたとない好機ではないか! こうして国王の方から近づいてきたのだ。この際、余計な情や未練はきっぱりと断ち切り、国王の生命を奪えば、それだけで誠恵は楽になれる。領議政との腐れ縁から解き放たれ、懐かしい村に帰れるのだ。
 どうせ、この男も一時の激情で自分を慰み物にしようとした卑劣漢、領議政と同じ穴の狢なのだから、ひと思いに殺してしまえば良い。この千載一遇の好機を逃せば、次があるかどうかは判らないのだ。
 抱かれてしまえば男だと露見する危険があるのは判っているから、寸前―、もしくは正体を知られたまさにその時、ひそかに隠し持った匕首で息の根を止めるだけだ。
 だが、王はいつまで経っても、誠恵を抱こうとはしない。やはり、領議政の放った刺客だと勘づかれているのだろうか。
 不意打ちを食らわされたような想いの中に、ほんの少し混じった気持ちから誠恵は敢えて眼を背けている。それは、好きなひとを寝所に迎えながらも、指先一つ男に触れられない淋しさだ。
 誠恵は、押し寄せてくるやるせない哀しみと闘った。
 光宗が手を伸ばしてきたら、彼を殺さなければならなくなるのに、どこかで期待している自分がいる。全く矛盾している話だ。
「殿下、やっと私のことを思い出して下さったのでございますね。今夜は、朝までご一緒しとうございます」
 誠恵は甘えた仕種で、王の厚い胸板にしなだれかかる。
 光宗は光宗で、緑花の様子が明らかにおかしいと感じていた。一見これまでと変わらないように見えるが、微妙に違う。
 以前の緑花なら、こんなことは絶対にしなかったはずだ。光宗が違和感を憶えているのも知らず、緑花は媚を売るように身をすり寄せ、潤んだ瞳で見上げてくる。
 思わずその深い澄んだ瞳に吸い込まれ、溺れそうな自分を王は戒める。
 現に、王が夜着の前で結んだ紐を解こうとすると、かすかに身を捩り、王の手をほっそりとした小さな手で軽く押さえた。
 光宗の顔を嫋嫋とした様子で見上げ、恥ずかしげに頬を染める。光宗が緑花を見下ろすと、〝いや〟とうつむいて首を振り、光宗の胸に頬を押し当ててくる。それは男なら誰もが思わず守ってやりたいと思う―仔猫がしきりに甘えるような仕種であった。
―売女(ばいた)め。
 光宗は声高に罵ってやりたい衝動を懸命に抑える。
 多分、緑花は今夜、王が彼女を抱くと信じて疑っていないだろう。もしかしたら、この機に乗じて、ひと息に自分を殺すつもりかもしれない。刺客の緑花にとって、今夜はまたとない機会だ。夜着を脱がされれば、男であることが露見するのが判っていて夜伽を務めようとするからには、決死の覚悟でこの場に臨んでいたとしてもおかしくはない。
 その裏をかいてやるのも面白いかもしれない。本当はここに来るまでは問いつめ、領議政との拘わりや素姓を偽っていたこともすべてを白状させてやるつもりだった。が、寝所に呼び寄せておいて、冷淡な態度を取り続けて緑花の心を揺さぶってみるのも一興かもしれない、などと意地の悪いことを考えたのである。
―この女が悪いのだ。
 王は半ば自棄のような気持ちでそう結論づける。
 王は緑花を腕に抱き褥に横たわった。眼を閉じたのまでは良かったが、緑花の心を揺さぶるどころではない。
 我が腕に抱いているのが女ではなく正真正銘の男であると知りながら、光宗は緑花の存在を意識するのを止められなかった。心は醒めているはずだと自分を叱ってみるが、身体は正直に反応してゆく。光宗に背を向ける格好で抱いている緑花に気づかれているのかと気が気ではない。
―馬鹿な。今、腕に抱いているのは女ではない、男なのだぞ?
 名誉のために断っておくが、光宗に衆道の趣味などさらさらない。緑花を愛していたのは、彼女が女だと信じ込んでいたからだ。
 なのに、真実を知った今でも、緑花を抱いただけで、これほどまでに反応する自分の身体が信じられなかった。
 普通、男の身体というものは、抱いても固く平板なものではないだろうか。
 光宗はむろん、全く女性経験がないというわけではなく、親政を始めてから一、二度、年上の女官を寝所に召したことはある。が、それはあくまでも伯父孔賢明を初めとする大臣たちに強制的に押しつけられた女であった。二人か三人だったと思うが、彼女たちには申し訳ないが、今では顔どころか名前すら憶えていない。
 あのとき抱いた女官たちは皆、十六歳の彼よりは数歳年上で、いちばん年の近い女官でも一歳上だった。大臣たちが送り込んできただけであって、いずれもそれなりに美しく、家柄もそれほど悪くはない娘たちで、身体は十分に成熟していた。
 女は皆、あのようにふくよかで豊満なはずで、反対に男の身体には、起伏が乏しく固いのではないか。
 そう思い込んできた彼ではあるが、腕に抱く緑花の身体は結構やわらかく、弾力がある。
 腕に閉じ込めていても、まるで温かな仔猫を抱いているようで気持ちが良い。それが、かえって仇となり、彼は逸る心と身体を抑えるのに苦労しなければならない。
 光宗は少なくとも一刻以上は悶々として眠れず、絶えず彼を突き動かそうとする欲望と闘わねばならなかった。眠ろうとすればするほど意識の芯はしんと冷め、その分だけ身体は熱くなる。かなり長い時間に渡って寝付かれぬ時間を過ごした彼は、しかし、知らぬ間に浅い眠りに落ちたようだった―。

 

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