皆様こんにちは。恵はり灸院  院長です。

今回の鍼灸雑記は、知覚異常の施術録です。



①指先の知覚鈍麻
今回の患者様は、指先の知覚鈍麻。

左手の親指が麻酔を打たれたような感じになり、違和感を感じるとのこと。


「原因はなんでしょうか?」


と聞かれても、大抵は頚椎や手根管で神経が圧迫されているとしか説明できません。



「まず、やってみましょう」


ということで施術開始。



触れた感覚では、肺経と脾経という経脈の末端のツボ、井穴(爪の付け根にある)に反応。普通ここは打たれると結構な刺激なのですが、麻痺側の指は感じず。



そうして施術していくうちに、どんどん反応点がみえてきます。



というのも、鍼を打って巡りがよくなると、連鎖的に必要な反応点がわかりやすくなってくるのです。



逆に反応点が出ないうちから、先に鍼を打っても効果が薄かったり、皮膚の受け入れ体制が整っていないので痛かったりする場合も多いのです。


なので私はツボに反応が出ている時は「ツボが開いている」と表現しています。



こうして出てきた反応を見てみると、どうやら肺経が悪いということがわかってきました。



東洋医学の肺は呼吸だけでなく皮膚機能も管理しており、知覚とも密接に関係しています。



ですのでこの方は、肺や肺経の働きが不活発となり、それによって全身の循環が悪くなり、末端の知覚鈍麻が起こっているようでした。



きいてみると、以前スポーツをやっていた時は体調がよかったが、現在はデスクワーク中心の生活で運動量が減ったこと、また姿勢が悪く猫背になっていて、呼吸も浅くなっているとのこと。



肺や肺経の働きを活発にするには、単純に有酸素運動で呼吸運動をたくさん行うと良いです。それが出来なければしゃべりまくること。呼吸法も良いでしょう。身体を使って発散することで、肺や肺経の巡りはよくなるのです。



原因と思われることやセルフケアのご案内をしつつ、治療をすすめていきます。


肺経や脾経を整え、今度はうつぶせに。
背中は背兪穴といって、それぞれの臓腑に直接対応したツボが多数あります。また解剖学的にも、肩甲骨の間の筋緊張を取ることで肺の動きがよくなります。



ということで、背兪穴の肺兪をはじめ、反応があるツボに鍼を打っていきます。



そしてまた仰向けに。この時点で指の感覚を確認して頂くと、感覚がかなり戻ってきて良い感じとのこと。



再び脾経や肺経のツボを整えていきます。
変化が弱いツボにはお灸も加えて。



肺経だけでなく脾経も反応があるのは、脾は消化器全般の働きを指すのですが、ここで消化処理を終えた栄養分は、肺に運ばれて全身に散布されると、東洋医学では考えられているのです。



確かに、現代医学的にも飲食物からの栄養のみでは生きられず、肺から取り入れる酸素を必要とします。


そして血液は飲食物から取り入れた栄養分と、外気から取り入れ酸素を全身に運ぶ役割を持っています。東洋医学でもここはしっかりと表現されているのです。



というわけで、脾は肺を補う存在とされ、一緒に反応が出たり互いに影響し合う場合が多いのです。



胸部などのツボも使いつつ、治療は終了。



だいぶ感覚が正常に戻ったとのことで、喜んでおられました。ありがたや。


このような感じで、原因がよくわからない知覚異常にも、鍼灸治療は有効だったりします。


もちろん一発で完璧に治るわけではなく、また少しづつ戻ってきたりします。


そこでまた治療し…と続けていくと、次第に治っていきます。



また一回の治療だけでも体は治る方向に向かってくれるようで、治療する前よりは良い状態をキープし、徐々に状態が改善されていく方もあるようです。



人の体と先人の知恵は凄いものです。感謝。


〜おわり〜

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