看護師の「特定行為」まとまる | 医療・介護系の転職なら(株式会社メディカルブレーン)

医療・介護系の転職なら(株式会社メディカルブレーン)

医療従事者専門の人材紹介会社です。
医療従事者の為のニュースを綴ります。

看護師が「診療の補助」の範囲で行える高度な医行為である「特定行為」の選定作業が大詰めを迎えている。厚生労働省は45項目の医行為を選び、一定の研修を受けた看護師に実施を認める方針だ。


 厚労省は2012年12月6日、「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」(座長:昭和大病院長の有賀徹氏、以下WG)で、看護師が行う高度な医行為47項目を「特定行為」として定める案を提示、委員から大筋で了承された(表1、後日45項目に再整理された)。

表1 主な「特定行為」の項目(案)(2012年12月20日付の厚労省資料を編集部で再編)

 看護師が行う現在の医行為の中には、保健師助産師看護師法で定める「診療の補助」の範囲かどうか不明確なものがある。WGではこうした“グレーゾーン”の医行為を明らかにし、技術や判断の難易度が高い医行為を「特定行為」に選定。一定の教育や経験を持つ看護師が能力認証を受けた場合に実施可能とするべく、制度化作業を進めている。なお、特定行為を行う看護師は当初、「特定看護師」と称されていたが、業務独占の誤解を生むことから、現在は「看護師特定能力認証制度」の創設に議論の内容が改められている。

 WGではこれまで、10年に行った看護業務実態調査で取り上げた203項目の医行為を、行為と判断の難易度から、A(医師が実施する絶対的医行為)、B(特定行為)、C(一般の医行為)などに分類する作業を進めてきた。Bには、シミュレーション教育や実習を経て実施する必要がある医行為や、複合的な要素を勘案して医師の指示内容を判断する必要がある医行為などが含まれる。

「病態確認が必要な行為」と規定
 さらに厚労省は昨年12月6日のWGで、特定行為を「看護師が患者の病態の確認を行った上で実施する行為」とする考えを示し、B分類に該当する94項目のうち47項目を特定行為(案)として提示した。一般の看護師や他職種が行う行為が制限されないよう絞り込んだ格好だ。

 特定行為は、事前に作成するプロトコルに基づき、厚労省の指定研修を修了した看護師が医師の「包括的指示」を受けて実施することとなる。指定研修について厚労省は、単位制とした上で、救急や在宅など分野ごとに必要な特定行為を選んで習得する仕組みを想定している。座学と実習で構成し、業務に支障を来さないよう実習は勤務先の医療機関での実施を認める方針だ。研修の具体的内容は今後詰める。

 ただし同省は、指定研修を受けていない看護師であっても、院内研修を経て医師から「具体的指示」を受けた場合には特定行為を実施できるとしている。両者の線引きは難しく、現場が混乱しないような制度設計が求められる。

日経メディカル2013年1月号「行政ウォッチ」(転載)