meat-ball
FUJITA'S BAR
2009-11-06 14:48:03

冗長性とコスト、無駄は我らとともに

テーマ:ブログ
レジデント初期研修用資料さんとこのエントリー「ガタがあるからうまくいく」に404 blog not foundの小飼さんが「ガタに頼ってるとガタが来る」で突っ込んだ。

病気の時に医者にかかれるような程度の「ガタ」が職場にないと、休めないから休日の救急病院にかかるという人が増えて救急外来が混んでまずいんじゃないかという医者のボヤキにはじまって、一見ガタが多いが実は信頼性が高いAK47の例を挙げて"遊び"の効能を説いている。病気になったら平日でも医者に行けるぐらいの仕事の余裕は見ておけというわけだ。

一方で小飼さんはAK47の「ガタ」を改良することもできないソ連邦が滅びたことやトヨタが製造工程に生じる様々な矛盾を「ガタ」である下請けにアウトソースすることで内部の効率をあげていることなどをあげて「ガタ」が必要だなんてとんでもないと批判している。

おそらく小飼さんの意図していることは、制御できないイレギュラーな事象(ex: たとえば病気になって医者に行くとか)を冗長性(ex: 近所のパチンコ屋でいつもサボっている時間に医者に行く)や弱者へのつけまわし(ex: 新人バイト君に仕事をおしつける)によって吸収するのではいかがなものかということだろう。

議論そのものは比喩ばかりで曖昧なうえにアプリケーション層での事象に突然インターネット層の話を出すようなもので一見あまり噛み合っていないのだが、たしかに小飼さんの言うように無駄はない方がいい。それが機械化やインターネットテクノロジーで解消出来るという論点もわかるのだけれども、病院が休日に開いているから平日には仕事をして休日に病院に行くという需要を誘発している側面もあることは認めなければならない。そしてそのために多大なコストを我々は税金から払っているということも。

日本中どんな山奥でも総合病院にすぐ行ける高速道路、どんな僻地でも郵便貯金や簡保に入れる郵便局、いかなる山村僻地でも空を飛んで迎えに来る救急体制、消費者を完璧に守る強力な業界規制、そうした精密で完璧な日本の社会保障システムを支える資金は既に我が国が得られる単年度の税収を超えようとしている。小飼さんが逆進性があると批判している消費税増税でしか、財政均衡への道はないようにも見える。

ガタはなくさなければならないだろうが、全てを網羅的にフォローする行政サービスのコストは誰が担うのか。

不景気な昨今、病院受診のための半休すらとれないほど忙しい会社や職域というのも想像しにくい。現実には遅れず休まず失点を最小限にするために会社に居続けて、いらない仕事まででっちあげて残業手当まで手にして、それで休日に市民の血税でまかなっている公立病院の休日診療に行く、あるいは病気を放置して重症患者になって救急車で運ばれたあげくに救急病院の高価な医療リソースを思いのままに浪費する。これは個人レベルなので目立たないが、下請けにムリをつけまわすトヨタとやっていることは大差ない。

国に補助金をもらう、国に仕事を作ってもらう、それでいながら税金はまけてもらう。こうした小さな公へのつけまわしが我が国の財政を傾かせていることも自覚するべきだ。

一見「ガタ」と認知されることは少ないが、実際の無駄はこうした公共サービスを自己の都合にあわせて浪費する我々市民の側にも問題あるということは認識したほうがいい。我々が細かい差異を我慢したり諦めて規格にあわせる方が、インプットされるものの質的量的イレギュラーさが減り、それに対応するための無駄や冗長性を省略する大きな力となるだろう。

小飼さんの理想は技術者のそれとしては立派だと思うが、世の中はもっと濁りきったものだ。医者や企業だけが悪者とは言えない時もある。

追伸

要するにフリーランチはない。

ちなみに医療の無駄をはぶくためにオープンソースのORCAは日本が支援するべきプロジェクトだと思うが、いまだに日本の病院の多くではメーカー製の高価なシステムに多額の費用を払っているそうだ。これも無駄というやつでは?

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