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ITmedia ビジネスオンラインより転載記事

あなたは大丈夫? 10~20年後、人工知能に奪われる仕事100

土肥義則,[ITmedia]

 グーグルは難易度が高いといわれてきた「囲碁」で、人間のプロ棋士に勝てる人工知能(AI)を開発した――。

 「チェス、将棋に次いで……ついに、この日がやってきたか」と感じた人も多いのでは。人工知能に負けたからといって、彼らの仕事が奪われるのか。いや、そんなことはない。将棋でいえば、羽生善治名人や谷川浩司九段の活躍を見たいと思っているファンも多いはずだ。

 では、私たちの仕事はどうだろうか。人工知能の進化によって労働環境は今後、大きく変化するといわれている。ここで、下の表を見ていただきたい。野村総合研究所と英オックスフォード大学との共同研究によって明らかになった(関連記事)、人工知能などによって代替される可能性が高い職業リストだ。

人工知能などによって代替される可能性が高い職業(クリックしてすべてを表示)
【人工知能などによって代替される可能性が低い職業】

 一般事務員、銀行窓口係、スーパー店員……など100種の仕事が並んでいる。「オレの仕事はどうなる?」と不安を覚えた人も多いだろう。

 次に、人工知能などによって代替される可能性が低い職業リストも見ていただきたい。

人工知能などによって代替される可能性が低い職業(クリックしてすべてを表示)

 教員、美容師、ツアーコンダクター……などが並んでいる。「やったー! オレは大丈夫! よかった、よかった」と喜んでいるかもしれないが、安心してはいけない。調査結果によると「日本の労働人口の49%が人工知能などによって代替できるようになる可能性が高い」というのだ。

 近い将来、私たちの仕事は人工知能に奪われてしまうのか。奪われてしまう日に備えて、いまから何ができるのか。本調査を行った野村総合研究所の寺田知太さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。

建設業界で「イノベーション」

土肥: 人工知能によって自分の仕事を奪われるのではないか。リストラ、失業、下流……といったキーワードが浮かんでくる人も多いと思いますが、その一方で楽観視している人もいると思うんですよ。「人工知能? 自分は大丈夫。だって、周囲でそんな人がいるなんて聞いたこともないし」といった感じで。そこで、寺田さんにお聞きしたい。

 街の電気屋さんは少なくなり、その後家電量販店が多くなったけれども、いまではネットで購入する人が増えてきた。街の本屋さんは少なくなり、その後大型書店が多くなったけれども、いまではネットで購入する人が増えてきた。新しい技術などを導入することで「この仕事がなくなった」または「ロボット(機械)が代替した」といったケースを教えていただけますか?

寺田: ガンバ大阪の新スタジアムが2016年に完成するのですが、建物の施工主は竹中工務店さん。このスタジアムの基礎工事に「プレキャスト」という工法が採用されました。大きな建物の場合、現場で大きな型枠をつくって、その型枠の中にコンクリートを流し込んでいたんですよね。でも、新スタジアムでは、工場などでつくられたコンクリート製品を現場に運び込んでつなぎ合わせたんですよ。

 大規模な建築現場では初めての工法だったので、業界からは「イノベーションだ」という声がありました。でも、このプレキャストという工法は昔からあったので、なぜ業界の人たちが「イノベーションだ」とおっしゃっているのか、意味がよく分かりませんでした。そこで担当者に話を聞いたところ、大規模な建築物の場合、基礎工事は型枠職人さんがされていたそうです。しかし、震災や景気などの影響があって、型枠職人さんが不足気味に。また人件費の高騰などによって、社内から「プレキャストでやってみたらどうだろうか」といった声があったそうです。で、実際にやってみたらうまくいった。

土肥: ほー。

労働力不足はイノベーションのチャンス

労働人口の49%が人工知能で代替可能に

寺田: 建築現場で型枠職人が不足しているように、日本は人口が減少していくので、さまざまな業界で労働力不足の問題が起きるはず。ただ、プレキャストという工法を採用することで労働力不足を補ったように、ロボットなどを導入することで労働力不足が解消されるかもしれない。ということで、英オックスフォード大学と共同で、人工知能などで代替できそうな職業、代替できにくそうな職業を分析しました。

土肥: 人工知能などによって代替可能性が高い労働人口の割合をみると、英国が35%、米国が47%に対して、日本は49%もあるんですよ。英国に比べて、日本は14ポイントも高いん。これはなぜでしょうか?

人工知能やロボットなどによる代替可能性が高い労働人口の割合

寺田: 「日本のホワイトカラーは生産性が低い」といった言葉を耳にしたことがあるかと思うのですが、本来であればコンピュータなどで代替できていてもおかしくないような職業でも、まだ残っている。一方の英国は職場にシステムの導入が進んでいるので、分析結果として割合が低くなりました。

土肥: つまり、英国ではすでに人工知能によって仕事を奪われた人がたくさんいるということですね。

寺田: あと、日系企業の多くは「終身雇用制」を導入しているので、システムの採用が遅れているんですよ。

土肥: 年配の人は時間を持て余している感じ→じゃあ、あの人に仕事を任せよう→システムの導入が遅れる、というわけですね。

寺田: はい。結果として、人工知能などに代替できる仕事なのに、いまでもその仕事をしている……というケースが多いのではないでしょうか。

「年収が高い」職業もコンピュータ化

土肥: 人工知能などに奪われてしまうかもしれない職業をみていて、「事務関連の仕事はコンピュータに任せたほうが速そうだし正確だしなあ」といった印象を受ける人も多いと思うのですが、このほかに分析結果で気になった点はありますか?

寺田: 一般的に「年収が高い」といわれている職業は今後も存続して、「年収が低い」といわれている職業は今後なくなって……といったイメージをもたれているかもしれませんが、“関係がない”ことが分かってきました。

土肥: なんと!

寺田: 機械化、自動化が進むと、工場のラインの仕事だったり、単純な事務作業の仕事がなくなるのではと思われたかもしれませんが、これから起きるのはそうした単純な話ではありません。付加価値が高く、年収が高いといわれてきた職業でも、人工知能などに取って代わられる可能性が高いんですよ。

土肥: 例えば、どんな職業ですか?

寺田: 公認会計士、弁理士、司法書士などが該当します。

複雑で高度な業務であっても、コンピュータ化が可能

土肥: どれも簡単になれる仕事ではないですよね。資格を取得するために、数年かけて勉強する人も珍しくありません。膨大な時間をかけて「やったー、合格! やっとなれるぞー!」と思ったら、「あ、君の仕事はないよ。これからはコンピュータに任せるから」と言われたら、悲しすぎますよ。

寺田: コンピュータがどんどん進化することで、これまで人間にとって難しいと思われてきた職業も、奪われれる可能性があるんですよね。また、人にとって簡単だけれども、機械にとっては難しいよね、といわれてきた職業もどんどん奪われるかもしれません。例えば、クルマの運転。路線バスの運転手、タクシー運転手などの仕事も奪われていくかもしれません。

 これまでコンピュータが得意なのは、経理処理や文書作成などといわれてきました。しかし、それだけではありません。企業のコアな部門……例えば、事業計画、数値目標などを立てることも、コンピュータは得意なんですよ。このように考えると、最後にどうしても人間の力が必要になる仕事だけが残るかもしれません。例えば、M&Aの業務に携わる人とか。

土肥: M&Aの業務に携わる人なんて、ほんのひと握り。そもそもM&Aなんてしょっちゅうやりません。ちょ、ちょっと不安になってきました(汗)。

サラリーマンが生き残っていくために

寺田: これまで仕事というのは、会社の上司や先輩が部下を教育してきました。これからは、人を教育するのではなく、機械に理解させようという動きが進むのではないでしょうか。そのためには「データ」が必要。コンピュータはそのデータから人が気づかないことを見つける。そして、コンピュータは「これが最適な方法じゃないですか」と提示して、それを人間が判断して、実行する。コンピュータが先に業務を理解して、最適化する。そして、そのコンピュータができない部分を人間が補う――。このようなことが定着していくのではないでしょうか。

土肥: 人工知能が進化していけば、私たちの仕事がどんどん奪われるのは仕方がないのかもしれません。しかし、だからといって「はい、失業ね。コンピュータには勝てないや」とあきらめるわけにはいきません。これからの時代、生き残っていくのにはどのような心がけというか行動がポイントになってくると思いますか?

寺田: いまから「統計」のことを勉強するのは難しいかもしれません。デジタル機器を使ってモノをつくるスキルを磨くのはいかがでしょうか。ひとつの会社でずっと務めていると、その会社で必要なスキルは身につくでしょうが、将来的にはそれを生かすことができなくなるかもしれません。そのように考えると、日本流の雇用流動化が必要なのかもしれませんね。

 英国のバークレイズ銀行はちょっとユニークな試みをしています。お客さんのデジタル化を促進しましょう、という動きなんです。高齢者でインターネットバンキングを利用している人は少ない。ATMを上手に利用している人も少ないかもしれません。そうした人たちに、銀行員が支援しているんですよ。こうすれば振り込みができますよ、こうすれば送金ができますよ、といった感じで。コスト効率のいいデジタルチャンネルに誘導するために、銀行員も“変化”しているんですよね。

 銀行員がアプリケーションエンジニアになるわけでなく、データサイエンティストになるわけでなく、デザイナーになるわけでもありません。お客さんを変えるために、自らが変わろうとしているんですよね。こうした事例は企業も参考になるかと思いますが、個人にも参考になるのではないでしょうか。

土肥: なるほど。次に、より具体的な話を聞かせてください。残る可能性が高い職業に「旅行会社カウンター係」が入っているのに、なくなる可能性が高い職業に「銀行窓口係」が入っている。これを見て、銀行の窓口で仕事をしている人は「どうして私たちの仕事はなくなって、旅行会社の窓口の人たちは残るの!?」とプンプン怒っているかもしれません。また「スーパーの店員はなくなるかもしれないらしいけど、コンビニの店員はどうなのよ」と思っている人もいるかもしれません。

寺田: それはですね……。

(つづく)

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