小椋佳さんの詩が好きです。日本語がもっている繊細さや美しさをこんなにうまく表現できるシンガーソングライターって、そんなにいないんじゃないかと思います。東大法学部を出て第一勧銀でバリバリのエリート銀行員としての職務を全うし、その多忙の中でなおかつ数々の名曲を世に出していった異色のシンガーソングライター。天は二物を与えるものなんですね。うらやましい限りで・・・。
下は僕のお気に入りの詩の一つです。作詞:小椋佳 作曲:井上陽水・・・今さらだけど、これ豪華コンビですね。



白い一日

真っ白な陶磁器を
眺めてはあきもせず
かといってふれもせず
そんな風に君のまわりで
僕の一日が過ぎてゆく

目の前の紙くずは
古くさい手紙だし
自分でもおかしいし
破りすてて寝ころがれば
僕の一日が過ぎてゆく

ある日踏切の向こうに君がいて
通り過ぎる汽車を待つ
遮断機が上がり振り向いた君は
もう大人の顔をしてるだろう

この腕をさしのべて
その肩を抱きしめて
ありふれた幸せに
落ち込めればいいのだけれど
今日も一日が過ぎてゆく

真っ白な陶磁器を
眺めてはあきもせず
かといってふれもせず
そんな風に君のまわりで
僕の一日が過ぎてゆく


慌ただしく過ぎていく日常の時間を一瞬止めてしまうような、そんな不思議な魔法のような詩だと思います。これ以外にも、小椋佳さんの詩ってとにかく綺麗でなんというか、文学って感じがするんですよね。やっぱり、ベースにしっかりとした教養がある人は違いますね。
あまり意味のない、品のない文章がネットの中にあふれてて、大量消費されてゆくような時代だけど、小椋佳さんの詩はこの先も必ず残っていくだろうと思います。