空港にて (文春文庫)/村上 龍
- 空港にて (文春文庫)/村上 龍
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あるところで推薦を目にして。
村上龍の短編集。村上龍の作品は大分、読んでいるが、思い返してみると短編集というのはあまり無いような気もする。(読んだかもしれないが、印象が薄い)
ちなみに本作は、短編集としては最高傑作ということらしい。
確かに、最後の短編(にしてこの短編集の表題作となった)「空港にて」は素晴らしい作品だと思った。
この短編集には、「現代日本における閉塞感と希望」という通奏低音が流れているのだが、この「閉塞感」のリアリティのある書きぶりが突き抜けている。
「日本には何でもあるが、希望だけがない」という事を活写している。
非常に「労働社会学」的な書き込みがなされていて、そこが興味深かった。テレビ東京の「カンブリア宮殿」で間延びした語尾で司会しているおじさんとは思えない。見直した。
少しマニアックなところで言うと、最近の芥川賞の三井物産次長の作品に対して、村上龍は選評で結構厳しい感想(たしか「ぬるいよ・・・」というような感想)を述べていた。この本を読んで、村上龍のその背景にある信念が分かった気がした。
そういえば、最近池田信夫先生が「希望を捨てる勇気」とかいう本を出したらしい。これも読んでみたいと思っている。
「希望」がイシューな世の中だ。