法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。


テーマ:
Q 婚約を破棄されました!
  ある女がカレを寝取ったんです!
  慰謝料払ってもらえますか。
  「親の反対」で破談になった場合はどうですか。


誤解ありがち度 5(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

ランキングはこうなってます
このブログが1位かも!?
ブログランキング・にほんブログ村へ

↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑

A 婚約破棄に関与した「外野」にも慰謝料請求はできます。
  ただし,関与の程度が薄かったらダメです。


【婚約破棄に関与した「婚約者を奪った異性」に対する慰謝料請求】
私(女性;A)はある男性(B)と交際し,婚約していました。
その後,Bが女性Cと交際していることが発覚しました。
結局,結婚しないことになりました。
Cは私(A)とBが婚約していることを知っていたのです。
Cは責任がありますよね。

→Cも婚約破棄の不法行為による損害賠償責任を負うでしょう。

婚約をしたのは,AとBです。
Cは「婚約」とは無関係です。
しかし,「Bへ影響を与えることによって」結果的に,婚約破棄という結果に関与しています。
婚約を知っていた場合,さすがに,「重複して交際すること」はひどいと言えます。
俗に言う「寝取った」という状態です。
通常は違法性が高いものとして,慰謝料請求が認められています。
もちろん,この責任は,「Cが婚約の存在を知っている」ことが前提となります。

[東京地方裁判所平成15年(ワ)第27845号、平成16年(ワ)第13551号損害賠償本訴請求事件,同反訴請求事件平成17年3月17日]
本件婚約の破棄について帰責事由がある被告Dは,原告が,本件婚約が履行され被告Dと結婚して夫婦の共同生活をすることを信じて,被告Dに対して金銭等を給付して被った物質的な損害を賠償すべき義務を負っているというべきである。また,上記認定の本件婚約の破棄に至る経過に照らし,被告Dの本件婚約の破棄により,原告が相応の精神的苦痛を被ったことは否定することができず,被告Dは,原告に対し,相当額の慰謝料を支払うべき義務も負っているというべきである。前者の物質的損害については,原告が請求する合計491万0750円(婚約指輪代64万5750円,結婚式場申込代10万円,結納金60万円,被告Dの借財返済等のため交付した70万円,新居への引越費用6万1000円,電化製品購入代金10万円,サイドテーブル購入代金の一部2万4000円,雑貨購入代金4万円,被告Dに交付した給料の一部54万円,探偵社への調査費210万円)のうち,結納金60万円及び探偵社への調査費210万円は,前提事実(3)及び(6)のとおり,原告ではなく,原告母が出捐したものであるから,被告Dが賠償すべき範囲からは除外すべきであるが,その余の出捐は,原告が,いずれも本件婚約が履行され被告Dと夫婦となることを信じて支出したものであり,被告Dにおいて相応の利益を得ていて,被告Dの本件婚約の不当破棄により原告が被った物質的な損害と評価することができるから,被告Dは,原告に対し,その余の出捐に対応する221万0750円の損害賠償をすべきである。また,原告の慰謝料については,本件婚約の成立前とはいえ,平成15年2月までの間,原告が被告Dと頻繁に旅行するような交際する一方,Hとも男女としての交際をしていたこと,本件婚約の継続期間が約3か月程度とそれほど長い期間ではないことに照らし,100万円が相当であると認められる。
(略)
被告Eは,その供述によれば,8月3・4日の件の後も,被告Dとの交際を続けており,その真意はともかく,結果的に,被告Eと被告Dの交際が,被告Dの本件婚約の履行と両立しないものでああって,本件婚約を破棄に至らせるものであることを認識していたと評価せざるを得ず,それにもかかわらず,8月3・4日の件に関与した後も,被告Dと交際を続けたことは,本件婚約の破棄と因果関係がある,被告Eの原告に対する不法行為となると認めることができる。
   ただ,被告Eが,本件婚約の履行を前提に,原告が被告Dにした金銭の交付に関与したことを認めるに足りる証拠はないので,被告Eが原告に対し,賠償すべき損害額は,本件婚約の破棄への被告Eの関与により,原告が受けた精神的苦痛に対する慰謝料にとどまるというべきである。そして,上記3の事実の経過を合わせ考えれば,本件婚約を積極的に破棄に至らせているのは,主に被告Dの行動にあり,被告Eの関与は,補充的なものであると考えられるから,被告Eが原告に賠償すべき慰謝料額は,30万円を限度とすべきである(なお,被告Dの行為と被告Eの行為との関連性から見て,被告Eの原告に対する支払義務は,30万円の限度で,被告Dの原告に対する支払義務と連帯責任となると考えられる。)。

【婚約破棄に関与した「結婚に反対した親」に対する慰謝料請求(肯定例)】
私(女性;A)はある男性(B)と交際し,婚約していました。
その後,Bの母Dがものすごく結婚に反対し始めました。
最終的に,結婚しないことになってしまいました。
Dは損害賠償責任があるのではないでしょうか。

→「反対した」の内容が,一定の限度を超えている場合は慰謝料請求が可能です。

婚約した当事者の一方の親が「結婚に反対する」ということはよく生じることです。
そして,婚約者の一方が,「親の反対(説得)に応じて」婚約を破棄する,ということになると責任問題となります。
婚約者は「約束を破棄した」当事者ですから,(正当性がない以上は)損害賠償責任を負います。
ここで「反対して婚約破棄に関与した親」については,まさに「反対した」の内容次第です。
複数の裁判例による基準をまとめます。
(※昭和38年の最高裁判例は「婚約破棄」ではなく「内縁解消」のものです。ただし,責任の法的構成は同じですので題材として用いています)

<婚約破棄に関与した親の責任の有無の判断基準>
・社会通念上の許容範囲を超えた不当な干渉と言える場合
・「反対した」動機や言動(方法)が公序良俗を超えている場合
・「婚約破棄」への影響度(元々婚約者自身が破棄の意向を持っていた場合は影響度は低い)

結局,「親の反対」があったとしても,「婚約破棄」に与えている影響が少ない場合,関与の程度が低い場合は,親自身には責任が生じない,ということもあるのです。

[最高裁判所第2小法廷昭和37年(オ)第801号損害賠償請求事件昭和38年2月1日]
内縁の当事者でない者であつても、内縁関係に不当な干渉をしてこれを破綻させたものが、不法行為者として損害賠償の責任を負うべきことは当然であつて、原審の確定するところによれば、本件内縁の解消は、生理的現象である被上告人の悪阻による精神的肉体的変化を理解することなく、懶惰であるとか、家風に合わぬなど事を構えて婚家に居づらくし、里方に帰つた被上告人に対しては恥をかかせたと称して婚家に入るを許さなかつた上告人らの言動に原因し、しかも上告人Aは右被上告人の追出にあたり主動的役割を演じたというのであるから、原審が右上告人Aの言動を目して社会観念上許容さるべき限度をこえた内縁関係に対する不当な干渉と認め、これに不法行為責任ありとしたのは相当である。

[徳島地方裁判所昭和55年(ワ)第201号損害賠償請求事件昭和57年6月21日]
原告は被告花枝も被告太郎の右不法行為に加担した旨主張するものであるところ、〈証拠〉によると、被告太郎は原告と結納をかわして交際中、原告が約束の時刻に遅れることがあり、身なりにも概して無頓着であり、或は料理が上手ではないなどとしてこれを不満とするに至り、とりわけ、原告の体つきが細いことを気にして右婚姻に次第に気が進まなくなり、これを原告に打ち明けたことはないが、実母である被告花枝には打ち明けたうえ、尚決断するには至らなくて悶々としていたところ、同年四月二六日夜、被告らはこの問題につき自宅に親戚の者数名と仲人丙村を集めて話し合いを持つに至つたこと、右席上、親戚の者や丙村は婚姻するかどうかはひつきよう被告太郎の気持ち次第という態度をとり、同被告は、日程の切迫感に追われて非常に悩みながらも、やはり自分は結婚するつもりである旨の決意を披瀝したのに対し、被告花枝はすでに早く同年三月下旬ごろより原告に好感を抱いておらず、原告の欠点をあれこれ指摘して、この婚姻に反対する旨をかねてより被告太郎に伝えてあつたところから、ここでも右婚姻に強く反対し、右反対の意見を繰り返して述ベたので、遂には被告らの間において見解の相異のあることを示したまま右話し合いが終了したこと、翌四月二七日における前述した原告宅での話し合いの席上、被告らが原告に対し料理が下手だとか、家庭の躾けが悪いとか体が細いなどとこもごも苦情を呈し、そのため原告が泣き出した際、被告太郎はそれを見てこれからは二人で力を合わせてやつて行こうなどと言つて原告を慰め、割り切れない気持ちながらも五月五日の結婚式を中止するまでの決断がつかなかつたところ、翌四月二八日朝、丙村がそれまでの被告ら、殊に被告花枝の態度に不安を持つて、同被告に電話し、結婚することに変わりはないか、嫌なら今から断つてもよいと申しむけたところ、被告らにおいて、にわかに、今からでも断わることができるなら断つてほしい旨明言するに至り、さらに被告らはそろつて丙村宅に出むいたうえ、こもごも、本件婚約を解消したいからその旨を原告に伝えてくれるよう断言し、そのため丙村は直ちに原告宅に電話してその旨を伝えたこと、被告太郎は本件破棄後の同年六月ごろ、原告との仲の取りなしを知人に依頼して原告より拒否されたことを認めることができ、右認定に反する証拠はない。
 而して右事実によると、被告らは結納交付後ともに本件婚姻につき消極的態度に変じたものであるところ、被告花枝の右態度が強度であつたのに対し、被告太郎のそれは同花枝の働きかけを受けながらもむしろ優柔不断なものであつて、婚約破棄の意思表示を敢てした当の四月二八日朝に至るまでの間は結婚式を実際にとりやめるまでの決意には至つておらず、仮に被告花枝が同太郎に対し婚約の履行をすすめなかつたまでも、かくまで反対の意思を強調することがなかつたならば、同被告において、なおいくらかの浚巡を呈しつつも、本件婚約を破棄することなく婚姻していたものというべきである。かかる場合被告花枝の右各行為、すなわち被告太郎に対する婚姻反対の働きかけ、原告の欠点の指摘、四月二八日の丙村への電話並びに被告太郎と同行したうえの婚約解消の依頼等の各行為は一体となつて被告太郎の婚約破棄の決意を誘発せしめ、右決意の形成に寄与したものというのが相当であり、ひつきようこれらは被告太郎による婚約破棄と相当因果関係を有すると解すべきである。
 それ故被告らは共同不法行為者として原告に対し右婚約破棄によつて生じた損害について連帯して賠償の義務を負うものである。

【婚約破棄に関与した「結婚に反対した親」に対する慰謝料請求(否定例)】
婚約を破談にした親が損害賠償責任を負わないのはどんなケースでしょうか。

→婚約後,婚約者同士で欠点が見えてきた,など,「親の影響」以外の理由もあるような場合です。

確かに,親が「結婚に反対」と強く主張し,婚約破棄を勧めた場合,子(婚約者)は迷ってしまうのが通常でしょう。
いわゆる「嫁・姑」で,同居しないとしても,「今後一生,うまくやっていけないのでは」と思ってしまうというのも事実でしょう。
その一方で,親が「結婚に反対」という意向を表明しただけで,違法性あり,慰謝料が発生,というのも極端です。
婚約というのは当事者間の約束であって,多少極端ですが,2人だけが納得していれば,周囲が何と言おうと,結婚すること自体は可能なのです。
ちょっと大上段の構えになりますが,「両性の合意のみ」によって結婚できる,ということは憲法24条に規定されていることです。
結局,「親の反対」の内容によって,違法性,が判断される,ということになります。
この点,昭和38年の最高裁判例がありますが(前掲),時代の流れとともに「親自身の責任は否定される方向」にあります。
というのは,戦後の時代は「親が反対しても押し切って結婚する」ということは非常にレアだったのです。
しかし,現在は,それほどレアではありません。
親との同居が著しく減り(核家族化),個人主義が浸透してきたからです。
最後に,「結婚した親の責任」が否定されるような要素のうち典型的なものを示しておきます。

<親の責任を否定する要素>
・婚約者自身が相手の欠点を発見した
・「親→子の説得」の具体的言動はそれ程強いものではなかった。
 例;あくまでも婚約者自身(子)の最終判断に委ねる(尊重する)という態度であった。

[日本国憲法]
第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

[東京地方裁判所平成3年(ワ)第8714号、平成4年(ワ)第16940号損害賠償請求事件平成5年3月31日]
二 婚約解消を理由として、それまでにかかった費用の清算以外の精神的損害に対する損害賠償義務が発生するのは、婚約解消の動機や方法等が公序良俗に反し、著しく不当性を帯びている場合に限られるものというべきである。婚約当事者以外の者が婚約当事者に対して婚約を解消することを決断させた場合においても、同様に、精神的損害に対する損害賠償義務が発生するのは、その動機や方法等が公序良俗に反し、著しく不当性を帯びている場合に限られるものというべきである。例えば、親が、結婚を望んでいる子に対して、婚約の相手方の親族との円満な協力関係の形成が見込めないことを理由に婚約解消をするよう強く説得することは、それだけでは、婚約の相手方に対する精神的損害の損害賠償義務を発生させるほどの違法性を持たず、その動機や方法等に公序良俗に反する点が認められて始めて、損害賠償義務を発生させるほどの違法性を具備するものと解するべきである。
 三 被告三男が被告春子に対する脅迫等の不当な手段をもって原告と被告春子の婚約を解消させたことを直接認定させるような証拠はない。
 四 前記認定事実中、被告三男が被告春子に対する脅迫等の不当な手段をもって原告と被告春子の婚約を解消させたことを推認させるかのような事実は、次のとおりである。
  1 平成三年二月六日ころ以降、被告三男及び夏江は一貫して、原告と被告春子の結婚に反対していたと推認される。
  2 婚約解消の重要な原因となったのは原告の母の言動であり、原告が嫌いになったことが直接の原因ではない。
  3 被告春子は、平成三年二月一八日に、一度、婚約解消を取り止める気持ちになった。
  4 その際、被告春子は、母から「帰ってくるな。」と言われ、また、原告に対して「両親は、結婚式に出席しないかもしれない。」と発言した。
  5 被告春子は、最終的に原告に婚約解消の意思を告げた際にも「両親の反対を押し切ってまで結婚する意思はない。」と発言している。
 五 しかし、右四の事実から被告三男が被告春子に対する脅迫等の不当な手段をもって原告と被告春子の婚約を解消させたことを推認することは、とうていできないものというべきである。
 六 また、被告春子が一旦は婚約解消を取り止める気持ちになったことについては、次のような点からの検討も必要である。
  1 以上の認定事実によれば、平成三年二月六日以降の被告春子の心情は次のようなものであったと推認することができる。
   (1) 原告の母との間で配偶者の母として円満な協力関係を築いていく自信がなくなり、ひいては原告との間でも配偶者として円満な協力関係を築いていく自信がなくなったことから、婚姻は一生の問題であるので、迷いながらも、婚約は解消した方がよいと決断した。
   (2) 一旦は、原告のことを好ましい人と思って婚約を決意した後に、原告と交際しているときには気付かなかった問題が表面化したのであるから、婚約解消を決意した時点では原告が全く嫌いになったわけではない。
   (3) 原告との間で婚約の円満解消の合意ができておらず、結納も終え、結婚式の日取りと場所まで決めた後であるから、原告との結婚生活に入ることが心理的に大変な負担のかかることであったのと同程度に、婚約を解消することも心理的に大変な負担のかかることであった。
  2 右1の事実によれば、平成三年二月六日以降、被告春子が気持ちが揺れ動きやすい心理状態にあったことを推認することができる。そして、このことは、被告春子の「二月一八日は、心身ともに衰弱して、頭の中が真っ白であった。」という供述からも、裏付けることができる。
  3 以上の点を考慮すると、二月一八日に一旦は被告春子が婚姻する方向で翻意し、それに対して被告三男及び夏江が反対していたことから、被告春子は何の迷いもなく原告との婚姻を望んでいたのに、被告三男及び夏江が脅迫等の不法な手段を用いて被告春子に原告との婚姻を断念させたということを推認することは、とうていできないというべきである。
 七 そして、ほかに、被告三男が被告春子に対する脅迫等の不当な手段をもって原告と被告春子の婚約を解消させた事実を認めるに足りる証拠はない。
 したがって、原告の被告三男に対する請求は、そのほかの点について判断するまでもなく、理由がない。

<<告知>>
みずほ中央リーガルサポート会員募集中
法律に関する相談(質問)を受け付けます。
1週間で1問まで。
メルマガ(まぐまぐ)システムを利用しています。
詳しくは→こちら
無料お試し版は→こちら

<みずほ中央法律事務所HPリンク>
PCのホームページ
モバイルのホームページ
特集;高次脳機能障害

ランキングはこうなってます
このブログが1位かも!?
ブログランキング・にほんブログ村へ

↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑

夫婦間のトラブルに関するすべてのQ&Aはこちら
震災特例法に基づく被災者(会社)の負担軽減策。税金の還付請求など。by国税庁
弁護士による離婚問題無料相談
弁護士による離婚問題無料相談(モバイル)
個別的ご相談,お問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
お問い合わせ・予約はこちら
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
0120-96-1040
03-5368-6030
PR
いいね!した人  |  コメント(0)

[PR]気になるキーワード