法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。


テーマ:
Q 夫婦の同居は義務なのですか。
  仲が悪い場合はどうでしょう。
  別居に至った場合の生活費の分担とは関係ありますか。


誤解ありがち度 5(5段階)
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4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 「同居義務」は「義務」です。
  が,違反があっても強制できません。
  意味があるのは離婚時の責任問題です。
  別居の経緯によっては,婚姻費用分担金の請求が否定されることもあります。


【夫婦の同居義務】
夫婦の同居は義務なのでしょうか。
無断で別居することは違反なのでしょうか。
仲が悪くても同居しなくてはならないのでしょうか。

→一般的に夫婦には同居義務があります。

夫婦間の基本的な義務の1つとして「同居義務」が民法上明記されています(752条)。
当然,例外がないわけではありません。
一般的に仲が悪くなり,離婚の協議中や調停・訴訟の進行中は別居していることの方が普通です。
蓄積された従前の裁判例を分析すると,「例外」の定め方にはいろいろな方法があります。
ごく簡単に言えば,夫婦の仲が悪化して,同居してもまったく実益がない,という場合には別居しても「義務違反」ということにはならないのです。
<同居義務の例外(の例)>
・「正当の事由」がある場合
・夫婦が破綻状態にある場合
・一方が同居を拒否して翻意する可能性がない場合

[民法]
(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条  夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

[札幌家庭裁判所平成10年(家)第769号夫婦同居申立事件平成10年11月18日(抜粋)]
 夫婦は,合理的な理由のない限り,同居すべき義務を負っているが(民法752条),この義務は,婚姻費用の分担義務などと大きく異なり,その性質上任意に履行されなければその目的を達成できないものであり,いかなる方法によってもその履行を強制することは許されないというべきである。そうすると,家事審判法9条1項乙類1号に定める夫婦の同居に関する処分として,同居を拒んでいる夫婦の一方に対し,同居を命ずる審判をすることが相当といえるためには,同居を命じることにより,同居が実現し,円満な夫婦関係が再構築される可能性が僅かでも存在すると認められること,つまるところ,同居を拒んでいる者が翻意して同居に応じる可能性が僅かでもあると認められることが必要であると解すべきである。
 これに対し,夫婦である以上同居義務があるのであって,同居を拒否する意思がいかに固くとも,同居を拒否する正当な理由がない限り,同居を命ずる審判をすべきであるとの見解もあろう。しかしながら,同審判は,夫婦を同居させて円満な夫婦関係を再構築させることを究極の目的としてなされる家庭裁判所の後見的処分の一環であって,同居が実現されないことに対する帰責性が夫婦のいずれにあるのかを確定することにその本旨があるわけではないと解すべきであるから,同居を拒んでいる夫婦の一方に翻意の可能性が全くない場合には,前記の同居義務の性質に照らし,同居を命ずる審判をすることは相当でないというべきである。

【同居義務の強制執行】
同居義務が認められた場合,出て行った配偶者を強制的に連れ戻すことができるのでしょうか。

→仮に訴訟で同居義務が認められても,強制執行はできません。

「義務」自体の存在とその実現手段=強制執行,は異なります。
「同居義務」という性質上,いかなる強制執行もできないとされています(大審院昭和5年9月30日その他多数)。
「義務だから仕方なく同居する」という状態は,個人の意思決定と言いますか,尊厳をないがしろにすることになるからです。
同居義務違反を原因とする慰謝料請求も一応考えられます。
同居義務を履行してくれず,配偶者が家を出てしまったから寂しい・傷ついた,という主張です。
しかし慰謝料請求も,上記同様の理由から認められないとされています。

【同居義務の実質的な意義】
同居義務は強制的に実現できないなら,無意味な義務,ということにはならないでしょうか。

→同居義務違反により,夫婦仲が悪化した場合は,離婚原因となったり,「離婚の」慰謝料に繋がることもあります。

「同居」それ自体を強制することや,「同居義務違反」を直接の原因とする慰謝料請求は否定されています。
しかし,「同居義務」が存在しないわけではありません。
仮に,一方的・独断的に,家に帰らない状態を続ければ,夫婦の仲は悪化するでしょう。
結果的に,離婚請求が認められることになったり,離婚に至った,という理由で慰謝料請求が認められることになったりすることはあり得ます。
なお,収入の中心を担う者(一般的には夫)が,家を出て,かつ生活費も渡さない,という状態にある場合は,「悪意の遺棄」という条文上明記されている離婚原因に該当することもあります(民法770条1項2号)。

[民法]
(裁判上の離婚)
第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
(略)
二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。

【同居義務違反と婚姻費用分担金】
妻が強行的に,反対を押し切って家を出て行きました。
それだけでも憤りを感じているのに,「婚姻費用」を請求してきました。
こんな請求が認められるのでしょうか。

→別居の経緯・理由が不合理な場合は婚姻費用分担金は認められないでしょう。

同居時は生活費の負担が物理的に混ざっていることがほとんどです。
しかし,別居した場合は,生活が2重になります。
そこで,一般的に,収入の少ない方は他方の配偶者に対し,「婚姻費用分担金」を請求できます。
同居義務と婚姻費用分担金(夫婦協力義務)は別のものと考えられています。
「仲が悪くて別居している」という場合でも婚姻費用分担金は認められるのが通常です。
しかし,別居の経緯・理由があまりにも不合理な場合は,権利濫用として婚姻費用分担金が認められないこともあります(裁判例後掲)。

[大阪高等裁判所昭和42年(ラ)第51号婚姻費用分担審判に対する即時抗告事件昭和42年7月10日(抜粋)]
 民法第七五二条は、夫婦共同生活の本質たる夫婦間における生活保持の義務を定めたものであり、同法第七六〇条は、それに必要な費用の負担者を定めたものであつて、夫婦間の扶助義務と婚姻費用分担義務とは、観念的にはこれを区別して考えることができるけれども、本質的にはその範囲を同じくし、現実に婚姻費用を負担することがすなわち扶助義務を履行していることになり、機能の面では全く同一の事柄を目的とするものであるから、夫婦間の生活費(当然医療費も含む)は、婚姻費用分担の審判、扶助の審判のいずれによつても、これを請求することができるわけである。そして、夫婦の双方がすでに婚姻生活を継続する意思を失い、事実上婚姻関係が破綻し、離婚を望んで別居している場合であつても、法律上夫婦であるかぎり、相互の扶助義務はなくならないのであるから、婚姻費用の負担者は他方に対し、その生活保持に必要な費用を支給する義務があるといわなければならない。もつとも、夫婦間の扶助義務は、本来同居および協力の義務と表裏一体となつて婚姻関係の基盤を形成するものであるから、夫婦の一方が同居、協力の義務に著しく違背しながら他方に対し扶助義務の履行を求めることは、権利の濫用として許されず、相手方は免責される場合があるにとどまる。

【婚姻費用分担金が権利濫用となる判断要素】
どのような「強行別居」の場合に,婚姻費用が否定されるのでしょうか。

→別居の経緯・理由の合理性,経済的事情などによって判断されるでしょう。

<婚姻費用分担金が権利濫用となる判断要素>
・別居の経緯・理由
 現実に仲が非常に悪化している場合は,権利濫用とはなりにくい方向の要素となります。
・同居の可能性
 間取りなどから,「家庭内別居」が可能であるならば,権利濫用となりやすい方向の要素となります。
・経済的事情
 同居の時点から経済的状況が苦しい場合は,権利濫用となりやすい方向の要素となります。

要は,「別居だと生活費が余分にかかるじゃないか!これ以上生活費が増えたら負担できない!独断で生活費を増やさないでくれ。」という状態であれば,通常通りの婚姻費用分担金が認められないこともある,ということです。

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