大阪市平野区のマンションで2002年4月、主婦森まゆみさん(当時28歳)と長男瞳真(とうま)ちゃん(同1歳)が殺害され、部屋が放火された事件で、殺人と現住建造物等放火罪に問われた大阪刑務所刑務官(休職中)で、まゆみさんの元義父・森健充被告(52)の上告審判決が27日、最高裁第3小法廷であった。

 森被告は1審・大阪地裁で無期懲役、2審・大阪高裁で死刑を言い渡されていたが、藤田宙靖裁判長(退官のため、堀籠幸男裁判官が代読)は1、2審をいずれも破棄し、審理を同地裁に差し戻した。

 最高裁が2審の死刑判決を破棄したのは、名古屋市内の土木会社役員が保険金目的で殺害された「日建土木事件」に対する1996年9月の判決(無期懲役に軽減し、確定)以来。差し戻し審の展開によっては無罪となる可能性が出てきた。

 森被告は02年11月の逮捕後、捜査段階では黙秘し、公判では全面無罪を主張。森被告が犯行にかかわったことを示す直接証拠はなく、検察側が積み上げた状況証拠による立証の成否が争点になっていた。

 1審は05年8月、現場マンションの階段踊り場で見つかったたばこの吸い殻に付着していた唾液(だえき)から検出されたDNA型が森被告と一致したことや、犯行時刻前後に現場付近で、森被告が使用していたのと同種の乗用車が目撃されていたことなどから、「被告が犯人だと推認できる」と述べ、無期懲役を言い渡した。

 一方、2審は06年12月、森被告を犯人と認定した1審判決に事実誤認はないとした上で、「2人を殺害し、犯行を隠すために放火をした被告には強い犯罪性向がある。罪責も誠に重大で、極刑でもやむを得ない」と述べ、死刑を選択していた。

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