海況

波高1m    気温29℃    中潮    風速3m

水深100~130m    釣り座  左舷ミヨシ (総勢8名)


釣果65杯 (頭69杯)


ロッド 極鋭ヤリイカMH-175テク リール シーボーグ300MJ

ライン ハイパーメガセンサー3号    リーダー シーガー・FXR船14号


仕掛け

14cmピッカピカ針 (濃いブルー・薄いブルー・ケイムラ) 17本直結

オモリ スカリー150号 (鉛・黒) 中オモリ10号  DRBイカリング


考察

いつもの長井MZ丸へスルメイカ釣行。

深夜の首都高から横々へ入り三浦縦貫道と何十度も通い慣れた道。

しかし今日ほど辛く悲しい道行はない。

沈み込む気持ちをなんとか奮い立たせ、先日急逝された大船長の元へ。


まだ誰もいない宿に到着し車を停めて一人大船長との思い出を辿ってみる。

スルメ、ヤリ、マルイカ、カワハギ、たくさん釣れたり釣れなかったり。

海の男らしい豪快な人であるが、温和で細やかな気遣いの人でもあった。


船長の4人の息子さん=お孫さん達からとてつもなく慕われており、

「寂しくないように」と、毎日遺骨が安置されている仏間に寝てくれているそうだ。


いつもよりだいぶ早く若女将登場、すぐにお悔やみを伝える。

ほどなくして船長も登場、体格は全く違うのだが遠くから見ると大船長にそっくりに見え、

「やはり似てるね・・」、「本当ですね・・」と、若女将と言い合う。


無論船長にもお悔やみを告げ、亡くなった時の状況などを詳細に聞く。

だが内容はとてもここに記す気にはなれないし、すべきでもない。


そして大女将登場、強いショックを受けて憔悴しきっているのが一目で見て取れる。

お悔やみは勿論、「先ずお母さん自身は大丈夫ですか」と、尋ねると、

「ありがとうね、はい、もう大丈夫ですよ」と、気丈に振る舞っているのが痛々しい。

52年間いつも一緒にいたから、まだ実感がわかないときいて、

こみ上げるものを必死で無理やり押し殺し、励ましの言葉をかける。



なおも船長達と話しているとKZさん登場。

すぐにKZさんも詳細を聞き入っている。

KZさんほどの人をも惹きつけてしまう、大船長のお人柄ならではであろう。


KZさんの「今日はおやっさんの弔い合戦だね」との言葉を聞くまでもなく、

そのつもりでいた自分は大船長に恥ずかしくない釣果を出す決意を胸に秘め、船へ。


いつも通り右のミヨシにKZさん、左ミヨシに自分が座を構え定刻前に出港。

航程10分、長井の真沖で開始の合図、「水深110mで70から100に出ています」との事。

昨日がとても良かったので期待は高かったのだが、1投目は全員ノーヒット。


次も同じ水深で投入合図、今度はKZさんが先陣を切ってトリプルでゲット。

自分はシングルに終わったが、釣りの感触は悪くないので次に期待。

案の定今度は自分がトリプル、説明は困難だが「感触」が良い時は冷静に釣れる。


その後も投入の度に乗りがあり、上手いタイミングで仕掛けが入ると多点掛けの場面も。

3、4、5点掛けが多かったが、8点掛け炸裂にはボルテージ急上昇。
 

 

良い乗りは9時30分まで続き、バケツには結構な数が貯まる。


本日初めての長い潮周りに入り、ようやくイカを裁ける。

開いて干してついでに数えてみると49杯、悪くない、いや、良いペースだ。

なんと偶然にもKZさんも49杯と、全く同じ数だったのには驚いた。

「この乗りが続けば軽く束釣りペースだけど、中々そう上手くはいかないんだよな・・」と、

KZさんの予測通りここから探索の時間も長くなり、連続空振り、

もしくは1流しに1杯しか捕れない様な渋い状態に陥ってしまう。


しかしこういう状況でもポツ、ポツ、と捕ってしまうのがKZさんの常人とは違う所。

その小さな差が後に大きな差になってしまうのである。


最後にもう一盛り上がりを期待したのだが、それもなく終了。

65杯で終了、KZさんに4杯しか離されなかったのは奇跡に近い。

今日はやはり特別な力がこの身に宿ったのであろう。



この海域にいた大船団、ピンクさんやイカ釣りマシーンといった名手達人もいた中で、

おそらくMZ丸が1、2フィニッシュを決められた事は、微力ながら供養になったと思いたい。



(向こう側が自分の釣果、手前側はKZさんの釣果)

宿に戻り他のお客さんが帰られた後、KZさんと大船長宅へ線香をあげさせて頂きに行く。

仏間に通され拝見した遺影の大船長、最高の、至高の良い笑顔でした。

どうぞ、どうか、安らかに、ゆっくりと御休み下さい。

自分もそちらに行ったら、今度こそ一杯やりましょう。


船宿   長井   MZ丸   YS船長