久しぶりの浅田次郎。
乾くるみのあとに読むと、なんと読みやすいことか。
いろいろ疑って読まなくていいって楽(笑)
- ハッピー・リタイアメント/浅田 次郎
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浅田次郎の本というのは、ホントに多種多様。
甘さ・辛さ・苦さ・しょっぱさのような味覚のような軸に、さらに重さ・軽さが重なり、もはや二次元の座標では表せないくらいに散らばっている。
要するに守備範囲が広すぎる。
普通は、浅田次郎の中でも苦いのはね・・と敬遠する種類のものもあるとは思うけど、不思議とそれがない。
どんな味でも浅田次郎は浅田次郎。
そういう分野を確立している。
さて、このハッピーリタイアメント。
これは食べ物で言えば、軽くて甘い「お菓子」みたいな感じ。
その中でもピリッとした刺激があるんだけど、それも甘さで隠れている。
まずプロローグからして面白い。
これだけでも「勇気凛々」のひとつの話として成立しそうなもんだけど、ここから話が広がってくなんて。
樋口慎太郎 財務省のノンキャリア出身の天下りでJAMSへ
大友勉 自衛隊のたたき上げからJAMSへ
立花葵 JAMSの秘書兼庶務係
矢島純彦 JAMSの理事、天下りの請負人
山村ヒナ 70を越えたJAMSのシンボル。終身雇用を保障されている嘱託の社員
JAMSとは?
全国中小企業振興会 ALL JAPAN M-S COMPANIES ORGANIZATION の略称。
1951年、財閥解体後の振興事業育成のためのGHQの指令によって作られた金融保証機関。
無担保無保証人の零細事業主の債務保証を代行することによって、公平なビジネスチャンスを拡大することが目的。銀行等はこの債務保証の基づいて融資を行い、返済が滞った場合にはJAMSが無条件で代位弁済をする。かつてはいわゆる「裸一貫」の起業家を支援し、今日ではいわゆる「ベンチャービジネス」の資金を提供することで経済の活性化に大きく貢献している。
ほほぅ。
なんだこれは。
国民金融公庫みたいなもんか?
しかしなぜ英語で表現されている?
GHQ?
いかんいかん。
乾くるみを読みすぎだ。
疑いグセが抜けない(汗)
法律的には返さなくていい借金。
たとえば、それを踏み倒した後に成功した人たちはそれを返すのだろうか。
これはもう道義的責任のみ。
「これさえ返してしまえば身は潔白になる」
「借金を踏み倒したことがあるなんてバレたら社会的に良くない」
いまさら何十年も前の金を返すなんて惜しいけど、今なら返せなくはない。
なら返してさっぱりしよう。
そんな心理が働くのではないか。
特に、今の社会的地位と信用を失墜するような事態は避けたい。
これは成功者にとって、痛いことであったりするかもしれない。
プロローグではそれが絶妙に表現されていた。
本の中盤の取立て(?)の場面でも、それが少し見え隠れしていた。
話の流れは、プロローグの最後あたりで大体読めていた。
そのとおりに進行していく。
しかしねぇ。
矢島純彦を返り討ちにしてやるところなんか痛快だったけど・・
いきなりイタリアのナポリにねぇ。
ヒナがそんな役回りだとはねぇ。
これはちょっと唐突だったような・・。
浅田次郎の本には、切り札としてダグラス・マッカーサーが良く出てくる。
それほど決定的な、絶対的な存在なんだろう。
ヒナは終身雇用と共に、莫大な退職金を得ることも保証されていたのだろうか。
オチとしてはドカンといく感じじゃなかったけど、「食べやすいお菓子」の感じの一冊。























