「はやどり学習4」 S塾との出会い
テーマ:高校受験あのときの1年間はヨシオに対して、本当に申し訳ないことをしたと思っています。がんばって、5年生までに6年生の勉強を「独習」で完了させ、1年早く中学の勉強をはじめたにもかかわらず、勉強の進め方が悪く、ヨシオの頑張りを帳消しにしてしまったのです。
実際、英語はずっとラジオの「基礎英語」を聞いていたこともあり、6割くらいの完成度で中1の英語を終わらせることができました。しかし、数学は、まったくといっていいほど刃が立たなかったのです。
まず、「正負の数」、「絶対値」そして、「文字式」、そういった小学校ではなじみのない分野でいきなり落ちこぼれになっていました。
実は、妻自身も自分でヨシオに計算の方法だけでも教えようとしたらしいのですが、まったく理解できず、相当な危機感を抱いたといいます。
そんな中、新聞の折り込みチラシか何かで、3月から開校するというS塾を妻が見つけてきてくれました。
S塾はすでに大分市では数か所で開校していた中堅の塾でした。それが、ちょうどヨシオが中学に入学するころ、別府市のマッツン家の近くに進出してくることになったのです。
その後、S塾にはテルオも通い始め、ヨシオの友人たちも通塾するようになって順調に生徒を増やしていったかに見えました。ただ、ヨシオが中学を卒業する年の3月、ヨシオたちの卒業とともに、別府市から撤退していくことになります。テルオがちょうど6年生になろうとするころでした。
いろんな事情があったとは思いますが、ヨシオが大分T高校の「特特進」に入れたのは、S塾の先生方のおかげだということは間違いありません。一度は落ちこぼれかけたヨシオを立ち直らせ、さらに中学2年の終わりには、3年生までの課程をほぼ終わらせ、入試までの半年以上は過去の入試問題に注力できたのです。
また、テルオがわずか7か月で、中高一貫のK中学に合格できたのも、S塾が国語と算数の基礎力となる部分を非常に高い完成度で仕上げてくれていたからだと思っています。
そういった意味で、S塾の先生方には、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
話を戻しますが、ヨシオといっしょに初めてS塾を訪ねた日、対応してくれたY先生に「学校の授業進度より早く勉強を進めることは可能でしょうか」と聞きました。
「『はやどり学習』ですね。個別対応の指導であれば、それは可能です」Y先生の答えに、そのとき、初めて「はやどり学習」という言葉を知りました。
私の意図に応えてもらえることがわかり、つい、こんなことも尋ねていました。
「東京大学を志望しているのですが、『はやどり学習』を進めていくことで、塾の勉強だけで合格可能でしょうか」
いまとなっては、本当に笑い話なのですが、今度中学校に上がろうとする子供を連れて、真剣にそんなことを質問していたのです。
Y先生はそんなマッツンの問いかけに、馬鹿にするでもなく、真面目に「塾の勉強だけで東京大学にいけるようなノウハウは、私たちにはありません。あくまでも、高校の授業でそういうノウハウがある学校に行くことが大切です」と静かに応えてくれました。
いま思えば、そのとき、ヨシオがどこの高校に進学すべきかが決定づけられたように思います。
そして、数学と英語の簡単な試験をしたのですが、英語に関しては小6の終わりで、中1の英語の6割以上がとれていることを Y先生は高く評価してくれました。
それまでのヨシオの勉強がまったく無駄ではないことがわかり、私は内心ホッとしました。
同時に、ヨシオに申し訳ないとどこかで思っていた自分が、ほんの少し救われた気がしたのです。
「この先生方に、お任せしよう・・・」
口にこそしませんでしたが、そんなふうに思った私は、ヨシオをS塾に入塾させるのに何のためらいもありませんでした。
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