続・宇宙戦争(2)

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現在のアメリカ軍は陸海空を問わず「宇宙空間の利用」に依存している。

それはもう、めちゃくちゃに依存している。

地上部隊も水上艦船も潜水艦も航空機も、みなGPSと衛星通信を使っている。

巡航ミサイルのような長距離を誘導されるミサイルも、GPSを使っている。

人工衛星を使わないと、米軍は「自分がどこにいるのかわからないし、味方と連絡をとれない」状態に置かれてしまう。

4年前のイラクでの地上戦においても、地上部隊の一部隊が戦場後方でデータ処理をしていた。

そういうデータ処理とその背後の通信インフラがあってはじめて、「ペンタゴン-CENTCOM-戦域の各部隊(指揮官)-戦場の各部隊」の間で連絡がとれる。

この通信インフラとデータ処理インフラが機能しないと、歩兵・機械化歩兵・戦車・砲兵・ヘリコプターなど各部隊の連携がとれなくなってしまう。

空軍と地上部隊との連携にも必要だ。

海上輸送・航空輸送を含めた補給部隊にも必要だ。

軍に協力している民間企業もそうだ。ちなみに、米軍においては、補給や整備などの後方支援、拠点拠点の(比較的軽装備で済む)警備任務などは、どんどん民間企業に外注されている。(註)

軍に協力していない民間企業・民間人だって、事業や生活においてGPSや衛星通信、衛星放送、気象衛星を利用した天気予報などにかなりの程度依存している。

地下に埋まっている金属鉱床の探査なども、少なからず人工衛星に依存している。

資本主義社会とそれを守る軍隊 - 単に守っているだけでなく、その経済に支えられている軍隊 - にとって、「宇宙空間の利用」を確保することは、今や必要不可欠だ。

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註: だから、「米軍がイラクに~万人駐屯している」と報道されるのを見るとき、それが「外注先民間企業の人員」を含んでいるかどうかについて考えることは重要だと思う。mattの知る限り、含まれていない。

また、「米軍の死者~名」と報道されているのを見るとき、それが「外注先民間企業の人員数」を含んでいない可能性が高いことに注意するべきだ。

戦場で働いていよういまいが、定義上は「民間人」なのだから。
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続・宇宙戦争

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このブログはほぼ2年前に書き始めたものだが、書き始めてから半年ほど経過した頃に「宇宙戦争?」と題して連載したのを覚えて下さっている方もいらっしゃるかもしれない。

その続きを少しずつ書いていこう。

きっかけは、中共政権がミサイルによる衛星破壊実験に成功した、という報道だ。

この話はすごく興味がある。

全く、久しぶりに興奮させられた。セルロース系エタノール研究開発とシステム生物学と葉緑体工学に気付いたとき以来の興奮だ。

今後、アメリカの宇宙開発と軍事研究開発、それに日本の関連産業に大きな影響を与えるに違いない、と確信している。
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宇宙戦争?(その24)

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新しいニュースに基づき、7月12日に投稿した「宇宙戦争?(その17)」の内容を訂正する。

Yahoo! Japan ニュース <http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050817-00000015-nnp-kyu >

6年前の1999年に連続747日を達成していたというわけだ。

「宇宙戦争?」シリーズのソ連宇宙開発に関する記述は、基本的に10年近く前?の長谷川慶太郎氏(日本個人投資家協会理事長)の著作を読んで得た情報に基づいている。matt の情報更新が止まっていたことを意味している。(註)

連続395日という記録の日数は、誠文堂新光社刊行の「天文年鑑」という小冊子に1988年頃?に載っていたのを記憶していたものだ。

1990年代に2年以上の滞在を可能にする方法論(宇宙医学とでも言うのだろうか?)が開発されている可能性が高いと思うので、機会があったら調べておきたい。

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註: なぜその頃この手の新情報に気づかなかったのか、個人的に思い当たるふしはあるが...

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宇宙戦争?(その23)

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アメリカで研究が進んでいる新しい軍事理論とその実用化、および中共政権がそれにどのように対処し得るか、考え得る将来像を書いてきた。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、2つ重要な要素が抜けている。

・潜水艦
・核弾頭を搭載した弾道ミサイル(ICBM、SLBMなど)

この2つだ。

書かなかったのは、一つには「戦場の未来」に書いていなかったからだが、もう一つは、matt自身が「この2者はまだ衰退したとは言えない」と考えているからだ。「潜水艦と、核搭載弾道ミサイルは、今後も相当期間生き延びる」とmattは見ている。

潜行中の潜水艦を攻撃するのは、意外と難しい。難しさの主な原因は「水中のどこにいるのか探知し、位置を特定するのが難しい」ことにある。

水中では電波は使えず、音波を利用する。

大気中での電波に比べて、海水中の音波の伝達はずっと不安定だ。潮流・海流によって音波の向きが曲げられたりする。音波の強さも変わったりする。大気中を電波は、数千kmを一瞬で伝達する。海水中での音波は秒速2200m程度でしか伝達しない。ソナーはレーダーのようには探知性能が高くない。

潜水艦よりずっとスピードの早い対潜哨戒機を使ってソノブイ(註1)をいくつかばらまき、潜水艦の移動をつきとめることはかなりの程度できる。また、アメリカが日本近海などでやっているが、船がよく通る海域の近くの海底に「電線で繋がれたたくさんのマイクロフォン」を敷き、それで海中の移動物体を四六時中監視し、対潜哨戒機のデータと照らし合わせて、敵潜水艦を探知する精度を上げることはできる(註2)。

それでも大気中でのレーダーの働きと比べたら、まだまだだ。潜水艦の隠密性はまだかなり確保されていると言えるだろう。

もう一つの核搭載弾道ミサイルだが、こちらも有効な防御方法がまだない。レーガン政権のSDI、90年代以降のMD開発など、実験はいろいろなされている。が、確実に効きそうな手段はまだ見つかっていない。「核反撃能力を保有することが抑止力となる」という事態に根本的な変化はない。

この2者については、別途また考えてみようと思っている。

ひとまず、「宇宙戦争?」を終える。

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註1: ソナーが搭載されたブイ(浮き)。対潜哨戒機から小さな「浮き」をパラシュート付きで落とす。海上に落ちた「浮き」には、「音波を発信するスピーカーと、音波を受診するマイクロフォン」がついていると理解いただきたい。「浮き」が音を出すと、その音が潜水艦に当たってはねかえり、はねかえってきた音が「浮き」のマイクロフォンに受信される。その音波データを解析してやれば、海中のどのあたりに潜水艦がいるのか判定できる。

註2: SOSUSと呼ばれる「電線に数珠繋ぎになった多数のマイクロフォン」システムは、千島列島の南方沖合いや琉球列島の南方沖合いなどに実際に敷設されているらしい。ロシアや中国の潜水艦の通過を監視している。

宇宙戦争?(その22)

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軍事や外交について考えるときには、「相手の立場にたっていると仮定する」のが有効であると思っているので、もう少しシナの立場で考えてみようと思う。

シナがアメリカに早期に追いつく起死回生の策(アメリカにとっては悪夢かもしれない)がある。あくまで matt の個人的見解だが。

日本を自陣営に引き込むことだ。

今のところシナ社会では西側諸国のようには高度な産業技術が行き渡っていない。軍事技術も産業技術水準の低さに影響されていて、遠隔制御技術や通信技術などをアメリカほどには駆使できない。

しかし日本を自陣営に引き込めれば情勢はがぜん変わる。(註1)

一般的な産業技術についても高度なものが日本にあるのはもちろんだが、それだけではなく、PGMs兵器体系下で鍵となるとmattが見ている技術を日本は2つ持っており、すでに一定の実績を有している。

1998年に「おりひめ」と「ひこぼし」という人工衛星2つで実験が行われた。

2つの人工衛星を遠隔制御によってドッキングさせ、その後一旦分離して2メートルの距離をおき、さらに再度ドッキングさせた。地上からの遠隔制御でこの実績を持っているのは、公開された情報で知る限り日本だけだ。(註2)

宇宙飛行士が大気圏外に長期滞在するのに時間的制約がある以上、地上から遠隔制御する技術には大きな意味がある。この技術を発展させれば、敵の人工衛星を破壊して「宇宙戦争」に勝ち残れるかもしれない。

もう一つの鍵となる技術は、ロボットだ。

スーパー兵士登場の前提条件として、「人間の筋力を補助する機能を内蔵した戦闘服」を挙げた。ロボット技術がこの開発につながり得ると matt は見ている。

日本の警備保障会社や政府系研究機関が、「高齢者介護」の道具として、「介護ヘルパーが着用する筋力補助装置」や「要介護高齢者が着用する脚力増幅装置」を開発している。TVニュースなどで実験している様子が放送されているのを見たこともある。これらの機械はロボット工学の応用だ。

現時点ではとても戦闘服に組み込めるような道具ではない。それでも、素材や構造を改善し動力源を小型化する必要はあるが、将来は軍服と一体化した「体にまとわりつく筋力補助装置」が登場する可能性が十分あると matt は思っている。

必要は発明の母だ。「介護ヘルパー」や「要介護高齢者」だって、現在実験中の不恰好な筋力補助装置よりも、「体にまとわりつく衣服のような」筋力補助装置のほうが活動しやすく着心地がいいに違いない。軍事目的よりまず民生目的で開発が進展する可能性が十分にある。(註3)

この技術を転用すれば、歩兵が「何百キロも射程のある対戦車ミサイル・短射程巡航ミサイル」などの重い兵器を携行できるようになるかもしれない。偵察衛星やUAVsの情報をたよりに(註4)、何百キロも離れた場所にある目標を、少数の歩兵がミサイルで破壊できるようになるかもしれない。

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註1: 現状、日本はアメリカの覇権下に組み込まれている。ここで書いているシナリオは「アメリカの覇権から脱する」ことを意味している。もしこういう対中接近をするのなら、ものすごい覚悟が必要だろう。逆に言うと、迂闊にこういうことを考えないほうがいいと思う。matt としては、現状では全く考えられない。

註2: アメリカやロシアが秘密裏に実験している可能性は当然あると思う。

註3: のんきに構えていたら、世の中はとても早く変化していた。

非常にタイミング良く、7月15日(金)の夜TV東京「ワールドビジネスサテライト」にてロボット特集が放送された(註5)。「介護ヘルパー用着衣」も登場していた。mattがこれまで見たものよりずっと体の線にぴったり合っていながら、重いものを動かす筋力の補助機構がちゃんと内蔵されている。銃弾、手榴弾の破片、毒ガス、細菌などの生物兵器を通さない素材でこれを覆えれば、スーパー兵士の実現が大幅に近づく。

註4: UAVsも偵察衛星も、本気になれば日本は開発できるだろう。現に北朝鮮対策として偵察衛星の開発に着手しており、すでに新聞等で報道されている。知人から聞かされたことだが、人工衛星から発電所を撮影する実験をすでに実施済みらしい。

註5: 7月15日放送のWBSでは、アメリカでのロボット兵器開発動向も紹介されていた。iRobot(アイ・ロボット)という有名なロボットメーカーがボストンにあるが、同社製品で(イラク等)実戦に投入された偵察用・射撃(機銃掃射)用の機材があるようだ。また、戦場でロボット複数を制御する機能を持った装甲車も紹介されていた。(もちろん、中に人間が乗り込んで、ロボットたちを制御する)

iRobot社の掃除ロボット"Rumba"も紹介されていた。(Yahoo! ニュースで見たことがある)

「スーパー兵士」登場のシナリオに戦闘用ロボットがどう影響するかは、mattにはまだ何とも言えない。ただ、一つだけ述べておこう。

戦場で敵を機械に発見させ追尾し破壊する、という完全自動化シナリオは昔からある。60年代にはすでに開発がなされていた。例えば、F-14艦上戦闘機が搭載するAIM-54という空対空ミサイルがある。

F-14は百キロ以上離れた飛行物体をレーダーで探知し、AIM-54で攻撃できる。AIM-54の射程は最大150キロ程度と言われている。50キロ程度なら確実に射程内だ。AIM-54自体が小型のレーダーを内蔵していて、一旦発射されるとあとは自動的に目標を追尾してくれる。

この場合問題はレーダーやミサイルの性能というよりむしろ、その50キロ先にある飛行物体が、敵か味方か中立国の飛行機か、レーダー電波探知だけでは分からないことにある。味方を撃つわけにはいかない。

AIM-54のような長射程ミサイルを持ちながら、空中戦はしばしば近接戦闘 - 格闘戦となる。結局パイロットの目に頼るわけだ。

敵味方識別装置といって、友軍機のレーダー電波を感知して特定の信号を発信し、味方であることを伝える機械を軍用機は持っている。しかし、これも、その信号が返ってこないからといって、ただちに味方でないとは断定できない。敵味方識別装置が故障した友軍機かもしれないからだ。このように、探知した対象が敵か味方かを識別するのをなかなか機械に任せられない状況が続いている。

戦場をロボットだけで埋め尽くそうとすると、①ロボット自身に対象が敵か味方かを判断させる、②ロボットに映像を送らせ、後方にいる人間が判断する、のいづれかを選ぶことになるだろう。どちらにも欠点がある。

①なら、上述のAIM-54と同様の問題が出てくる。②なら、ロボットと後方の人間との間の通信(それも映像つきの大容量データ通信だ)を電波妨害などに対処しつつ確実に確保できなければならない。

宇宙戦争?(その21)

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では、シナ(註1)は永遠にアメリカを追い抜けないのだろうか?

そんなことはないとmattは思っている。

共産党政権が崩壊したと仮定しよう。現在シナ社会でのコンピュータ技術開発に対して被さっている制約要因が取り除かれることになる。

そうなったら事態は一変するかもしれない。

もちろん、一年とか五年とかそういう短い期間で追い抜くのは難しいだろう。しかし長い間には追いつき追い越せるかもしれない。

共産党政権が崩壊するということは、共産党が特定の政治的目的を達成するために資源を特定の分野に投入することをやめるということでもある。

例えば、アメリカを仮想的として(戦車や戦闘機など在来型の)軍事開発に注力するなどということも、短中期的におあずけにすることができるようになるかもしれない。そうすれば、経済建設により大きく注力できる。

シナ経済が発展すると人口が大きいから巨大な経済圏になる可能性がある(註2)。一旦巨大な経済力を持てば、その後で研究開発に資源を投じる場合にその資本投下規模が莫大になる。今日では考えられない規模の研究開発を出来るようになるかもしれない。

仮にそういう時代が来るとしても何十年も先のことだろう。しかし共産党政権が崩壊するという前提を受け入れれば、あり得ないシナリオとは言えないと思う。

宇宙開発にだって、将来は、現在では考えられないほど巨額の資本投下が可能になるかもしれない。

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(註1は投稿後に加筆した)

註1: mattは「シナ社会」と「共産党体制」とを分けて考えている。「シナ社会」には好きな面も嫌いな面もある。が、「共産党体制」には全く好感を持てない。なお、「シナ社会」に日本が取り込まれてほしいとは思っていない。

もっとも、「シナ社会」が「建前としての共産主義体制」になじみやすい面があるのかもしれない、という感触は持っている。これについては、裏ブログで少しずつ書いている。(遅々として進まないが)

註2: 共産党体制が崩壊した後、シナが単一の政府の下に統治されるかどうか、今のところは分からない。分裂する可能性をにらみつつ、統一政権誕生の可能性も想定しておく必要があるだろう。

宇宙戦争?(その20)

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共産主義体制がコンピュータ技術の発展に向いていないことを述べた。

述べてきたことが正しいとしての話だが、中共政権下でコンピュータ技術が大発展してアメリカを抜く可能性はそれほど高くない、という結論が導き出せる。

これまで入手している情報から判断する限り、中共政権下におけるコンピュータ技術の発展は、アメリカの後追い状態が続いている。

それに、共産党が支配している限り、自由な発想を自由に交換して研究開発を進めるのを無条件には認められない。一定の限界があるはずだ。

例えば、インターネット接続に大きな制約が課されている。郵電部(註1)は中国のISPの総元締めとなっている。中国国内から行われた全てののインターネットアクセス解析を理論上は郵電部が行える(註2)。中国人がネットに接続するときは、自分自身が政府に監視されている可能性を常に覚悟しておかなければならない。

だから現代の中国社会では、ネットワークを介して自由に情報をやり取りし、自由に意見を交換することには、大きな制約がある。コンピュータ技術発展の制約要因がまだまだ広く社会に覆いかぶさっているということだ。

コンピュータによって遠く離れた場所にある物体を制御する技術は、まだまだ当分の間アメリカ(西側諸国)には追いつけないだろうと考えている。

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註1: 日本語で言うと郵政省。日本語の「~省」を漢語では「~部」と表現する。「郵電部長」を日本語訳すると「郵政大臣」となる。

註2: もちろん通信の内容を読むこともできる。実務的には全てを網羅するのは不可能だが。

宇宙戦争?(その19)

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コンピュータ技術が70年代以降アメリカで大発展したことは前述した。一方、ソ連のコンピュータ技術開発が思わしくなく、SDI対策に失敗する遠因となったことも前述した。

人工衛星を世界で初めて打ち上げ、核ミサイルと原子力発電所を自力で開発したソ連が、コンピュータ技術開発で思わしくなかったのはなぜだろうか?

それは、共産主義体制だったからだろう、とmattは考えている。

FT&FXを読んでくださっている皆さんは、コンピュータ技術と通信技術の融合 - ネットワーク化、の恩恵に毎日浴している。これを書いている matt もそうだ。

「ネットワーク化」されていることが、コンピュータ利用の利便性を非常に高いものにしていること、このことには皆さんは異存は無いと思う。

そう、コンピュータの価値は、他者(人間か機械かを問わず)とネットワークを形成することにある。

コンピュータは、情報を蓄え、加工し、他の何者かに加工した情報を提供する、そういう道具だ。コンピュータそれ単体だけで存在していても意味のある道具ではない。他者から情報を得、その情報を蓄え、その情報を加工し、他者にその加工した結果を伝達する道具だ。ネットワーク化されていないと、あまり意味がない。

言い換えると、「他者と情報を自由に交換できる環境におかれていること」が、コンピュータに存在意義を与えている。

共産主義体制下では「他者と自由に情報を交換すること」は許されていない。原則として「共産党が許可を与えた場合」に限り情報を交換することができる(註1)(註2)。そうすると、コンピュータの利用価値が高まりようがないので、コンピュータ技術を発展させる必要がない。それどころか、そんな技術を発展させたら、共産党体制にとっては危険だ。

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註1: 口コミは止めようがない。個人的な意見だが、携帯電話の普及は共産党体制にとっては恐怖かもしれない。もっとも、共産党員一人一人の個人の日々の生活の中では、携帯電話は便利な道具ではあろう。

中国政府が携帯電話を導入するのを認めたことは、中国共産党幹部層が「もう、共産党体制は長くはもたない」と考えている傍証なのかもしれない。

註2: 例えば、陝西省西安市で殺人を犯した容疑者が河南省開封市に逃げ込んだと仮定する。その場合、西安市警察(公安)は開封市警察にすぐには連絡をとってはいけない。「陝西省政府→陝西省共産党委員会」と情報を回して共産党委員会の許可をとった上で始めて河南省・開封市当局にその情報を伝達することができる。

実際どこまで厳密に実施されているのかは不明だが、建前はこうなっているらしい。日本の官僚機構は効率的とは言えないかもしれないが、共産圏のこの「システマティックな非効率」よりはだいぶ効率的だと思う。

携帯電話はこの「システマティックな非効率」を破壊する可能性を持っていると思う。

宇宙戦争?(その18)

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アメリカ地上軍・艦隊・航空部隊(註1)の進む方向性 - 宇宙の軍事利用独占 - に対抗するに一番単純な方法論は、大気圏外をアメリカ人に自由に軍事利用させないことだ。

具体的には、アメリカの偵察衛星や通信衛星を発見し破壊する方法論を考えればよい。

これ、結構難題だ。

人工衛星は停止しているわけではない。秒速8kmとか秒速10kmとか、そういうすごいスピードで移動し続けている物体だ。

仮にあなたが敵の人工衛星を撃墜する命令をうけて宇宙船に乗っているとする。実は、あなた自身が例えば秒速8kmというすごいスピードで常に移動し続けているわけだ。そういう状態で、同じようなすごいスピードで移動している他の物体に照準を合わせ、射撃し命中させなければならない。(註2)

仮に有人宇宙船から射撃するにしても、レーダーなど各種センサーを利用しデータをコンピュータで解析する照準装置を持っていないと、確実な命中は覚束ない(ここでもコンピュータ技術が出てくるわけだ)。コンピュータによる制御技術を発達させた国でないと、単にロケットを持っているだけでは大気圏外で戦えるようにはならないと思える。

中共政権はコンピュータ技術の開発には熱心だと思う。おそらくこういう軍事利用も念頭においていると思う。しかし、アメリカに対抗できるようになるのは、まだまだ先の話だろう。

もっとも、照準が少々不正確でも目標を撃墜する手が無いわけではない。「散弾銃方式」だ(註3)。ソ連が80年代にSDI対策として検討していた宇宙兵器の一つだと聞いたことがある。

散弾銃は小さな弾丸多数を目標の周囲めがけて発砲する。少々狙いが不正確でも、多数の散弾のうちの一部が目標に命中すればよい。これと同じことを大気圏外で行う手だ。

小さな散弾多数を宇宙船から発射し、敵の衛星を狙う。大多数は外れるが、一部だけでも命中すれば衛星は破壊されるか或は軌道をずれてしまい、機能を果たせなくなる可能性が出てくる。

この場合、どのくらいの不正確さが許容されるのか、ということだろう。コンピュータ制御技術がどれくらい未発達でも許されるのか、ということだ。いまのところmattにはそこまでの評価はできていない。

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註1: アメリカ人が描いている未来の航空部隊像(爆撃機隊像)を説明するのを忘れていた。簡単に述べておく。

巡航ミサイルと同様に低空を長距離飛行する無人飛行機を思い浮かべてほしい。これに小型の誘導爆弾をいくつか積むとする。この無人飛行機が基地から発進し、敵のレーダー監視を潜り抜けるべく低空を長距離飛行して目標に近づく。目標上空でに誘導爆弾を投下する。爆弾投下後無人飛行機は再び低空を飛んで基地に帰る。こういうシナリオだ。

仮にその飛行機に被害が出ても、搭乗員がいないから人命の喪失にはならない。

註2: もちろん、アメリカが例えば中国の人工衛星を撃墜するのも、決して簡単な話ではない。

註3: これをやられるとある問題がさらに大きくなる。「ごみ」の問題だ。

地球の周囲には多数の「ごみ」が回っている。かつて打ち上げ使用済みになった人工衛星やその残骸の一部(部分品状態)が地球の周りをくるくる周り続けている。秒速8kmとか、そういうものすごいスピードで周り続けている。

残骸は、例えば、ボルト・ナットぐらいの大きさのものも多い。そういう小さな物体でもすごいスピードで動いているから、有人宇宙船に衝突すると大きな被害を与える可能性がある。

(有人か無人かにかかわらず)大気圏外で人工衛星を攻撃し破壊すると、ますます「ごみ」を増やすことになる。仮にそういう世の中がやってくると、地球周回軌道がだんだん危険になってくる。

単に敵の衛星を攻撃するというだけでなく、その攻撃にあたって散弾多数を発砲するということは、その散弾の発射それ自体が多数の「ごみ」を撒き散らすことだ。宇宙戦争が行われると(軍事利用か民生利用かを問わず)宇宙空間の利用が次第に難しくなってくるかもしれないとmattは見ている。

地球周回軌道上のどこに「宇宙ごみ」が飛んでいるかを正確に把握しなければならない。アメリカは数十年前から「宇宙ごみ」をレーダーで監視している。中共が果たしてやっているか、これが今のところmattには分かっていない。

宇宙戦争?(その17)

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中共がアメリカと宇宙空間で戦うための具体的戦略を練っているという情報は、mattはまだ入手していない。

ここで考察できるのはあくまで、

「中共にできることで、アメリカの覇権に挑戦する手段にどのようなものがあるか」

「アメリカの覇権に挑戦するその手段にどれくらいの有効性があると考えらるか」

といった程度のものだ。

有人宇宙飛行を自力でやったというのは大きいことではあると思う。有人宇宙ステーションの建設に向けて大きな一歩だと思う。将来もしもシナが巨大な経済へと成長したら、宇宙ステーションを維持するだけの富を産み出せるようになるかもしれない。そうなったら脅威かもしれない。

が、mattには一つ気になっていることがある。大気圏外で戦闘を行うと想定して、有人宇宙船がどのくらい有効なのか、という問題だ。

実は、1980年代にソ連が実験してくれている。

レーガン政権が「スター・ウォーズ計画」をたちあげたことを覚えている方もおられると思う。研究開発を途中までやり、ソ連崩壊とともに沙汰やみになったSDIだ。

ソ連はどうしたか? ミール(宇宙ステーションの名)で実験を行った。宇宙飛行士の大気圏外連続滞在記録を次々に塗りかえていった。記憶が正しければ395日が最長だったと思う。

どうして宇宙空間に人間を長期間滞在させようとしたかというと、SDIに対抗するためだ。ソ連のコンピュータ技術は劣悪だった。だから大気圏外の兵器プラットフォームをアメリカがやろうとしたような遠隔制御方式にできなかった。そこで肉弾戦術 - 人間を長期滞在させて兵器を操作させようとしたのだ。

結果は失敗だった。無重力状態に人間は年単位の長期間は耐えられないことが判明した。

無重力状態で長期間生活すると筋力が衰えるので、宇宙飛行士たちが宇宙ステーションやスペースシャトルの中で一生懸命運動していることをご存知の方は多いと思う。そう、運動によってある程度補える。それなりの筋力を維持して地球帰還後の生活も支障なく送れるようになる。

しかし、限界があった。

1年も生活していると、心臓の筋肉がだんだん弱くなり、送り出す血流量が少なくなってくる。脳へ供給する血液も不足するようになる。遂には、ろれつが回らなくなってくる。これでは戦闘行動には耐えられない。

宇宙空間に何年も滞在するベテラン宇宙戦士の育成は、不可能であることがわかってしまった。