Revolution from Above

テーマ:

昨日は「中国の国営企業は、共産党が支配し続けている企業だ云々」と書いた。

しかし一方で、共産党が少なくとも表面的には「共産党支配色を薄める」努力を一生懸命してきているのは事実である。

(1)政府が直轄していた企業を制度上株式会社とする。

(2)株式の過半数を当分の間、政府が所有する。

(3)残りの株式を上場する。重要な企業はNYや香港など外国の取引所に上場し、西側の会計基準・企業統治にさらす。

というステップを踏んできている。

さらに、「政府が所有する株式を一般に売却する」方向性を中国政府が公言するようになってきている。もし本当にそうなると、あとは共産党が介入せずに株主総会が取締役(董事)を選ぶようになれば、国営企業(或は元国営企業と言うべきか)を共産党政権に繋ぎとめる手段は、企業内にある共産党委員会と労働組合だけになる。

よってmattはこう思っている。

「中国共産党の幹部連中も、長い目で見て共産党政権が続くとは思っていない。資本主義経済と議会制民主主義を導入する努力を(彼らなりの)全力で行う。ただし、自分たちが現在持っている特権はできる限り存続させ享受し続けたい、と考えている」

ということだろうと思う。

議会制民主主義を導入する努力は、例えば農村における秘密投票による首長選挙や代議士選挙(郷・鎮レベルの)の実施に見られる。限定的ではあるが、自らの権力基盤を壊しかねない改革をできる範囲で共産党自らが実施しているふしがある。

個人的な意見だが、鄧小平は1979年当時すでに気づいていたのではないかと思う。いずれ共産主義を捨てなければならないことを。そう考えないと、「社会主義市場経済」なんて理論的な説明の不可能なことを無理押しした説明がつかない。

ところで、議会制民主主義の導入に成功した国がその導入時点(直前)に革命等の権力の移譲がおこったとき、普通は流血がおこる。旧体制側の人間が結局なかなか権力をあきらめ切れない。日本は武士階級が特権をあっさり捨ててくれたので、19世紀と古い時代にしては流血が少なくて済んだ方だと思う。(それでも、特権をあきらめ切れなかった者は西南戦争を起こした)

で、シナ大陸の歴史を振り返ると、「権力の移譲に際して流血が少なくて済む」と簡単に考えるわけにはいかない。以前書いたが、数千万単位の死者が結構簡単に出る。資本主義と議会制民主主義という2点セットがシナ社会においてもある程度概念として浸透してきているようなので、20世紀前半までの革命のような暴力的なものにはならない可能性が以前よりは上がっているとは思うが。

シナ大陸の場合、流血が多くなるか少なくなるかは、農民と少数民族、それから軍隊の動向にかかっていると思う。

AD

6月24日 FT.com 記事 <http://www.ft.com/cms/s/ebef88fc-e3ee-11d9-a754-00000e2511c8.html >

FTがCNOOCによるUnocal買収ニュースを特集に格上げしてきた。

今はそうではないが、就職した年度からほぼ6年間、mattは勤務先の中国向け輸出事業に関与していた。顧客の大半は国営企業で、貿易商社あるいは製造業だった。輸出代金支払い督促などの過程で、銀行関係者に会ったこともある。もちろん銀行も国営だった。

そのときの経験から言えるのは、「国営企業は官僚機構の下部組織だ」ということだ。政府が方針を決めないと締結された契約の履行が滞ってしまうことが起こり得る。もちろん、政府が決断すれば、西側では考えられないくらい早く事業が進むことも(たまには)あり得る。要するに、政府の意思決定にかかっている、ということだ。

注意しなければならないのは、この場合政府とは「共産党政権」のことだということだ。

今の中国では一見影が薄くなっているが、「共産党政権」は基本的には「資本家を倒すためなら何をしてもいい。労働者や農民に被害が及ぼうが、資本家とその支配するところの政府を打倒できれば、すべては正当化される」という考え方の持ち主だと認識すべきだ。これは歴史的に見て本当だ。共産主義はそういう思想だ。

例えば、ロシア革命前にスターリンは「党の活動の一環として」銀行強盗をしている。経済活動が滞れば、長い目で見て工場労働者や農奴にも悪影響が及ぶであろうことは十分予想できると思うし、農奴のようなもともと生活水準の低い人々に経済的悪影響が及べば極めて悲惨な状況に陥る可能性が高いが、そういうことは全く無視してよい、という思想であることがこれで分かる。

ロシア革命後、ソ連は英ポンドなどの偽札を大量にヨーロッパにばらまいた。これも「資本家が支配する政府の基盤を破壊するため」の破壊工作だ。その国の経済が破綻したら、まっさきに困るのは金の無い人たちなのだが、そういうことはどうでもいいわけだ。

第一次大戦前までは、ヨーロッパでは国境における immigration control は緩やかだったのだが、秩序を破壊する工作をソ連が容赦なく実行してきたため、パスポートを制度化せざるを得なくなった。(現代では海外旅行時パスポートを所持するのは当たり前だが、第一次大戦までそういう制度は無かった)

中国共産党が政権奪取後に何をしたのかは、もう言う必要は無いだろう。大躍進・文化大革命ともに、権力闘争に勝つためには、根拠薄弱でも敵対する相手を「ブルジョア」と決めつけて粛清することが許されたわけだ。

北朝鮮が日本人や韓国人を拉致したり、偽札や麻薬を在外公館経由でばらまくのも、以上の延長線上のことに過ぎない。共産主義者にとっては、実行するのが当たり前のことであって、別に目新しいことでもなんでもない。

こういう話を今すると「もう、そういう感覚は古い。中国は変わった」と言う人がいるかもしれない。敢えて声を挙げよう。

確かに中国社会は全体としては変わってきている。しかし政権が共産主義を掲げている状態はまだ変わっていない。従い、「共産主義を掲げて、敵対する勢力を粛清にかかることを実行する選択肢を、いつでも留保している」という状態だということだ。

「中国は変わった」と言うのなら、mattは、中国人にこう宣言してほしい。「我々は共産主義を捨てた。共産党政権はもう不要だ。秘密選挙(註)による議会政治をこれからは行う。人には政府を選ぶ権利がある」と。これを言わないから、信用できないのだ。

もっと言うと、メディアの側がこういうことをはっきり言わないから、新聞やTVの中国関連報道にも十分に注意せざるを得ない状態が続いている。

さて、CNOOCの記事に戻る。FTにせよ、日経にせよ、他の(西側)メディアにせよ、「中国の国営企業は共産党が支配している企業だ」ということを、かなり忘れている。「共産党が支配している」ということは、西側の民間企業とは全く異なり、「共産党の政治目的を達成するために、(法律に明確に規定していなくても)CNOOCを動員する」という事態を想定しておかなければならない、ということだ。

極論すれば、中国人民銀行がガンガン札を刷り、すぐにCNOOCに貸し付け、CNOOCが油田を買いまくる、ということも中共政権が望めばいつでも実行可能だ。だから、エネルギー産業の重要性に基づく反対の声がアメリカで上がるのは、当然のことだ。

だんだんエネルギー争奪戦っぽくなってきた。だから、残念ながら、インフレと戦争の足音が少しずつ近づいているということだと思う。これから10~20年くらい、覚悟が必要だと思う。

- - - - - - - - - - -

註: 投票する人が投票用紙に名前を書かない形式の選挙。無記名選挙。

AD

南水北調(2)

テーマ:

今度は Sankei Web/Yahoo! Japan のニュースより。

長江から引く水が途中で汚染され、北京に届く水は汚水になってしまうのだそうだ。

陝西省南部に漢水という河川が西から東へ流れている。上流の方は「漢中」と呼ばれる場所で、秦を倒した後項羽に屈服した劉邦が一時期根拠地を置いていたところだ。

漢水は汚染がひどく、この水が運河に流れ込み、そのまま北京へ供給されるのだそうだ。

さて、中共さん、どうする?

Undersecretary of Defense

テーマ:

今朝の日経国際面の一番右上の記事について。

USの国防副長官が Gordon England になっていることが分かった。mattにとって、これはニュースだ。

リンク先「週刊アカシックレコード」では、2001年9月11日「同時多発テロ」について、「加速する米軍改革」というシリーズを組んでいる(註)。そこで Gordon England について次のように書いてある。

・ペンタゴンの海軍長官室に、飛行機が突っ込んだ。

・当時の海軍長官は Gordon England だった。

・Gordon England は、事件の瞬間は海軍長官室にいなかった(ので、生き残った)。

・Gordon England は、NASA宇宙開発に従事した後、General Dynamics という航空機メーカーに転職した経歴の持ち主。海軍長官としては異例の経歴。(General Dynamics はF-16を開発した会社)

その彼が、Pentagon の第二の人物になった。MDを本当に推進する気に違いない。

- - - - - - - - - - - - - - - - - -

註: 原文を読みたい方は以下の手順で「アカシックレコード」の記事にアクセスされたし。

1.このブログのブックマークの「週刊アカシックレコード」をクリックする。

2.「アカシックレコード」のトップページが出てきたら、下の方へとスクロールする。

3.ページの右側の方に「米中枢同時テロ~戦争特需はありえない」が出てくるので、それをクリックする。

4.出てきたページの一番上まで上がって、上から順に読まれたし。

選択と集中

テーマ:

6月21日付 FT.com 購読者用ページ <http://news.ft.com/cms/s/6034dcce-e27a-11d9-84c5-00000e2511c8.html >

たまには毛色の違った話を。

それにしても、日本企業の中でイギリス人が出世することをイギリスの新聞が特集するようになったのだから、何はともあれ時代も変わったものだ。それだけソニーという企業のイメージが良いのかもしれない。

mattは電化製品のブランドに関心が無いし、映画をほとんど見ないし、ゲームをやらないし、音楽を聴かない。音楽CDは2枚しか持っていない。そのうち1枚は通販での買い物におまけで付いてきたものだ。映像や画像をPCで編集する気などさらさら無い。だから、世間で言われるソニーの良さについては実感が無い。

使っているPCはノート型のVAIOだが、それは、ノートPCを買いにアキバのLaOXに行ったら、店頭に並んでいた機材で一番軽かったのがVAIOだったからだ。今のVAIOは2台目のVAIOだが、それも違うメーカーのだと操作が多少違うので、それを嫌って続けてVAIOを買ったに過ぎない。何とも消極的なソニーユーザーだ。

さて、ハワード・ストリンガー卿は"Project Nippon"のテーマを9つ掲げているようだ。

・家庭用電子機器(AV機器等)事業の損失を解消する
・経営(意思決定)の階層を減らし、官僚主義を一掃する
・ソフトウェア開発における(社内の?)協力を進める
・成長分野への研究開発に再び焦点を当てる
・"Project USA"で成功したコスト削減策を日本でも適用する
・社内の士気を再び高める
・サプライチェーンを再検討する
・工場の閉鎖を検討する
・5カ年成長計画を設定する

そうか。工場の閉鎖ね。どの分野のどの工場を閉鎖するか、今後注目しよう。それがわかったとき、ソニーがこれから「何を捨てるつもりか」はっきりわかるだろう。

映画とゲームと金融は、どうやら捨てる気は無いのかな?

6月17日付FT.com購読者用ページ <http://news.ft.com/cms/s/7de9aeea-df21-11d9-84f8-00000e2511c8.html >
6月16日付FT.com購読者用ページ <
http://news.ft.com/cms/s/93258fbc-de8c-11d9-92cd-00000e2511c8.html >

中共政権国有銀行が香港で上場。

Bank of America が中国建設銀行の株式の9%を30億ドルで取得するそうだ。香港に上場する株式の売り出し価額総額は50億ドルだそうだから、「香港に上場されるH株のうちの9%」ではなさそうだ。中国国内企業たる中国建設銀行本体の発行済み株式全体の9%なら、結構な食い込み様だ。

交通銀行(Bank of Communications)は19億ドルで売り出し。元々からHSBCが19.9%保有していると記事に書いてある。

来年と再来年には、中国銀行と中国工商銀行が香港で上場すると記事に書いてある。そーいえば、中国銀行の香港現地法人は香港で上場しているはずだ。数年前N村から買い勧誘のダイレクトメールを送ってきたのを覚えている。と、いうことは、本家本元の中国銀行が上場するということか?

とりあえず大陸に資金を集めるイベントはまだまだありそうだ。