今日は歴史のお勉強・・・・ | 人は気にならないだろうけど私は気になる。

今日は歴史のお勉強・・・・

この間深夜に、
押井守さんのイノセンスTV放映してましたねぇ~
内容に関しては賛否ありますけど、
映像は間違い無く現在の最高峰と言えるでしょう。
ああ言った、圧倒的な作画のアニメを見ると、
比較してもしょうがないんだけど
自分の画力の無さに落ち込んでしまいますね・・

ただ、
『ちょっとCG使い過ぎじゃないの?』
と僕なんかは思ってしまうんですけど
みなさんはどうでしょう?

『ここは3DCGじゃなくて手描きのほうがカッコイイのにぃ~』
ってカットがいくつかありました。


そう言えばちょっと前、
マクロスFの劇場版と昔のマクロスの映画(愛おぼえていますか)のDVD
いっしょに借りてきて続けて観たんですけど、
Fのほうが絵も綺麗だし、カメラワークも迫力あるし、
メカも3DCGで描かれてて細かくて正確なんだけど、
やっぱり昔のマクロスのほうが好きだなぁ・・・
FはメカのCGがちょっとわざとらしすぎて
なんだか画面に入りこめなかった。
エヴァンゲリオンの新劇場版なんかは割としっくり観れたのに
何故でしょうか?
作り手のセンスの問題なのか?
僕の感性の問題なのか?
単にストーリーの面白さの違いでしょうか?
(新エヴァは3DCGで描いたほうが効率のいいカットをわざわざ手描きで描いてたりと
すごいツボを押さえた使い方をしていたような気がする)

僕も、『トイストーリー』のような全編3DCGアニメだとあまり気にならないし
『ファイナルファンタジー』のような良く出来たゲームのムービーなんか観ると
逆に『すごい!手描きアニメやマンガには絶対出来ない世界だ!』と思うけど、
セルアニメの中に3DCGが使われてると、
先に違和感を感じてしまう。

物心ついた時から3DCGが溢れている平成生まれのナウなヤングはどう思うんでしょう?
僕の周りにいるナウなヤングは非オタクの人が多いので、
聞いても『それ観たこと無い』しか答えが返ってこないし、
例えば一緒に実写映画を観たあと
『あのシーン、いかにもCGっぽくて変だった』
とか言っても
『え?CGって気づかなかった、
てか、いちいちそんなの気にして観てないし』って言うし、
こんなこと考えるほうがおかしいのでしょうか?





思えば、セルアニメに3DCGが導入されたのはいつからなんでしょう?

よく言われてるのが1983年の『ゴルゴ13』が世界初らしいと言う説。
僕は本編は未見ですが、
今観ると出来の悪いゲーム画面のようですね・・・
(もちろん当時は『凄い技術』だったんでしょうけど・・)

ただそれはあくまでもCGのクオリティの話で、
カメラアングルとか演出はカッコいいな!
と思ったら、出崎アニメのようですね。納得。




ゴルゴは最近初めて存在を知ったんですけど、
僕の子供の頃からの記憶で一番最古の物は、
これもそう言いつつ未見ですが、1984年公開の『レンズマン』です。



レ~ンズュメャ~~ン!
う~ん、画面が暗いぶんごまかしが効いて、ゴルゴよりはマシですけど、
やっぱりセガサターンあたりのゲーム画面みたいです・・

その後、やはりセル画との相性が悪いと思ったのか、
アニメに全面的に使うことはしばらく無かったような気がします。
(あったのかもしれないけど、僕は見たこと無いです)

ほんの数カットだけ使用したり
(例・1985年の劇場アニメ/銀河鉄道の夜の一部のシーンに3DCGの汽車が出て来た)
本編と関係無いオープニングやアイキャッチで使ったり
(1988年のオリジナルビデオアニメ/パトレイバーに1分ぐらいのCGアニメが特典映像みたいに入っていた)
手描き作画の補助に使ったり
(1987年の劇場アニメ/王立宇宙軍で飛行機のプロペラが回るカットの下描きに使ったらしいです)
劇中のモニターの中のCG画像として使ったり
(1988年の劇場アニメ/AKIRAの鉄雄のスペシャルパターン・・・・未来のホログラム型の脳波計みたいな物?)
などなど、限定的な使い方にとどまっていました。

(なんか、アニメの歴史講座みたいになってきたけど、
あくまで僕の記憶の中にある物に限った話なので、
厳密には他にエポック的な作品があるのかもしれません。
まぁ、一般的に浸透した物、世間が認知した物のひとつの目安として考えてください。
僕が一般的な人間かどうかは疑問ですが、
バリバリのオタクよりは浮き世に近いと思いたい・・・)



一方で、3DCGの技術は、
ゲームや実写映画、トイストーリー(1995年)などの全編3DCG映画の世界でどんどん進化していきます。

セルアニメの世界では、デズニーがCGの導入に積極的でした。
僕は、1992年(アメリカは前年公開)の『美女と野獣』で、
3DCGとセル画(と言いつつ多分デジタルペイント。デズニーはデジタルペイントの実用化も早かったようです)の完璧な融合を初めて観ました。
ベルと野獣が踊るふたり舞踏会の背景がCGで描かれてます。



今見ると、いかにもCGって感じですが、
当時はビビリました。
従来のアニメの背景は、平面的なカメラワークしか出来なかったからです。
アメリカ恐るべし!

遅れること1998年、
日本でもセルアニメと3DCGの融合の歴史が、再び始まります。
『イニシャルD』の登場です。

(この動画は初期の物ではありませんが
僕の愛車と同じ物が出てくるので個人的好みで貼ってみました。
初期の物はもっとCGが甘かった気がします)



このアニメは僕もリアルタイムで放送を観ていましたが
セル画のカットとCGのカットの質感の違いは違和感アリまくりでしたが、
ストーリーが面白かったのでその内気にならなくなりました。
ただ、CGの車とセルの人物が同じ画面に登場するカットだけは
そのギャップの酷さに歯が抜けそうになりましたが・・・
後にDVDとかで見返したわけでは無いので真相はわかりませんが、
初期の物はセルはフィルム撮影、CGはコンピューターで作って
ビデオ上で合成してたんじゃないでしょうか?
いや、正直言うと、
セル画を写真かなんかで撮った物をハサミで切り抜いて
車のCGが映ったパソコンのモニターの上に乗っけて撮影してるのか?
とさえ思いました(そんなワケないと思いますが、それぐらい酷かった・・・)
その後しばらくして、セル画部分もデジタルペイントになったのか、
『合成の違和感』は少なく無くなりましたが、
かわりに3DCGのクオリティもアップしていったので、
質感のギャップはさらに広がり、いかんともしがたい物でした。

そんな中、そのギャップを埋めるがごとく新たな技術が現れます。
3DCGをまるでセル画のような画風に変換すると言う
『トゥーンレンダリング』や『トゥーンシェーディング』と呼ばれる物です。
僕が初めて見たのは、イニDより1年早い1997年の『もののけ姫』ですが、
どうやらこれが、世界初のトゥーンレンダリング使用のアニメのようです。



たたり神(タワシのお化け)のモニョモニョに使用してるらしいですが
全てのたたり神がトゥーンレンダリングと言うわけではないようです。
この動画ではっきりしてるのは、
33秒あたりのアシタカ(主人公の男)にまとわりつくモニョモニョと、
38秒あたりのたたり神の目のアップに突き刺さる弓矢のカットのモニョモニョです。
(トーンレンダリングされる前のCGのままの画像をメイキングか何かで見たことがあるので確かだと思います)

たしかこの『もののけ姫』は、
宮崎駿さん(パヤオ)が初めてデジタルペイントを導入した作品だったと思います。
(ただし、全部では無く、一部のカットのみ)
色塗りだけでなく、
背景にもコンピューターが使われ、『美女と野獣』のように背景が立体的に動くようになったのが画期的でした。
(26秒あたり)
従来は背景を動かす時はセル画で描くしかなかったので、
ぺったりとした質感にならざるをえなかったんですが(1分47分頃のように・・・)
コンピューターのおかげで、かなり臨場感が増すようになりました。
『イニシャルD』の背景はいかにもCGってカンジでゲーム画面(ドリキャスあたり)みたいですが、
パヤオ作品は多分、手描きの背景を3DCGに貼りこんでいるんでしょう、
『もののけ姫』はテスト導入ってカンジでしたが、
次作の『千と千尋の神隠し』、『ハウルの何とか』と作品を重ねるごとに、
どんどん自然になっていきます。
さすがパヤオ!
でも、その後のポニョでは、いっさい3DCGを使わなくなりました。
やっぱり手描きがいいと思ったんでしょうか?
それはそれで、さすがパヤオ!

話をトゥーンレンダリングに戻すと、
もののけ姫のモニョモニョは、あまり効果的な使い方ではありませんでした。
(正直、手描きのほうが合ってると思います)
パヤオもわかっているのか、
部分的な使い方しかしていませんでしたし、
その後の作品ではトゥーンレンダリングは使用してなかったと思います(うろおぼえ)
やはり、全面的に使用した初期の例として思い浮かぶのは、
1999年のゾイドです。



う~ん・・・僕はこれを初めて見た時、
なんだかすごいガッカリしたような覚えがあります。
トゥーンレンダリングの出来が悪かったわけではありません。
逆に、予想以上に出来が良かったのです。

僕は自分でも絵を描くので、
上手な作画のアニメを観ると『さすが!』『職人芸!』と舌を巻きます。
でも、3DCGはどうでしょう?
もちろん作るのは大変なんだろうけど、
アニメーターが手描きで描くのとは使う能力が違います。
『このままトゥーンレンダリングの進化が進めば、
メカアニメーターの技術がないがしろにされてしまうのでは?』
そんな危惧を持ったのです。

その一方で、トゥーンレンダリングの魅力に心躍った作品もあります。
アニメではなくゲームですが、
2000年のジェットセットラジオ(ドリームキャスト)です。



僕はこのゲームは、発売の前の年に開発中の画面を見たことがあるので、
ゾイドより先に見たんだと思います。
これはゲーム自体すごい面白いのですが、
『アニメのようなキャラを自分で動かせる』
と言うのもまた魅力でした。
『トゥーンレンダリングはゲームのようなインタラクティブな物にこそふさわしいのでは?』
そう思った通り、その後トゥーンレンダリングを使用したゲームはどんどん発売されましたが、
セルアニメでもどんどん使われるようになりました。
メカのみならず、人物にまでトゥーンレンダリングされた3DCGが使われ出す始末・・・
正直言うと、僕にはマネキンにしか見えません。
血の通った物語を描きたいのであれば、
せめて人間ぐらいは手描きにこだわってほしい・・・
そう願ってやまないですが、
今では僕自身、あまりアニメを観なくなってしまいました。
よって、最近のアニメ事情はよく知りません。
たまに深夜で流れているアニメを見かけると、
キャラに関しては手描きがまだ主流のようです。
それとも、僕が知らないだけで、
手描きにしか見えないほどトゥーンレンダリングが進化したとでも言うのでしょうか!?


そんな浦島太朗状態でいきなり『イノセンス』(2004年)を観たので、
おしっこちびりました!



これで、ストーリーが面白ければ・・・
(つまらないわけじゃないですけど、難解すぎでした。
前作の『攻殻機動隊』や昔の押井監督作品のほうがわかりやすい上面白かったです)


余談ですが、
今回色々調べてるうちに、
トゥーンレンダリングを開発したのは
2006年に『鉄コン筋クリート』を監督した
マイケル・アリアスさんであることを初めて知りました。
う~ん、びっくり!
『鉄コン筋クリート』を初めて観た時、
「手描きなんだけどトゥーンレンダリングみたいな画面だな・・・
トゥーンレンダリングで作られたアニメやゲームにでも影響されたんだろうか?」
と思ったんですが、まるで逆でしたね。
失礼しました。
(マイケルさんはアメリカ人ですが、セガやイマジカにいたこともあるようです)

特許も取得されたようなので、
今頃は大金持ちなんでしょうか・・・





さて、もういっこ余談・・・

今回の記事では『セルアニメ』と言う言葉を多用しましたが、
これは本来『セル画に描かれた絵をフィルムで撮影したアニメ』を指します。
ところが現在は、セル画はほとんど無くなり、
代わりにコンピューターで色を塗り背景と合成するので、
厳密には間違いかもしれませんが、
今もセルアニメと言う言葉が使われているようです。
さらにさかのぼれば、
セル画はセルロイドを原料にしていたからセル画と呼ばれているけど、
僕が生まれるより前にアセテート繊維に変わっている。
そもそもが『セル』と言う名前自体がとっくの昔に『厳密には間違い』だったわけです。

そんなわけで、現在はデジタルペイントのアニメが大半をしめてるわけですが、
『じゃあ、世界初のデジタルペイント導入のアニメは何なんだろうか?』と調べてみると、
どうやら『ゴルゴ13』と同じ1983年放映のテレビアニメ
『子鹿物語』のようです。



ただし予算の都合で、オープニングとエンディング、本編は第2話だけしかデジタル制作できなかったそうです。(他はすべて従来のセル画・フィルム制作)

ギザギザ低解像度、色数少なめのFLASHアニメみたいなの物を想像してましたが、
動画で見る限りは、『フィルム制作のアニメ』と言われても気付かなそうです。
さらに、オープニングでは実験的に1カットだけ、3DCGが導入されたらしいです。
ゴルゴ13の公開日が不明だったので断言は出来ませんが、
子鹿物語(11月8日から)の方が早ければ、
文字通り『世界初のデジタルアニメ』と言うことになります。
おそらく上の動画の54秒あたりの
画面を横切る動物の群れがそのカットだと思いますが、
どう見ても3DCGには見えません。
ゴルゴ13やレンズマンが『いかにもCG』な画面だったのに、
この自然な仕上がりははたして?
かろうじて動きはCGのようですが、
それこそトゥーンレンダリングされたようなセル画風の仕上がりです。
もうすでにトゥーンレンダリングの技術が1983年に存在していたと言うのでしょうか?!
アニメ界のミステリーを残して、
このレポートを終わります。


















まぁ、多分、3DCGをアタリにしてセル画で作ったと思うんですけど・・・
どうなんでしょう?