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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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●都議選ショック

 あの安倍「一強政権」も、政権メンバーや与党議員の素行がよくないと、一挙に有権者の信頼を失い、あっと言う間に都議選のような現象が起こる。

 一つの選挙区で複数の候補者が当選する中選挙区が大半なのが都議選ですが、中選挙区制の場合、例えば、一つの政党が定数4の選挙区で2議席を取ることはあっても、定数5の選挙区で3議席を取るのは大変だとされます。ですから、どんなにブームになっても、一つの政党が単独過半数を取るのは容易でないのが中選挙区だとされます。

 ただ、都議会では前回の選挙では自民党が候補者全員当選の57議席で、今回これが23議席へと、過去最低の38議席を下回りましたが、その57議席ですら、全議席数は127、過半数は64ですから、単独過半数には達していませんでした。今回も、都民ファーストの会6議席から49議席(立候補者数50)を取りましたが、それでも過半数ではなく、小池知事を支持する勢力として、公明などを併せて79議席で過半数となったわけです。

 これが小選挙区制の衆議院選挙だったなら、どうなっていたでしょうか。

 今回の都議選が示したのは、もし国政レベルに自民党以外の受け皿が存在すれば、政権交代もありうべしということだったかもしれません。オセロゲームのように一挙に変ってしまう。

 現に、最近の世論調査が示す政党支持率では「支持政党なし」が4割で最多です。

 「一強支配」と言っても、有権者からみれば、他に選択肢がないという理由での消極的選択の結果が、自公政権の安定を支えてきたということを示唆するものでもあります。

 

●真の選択なのか

 それにしても、民意のブレは極めて大きいようにみえます。本来、地方選挙である都議選は無関係なはずの、国政の中間審査というものに、自治体の選挙が使われたともいえます。

 よく考えると今回の選挙、中央政界の失政のインパクトが、本来は地元東京の未来選択に向けて、住民である都民が主権を行使する貴重な場であるはずの都議選を、そうでなくしてしまいました。

 「地方の自立」を言うなら、国政何するものぞ、地方は地方での選択をする、というぐらいの気概があってほしいものですが…。

 世界の課題先進国である日本は、2020年の東京オリパラで世界の目が東京に注がれるときに向けて、どの国もが直面しつつある課題の解決モデルを世界の「先駆的社会モデル」として構築する、そのための社会システム設計をまちづくりと連動させるプラットホームとして、日本で最もパワフルで、解決すべき課題に満ち溢れた東京を位置づける。課題は活力ある超高齢社会の運営、少子化対策、教育、防災コミュニティー、健康、食、環境、医療、介護、福祉、子育て…等々、いくらでもある。これら課題解決モデルをまちづくりと連動させて、ポスト東京五輪の永続的なレガシーとして構築する。

 そんな都政に向けて、東京の未来を競い合う地方選挙であってほしかったと思わないわけではありません。

 もちろん、今般、都民が都政について何の選択もしなかったわけではありません。それは、都民ファーストや小池都知事が掲げる「都政を変える」を選択したことです。

 しかし、それにしても、自民のこれだけの大敗はメディア報道を通じて広がった国政レベルでの政権不信なくしてあり得ず、東京の未来を選択する上で、都議会そのもので自民党多数の構造では「都政を変える」のは無理だと有権者が判断した結果ということでは説明し切れないでしょう。

 都議選で都民が選択するものとしては、もう一つ、自分たちの地域ニーズを都政に反映してくれる有為な人材の選択ということがあります。議員の資質が問われている昨今、上記のような東京の未来づくりにふさわしい人物かどうか、候補者の能力・人物という物差しも大事だったと思いますが、それも吹き飛んでしまったようです。

 果たして地方議会選挙とは、国政政党を住民が選択する場なのか…?

 こうした問題のほかに、実は、もっと深刻で根本的な現代民主政治の問題を浮かび上がらせたのが、今回の都議欄ショックだったと思います。

 

●世界でも異例な日本のマスメディア

 私自身の国政選挙での経験を振り返っても、日本の選挙結果はほとんどメディア報道で決まると言っても過言でない状況があります。特に衆議院選挙のような小選挙区制の場合、各政党は一つの選挙区に一人しか候補者を擁立できませんから、有権者には人物選択という物差しはなく、政党選択という物差ししかありません。

 結果として、特に、ベッドタウンのように住民が日ごろ、地元への関心が必ずしも高くない地域では、候補者がどんなに地元で活動していようと、あるいはどんなに立派な人物であろうと、それとは関係なく、メディアの報道での印象から、政党選択という形での投票行動が行われるのが一般的です。

 日本の場合、テレビのニュース番組や情報番組では、視聴率が10%程度でも、その時間帯に数百万人の規模で同時視聴体験がなされます。朝のワイドショー番組では、どのチャンネルを回しても一斉に、同じスキャンダルニュースが流され、国民の頭には繰り返し、マイナスイメージが刷り込まれていきます。

 多数のチェンネルのケーブルテレビがある米国などと比べても、日本のこんなメディアは世界に例をみないとされます。

 片や新聞は、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞と続きますが、これらが世界の発行部数の上位を占めています。地方紙も数十万部から100万部近い発行部数を持つ地方紙、ブロック紙が多数あります。こんな国も他になかなか類を見ないようです。

 まさに、テレビ大国、新聞大国、ニッポンといえるでしょう。

 よく、インターネットの影響力が言われますが、これは私の経験でも、意外と投票行動には結びつきません。インターネットの場合、自ら関心をもって積極的に特定の情報を収集する行動が前提にありますから、それで投票先を決めるのは日本ではまだ少数派のようです。

 それよりも、、やはり、受け身で自然に何度も繰り返して耳目に入る情報が人間心理に与える影響は極めて大きいといえるでしょう。某女性議員の金切り声が繰り返し、嫌でも耳に入ってくれば、その心理的効果は絶大です。

 このようなマスメディア大国の日本では、メディアが一斉に特定事実を報道すると、国政に与える振幅が過度に拡大することになります。

 その結果、国政レベルでは日本の今の局面の国益は政権の安定であり、これまで先送りされてきた課題の解決に政治がリーダーシップを発揮しなければならない時代なのですが、その国益を地方選挙が大きく揺るがしてしまうことになりました。

 

●post-truth politics

 ここで想起されるのが「post-truth politics」(脱真実の政治)です。

 この言葉は、「客観的な事実が重要視されない時代とその雰囲気。さらに、その状況につけ込んで、あるいは、その状況を踏まえた上で政治が情報発信する時代」を意味します。オックスフォード英語辞典が選ぶ2016年を象徴する英単語として選出された言葉です。

 確かに、2016年は、トランプ現象や欧州での選挙に向けて「フェイクニュース」が話題になりました。「事実」と「真実」は違うという雰囲気が出てきました。

 「もりとかけ」(森友学園と加計学園問題)と言われますが、高橋洋一氏はいずれもフェイクニュースだとしています。私もこのブログで、そのような指摘をしてきました。

 事実を十分に確認せず、あるいは事実を十分に整理せず、興味本位に取り上げて報道を続ければ、本当の事実は真実ではなくなり、創りあげられたストーリーが真実になって、それが世論を動かし、政治を変えてしまう。

 「post-truth politics」には、進化した情報発信技術を政権与党が活用して世論操作をするというイメージがありますが、今回は、野党による印象操作と、そのメディアによる拡大という形で起こったようです。

 情報が特定の意図を持って発信されても、一般の有権者や生活者がそれを受け止めるリテラシーを十分に持ち得ていない現状では、その隙を突いて政治を一定の意図した方向に動かすということが行われる。

 私たちが日常接触する情報量が大きく増加し、偏った、あるいは偽の情報が混ざっていないか、特定の政治的意図が混入していないかの検証が事実上、困難な中では、いとも簡単に、政治や政治が操作されてしまい得ます。

 テレビなどは、単に視聴率を追っかけているだけで、特定のポリシーなど無いと言われていますが、もしすると、日本のメディアも、野党も、単なる拡声器に過ぎないのかもしれません。

 外国勢なども含め、何らかの政治的な意図を持った勢力が、例えば、一方的な内容を興味本位で取り上げる週刊誌などにネタを提供することきっかけとして、メディアによるバッシング現象が一気に広がるということは日本ではいとも簡単に起こり得ることでしょう。

 問題は、日本の生活者全般が現在の政局などを読み解くベーシックな知識と道具立てを持ち得ていない状況の中で、情報発信の手練手管が高度化しているということにあります。

 

●主権者教育

 ここで課題になるのが、こうした「post-truth politics」の時代にどう向き合うことで、有権者が自らの自立思考で政治的な選択を行う健全な民主主義を確保していくのかです。

 図に示したように、本来、本質的な論点の説明能力と選択肢の提示を問われているのは政党であり、政治です。しかし、現実の政治はとてもそこまで到達していない。

 片や、有権者が政治に関する情報を得られるほとんど唯一の手段であるマスメディアは前述のような状況にあり、ほとんどの国民にはメディア報道を自らの判断で読み解くだけのメディアリテラシーが十分ではない。

 やはり、ここは、有権者が、主権者としての自立思考と判断力と選択眼を養っていくことが基本になります。そうした眼力をもって有権者たちがメディア報道を見抜き、政治に、本質的な選択肢の提示に向けたプレッシャーをかけていく。

 いま、日本では「主権者教育」を推進していこうという動きが胎動しています。総務省も「常時啓発事業」を推進していますが、柱は2つあります。

 一つは学校教育です。どの主要国でも小学校から高校教育までの間に政治教育がカリキュラム化されていますが、日本では戦後、政治教育はタブーでした。教育基本法の第14条に政治教育が定められており、第1項が「政治的な教養の尊重」、第2項が「政治的な中立性」ですが、この中立性ということがネックになっていました。学校で政治を扱うことそのものがタブー視されていた背景には、政治がイデオロギーと結び付いていということがあります。酒やたばこと同様、政治というものは未成年がやってはいけないことだとされてきました。

 この傾向が、東西冷戦体制の終焉などを経て、1990年代以降、変化を遂げてきました。かつては憲法の問題もタブーでした。自分たちで自分たちの憲法を考えるというのは、一国の国民としてごく当たり前の営為ですが、戦後の日本では、「護憲派」とは革新であり、「改憲派」とは右寄りであるとのイデオロギーが反映し、憲法は議論しにくい状況にありました。

 このことが、政治を自分たちのものにしていくということをしにくくしていた、これも政治思考の「戦後システム」と言えるしょう。再設計が必要です。

 憲法改正の国民投票法で投票年齢が18歳以下に引き下げられたことを出発点にして、選挙権年齢も2016年から18歳以上までに引き下げられました。ここで課題になるのが、日本の戦後の立憲体制を主体的に担う有権者、国民をどうつくっていくかです。

 総務省の研究会が、2011年に報告書を提出し、新しい主権者教育をシティズンシップ教育という考え方に基づいて推進していくことを提言しました。それは、社会参加の促進と、政治的リテラシーの向上という2つの方針が柱になります。

 そして、政治教育が次期学習指導要領で学校教育に位置付けられることとなり、学習指導要領の改訂の形で具現化することになっています。これは教育の再政治化であり、日本の戦後体制で切り離されていた教育と政治が結び付き始めています。

 そのような時代に突入している中で、主権者意識の高揚は、教育だけでなく、一般有権者にも問われる課題となっています。これは、私が年来主張してきた「公」(パブリック)の形成と重なるものです。

 このことが、主権者教育のもう一つの柱になると思います。

 「公」の価値は「官」だけでなく、「民」が主体的に担う。そこに自立の精神がある。広く社会に課題解決型コミュニティーの形成を促し、真の「主権者」を確立していく。

 このような基本理念を掲げて、過日、私を理事長とする(財)主権者教育推進機構が設立されたところです。

 一般の有権者はメディアからしか情報が得られないからこそ、「常時」における自立思考と参加意識を養うことが「主権者」には求められます。

 日本が真の独立を達成するために、まずは我々有権者の意識改革を。いま、改憲スケジュールも提示されていますが、こうした論点が多くの国民に明確に意識されるようになってこそ、実りある改憲論議になるものと思います。

 

松田まなぶのビデオレター、第66回は「都議選で痛感した「post-truth politics」の時代」

チャンネル桜7月13日放映。

 

 

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