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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 トランプ政権によるシリアへの軍事攻撃は意外感を抱かせるものでした。トランプの一国実利主義のもと、米国はそれまでの世界秩序の運営者、世界の警察官だった米国ではなくなると見られていたからです。

 もちろん、これをもって、トランプのもとでも、米国が世界に自由や人権や法の支配などの「普遍的価値」を推進する米国であり続けると判断するわけにはいきません。反人道的な化学兵器の使用を攻撃の大義名分としつつも、そこにはトランプ大統領としての政略的、実利的な理由が多々あったはずです。

 しかし、「偉大なるアメリカ」というテーマと、トランプ氏として、それを損ったオバマ政権とは逆のことをしようとするという点では、彼には一貫したものがあるかもしれません。北朝鮮や中国との関係で、理想主義よりも徹底的な現実主義や力の行使という路線を採っているのも、オバマとは明確な一線を引くものです。

 Anything but Obama. オバマでなければ何でも良い…。

トランプは少なくとも当面は、この路線を濃厚に打ち出していくように思われます。

 

●いったん棚上げになったTPP

 これは、TPP脱退についても言えることです。理由は何であれ、オバマが推進し、オバマが署名したTPPは否定する。

 では、このTPPがオバマが署名したものではないTPPになればどうなるのでしょうか。

 米国の脱退で、一時は、TPPは終わったという声も聞かれました。米国市場を狙っていた参加国にとってTPPの魅力は薄れた、中国を入れた新協定を模索すべきだという声も聞かれました。多くの日本の識者も、TPPは形、規範として残して将来のモデルに据えつつ、日本は当面、RCEP(東アジア地域包括経済連携)などに軸を移すべきだと論じました。

 確かに、RCEPという、日中韓+アセアン10カ国+豪州、NZ、インドでの経済圏形成は、経済規模ではTPPに匹敵します。巨大市場の米国が抜けたTPPに代わり、中国が入ってきます。

 しかし、インドなども構成国ですので、期待できる自由化度は相当低く、現状では意味が薄いというのが日本政府の本音です。これでは実際の経済効果は小さいでしょう。

 では、日本はTPP戦略をどうすべきなのか。

 2月の日米首脳会談で出された共同声明では、通商貿易ルールについて広くアジアにも均霑されるものを日米で議論するとされ、TPPは米国は脱退したが、「日本が既存のイニシアチブを基礎に地域レベルの進展を引き続き推進」との文言が盛り込まれました。

 これは事実上、日本が米国抜きの11カ国でTPP発効を主導することが日米間で合意されたことを意味します。

 当面は、トランプ政権との信頼関係を優先し、米側を徒らに刺激せず、「アジア太平洋のルール作りに日米が共同で取り組む」といったぼんやりとした合意にとどめておく。

 2月の日米首脳会談で設置が合意された「日米経済対話」で日本側が最も懸念するのが日米FTAです。米側閣僚からは、日本との二国間交渉の優先度の高さや、農業分野の交渉では日本が第一の標的だといった発言も相次いでいます。

 国力の差がもろに出る二国間交渉を米国と行えば、多国間での譲歩以上の譲歩を迫られることは必定です。でも、日本はTPP以上の農産品の開放はできません。

 

●実は、TPPは終わっていない

 しかし、よく考えてみれば、そもそもFTA締結には時間がかかります。日豪FTAも締結まで8年もかかりました。もし、米国が日本に日米FTAを迫ったとしても、交渉している間に米国はどんどん利益を失っていきます。

 わかりやすいのが牛肉関税です。日豪FTAによって、豪州との間では日本の牛肉関税はどんどん下がっていきます。米国は競争上、不利になる一方なのです。

 実のところ、米国経済界にはTPPへの期待が大きく、TPPを11カ国で発効させてトランプ大統領の目を覚まさせてほしいという声すら強いようです。

 時間の利益は米側にはありません。

 3月に米国抜きで初めて開催されたTPP署名11カ国による閣僚会議では、そこに出席した日本政府の高官から直接聞いた話によれば、日本政府の予想を超えて、TPP推進の大合唱、米抜き11カ国での発効を強く求める声が大勢だったそうです。11カ国での発効を日本が主導することに期待する声も聞かれたようです。

 ちなみに、中国も入れた新協定という声は11カ国の間にはなく、どの国も、中国主導となることは避けたがっていることも確認されたそうです。

 ただ、現行のTPP協定では、GDPで圧倒的なシェアを有する米国が批准しなければ発効できない形で発効要件が定められています。11カ国での発効は発効要件の改訂が必要です。

 

 結局、11カ国が署名したTPPを、新たな協定へと改訂されることになります。新協定に生まれ変わるわけです。

 これで、TPPはオバマが署名したTPPとは異なる新しい乗り物になります。トランプは乗りやすくなります。

 日本は11カ国での発効を淡々と進め、米国の参加は熟柿が落ちるのを待てば良いのです。

 米国包囲網はどんどん進んでいきます。

 メキシコは、NAFTAの再交渉で米国が関税を引き上げると言ってきた場合、席を立つとまで言っています。その場合の受け皿としてメキシコのTPPに対する期待は大きいそうです。日本がメキシコに進出している工場から自動車を米国に輸出しにくくなるなら、メキシコは、ブラジルやアルゼンチンなどに売ることを考えているようです。中南米で新たな自由貿易圏を模索しており、日本がTPPを主導してくれないなら、こちらを先行するとまで言っています。

 日本もEUとの間のEPA(経済連携協定)で動き出しています。もし、目指されているように、これが年内に妥結すれば、全世界の貿易額の約35%を占める巨大経済圏が誕生します。これも米国を焦らせることになるでしょう。

 安倍総理は今、TPPと日・EUを最優先としています。

 前述のRCEPも実務レベルでは淡々と進められてはいますが、自由化レベルが低く、日本の対外経済戦略の中軸に位置するものではありません。

 将来、世界最大で最も成長する経済圏となるAPECワイドのFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)は、市場経済や「普遍的価値」とは異質の国である「中国が主宰する国際秩序」であっては実現しません。

 RCEPを通じてではなく、やはり、完成度の高い共通ルールのもとに「法の支配」を徹底する、より自由で開かれたTPPを経路としてこそ実現されるべきものです。

 

●実利主義の米国であればこそのTPP再参加

 「偉大なるアメリカを取り戻す」と唱えるトランプの頭にある偉大なるアメリカとは、1950年代頃のアメリカだと言われます。しかし今や、当時とは世界経済のパラダイムが大きく変化しています。

 貿易赤字をロス(損失)と表現するトランプのアナクロニズム(時代錯誤)は、TPP脱退についても指摘できます。国際分業や国際競争のあり方が当時とは大変化を遂げているからです。

 つまり、1990年代に進展したグローバリゼーションと情報通信革命は、企業による「世界最適地生産」の展開を可能にし、世界経済は産業革命以来と言われる構造変化を遂げました。今や、各国が国民経済単位でフルセット型産業構造を目指して競争する時代ではありません。

 国際分業も農業や工業といった産業単位ではなく、生産プロセス単位になっています。

 企業間、あるいは企業内で、生産プロセスを分解し、コストや技術集積、あるいは市場との近接性などの面から、それぞれ最も有利な最適地での生産を国境を超えて行い、それをサプライチェーンでつなぐことで、究極の価格引き下げ競争を行う。

 これが国際競争の軸になって久しいです。

 

 この「世界大競争」に勝つためには、こうしたサプライチェーン(バリューチェーン)をいかに構築するか、あるいは、いかにそこに組み込まれていくかが決め手になります。

 各企業が活路を開く上で重要なのは、ヒト、モノ、カネ、サービスや情報などが国境を超えて円滑に行き交い、現地での自由なビジネスや権利を保証されている、そのような共通ルールが、できるだけ大きな経済圏で構築されるという状態です。

 それを世界で最も成長性の高いアジア太平洋で構築しようとするのがTPPです。これに背を向けるのは、米国の中小零細企業などにとっても、国際競争からの落後を意味しかねないはずです。

 多国間の協議よりも二国間交渉のほうが、米国のパワーと制裁措置をバックに相手国市場をより効果的にこじ開けられる、その方が米国にとっての自由貿易になる、と、トランプ政権は考えているのでしょう。

 しかし、今の世界経済で重要なのは、経済圏ワイドでの共通ルールの形成です。二国間交渉の積み重ねでは相手国ごとに異なるルールができてしまいます。

 結局、TPPの多国間枠組みのほうが米国にとっても有利なのです。

 よく、TPPは多国籍企業のグローバリズムに資するものとされますが、TPPの本旨は多国間共通ルールのもとでの「法の支配」の徹底にあります。むしろ、そうした大資本のパワーに依らずとも、中小零細企業などが自ら円滑な海外展開を行える道を拓くものといえるでしょう。

 世界でも最も成長が見込まれるアジア太平洋地域を開き、ビジネスや投資の円滑なプラットホームを築くことにTPP意義がある。この点は日米がともに共有する利益なのです。

 実利主義、現実主義のトランプ大統領であればこそ、今の時代にふさわしい「偉大なるアメリカ」の姿を見出す日が来るものと思います。

 

松田まなぶのビデオレター、第59回は「主権者教育の取り組み、アメリカ抜きTPPの可能性」。チャンネル桜4月4日放映。

 今回のビデオレターでは、私が始めた新しい活動である主権者教育についても、ひと言、触れています。この活動については、機会を改めて議論発信いたします。

 

 

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