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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 このところ国会は森友問題で揺れ、報道も世論も政治といえば森友問題一色にみえます。しかし、日本を取り巻く国際情勢に鑑みれば、今は、国政がこのような問題で混乱することを最も避けるべき時期だと思います。

 国有地処分そのものは法令やルールの範囲内で行われており、贈収賄でもない限り、そこに「忖度」があろうがなかろうが、昭恵夫人との関係がどうあろうが、そもそも国政を揺さぶるようなスキャンダルとしての実体があるようにはみえません。

 いま、トランプ大統領のもとで米国が自由、民主主義、法の支配などの普遍的価値を提唱する米国ではなくなる中で、日本がその役割を担うことが期待されています。

 しかし、安倍総理がいくらトランプと信頼関係があるとしても、日本単独で世界を主導することは無理でしょう。やはり、G7の枠組みでの結束が重要です。

 安倍総理は先般、欧州を歴訪し、各国間の協調の強化を図りました。G7では安倍首相はメルケルとともに最古参ですが、メルケルが必ずしもトランプと協調できていないことに加え、安倍総理にはもう一つ、メルケルにはないものがあります。

 それは高い支持率で安定した政権だということです。米国も世界も日本に一目置く背景には、安倍政権が長期政権の見込みのもとに安定しているということがあります。

 いま、世界で最も頼りになる国となっている日本。森友問題で、この状態、つまり政権の安定を揺さぶることは、日本のためにも世界のためにもマイナスです。

 揺れ動いているのは国際経済秩序のほうです。

 その行方を決めるのは、世界のGDPの約8割を占めるG20の場だとされます。それに向けて、価値観を共有するG7の結束が問われます。

 

●G20声明と反保護主義

 その20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が3月17~18日、ドイツのバーデンバーデンで開催され、共同声明が出されました。この声明では、為替については過去の言い方が踏襲されましたが、貿易については、G20の声明ではこれまで言及され続けてきた「保護主義に反対する」旨の文言が削除されました。

背景には米国の主張があります。

 米国のムニューシン財務長官は、「われわれは自由貿易を確信」しており、貿易の有用性も認めましたが、「一部の合意については再検証したい」、「大統領は自由で公正な貿易を望んでいる」と述べ、今回の会議で「公正な貿易」との表現を声明で使うよう主張しました。

 結局、今回は「公正な貿易」との表現も盛り込まれませんでしたが、議長国であるドイツのショイブレ財務相は、「保護貿易主義への反対は議論の余地がないが、(各財務相にとって保護主義の)意味が明確ではなかったということだ」と述べています。

 [図1]に、米国の主張と、その背景となる米国の通商政策の考え方に関するトランプ政権の発言を示しましたが、ここから次の3つのことがうかがわれます。

 

 一つは、米国は、WTO(世界貿易機関)やNAFTA(北米自由貿易協定)のような多国間の協調体制を軽視し、二国間での通商交渉を重視していることです。

 もう一つは、その際、米国の一方的な判断で、不公正な相手国には制裁を辞さない態度を示していることです。WTO違反とされるスーパー301条(相手国に不公正があったときは米国の判断で報復措置がとれる米国国内法の条項)までを例示しています。

 さらにもう一つは、日本との二国間の交渉、中でも農産品への関心が強いことです。

 以上からうかがわれる米国の通商政策の論理は、自由貿易の重要性は否定しない←しかし、自由貿易は「公正」であってこその自由貿易だ←その「公正」の判断をするのはWTOなどではない(多国間イニシアチブを否定)→米国自らが相手国ごとに判断する、というものです。

 「公正」を実現するための制裁措置がWTOなどから「保護主義」だと言われるようではかなわない、そもそもが自由で公正な貿易を目指すための措置なのだから…、これが「保護主義」の意味が不明確であるがゆえに声明から落とすことになったことについての、米国側の論理でしょう。

 ここで論点となるのは、「公正」とは何かです。貿易を巡る「公正」の考え方には、次の2つの立場からの対立軸があります。

 一つは「機会の均等」。米国が戦後秩序として唱えてきたはずの「内外無差別」(自国品と外国品で差別的な政策はとらない)などがそうですが、競争条件が平等でさえあれば、結果が不均等になってもそれは競争力の差であるとして受け容れるというゲームのルールです。

 これに対してもう一つが、「結果の均等」。米国製品は十分な競争力があるはずだ、それなのに大幅な貿易赤字になるのは、相手国側に、外国に対して差別的な不公正な制度や慣行があるからだ、という、まさにスーパー301条的な論理です。

 これは、効率か平等か、自由か公正か、という経済学の永遠のテーマにも関わります。

 ただ、「結果の均等」の立場に立って「公正」なるものを前面に打ち出すと、「公正」の定義は主観的な面がありますから、まさに米国の実利的一国主義につながる論理です。

 

 米国が自国の国益第一主義なのは、何もトランプに始まったものではありません。301条そのものは1970年代の米国通商法から存在します。

時に、普遍的理念を軸とする多国間イニシアチブを推進する米国であっても、それをベールとして利用したほうが米国の国益になると判断されたときにそうするのが米国だと考えたほうが良いでしょう。

国連を始め、第二次大戦後の多国間国際秩序は、米国の国益実現の場でもあり、米国の政権の意に反するときにはこれを一転して軽視する。それが米国の本質であり、大事なのはあくまで米国の国益である、そのことで米国は一貫していると思います。

 

●日本は米国の通商政策にどう向き合うか

 亀井静香・衆議院議員(元金融担当相)が超党派の「防波堤議連」を結成し、米国に言うべきことは言う、外国に対して閉ざす所は閉ざすとし、1億3千万人もの人口のある日本は専ら内需で食べていくべきだと主張しています。

 しかし、その人口が、いずれ2060年頃には7,000万人台もありうるとされるほどの減少傾向の流れにあるという将来像こそが、日本の内需不振の大きな原因になっています。社会保障を維持していけるだけの経済成長を実現するためには、内需振興の一方で、自国の繁栄基盤を広く海外へと拡大していくパースペクティブが不可欠だという現実があります。

 それがTPPです。本来、米国に言うべきことはTPPです。しかし、日本は、TPPのことは当面は米国には言わない戦略をとっています。

 3月15日、TPP署名国(米国抜きの11カ国)は、1月の米国の離脱表明後、初の閣僚級会合をチリで開催しました。

 米国離脱でTPPは終わった、少なくとも求心力は低下した、という多くの見方に反して、意外や意外、米国抜きの11カ国でTPP発効を目指すことで一致、その場は、TPP推進の大合唱だったようです。

 報道では、11カ国の中でも、「米抜き」の将来像には各国間で温度差がある、豪州とニュージーランドのように畜産業で米国と競合する国は米国抜き11カ国での発効を主張する一方で、一部には、中国などを含む形での新たな協定を模索する声もくすぶるとされていましたが、実際に出席した方のお話では、やや誤報とのこと。

 そもそもTPPに臨む最近の日本政府の基本スタンスは、まず、2月の日米首脳会談で出された日米共同声明で、通商貿易ルールについて広くアジアにも均霑されるものを日米で議論するとされたこと、そして、TPPについて、米国は脱退したが、日本はあきらめないという立場が確認されたことが基礎にあります。

 論理的には、日本は11カ国での発効を主導するということになりますが、米国もNAFTAの再交渉で当面は手一杯ですし、しばらくは動かない。

 ただ、時間の利益は米国側にはなく、日本側にある。日豪FTAの合意で牛肉関税は年を経るごとに下がっており、米国の業界と豪州の業界とが競争関係にあります。

 その他、米国産業界にはTPPの結果を歓迎しているところが多く、次第にその声が米国内で高まるであろう。いずれ時が来る。

 こうした基本戦略のもと、2月の日米共同声明は最高の出来だったとされています。

 アジア太平洋のルール作りに日米が共同で取り組む。今はそうしたぼんやりとした合意をするにとどめる。今の時点でTPPをギリギリ持ち出すのは失策、という考え方です。

 ただ、4月には日米経済対話も始まります。その場では「日米FTA」を極力回避する。しかし、米国が強く言ってきて拒否を貫けないとすれば、日米FTAをアジア太平洋のルールとなるようなものとして構築する。

 但し、農産品は日本はこれ以上の開放はあり得ない。そこは断固拒否する。農水省もTPP以上のことはもうできないとしている。そうならないようなFTAを作る…。

 

●米国がTPPに乗る日が来る。

 ところが、3月の11カ国閣僚会議や、米国経済界の状況をみると、TPPの11カ国での発効に日本がイニシアチブを発揮する局面が予想以上に近づいているようです。

 このことに日本がやや慎重だったのは、11カ国で日本が旗を振ると米国との関係を悪くするとの懸念が背景にありましたが、日本の政府高官たちが実際に米国を訪れてみると、米国経済界からは、むしろ、「TPPを11カ国で発効させてトランプ大統領の目を覚まさせてほしい」という声が強いことが確認されました。

 11カ国で発効するためには、発効要件の改定が必要です。結果としてTPPは新しい協定に生まれ変わります。トランプがTPPを脱退したのは、オバマが署名した協定は嫌だということが強かったそうです。

 ならば、新しい乗り物を作れば、トランプも乗りやすくなります。

 先にみたような米国の通商政策のスタンスからすれば、米国が日米FTAを要求してくる懸念が大きいですが、そもそもFTA締結には時間がかかります。日豪FTAも締結まで8年もかかりました。米国が日本とFTA締結交渉をしている間にも、豪州との間では牛肉関税がどんどん下がっていき、米国は競争上、不利になる一方です。

 ちなみにメキシコは、NAFTAの再交渉で米国が関税を引き上げるなどと言ってきた場合、席を立つとまで言っているそうで、その場合の受け皿としてメキシコのTPPに対する期待は大きいようです。

 また、日本がメキシコに進出している工場から自動車を米国に輸出しにくくなるなら、ブラジルなどに売ることを考えているようです。中南米で新たな自由貿易圏を模索しており、日本がTPPを主導してくれないなら、こちらを先行するとまでメキシコは言っているようです。

 中国との関係では、TPPよりも、中国も入れた新協定を、という声は11カ国の間にはなく、どの国も、中国主導となることは避けたがっているようです。

 5月にはベトナムで、また、11カ国での閣僚会議が予定されており、その場で方向性を出さなければならない状況になっています。米国に気兼ねすることなく、TPPはTPPで11カ国での発効を日本が淡々とリードしていく局面になってきました。

 他方で、日本とEUとの間のEPA(経済連携協定)も動き出しています。もし、目指されているように、日・EUが年内に妥結すれば、全世界の貿易額の約35%を占める巨大経済圏が出来上がります。これも米国を焦らせることになるでしょう。

 障害は日本の農産品で、日本としてTPP以上のことはできませんが、欧州の場合、関心品目は乳製品が中心で、コメや牛肉などのTPPとは必ずしも対象品目が重なっていないという面があります。

 安倍総理は、いまや、TPPと日・EUを最優先としているようです。

 米国が理念よりも実利を国益として優先するのであれば、こうして、自ずと、米国がTPPを再び選択することになる環境が着々と出来上がっていく。

 それが日本の当面の戦略だと思います。そのためにも、G7や国際社会でのリーダーとしてもトランプ氏が頼りにしている安倍総理の政権基盤の持続的な安定が必要でしょう。

 

松田まなぶのビデオレター、第58回は「自由貿易と保護主義とTPPの先行き」。

チャンネル桜3月24日放映。

 

 

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