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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 先日、亀井静香・衆議院議員に某誌の取材でインタビューした際に、超党派で「防波堤議連」を立ち上げたとする亀井議員は、いまの官邸では米国に言うべきことを言えないとしていましたが、2月の日米首脳会談で合意した「日米共同声明」は、日本の立場や主張が相当程度、反映されたものになっています。

 ここでの合意に基づいて「日米経済対話」が4月にも始まりますが、3月某日、岸田外務大臣は日本の外交方針について「普遍的価値を羅針盤に」と表明しました。

 

●トランプ政権の抱える経済的リスク

 2月28日、トランプ米大統領は米議会上下両院合同会議で演説し、これが好感され、その直後に、株式市場では米NYダウが21,000ドルの大台乗せをしました。

 この演説が評価されたのは大統領の演説として意外と無難な内容だったからだとされますが、市場の反応が良かったのは、むしろ、演説に中身がなかったからだとの見方が日本の政府筋にはあります。

 演説でも1兆ドルのインフラ投資に言及がありましたが、問題は財源です。それによって今後、トランプの政策の内容が当初の期待ほどでないということが出てくるたびに失望、という展開がありえないことはないのが、一つのリスクです。

 財源として現在、検討の俎上に挙がっているのが、法人税への国境調整税の導入、海外子会社への課税、利子の経費控除の廃止、租税特別措置の全廃などですが、これらのうちどれだけが実現するかで、減税の規模も決まることになるでしょう。

 もう一つのリスクが、トランプのむ米国が通商政策などで「内向き」であることです。日本はこれにどう向き合うか。

  

●日米共同声明で日本が確保したもの

 2月10日の日米首脳会談は、安倍総理とトランプ大統領との信頼関係が強まったことや、安全保障面で安保条約5条の尖閣適用など、日本としてとりあえず確保すべきものは確保できたという点で成功だったとされますが、実は、経済面でも結構、日本は実を取っています。

[第1図]

 この会談で合意された「日米共同声明」のポイントを[第1図]に掲げましたが、日米は世界のGDPの30%を占める重要な関係であるとして、その責任を両国が果たしていくというのが全体の基調となっています。

 米国が「アメリカ・ファースト」から少し、脱皮しているかにみえますが、これからの本格的な交渉を前に、まずはバラ色の建前を描いたといえるかもしれません。以下、声明の経済圏でのポイントをみてみます。

 第一に、マクロ政策については安倍政権発のワーディング「3本の矢」が使われています。

 懸念されているのは「為替操作国」。共同声明には「金融」が入っていますが、私の財務省同期の浅川財務官が米側に強く申し入れ、「金融政策は為替操作とは言わない」という合意が日米間では一応、できています。

 その点はトランプも理解しているはずですが、今後、もし、日米経済対話の内容に為替操作ということを米側が入れようとした場合、日本側は断固拒否することになります。

 むしろ、今後、米側が言ってくる可能性があるのは財政政策のようです。2019年10月に予定通り消費税を2%引き上げるのか、2020年度プライマリーバランス目標を先延ばししてはどうかなどです。

 G7では、財政出動を唱えがちな米国の一方で、ドイツは極端なほど構造政策一本槍。その点、3本の矢を世界標準化させている日本はバランスが良いといえます。

 第二に、貿易や投資などのルールメイキングです。日米両国で、広くアジアにも均霑されるルール作りをしていくことが合意されたことは注目してよいでしょう。

 「日米FTA」を避けたい日本としては、アジア太平洋地域のルールは多国間のTPPであることを貫きたいところです。共同声明に盛り込まれた「アジア太平洋地域における…高い基準」、「日本が既存のイニシアチブを基礎に地域レベルの進展」との文言にご注目ください。

 既存のイニシアチブといえばTPPということになります。

 要するに、米国はTPPを脱退したものの、日本はTPPをあきらめないというメッセージが出され、合意されたことになります。論理的には、今後、米国抜きで11カ国でTPPを進めるということになりますが、現実には発効要件の協定改定が必要になるなど、TPPは、しばらくは動ないでしょう。

 米国もしばらく、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉関係で手一杯になります。

 TPPが動かないとすれば、「地域」でのイニシアチブとしては、ほかにRCEP(東アジア地域包括的経済連携)があります。ただ、話し合い自体は行われていますが、この日中韓、ASEAN、豪州、NZ、インドの枠組みは期待薄です。

 インドなどが入っており、低レベルの自由化しか期待できないなら、日本にとって意味がないというのが日本政府の本音のようです。

 むしろ、日EU、日英(EU離脱後)間でのFTAのほうに、日本政府の期待はあるようです。両方ともすぐに進むものではありませんが、日米も含め、腰を据えて多角的に自由経済圏の形成を進めていくということになるでしょう。

 

●日米経済対話の枠組み

 第三に、日米経済対話の場を、麻生副総理とペンス副大統領をそれぞれのヘッドとして設け、①経済政策、②インフラ投資やエネルギー分野での協力、③貿易・投資ルールの3本柱で協議していくことが合意されたことです。

 この日米の枠組みが実際にどのような内容のものになるか、1~2回、やってみないと分からないようですが、早速、4月にペンス氏が訪日する際に始まります。

 かつての日米構造協議のような枠組みになることを懸念する向きもありますし、少なくとも米側は、日本の農産物市場の開放や自動車の非関税障壁などを言ってくると予想されます。

 ただ、どちらかといえば、対米投資の話が中心になるというのが日本側の大方の見方であり、例えば、自動車の米国での生産を増やしてくれといったことも大きな柱になりそうです。

 90年代の日米構造協議のときは日本の構造問題でしたが、今はむしろ、米国こそ構造政策が必要だというのが日本側の主張でしょう。トランプの支持基盤となった「ラストベルト」の根本的な問題解決のためには、保護主義ではなく、労働者のモビリティーを高め、他分野への雇用転換を進めるべく、産業構造の転換が必要だからです。

 いずれにしても、日米首脳会談は経済面では、上記の日米共同声明により、①世界経済の運営に責任を持つ日米両国の協調の姿勢を確認し、②為替操作国など懸念された問題はとりあえず回避し、③TPPを進める日本の立場が是認されたことなど、現段階で日本は取れるものは取ったといえるでしょう。

 ただ、これはあくまで土俵づくりとしての成果に過ぎず、日米経済対話はこれからであり、日米FTAの問題など、色々なリスクが予想されます。

 

●再び価値観外交か?

 米国第一主義、内向きのトランプ大統領のもとで、1917年の第一次大戦への米国参戦から百年続いたパクス・アメリカーナは、本年をもって終焉すると言われています。

 ウィルソン大統領以来の、自由や民主主義などの普遍的な価値を世界に唱導する米国が終わり、トランプとの間で安倍総理が信頼関係を築いている日本の役割への国際社会からの期待が高まる局面に入っています。

 今回の日米共同声明も、これを土台に、日米関係が国際社会のモデルになるようなものになることを期待するものですが、それはさておき、日本の外交路線には全体として大きな変化が迫られているようです。

 第二次安倍政権になってからは、安倍外交は、かつて第一次安倍政権のもとで唱えられた「価値観外交」を捨て、現実主義と勢力均衡を旨とするようになっています。しかし、米国に代わって普遍的価値を提唱する役割を担う国はどこかとなると、それは日本である。

 これまで普遍的価値の部分は米国が担っているからこそ、第二次安倍政権の日本は現実主義に徹することができたが、今後はそうもいかない。

 こうした流れのもと、3月4日、都内で開催された言論NPOの「東京会議」で、岸田外務大臣は、「国際情勢が不透明だからこそ、日本は自由、民主主義、法の支配といった普遍的価値を羅針盤に、バランスのとれた政策や外交を追求すべきである」旨、演説しました。「バランスのとれた」という意味の例として、岸田外相は、安全保障と外交、国益とグローバルな課題、目先の短期と中長期を挙げています。

 ただ、これだけではあまりに教科書的です。まさに永遠の普遍的真理であり、永遠に成り立つ普遍的真理は、それ自体、現状を変える上で力を持つだけの意味をなすものにはなりません。一般に、「特殊状況的な解」にこそ、人を動かすソリューションがあります。

 重要なのは、日本の置かれた特殊状況的立ち位置です。

 その上に立って、今後、日本が追求すべき「普遍的価値」とは何なのかを、もう一度、私たち日本人自身が十分に考えていかなければならないと思います。

[第2図]

 上の[第2図]をご覧ください。ここにまとめたような「価値観外交」や「自由と繁栄の弧」に戻るというのではなく、もともとは欧米が生み出した「普遍的価値」を結果として実現するための、日本ならではの、世界がなるほどと納得する価値とは何かを考えるべきです。

 普遍的価値としては、かつての価値観外交で定義された「自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済」以外にも、地球環境、核不拡散、非核平和主義、人間の安全保障などが挙げられるところですが、日本の場合、日本がいま、世界で最初に人類共通の課題に直面する「課題先進国」という特殊状況にあることを踏まえた普遍的価値とは何かが大事だと思います。

 だとすれば、それは世界共通の課題解決だということになるのではないでしょうか。そこから、第2図にあるような3つのリーダーシップが日本に問われてくることになる。

 その根底にあるのは日本の国民性です。

 機会を改めて具体的に論じてみたいと思います。

 

松田まなぶのビデオレター、第57回は「トランプ政権の抱える経済的リスクと日本の役割」。チャンネル桜3月7日放映。

 

 

」。チャンネル桜3月7日放映。

 

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