Q&A1469 なかなか移植に至りません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妻38歳、夫39歳。不妊期間約3年。既往歴なし。36歳時AMH 1.54、他採血は問題なし。両卵管通過性あり。基礎体温は2相性で28-31日周期高温期8-11日。フーナー良好。D3のFSH 6-10。

36歳自然周期で人工授精4回施行しましたが全て陰性でした。その後体外受精をトライしました。
①ショート法(HMG+HCG)採卵4個体外受精で3個受精、2個の胚盤胞が得られ全胚凍結、うち4BAをホルモン補充周期で移植も着床せず。4BBは融解時に壊れ、移植出来ませんでした。
②アンタゴニスト法(HMG+セトロタイド+HCG)採卵3個体外受精で2個受精もその後分割進まず。
③クロミフェン法(セロフェン5日間+ブセレキュア)2個の卵胞が見えていたものの空胞(E2 199.4)でした。
いずれも精液所見は正常でした。

年齢やAMH値から、体外受精の方が可能性が高いのではないかと思ってやってきましたが、移植にまで至れず、「結局移植出来なかった、採卵できなかった」という精神的なダメージや費用対効果など考えると、ステップダウンして再度人工授精でやっていった方がまだ希望があるのではないかとも思っています。顕微授精ではなく体外受精で受精卵が得られたことが、人工授精に希望を持ってしまう理由でもあります。あとはもう回数重ねて、よい卵に出会えることを待つしかないでしょうか。また夫の海外出張もあり、凍結精子での人工授精になる回も出てきそうです。

 

A AMHと年齢にしては実際の採卵数が少ないですので、刺激法が合っていない可能性が考えられます。私なら、クロミッド1T+フェリング150単位+富士150単位を連日使います。

36歳では人工授精4回で出産率が頭打ちになりますので、やはり体外受精が推奨されます。ただし、卵巣刺激を行っていなかったようですので、卵巣刺激を用いた人工授精を2〜3回行ってみるのも良いと思います。

また、凍結精子による人工授精は成績が思わしくないので、お勧め致しません。