過剰なライター/翻訳家 小林真里の rock n' roll days

映画評論家/翻訳家/音楽ライター Masato Kobayashiによる、最新ライヴ・レポート、映画批評、アート鑑賞記などなどニューヨーク&東京ライフをあらゆるアングルからお届けするエッセイ的ジャーナル!


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 『ビフォア・サンセット』『スクール・オブ・ロック』
リチャード・リンクレーター監督の新作で、
キアヌ・リーブス、ウィノナ・ライダー主演の
『スキャナー・ダークリー』が金曜日に封切られた

ので、 初日に観てきた。

この映画は、フィップ・K.ディックの原作をベースに
している。ディックといえば、数多くの著作が映画化
されているSF作家なわけだが、その作品化された
6本はずばり下記の通り。

■『ブレードランナー』(映画タイトル)

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(原作タイトル)

■『トータル・リコール』 「追憶売ります」

■『スクリーマーズ』 「変種第二号」

■『クローン』 「にせもの」

■『マイノリティ・レポート』

「マイノリティー・レポート」

■『ペイチェック』  「ペイチェック」

え?これ、寺沢武一の「コブラ」じゃん?
と思った『トータル・リコール』が個人的には
ディックとのファースト・コンタクトでありました。
というか、ネタをパクったのは「コブラ」のほうですけど!

ともかく、今回の映画の原作を僕は未読なのですが、
どうやら、ディック自身の麻薬中毒時代の話を基に
しているらしく、彼のヤク中仲間の7人が命を落としている
というような話も聞きました。


スキャナー

あらすじですが、舞台は今から7年後のカリフォルニア
(アナハイム)。
麻薬潜入捜査官キアヌが、上司からある人物の監視を
命じられる。その人物とは、なんと潜入捜査中の自分
だった!マジかよ!!

そう、警察内でおとり捜査官の正体は秘匿されるため、
その匿名性を保つためにスクランブル・スーツという、
コンピューター・グラフィックスで自分の顔や服装を
瞬時に次から次に変えるモビル・スーツを着ているため、
上司も部下も、お互いの顔が分からないのだ!
それって、ドラえもんの「石ころ帽子」みたいなもん
ですね!違うか!
藤子フジオ先生方はしかし、どんだけ高級なおクスリを
キメてたんでしょうかね?!あと、宮崎駿も!
(冗談ですよ、冗談。どうどう)

おとり捜査に深入り過ぎて、サブスタンスDという
薬物に依存しているキアヌは、ヤク中仲間のロバート・
ダウニーJr.やウディ・ハレルソン、そして彼女の
ウィノナ・ライダーと一緒にハイになっている間の
記憶がないことに、監視ビデオを見て初めて気づく。
そして、クスリの副作用のせいで、次第に自分の精神が
蝕まれ、自分が二つの人格に分裂つつあることを
感じ始めたキアヌ。
彼は、上司にヤク中ぶりを見つからず、まんまと
逃げおおせ、さらにヤク中から脱却できるのか?!


キアヌ

オープニングから、ディックの麻薬体験記がリアルに
描かれており、麻薬中毒者の症状の一つである、
「幻覚」がまず笑いを誘う。
登場人物の一人の頭に、いないはずの大量のゴキブリや
虫が突如現れて、慌ててベッドを抜け出し散々シャワーを
浴びて、さらに殺虫剤を頭から目一杯ふりかけたり。
ここのシーンを見て、高校時代に会ったシンナー中毒の
人らも、同じように幻覚見てるような話してたよなあ。
ということを思い出しました!シンナーですって!
三重ですから!田舎ですから!押忍!


キアヌ

そして、この映画は、『ウェイキング・ライフ』に
続き、リンクレーターにとって、二本目のロトスコープ
映画だ。
ロトスコープとはアニメーションの手法の一つで、
実写の動画をトレースして、アニメーションにする方法だ。
『ウェイキング・ライフ』の場合、現実か夢か分からない
ような世界観を表現する上で、これは必要な手段だったかも
しれない(トリップできる映画で、好き!)。

はたして、今作『スキャナー・ダークリー』では、
そのロトスコープに意味があるのだろうか?
わざわざ、実写にアニメかぶせる必要性があったのか?
と、疑問を持ちつつ鑑賞していたのだが、
十分そうした意味は、あった。

まず、アニメ化することで、CGとはまた違った手段で、
「近未来」を舞台にした「SF」映画観をスタイリッシュに
増長させていたという点。

そして、スクランブル・スーツも、あれはアニメーション
だからこそ、しっくりくるものであり、CG使って
やられたら、きっと違和感を感じるものになっていただろう。
幻覚のせいで、全身ゴキブリになったロバート・ダウニー
Jr.が見える映像も、アニメでなければ甚だ滑稽だったの
ではないだろうか。
というわけで、近未来のオトリ捜査官ガジェットや
麻薬中毒者のトリップ感をリアルに観せる上では、
非常にスマートで効果的な手法だったと思う。

さらに、ウィノナ・ライダーのヌード・シーン!
今まで映画で脱いだことのないウィノナも、アニメなら
脱がせてもオーケーだぜ!という狙いもあったのだろう!
あったのかな!

ストーリーは、中盤までは麻薬中毒者たちの日常や会話が
だらだらと映されるだけで、特に展開はないが、
キアヌが自分の深刻な中毒ぶりに気づいたあたりから、
ピッチは上がり、スリリングな展開になってきます。
クライマックスでは、ちょっとしたどんでん返しも
待っています。多分、原作とエンディングは違うのでは
ないでしょうか?


ウィノナ

結局のところ、自分がティーンエイジャーの頃から不動の
ナンバー1女優であるのが、実はウィノナ・ライダーだ。
アニメ化されているとはいえ、ちゃんとした映画主演作は、
2002年の『Mr.ディーズ』以来。
そう、例の万引き事件があった、あの年以来だ。
とにかく、彼女がスクリーンに戻ってきてくれて、
嬉しい。今年は、今後も主演作が公開されるので、
本当に楽しみだ。

そして、RADIOHEADの曲が4曲ほど劇中使われてました。
エンドクレジットでは、トム・ヨークのソロ・アルバムから1曲

使用。ここまでRADIOHEADが全面的にバックアップした

映画もこれが初めて。


ERASER



デイック作品の中では、SFらしさの希薄な近未来映画
ではあるが、実話を基にしているだけに仕方ないし、
アニメを用いることで、逆にディックの当時の悲痛な
状況が浮かび上がってきて、サスペンスの要素や物語性が
ありつつ同時にリアルな地獄体験記が描かれている。
滑稽なんだけど痛々しい、でもちゃんと希望もある映画に
仕上がっていて、リンクレーターがこの作品を映画化した
のは間違っていなかったなあ、と強く感じさせられる、
期待通りの作品でした。

次は、原作を読んでみようと思います!

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