2010-11-14 22:18:21

神奈川県教委:「PTAの自動加入は違法ではない(が、任意加入が望ましい)」2010.11.12

テーマ:PTA
追記:昨日、神奈川県教委の担当者氏から、「自分たちは『強制加入』という言葉は使っていない。」という申し入れがありましたので、タイトル中の「強制加入」という言葉を「自動加入」に変えました。
この点をめぐるやりとりについては、今日にもアップしたいと思います。(11.18)


先週の金曜日、神奈川県教委のY氏から留守電が入っていた。
はて?と思いつつ、わざわざ連絡をくれるのだから、悪い話ではないのではないかと、いつものようにポジティブな私は思った^^;。

折り返し電話をすると、「依頼の法律相談の結果が出たのでお知らせしたい」とのこと。
そう言えば 、昨年度末に、
「その学校の先輩保護者がPTAに『全員加入』だと決めたら、新入生の保護者もそれに従う必要がある。だから、PTAの全員加入は認められる。」とする神奈川県教委生涯学習課に対して、「そんな非人道的な理屈が通るとは思えない。県の法律担当部局、人権担当部局の見解も求めたい。」と申し入れをしていたのだった。拙記事<神奈川県教委からの再々回答(3.25)>

なんと、結論としては、自動的な加入も、規約等で「全員が入らなくてはならない」と決めて全保護者を強制的に加入させることも、「法的に問題はない」と言うのだ。
この判断は、生涯学習課として庁内の正規の手続きを経て、法務部門に問い合わせた結果のものだとも。

先方のロジックを紹介しよう。
①PTAは権利能力なき社団であり、そのあり方を直接的に規定する法律はない。
②憲法で保障されている「思想・信条の自由」の侵害にならないか?という問題については、PTAは「官」ではなく「民」なので、憲法が直接的に適用されることはない。
③しかしながら、(滋賀県甲賀市の自治会裁判にも見られるように)民法90条(公序良俗)に触れるか否かを通して、憲法が間接的に適用されることはありうる。(拙記事<事実上の強制」を認めた画期的な判決その1(自治会裁判とPTA(3)> 参照)
④公序良俗に反するかどうかを考えるとき、「社会通念」に反するかどうかが問題となる。
⑤「社会通念」ということを考えた時、ⅰ)PTAに全保護者が加入することは長い間の慣行になっていること、ⅱ)近年の保護者に対する意識調査を見ても、過半数を超える保護者がPTAは必要だと考えている(文科省委託調査)、ことが考慮されるべきだ。
⑥よって、子どもが通う学校のPTAに加入することは保護者の意思と考えられる。
⑦よって、自動加入や強制加入は違法ではない。
⑧ただし、(埼玉県県営住宅における自治会退会をめぐる訴訟の判決に照らしても)退会の意思表示がなされた場合にそれを認めないのは違法である。(拙記事<「事実上の強制」を認めた画期的な判決 その1(自治会裁判とPTA(3)) >参照)

私が特に問題だと思うのは、「⑥よって、子どもが通う学校のPTAに加入することは保護者の意思と考えられる。」のところである。
「保護者の義務」ではなく、「保護者の意思」としているところが、大変に興味深い。

「意思」とは、一人一人が持つはずのものなのに、ここでは十把一からげにされているのである。
一人一人の保護者がその主体性により判断を下すということが、まったく認められてはいないのだ。
こんな“人権(自由権)”を蔑にした言い草があるだろうか。
このようなことが県教委の担当者や県の法務部門から発せられるとは、ちょっと信じられない思いである。
公務員として、憲法99条(憲法尊重擁護の義務)に抵触しないのだろうか。
次回の話し合いでぜひ聞いてみたい。
(もっとも、憲法99条のことはすでに指摘したことがあるので、分かったうえで言っているものと思われます…。)

そして、この返答は、ひとえに神奈川県教委の問題と言うよりも、日本文化の負の側面(=「個」をないがしろにする)が凝縮され現れているように思われてならない。


上に、一応、先方の言い分をまとめてはみましたが、話を聞いているときも「?」が激しく点滅しておりました。(こうしてまとめてみても、主張の主要部分と思われる⑤と⑥は、特に?です。また、⑥の唐突さが特に気になります。)
どう考えても、私には、筋の通らない話だと思われます。
そこで、「今回の判断をぜひ文書にまとめてほしい。みなさんに読んでほしいと思う。」とお願いしてみました。
そうしたら、意外とあっさりと、「一定の手続きを踏めば可能」との返答。
来週、その文書化の要請を行いたいと思っています(先日は時間がなかった)。


と、このように、大変残念な返答だったわけですが、「では、これからも従来通り、自動加入・強制加入のPTAを放置、奨励するのか?」と聞きますと、「今後は、神奈川教委として、いろいろな機会を通して、『PTAは任意加入が望ましい』と啓発していきたい。」ともおっしゃるのでした。
「従来も、優良PTAの選考に当たっては『任意加入』のPTAをより高く評価してきた。」とも。
こういう言葉が聞けたことは、交渉を続けてきた私としても大変うれしかったです。

そうは言うものの、今回示された法的判断の妥当性についてはしっかりと検討・批判していきたいと思っています。
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コメント

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8 ■Re:Re:Re:う~ん。怖いですね。

>いっこくさん
こちらこそご無沙汰しています。
御子息のご活躍に刺激されたわけではないですが、最近、また自転車に乗るようになりました。
といっても、クロスバイクで近くの湖(多摩湖・狭山湖)周辺をちんたらと走っているだけですが。
でも、とっても気持ちがいいです。

ここまでのことを平気で言いますか? とは、失礼ながら思わせられていますし、また、一方では神奈川県教委は「これからは『任意加入』を推進していきます。」と明言しているのだから、「自動加入は違法にはあらず」との先方の発言にあまりこだわる必要はないのかもと考えたこともありました。

しかし、そこから見えてくるものが、私が日本語を通してもやもやと感じてきた「日本的な問題性」と妙にリンクしているように感じられて、神奈川県教委との「対話」に非常なやりがいを感じている次第です。
それに、めげずに石を積み重ねているといつか地蔵菩薩さまが現れて救済してもらえるそうですしね^^;。

7 ■Re:Re:う~ん。怖いですね。

>まるお(加藤薫)さん

ご無沙汰しています。お役人や弁護士の言葉の遊びにつき合わされるのは、非生産的で賽の河原状態でやってられないですね。

6 ■Re:過半数!?

>とまてさん
なるほど、データを丁寧に読むといろいろと分ってきますね。

しかも、あり方さんの指摘にもあるように、これまでは役員でさえ「任意」であることを知らない人が50%もいるわけで。
任意であることを知れば、結果は変わりうると思われます。

また、「保護者会」と「PTA」の区別がどこまで付けられたうえでの調査なのかも大いに問題だと思います。
「保護者会が充実すればPTAはなくてもいい」という人は多いのではないでしょうか。

しかもしかも、「PTAが必要かどうか」と「PTAは全員加入かどうか」は、別個の問題だと思われます。
ほとんどの人が警察は必要だと考えているように思いますが、だからと言って、国民全員が警察官にならなくてはいけないわけではありませんよね。

5 ■Re:う~ん。怖いですね。

>PTAのあり方とは・・さん
いやあ、私は、こんな答えが返ってくるとは夢想だにしていませんでしたよ^^;。

しかし、考えてみれば、弁護士というのは、依頼者の立場に立って相当無茶なことを平気で言うものですよね。だから、「ビビらず、焦らず」で行きたいと思います。

おっしゃるとおり、私も、「まともな判断ではない」と強く思います。だからこそ、文書化を求めもしました。どの程度、弁護士の考えが反映されているのかも興味あるところです。

**
「必要と答えたのが過半数を超える」ことに注目するのであれば、「任意であることを知らない役員が多い」事実にも注目すべきかと考えます。
**
この点はその場で担当者氏に伝えました。
反論はありませんでした。

4 ■Re:⑧の提示が大切だと思います

>FJNさん
一歩前進というところでしょうか(?)。
ちなみに、⑧の主張は、文科省の係長氏も同様のことを言っていました(昨年度)。

御コメントに触発されて思ったのですが、では、「非入会の意思表示」がなされた場合はどうなるのでしょうかね。
もしも「それでもいったんは会員になってもらう」とするなら、国民の選択の自由を民間の権利能力なき社団が拘束することを認めることになりますね。
そのような『権利』がなぜ【権利能力なき】社団に認められるのか??
このあたりのことも、次回(できれば明日にでも)聞いてみたいと思います。

県教委の担当者氏は、しきりにPTAは権利能力なき社団だから法的拘束は受けにくいのだということを言います。
では、そのような集団が「国民の行動を制限する『権利』」をなぜ持てるというのか?

神奈川県教委に言わせると、PTAとは、国家からの拘束は受けず自由に振舞い、いっぽうで、国民の自由を拘束する権利は有する存在だとなります。

法による被拘束性は持たず、国民に対する拘束性は強力に有する。
(※「会員」ではなく「国民」であることに留意。
「会員」が「会」に拘束されることは問題なし。)
こんな恐ろしい存在を野放しにしてはいけないのではないかと改めて思いました。

御コメントからずいぶん話が先走ったこと、ご容赦。

3 ■過半数!?

まるおさん、「今後は、神奈川教委として、いろいろな機会を通して、『PTAは任意加入が望ましい』と啓発していきたい。」は良かったですね。ありがとうございます。

“ⅱ)近年の保護者に対する意識調査を見ても、過半数を超える保護者がPTAは必要だと考えている(文科省委託調査)”

特定非営利活動法人 教育支援協会が2009年10月に委託調査した際の設問「PT組織は必要だと思いますか?当てはまるもの一つだけに○をしてください」では、必要であるは65%。確かに過半数ですが、35%の人は小数意見とも言いがたい気がしたり…。

 “ただ、委員未経験者においては「必要である」54%である一方で「分からない」が41%となっている。”
 ますます、ギリギリ過半数です。大雑把な人は「大体半分」と言いそうですよねっ(*^^)v

2 ■う~ん。怖いですね。

実は、このような判断が出されるのを恐れておりました。
ただ、自治会裁判も契約法も最近のものですので、”長い慣行”が否定されたものと判断すべきかと思いますし、主張しております。

⑤について
審議会制度を否定するご意見ですね。
”長い慣行”が誤解の下で行われて来たのですから。「必要と答えたのが過半数を超える」ことに注目するのであれば、「任意であることを知らない役員が多い」事実にも注目すべきかと考えます。
ですので、⑤の有用と答えたのと同様、⑥は保護者の意思とは言えないような気がします。
⑧についてはFJNさんの仰る通り、なのですが、退会が可能であるのか伝えていない現実を無視した判断だと思います。
担当者には失礼ですが、まともな判断ではないように感じます。

1 ■⑧の提示が大切だと思います

御電話お疲れ様でした。
私は⑧で、
【退会の意思表示がなされた場合にそれを認めないのは違法】
と提示されたことが大切だと思います。
論脈によっては「意思表示ができるものならやってごらんなさい」という脅迫にもなりますが(苦笑)、教育委員会の社会教育担当セクションによる基本提示として大切と思われます。

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