石川鏡介の旅ブログ

古寺名刹、神社、城跡、名所旧跡。さまざまな旅の思い出を綴ります。


テーマ:

 

 四国八十八ヵ所の札所のうち、久万高原町と松山市の札所をまわった翌日、四国別格二十番霊場のうちの十番・十一番・十二番札所へ行きました。

 道後の宿を朝六時ちょっと前くらいに出て、路面電車でJR松山駅へ向かい、各駅停車で壬生川駅へ。目指す別格霊場第十番札所の西山興隆寺は西条市丹原町古田甲の一六五七番地で最寄り駅は壬生川駅です。

 壬生川駅は特急も停車する駅なのですが、特急の本数が少ないため、朝早い時間だと各駅停車で行ってもそう変わらないと判断し、各駅停車に乗りました。

 壬生川駅前から西山興隆寺の近くまでバスが通っていますが、バス停からお寺までは結構な距離があり、バスの本数も少なく、暑さも厳しかったので、タクシーに乗ることにしました。

 西山興隆寺は真言宗醍醐派の別格本山で、本尊は千手観世音菩薩です。正しくは「興隆寺」で、「西山興隆寺」というのは俗称です。壬生川駅あたりの町から西のほうの山々を土地の人が「西山」というので、土地の人が興隆寺のことを西山興隆寺と呼び、広く一般にも西山興隆寺と呼ばれるようになったそうです。

 タクシーの運転手と話しましたが、この運転手さんもただ単にタクシーの運転手だから地元に詳しいというだけでなく、実際に何十回も四国霊場をまわっていて西山興隆寺や別格第十一番の生木地蔵正善寺の先代住職とも親交があったらしく、かなり詳しく知っている人でした。

 壬生川駅を中心とした街を走り、やがて、丘陵地に近い畑作地帯に入ります。緩やかな坂を上って行くと、西山興隆寺のある山が近くなります。完全に山の中に入ると、樹木が鬱蒼と茂る、昼なお暗い地です。

 タクシーの運転手によると、本堂のある中腹より一段下くらいまでクルマで行けたらしいのですが、なぜか途中で通行止めになっていて、仁王門より手前の、御由流宜橋(みゆるぎのはし)という橋の手前で降りることになりました。タクシーの運転手が次の生木地蔵まで案内するからここでは駐車している間メーターを止めている、というので、待っていただきました。

 このお寺の「御詠歌」に、「み仏の 法の御山の 法の水 ながれも清く みゆるぎの橋」とあります、そのみゆるぎの橋は赤い太鼓橋です。参詣に来た人が渡るたるための小さな橋ですが、それだけになんともいえない情緒があります。

 渡ってから、まっすぐ西へ向かいます。橋から先は緩やかな石段が続きます。立派な仁王門をくぐって進むと、左側にちょっとした岩があります。牛に似た形なので「牛石」と呼ばれています。鎌倉時代初期、源頼朝による再建が行なわれたが、石やら材木やら重い荷物を運んでいた牛がこの地で倒れた。そこで、力強く荷物を運んでくれた牛の労をねぎらう気持ちを込め、牛に似た石を置いて葬ったのだということです。

 本当に昼なお暗い(実際の時刻は午前八時四十分ごろでしたが)参道で、空気が綺麗で深山の霊気というものを感じるかのようです。朝早く、最初に訪れた霊場だったから良いのですが、最後に訪れたのがここだったら、参道の長さに疲れ果てて参ってしまったかもしれません。

 参道が長いという予備知識はありましたが、実際かなりの長さだったので「いやー、本当に長いな」という呟きが出たり、笑いがこみ上げてきたりしました。

 本堂の近くまで来たら、立派な石垣がありました。これは江戸時代の文化三年に、松山藩寺社奉行が行なった普請だそうで、このお寺が西日本有数の大名・松山藩の厚い保護を受けていたことが分かります。

 石垣のところで参道は左に折れ、すぐにまた右折。そしてまた石段を上ると、本堂や大師堂がある所にでます。この石段のすぐ近くが大師堂で、北側が本堂です。大師堂は近代的な造りですが本堂は古く、渋みと風格を感じさせる建物で、重要文化財に指定されています。また、大師堂より奥には三重塔もあります。

 お寺の開創は皇極天皇の御代で空鉢上人によるといいます。空鉢上人とはインドから渡来した法道上人のことだということです。たいへん古い時代から霊地として信仰されていたことが分かります。

 その後、養老年間に行基菩薩が訪れ、延暦年間には報恩大師が来て、本尊の千手観音が本堂の西の杉の木の枝で光を放っているのを感得し、杉の枝を切って本尊の台座としたという。この本尊にかかわりのある杉は「影向杉」とも「子持杉」とも呼ばれていて、二本の大木のようだが実は一つだといわれています。注連縄がはってあり、信仰の対象だったことが分かります。すぐ近くから湧き出ている水は霊水として珍重されているとのことです。

 この、杉と本尊にまつわる奇瑞により、桓武天皇の勅願寺となり、七堂伽藍が整備されたといいます。以後、天皇家や源氏、河野家、久松家などの尊崇を集め東予随一の霊地と言われた、とガイドブック『四国別格二十霊場ガイド』(朱鷺書房)にも書かれています。

 本堂のほかに、銅鐘や宝篋(きょう)印塔も重要文化財に指定されています。

(2011年9月17日の「石川鏡介のブログ」より転載)

 
AD

にほんブログ村 旅行ブログ 遍路・巡礼へ
にほんブログ村

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

石川鏡介さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。