どーも、丸子稔です。
 私事ですが、先日誕生日を迎え、四十九歳になりました。
 いわゆる七の二乗という奴です。(笑)
 当たり前の事ですが、来年は五十歳になります。
 その時は一年間限定で、ペンネームを『半世紀君』にしようかと密かに考えています。(爆笑)
 
 という訳で、本日は誕生日記念という事で、ノーマルバージョンと下ネタバージョンの二本立てにしました。
 それではまずノーマルバージョンから、タイトルは『はひふへほ』です。


 某商事会社に勤めて今年で三年目になる。
 俺は仕事にも慣れ、人間関係も上手くいっていた。
 特に五歳上の渡辺さんには、色々とお世話になっていた。
 入社してすぐの頃、俺は教育係だった渡辺さんに、仕事のノウハウをたたきこまれた。
 そのおかげで、今では営業成績は常にトップクラスをキープしていた。

 また、プライベートでも良くしてくれて、特にゴルフは、熱心に指導してくれた。
 そのせいで、今ではハンディもシングルとなり、ラウンドを回っても、渡辺さんといい勝負ができるほどになっていた。
 
 このように公私共々お世話になっている渡辺さんだったが、唯一ともいえる欠点が酒癖の悪い事だった。
 お互い恋人がいなかったため、週末になると、ほぼ毎週会社帰りに飲みにいっていた。
 飲み始めの頃は普通に会話していても、酔ってくると必ず説教が始まる。
 その内容は大体決まっていて、仕事やプライベートで散々世話になっている割には、それに対して感謝が足りないという感じのものだった。
 俺はその度に、「そんな事ないですよ。渡辺さんにはちゃんと感謝しています」と言うのだが、
「いや、していない。そもそも、仕事にしてもゴルフにしても、誰のおかげで一人前になったと思ってるんだ。俺の熱心な指導があったからだろ」と渡辺さんは聞く耳を持たなかった。
 渡辺さんは口にこそ出さないが、仕事やゴルフで俺に抜かれるのを脅威に感じているのだと思う。
 普段隠しているその本音の部分が、酔っぱらうと、つい出てくるのだろう。
 
 そしてある日、とうとう俺は、営業成績で渡辺さんを上回った。
 渡辺さんは、「おめでとう。とうとう俺を追い抜いたな。でも、俺もこのまま引き下がるわけにはいかない。次はまた俺が上にいくからな。ははは!」と一応祝福してくれたが、その目は笑っていなかった。

 その日の飲み会は、いつにも増して憂鬱だった。
 渡辺さんが、普段以上に酔ってクダをまくのが目に見えていたからだ。
 案の定、渡辺さんはいつもより更に激しく俺に絡んできた。
 俺は、最初のうちは丁寧に応対していたが、途中で面倒くさくなり、前々から考えていたある作戦を決行した。

「おい、高橋! お前が成績で俺を上回ったのは、元はといえば俺の指導が良かったからだぞ。そこの所、ちゃんと分かってるのか!」

「はー」

「いや、分かってない。そもそもお前は普段から生意気なんだよ。そういう態度をとってると、部長に言って子会社に飛ばしてもらうぞ。」

「ひー!」

「はははっ! 驚いたか? バカだなお前、冗談に決まってるだろ」

「ふー」

「でもな、その子会社のある場所が海の近くらしくてな。いつでも新鮮な魚が食べられるらしいぞ」

「へー」

「過去にそれ目当てで、本社から異動した人もいるみたいだしな」

「ほー」

 俺は渡辺さんの問いかけに「は、ひ、ふ、へ、ほ」で返した。
 その後の返答も、俺はすべて「はひふへほ」で通したが、渡辺さんはまったく気付いていなかった。
 
 俺の考えた作戦は、まんまと成功した。
 これで渡辺さんが俺の返答をまともに聞いていない事が証明された。
 その時、俺は思った。
━━━よし、来週は少しハードルを上げて「まみむめも」に挑戦してみよう。


     完

 次は下ネタです。タイトルは『しこしこ』です。


 近所の幼稚園に通うたかしは、まだ五歳だというのに、いつも屁理屈ばかり言っているませガキだった。
 それとは逆に子供っぽい一面もあり、時々園内の女の子のスカートをめくっては喜んでいた。
 その度に保育士のお姉さんに叱られるのたが、「ぼくは、なにも悪くないよ。ただ欲求通りに行動してるだけだよ」と聞く耳を持たなかった。

 おやつの時間になると、「ぼくは身体的にも精神的にも、みんなより優れているから、おやつも倍はもらわないとおかしいよね」とわけのわからない事を言って保育士を困らせていた。
 
 そんなたかしにも気になる人がいて、それはなんと保育士の真由美だった。
 たかしは、なにかと理由を付けては真由美に近づき、片時も離れようとしなかった。
 他の保育士が無理矢理引き離そうとすると、「ぼくと真由美先生は愛し合ってるんだ。あなたにそれを邪魔する権利はない」と決して譲らなかった。

 そして、ある日。いつものようにたかしが真由美と遊んでいると、真由美が足を滑らせて、尻もちを付いてしまった。
 その拍子にパンツが露になり、それを見たたかしの下半身に変化が起こった。
 その瞬間何を思ったか、たかしは「しこしこー! しこしこー!」と叫びながら、外に駆け出していった。
「たかし君、どうしたの? ちょっと待ってよ!」
 真由美はたかしのあとを追っていったが、たかしは「しこしこー! しこしこー!」と繰り返すばかりで、一向に止まろうとしなかった。

 その後、やっとの思いでたかしを捕まえた真由美は、「たかし君、どうしたのよ。しこしこって何?」と聞いてみた。
「しこしこ? 違うよ、先生。ぼくは、しっこしっこって言ったんだよ」(ふっ、ホントは知ってるくせに、カマトトぶりやがって、このアマ)

「なんだ、そうだったの。じゃあ、早くトイレに行ってらっしゃい」と言われたたかしは、トイレの個室に入り、十分後スッキリした顔をして出て行った。


       完

 今週のカープ

 野村投手が腰痛で離脱し、先発陣は火の車状態に。
 しかし、逆にいえば、今こそ若手投手陣はチャンスと思って、どんどんアピールしてもらいたいものです。
 昨日は、今年カモにしている巨人に快勝!
 今日、明日も九里、中村の若手に頑張ってもらって、気持ちよく交流戦に向かいましょう。

                

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 どーも、丸子稔です。
 先日、又吉直樹氏の小説〈劇場〉を拝読しました。
 前作の〈火花〉同様、所々で難しい表現がありましたが、なんとか最後まで読みました。
 聞くところによると、初回の発行部数が三十万部ということで、やはり大したものだなと感心しています。
 一月に発売した私の書いた〈エンジョイタクシー〉は、そこには遠く及びませんが、夢は大きく、打倒又吉の精神で頑張ろうと思います。(笑)
 という訳で、本日のタイトルは「中継ぎ投手の悲哀」です。


 中継ぎ投手は、恵まれない職業だと思う。
 俺は先発から中継ぎに回って十年経つが、今までいい経験をした事など、ほとんどない。
 例えば、ある試合で、先発が七回を一失点でマウンドを降り、八回を中継ぎが無失点に抑え、九回を抑えが無失点でしのぎ、二対一のスコアで試合に勝つと、スポットライトを浴びるのは、先発投手と抑え投手だ。
 試合終了後、先発投手が抑え投手に近寄って握手を求めている。中継ぎ投手には、目もくれない。
 特にひどかったのは、先日の試合で、先発の小平が七回にノーアウト満塁のピンチを作って、俺にバトンタッチした時だ。
 俺が若い頃先発をしていた時、ピンチを作ってマウンドを降りる際には、「すいません。あと、よろしくお願いします」と言って、中継ぎ投手に託したものだが、今の若い投手は『えーと、ピンチを作ったままマウンドを降りますけど、それがなにか?』みたいな顔をして、俺と目も合わせずマウンドを降りていく。
 結局その回は、俺が無失点に抑え、試合も四対三のスコアで勝ったのだが、ヒーローインタビュ
ーに呼ばれたのは、なんと先発の小平だった。
 俺は心の中で、(なんで小平が呼ばれるんだよ。今日のヒーローは、どうみても俺だろ!)と毒づきながら、その様子を見ていた。
 すると、「いやあ、正直勝てるとは思いませんでした。七回のピンチで、まさか中道さんが無失点に抑えてくれるなんて、夢にも思っていませんでしたから。わはは!」と、ふざけたコメントをしたものだから、俺はムカついて、ヒーローインタビューの途中で、さっさとベンチ裏に引き上げた。
 
 最近の若手投手は礼儀がなっていない。その中でも、この小平は悪い意味で群を抜いている。
 この前も俺が居酒屋で一人で飲んでいると、「あれっ、中道さん、一人で飲んでるんですか? 淋しいですね。俺達で良かったら付き合いますよ」と小平が同期の二人を引き連れて、俺のテーブルに座った。
 プロ野球には、先輩が後輩に奢らなければいけないという不文律があり、結局この三人の会計も俺が払うハメになった。
 その時に「ごちそうさまでした」くらい言うのかと思っていたら、「中道さん、良かったっすね。俺達のおかげで場が盛り上がったんだから、ホント感謝してほしいっすよ。ぎゃはは!」と、とぼけたことを抜かしやがった。
 そもそも、この小平は俺の倍の給料をもらっているのだ。
 プロ野球選手は給料を新聞に載せられるから、知りたくもない情報が嫌でも入ってくる。
 俺は十歳も年下の奴の半分しか給料をもらっていないのに、食事をおごらないといけないというのはおかしいんじゃないかと、常々不満に感じていた。
 
 だが、そんな小平にも試練が訪れた。
 三回連続でKOされ、次の登板で負け投手になったら、中継ぎに降格になると新聞に載っていた。
 俺は、まずその記事の中で、中継ぎ降格という表現に引っ掛かった。
 そもそも中継ぎ投手は軽く見られている。
 俺から言わせれば、週一回しか投げない先発投手や、勝ち試合の最終回しか投げない抑え投手の方が、はるかに楽だ。
 こっちは、勝っていようが負けていようが、関係なく投げさせられるし、先発が早い回にKOされると、まだ肩が出来上がっていないのに、ロングリリーフさせられることもある。
 また、そのロングリリーフした翌日も投げさせられる事もある。
 そう考えれば、やはり一番大変なのは、先発や抑えではなく中継ぎ投手なのだ。
 コーチの中には「でも、今の中継ぎ投手はセットアッパーとか言われて格好いいじゃないか。それにホールドも付くから、モチベーションも上がるだろ」という者もいるが、そもそも、このホールドというのも曲者だ。
 例えばある試合で、中継ぎと抑えが出て試合に勝った時、抑え投手にはセーブのSが新聞上に表されるが、中継ぎ投手にはホールドのHは表されない。
 だから、今現在だれが何ホールド上げているか全くわからず、シーズンが終了して、初めてだれが一番ホールドを上げているのかが分かる。
 そんなものだから、価値としてはセーブと全く同じものなのに、いまいち世間に浸透していない。
 若い女の子の中には、「ホールドってなに? 新しい洗剤?」なんていう者もいる始末だ。
 俺はこの現状を小平にも分かってもらおうと、次の試合でKOされる事を密かに願っていた。

 そして、いよいよ小平が登板する日がやってきた。
 小平は七回まで二失点で踏ん張っていたが、八回にツーアウト満塁のピンチを残してマウンドを降りた。
 そして、その後を受け継いだのは俺だった。
 その時に俺の頭の中に悪魔のささやきが聞こえた。
『ここで打たれたら、小平が負け投手になって中継ぎ降格になる。試合には負けるが、これから先、小平の野球人生を考えれば、中継ぎを経験しておいた方が将来絶対役に立つ』
 俺は心を鬼にして、第一球目を相手打者の得意なコースに投げ込んだ。
 すると、「カキーン!」という鋭い打撃音とともに、ボールは鮮やかな放物線を描いて、外野のフェンスを越えていった。
 結局試合には敗れ、小平は中継ぎに降格する事になった。

 翌日、俺と小平は監督室に呼び出された。
 俺は(小平は分かるが、なんで俺まで呼び出されるんだろう? 日頃の過酷な仕事に、ねぎらいの言葉でも掛けてくれるのかな)と思いながら監督室に入った。
 すると、椅子に座っていた監督がゆっくりと立ち上がり、「おお、来たか」と言った後、小平に向かって「小平、本当なら中継ぎに回ってもらおうと思ったんだが、先発の〇〇が肩を故障してな。だからこれからも先発してもらう」と言った。
━━なにー! そんなバカな。じゃあ、昨日俺がわざと打たれた意味がなくなるじゃないか。
と心の中で毒づいていると、「それから中道! 昨日のザマはなんだ! よりにもよって相手打者の一番得意なコースに投げやがって! 何年プロで飯食ってんだ! もう一度下で勉強してこい!」と、俺はまさかの二軍行きを命じられた。 
 
        
        完

 今週のカープ

 いやあ、昨日は中日の外国人二人にやられちゃいましたね。
 中日には、今年まだ負けてなかったのですが、とうとう初黒星を喫してしまいました。
 奇しくも、本日の小説タイトルのように、中継ぎの中田とジャクソンが打たれてしまいました。
 ジャクソンは今季初の失点で、そう考えると、不安定な中継ぎ陣の中で頑張っていたんだと、改めて感じました。
 今日の先発の九里投手に、前回のようなピッチングをしてもらい、中継ぎ陣の負担を少しでも軽くしてもらいたいものです。

 
 


 
 
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 どうもー、丸子稔です。
 早速ですが、本題に入りたいと思います。
 本日のタイトルは「ウイーン少年合唱団」です。


 とある休日の朝、新聞を読んでいると、『今流行っている若者言葉』という見出しが目に入った。
 まず一つ目は、『平行棒』だ。勘違いしている事を「平行棒してる」と言うみたいだ。これは体操競技の段違い平行棒と掛けていて、「なに、あの男カッコつけちゃって。完全に平行棒してるよね」という風に使うらしい。

 次に『わかりる』という文字に目が留まった。
 これは、『わかる』と意味は同じなのだが、『か』と『る』の間に『り』を入れる事によって、かわいく感じるという。
 「ねえ、この問題わかりる?」という風に使うらしい。

 最後は『男後』という言葉で、おとこうしろと読むみたいだ。
 意味は男前の反対で、不細工な男や、ダサい男などの事を指すという。
「あーあ、昨日の合コン、男後ばっかりで、ホント最悪だったよね」という風に使うらしい。

 しかし、よくこんな言葉を思いつくものだ。
 四十代のしがないサラリーマンの俺としては、最早こんな若者言葉にはついていけない。
 そもそも、このような言葉はどのようにして広がっていくのだろう。
 その疑問とともに、頭の中にある考えが浮かんだ。
 ━━中年の俺が言った言葉が流行る事なんてあるのかな。仮にそうなって、今流行りの中年言葉という見出しで新聞に載ったりしたら、面白いだろうな。
 
 俺はその期待を胸に、ある言葉を流行らそうとして、その時機を待っていた。
 そして遂に、それを実行する機会が訪れた。  
 寿退社する女性社員の送別会が、居酒屋で行われる事になったのだ。
 俺は部長の隣の席をいち早く確保し、頃合いを見計らって、「部長、そろそろウイーン少年合唱団してきたんじゃないですか?」と言ってみた。

「ん? なんだね、そのウイーン少年合唱団というのは」

「えっ、ウイーン少年合唱団をご存知ないんですか?」

「それは知っているが、それが私となんの関係があるんだね?」

「えっとですね。酔っぱらうと、よくウイーとか言うじゃないですか。そのウイーとウイーン少年合唱団を掛けてみたのですが」

「ふーん。でも、なんかそれ分かりにくいな。何のためにそんな事してるのかね?」

「いやあ、この言葉を流行らせようと思いまして。もし流行った時に、その発信源が中年のおじさんだったら面白いと思いませんか?」

「なるほどな。まあその言葉が流行るよう、精々頑張りたまえ」

 その後俺は、席を若手社員が集まっている場所に移動し、「いやあ君たち、いい感じでウイーン少年合唱団してきたな」と言ってみた。

 すると、それまで楽しそうに会話していたみんなの動きが、一瞬止まった。
 そして、ある男性社員が、「それ、なんですか?」と怪訝そうな顔で訊いてきたので、その経緯を説明すると、
「ははは! 課長、本気でそんな事思っているんですか?」と、思い切りバカにされた。

「もちろん本気だよ。どうだい、みんなで流行らせようじゃないか」

「そんなの無理ですよ。課長、だいぶ酔っぱらってるみたいですね」

「そうか? もしかして俺が一番ウイーン少年合唱団しちゃってるってか。ぎゃはは!」

 その後俺は飲み会の度に、この『ウイーン少年合唱団』を連発したが、一向に流行る気配はな く、俺の夢は海のもくずと消えていった。 
    

       完

  今週のカープ

 今週も下位のヤクルトに負け越しと、今一つ波に乗れないカープですが、今思えば、阪神戦で、九点差を逆転されてから、どうも調子がおかしくなっているように思えます。
 特に投手陣は、防御率が四点台にまで落ち込み、セ・リーグで最低になってしまいました。
 先発は、野村以外はみな調子を落としており、中継ぎ陣も疲れが見え始めています。
 こういう時こそ打線が奮起して、九点取られたら、十点取り返すくらいの意気込みで頑張ってほしいです。
 今日、明日とも打撃戦になりそうですが、ぜひ巨人に打ち勝って、嫌な雰囲気をとっぱらいましょう。
 フレー、フレー、カープ。
 






  

























































































  
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 どうもー、丸子稔です。
 ゴールデンウイークも明日で終わりですが、みなさまはいかがお過ごしされたでしょうか。
 私の地元広島では、昨日までフラワーフェスティバルが開催されていました。今年もたくさんの人が全国から来られて、大変にぎわっていました。
 これから車や電車で帰られる人は、渋滞や混雑で大変だと思いますが、そんなみなさまにとってこの記事が一服の清涼剤になれば、私にとってこれ以上の幸せはありません。
 それでは本日のタイトルは、「中華風おやじ」です。

 大学の講義を受けた後、ぼくはバイト先に向かっていた。
 バイトまで少し時間があり、かつ小腹が減っていたので、食べ物屋を探しながら歩いていると、表通りから少し外れた場所で、中華料理店の看板が目に入った。
 その中華料理店は、かなり古くておんぼろな外観だったが、ぼくはこういう所ほど味が良いのではないかと期待して、店に入った。
 すると、中はカウンターしかなく、奥の厨房で四十歳くらいのおじさんが、食材を切っている姿が目に留まった。
 
「いらっしゃいませー」と、そのおじさんの奥さんらしき人に言われ、ぼくはカウンターの真ん中の席に案内された。
 時間が五時半でまだ早かったせいか、客はぼくの他には一人もいなかった。
 何を食べようかなと、壁に貼り付けてある手書きのメニューに目を向けると、「ラーメン、六百円」「焼飯、七百円」の横に「中華風おやじ、七百円」と書かれたものがあった。

━━中華風おやじ? なんだ、それ…… ん、待てよ。これはもしかして「中華風おじや」の事じゃないのか? 多分それを中華風おやじと書き間違えてるんだろう。きっと、そうだ。
 ぼくはそう結論づけて、この中華風おじやを頼む事にした。
 そして注文する時に「中華風おやじ下さい」と、あえてメニューに書かれている通りに言ってみた。
 すると、何を思ったか、おじさんが厨房から出てきて、「はーい。今、私の事呼んだあるか?」と言ってきた。
「…………」 ぼくが何も言えず、戸惑っていると、「今、私の事呼んだでしょ。私が中華風おやじあるね」と、おじさんは訳の分からない事を言い出した。

「……えっと、中華風おやじってなんですか?」ぼくはとりあえず聞いてみた。

「中華風おやじとは私の事あるよ」

「じゃあ、七百円というのは?」

「ああ、それはトーク代の事あるね。今から私と十分間トークするあるね」

「あの、トークというのはどのような……」

「なんでもいいあるよ。お客さんの話したい事を言えばいいあるよ」

「別に話したい事なんてないのですが」

「ああ、でも一度注文したら、もうキャンセルできないあるよ。じゃあ、私と今から世間話でもするあるか?」

「……はあ、わかりました」

 結局ぼくは、この日本人だか中国人だかよくわからないおじさんと、したくもない世間話を十分間するハメになった。
 
          完


   今週のカープ

 地元で中日に三連勝して、その勢いのままメッセンジャーを攻略した所までは良かったのですが、その後まさかの逆転負け。
 今年の阪神はなかなか手強いですね。
 まあ今日は、今カープの投手陣の中で一番安定感のある岡田投手なので、勝ってくれるでしょう。
 それと、これは先週も書いたのですが、加藤投手はファームに落とした方がいいのではないのでしょうか。
 ストライクの入らない投手を見るのはイライラしますし、守ってる野手陣もリズムが狂うのではないのでしょうか。
 解説の人が投球フォームに問題があると言っていましたので、一度ゆっくりフォームを直してから、また一軍で投げればいいと思うのですが……
   
 どうもー、丸子稔です。
 さて私の書いた「エンジョイタクシー」という小説ですが、この度増刷の運びとなりました。
 これも偏に皆様方のおかげだと心から思っております。
 特に地元広島では、多くの方に買っていただいたみたいで、本当にありがとうございました。
 ここで今一度、本の内容について紹介をさせてもらいます。
 物語は広島を舞台としたもので、ある新人タクシー運転手(主人公)が、様々な客と接していくうちに、徐々に成長していくというものです。
 その客ですが、前に紹介した「しりとりじいさん」「ラップ兄ちゃん」「実況兄ちゃん」の他に、「クイズおじさん」「乗り逃げ小学生」「笑い方おじさん」「とんぺーおじさん」「わかりる姉ちゃん」等、個性あふれる客が次々と登場します。
 あと、カープの話も結構でてきます。広島弁も多用されていて、老人の客はほぼ広島弁を使っています。
 なお、この小説は私が以前タクシー運転手をしていた時に経験した事を基にしたものです。
 広島市内の各書店とアマゾンで購入できます。
  
 ブログのサブタイトルである、自費出版で出した本をなんとかベストセラーにしたいという目標に向かって、これからも面白いものを書いていこうと思いますので、これからも「エンジョイタクシー」をどうぞよろしくお願いします。

 さて前置きが長くなりましたが、そろそろ本編の笑える超短編小説に移りたいと思います。
 本日のタイトルは「ノーと言える日本」です。


 〇〇首相は困惑していた。
 B国が自国の貿易赤字を口実に、無理難題を吹っかけてきたのだ。
 今までも、〇〇首相の人の好さに付け込んで、色々要求してきた事はあったが、今回はとてものめるものではなかった。
 〇〇首相は、早速各大臣を招集し、会議が始まった。

「えっ、B国はそんな事を言ってきたんですか?」

「なにを考えてるんだ。そんな事できるはずないだろ!」

「まったくだ。首相、まさかその要求をのむんじゃないでしょうね」

 大臣たちは、口々にB国への怒りをあらわにした。

「もちろん、そんな要求を受け入れるつもりはない。来週B国の首相が来日するから、その時にはっきりノーと言うつもりだ」

「そんな強気な事言ってても、いざとなったらまたイエスとか言っちゃうんじゃないですか」

「そうそう。今までもずっとそのパターンだったからな。だからナメられるんだよ」

「君達、口を慎みたまえ! 私はいざとなったらやる男だ」

「その言葉が嘘にならないよう、心から願ってますよ」

一週間後、B国首相が通訳を従えてやってきた。

 通訳が言うには、要求を変えるつもりはないとの事だった。

「ほらっ、やっぱりナメられてますよ」

「首相、ここは一発ぶちかましてやりましょうよ」

「今日こそは、はっきりとノーと言ってくれるんでしょうね」

 〇〇首相はゆっくりと立ち上がり、大臣たちを一瞥した後、「そこの通訳の人、今から私が言う事を一字一句もらさずに、ちゃんと伝えてくれよ!」と大声で言うと、周りは一気に緊張感が高まった。
 大臣たちは、いつもと違う〇〇首相の姿に、今日こそはと期待の念を抱いた。

 〇〇首相は、皆が注目する中、「じゃあ、いくぞ。わしはのお、広島生まれじゃけえのお、のおじゃったらなんぼでも言えるけえのお、あんまりナメるなよ!」と、一気にまくしたてた。

 〇〇首相の発言に、大臣たちは皆、目が点になり、通訳はどう訳していいかわからず、おろおろしていた。

 〇〇首相はその様子を尻目に、どや顔を顔面にはりつけたまま、意気揚々と退室していった。

         完

   今週のカープ 

 先日の巨人戦で久しぶりにカードの勝ち越しをしましたが、昨日のベイスターズ戦はまさかの大敗。今一つ波に乗れないですね。
 でも、それでもまだ首位にいますし、今日と明日勝って、首位固めといきましょう。
 余談ですが、加藤投手は一度ファームに落として、もう少し制球が良くなってから、また一軍に上げた方がいいと思うのですが……