2005-05-07 01:24:51

インカぶろぐ、最終日。~グラシアスの巻~

テーマ:ペルー旅行

パラカスからリマまでの長い道のりを飛ばすワゴン。

思えば、東京ー名古屋のような距離を毎日のように走っている。
だが長距離ドライブもこれで最後。
このワゴンがリマに着いてしまったら、
ペルー→アメリカ→成田という、空の拷問が待っているだけだ。


今、この10日間の旅を振り返って、

自然とわいてくるのは、
ありがとう!グラシアス!という感謝の気持ちだけだ。

どの街でも満面の笑顔で僕らを迎えてくれたペルーの人々。
昼も夜も、大人も子供もなく、僕ら旅人をほっとさせてくれた。


そして、素晴らしい旅の仲間。
ペルーで出会ってから全行程を共にした大阪の二人は、
1月からこのツアーを予約していたそうだ。
突然の俺の登場で予定を狂わせてしまっただろうに、
昔からの友達のように一緒に楽しんでくれて、
一人旅の何十倍も愉快な旅を俺にくれた。
ガイドさんや運転手さん達にも、ありがとう。
旅のあちこちで出会ったたくさんの旅行者の人達も、
みんなこれっきりで会えなくなるとは、
考えたくない人ばかりだ。


数千年以上守られてきた自然と史跡にも感謝しているし、
代わる代わる出てきた美味い料理や酒も、ありがたかったな。
時差ボケにも、高山病や食当たりにもならなかった
アホみたいな自分の健康にも感謝したい。
当たり前に休みを楽しめることがこんなに幸せだとは。

それと、こんな長い休暇をくれた会社にもサンキュー。
1ソルぐらいなら上司にもチップあげてもいいかな。


仕事の合間にうちのネコを世話してくれた友人、
心配してくれてた友達や親。
無理を聞いてくれた旅行代理店。

そして、ここの読者のみなさんにも。
なんだか、ありがとう星人か感謝教みたいだけど、
とにかくもう、ひたすらありがたいなぁと思うのだ。


「グラシアス!」


そう感じた分だけ、しっかりエネルギーをもらって充電完了。
明日からも、がんばろうじゃないか、俺!
精一杯、生きていこうじゃないか、俺!


そう思ってたんだけどね‥。

帰りの飛行機で疲れ果てました。

だって、アトランタから隣に座ったメガネ少年が
一睡もさせてくれないんだよ。
マフィンを粘土にし始めた時からイヤな予感はしていたのだが‥。
b

彼からは、ポケモン100匹の攻撃方法を教えてもらいました。

「ビビビビ、ドーン!ドカーン!!」×100匹分

ありがとう‥。キミの声がまだ耳の奥で鳴っているよ。


というわけで、
また充電しに行かなくちゃな、ペルー。
それまで、アディオス!


おしまい!!

2005-05-06 00:43:15

インカぶろぐ、七日目。 ~羽ばたくヒゲの巻~

テーマ:ペルー旅行

ソルバルウで‥。探検隊シャツで‥。
ナスカの空と地底に挑んだ昨日が幻のようだ。

ここは、ヤシの木が風に揺れ、
ハイビスカスの蜜をハチドリが吸う南国の楽園。

僕たちは、この旅の最南端、
南米最後の宿泊地パラカスの街に来ている。


昨夜から泊まっている高級リゾートである

ホテルパラカスは宿泊料にしてクスコの独房の3倍。
広くて清潔な部屋には大きなベッドが二つ。
いつでも飛び込める美しいプール。
南米最後の思い出をリッチに締めくくらせたいという、
ツアー会社の作戦にヘラヘラとはまっている。
ビール、ウマー。シャンパン、ウマー。

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ここに来た目的は、
このホテルから出発するバジェスタス島ツアー。
高速クルーザーで往復する鳥達の楽園の見学
だ。

早朝8時。
太平洋を疾走するクルーザーは、
海のヒマ人によって描かれた巨大地上絵を見ながら
荒波を立ててバジェスタス島を目指す。

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最初はサリーちゃんのパパのようにセットされていた
おじさんの口ヒゲも海風で千々に乱れる。

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俺が、はためくヒゲに見とれていると、わき上がる歓声。
我々のクルーザーを出迎えるように海鳥の編隊が現れた。
気がつけば、目の前にはバジェスタス島。
人間を排斥するような島のオーラに、
おじさんの背筋も知らず知らず伸びてしまう。

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何万羽とも何億羽とも知れぬ海鳥やアザラシが群れるこの島は、
リトルガラパゴスとも言われているらしい。
白い部分はすべてが鳥の糞でできた、鳥達が統治する島。
海鳥、ペリカン、ペンギン、アザラシの巨大コロニー‥。
その圧倒的な風景におじさんのカメラも休まるヒマがない。

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でね、みなさんごめんなさい。


ヒゲおじさんばっかり追いかけていたら、
クルージングは帰路についてたんです‥。


とにかくすごかったんだよ、鳥。
一生分の鳥を一度に見たら人がどうなるのか。
おじさんが教えてくれた、とまとめておく。


※おじさんも勝手に写真使ってゴメン。
 問題あったら消すから言ってくださいね。


つづく

2005-05-05 23:52:53

インカぶろぐ、六日目後編。~衝撃!の巻~

テーマ:ペルー旅行

我々の世代にとって、南米探検といえば川口浩だ。
幻の裸族も、怪鳥ギャロンも、恐竜魚ガーギラスも、
みんなこの南米大陸にいた!!
(ことになっていた)


その南米に乗り込むにあたって、
川口探検隊公式ユニフォームである
水曜スペシャルシャツを持ってこないことは、
パスポートを自宅に忘れることに等しいと言われている。

時は、5月4日 水曜日
スーツケースの片隅で息を潜めていたシャツが、
南米大陸の灼熱の太陽を浴びる瞬間が近づいていた。


ナスカの地でブルーのシャツに袖を通す。
川口隊長の想いが込められた背中の水スペロゴが重い。
もちろん、シャツはズボンにイン。

川口浩探検隊の偉業を知らない世代のOLさん達に、
「オッサン また小道具出してきたで‥」と呆れられながら、
それでも我々(俺だけ)は、前へ進むしかないのだ。


♪ズダーン!!
n

衝撃!ナスカ平原太古の洞窟!

悠久の地下水道にインカの謎を見た!!
(ナレーション田中信夫)


インカ時代の遥か以前より栄え続けたというナスカ文明。
そこに暮らす
命を支えていた脅威の地下水道に、
今、我々探検隊は挑もうというのだ!


♪ズダーン!!
a

様々な危険が潜んでいる暗黒の洞窟。
いくつも連なる井戸は、地下で全てつながっているという。
だが、そこに入って生きて出て来たものはまだいない。
現地のガイドさえ恐れる、神にも背いた挑戦。

命知らずの行動が大きな災いをもたらすとは、
この時点の我々には知る由もなかった!


♪ズダーン!!
s

暗闇におびえる隊員達を先導するかのように、

果敢に洞窟に挑む隊長。
このあと彼に、ナスカの神秘が恐ろしい牙をむく!


ここでコマーシャルが120秒。

(だいたいCM明けには話しが一気に進んでいるのだ)


ズダーン!!

n

「ジーンズ、ビショ濡れだよ。アンデスのバカヤロー!」


つづく


2005-05-05 12:17:50

インカぶろぐ、六日目前編。~Hachidoriの巻~

テーマ:ペルー旅行

今朝も絶好のペルー晴れで一日が始まる。
俺がいるのは、20年以上憧れ続けた ナスカの町だ。

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♪チャーチャ チャララッチャ チャッチャチャッチャ~

頭の中で朝から鳴り止まないゼビウスのテーマ。
やばいやばいよ、マジで夢がかなっちゃうよ。
数時間後には真っ白に燃え尽きちゃうかもな、俺。


観光セスナが居並ぶナスカのエアポートは人も疎らだ。
世界のみんな、意外とゼビウスしてないんだな。
だからファミコンカセット版にも
地上絵は入れるべきだったんだよ、ナムコ。

小学校当時の憤りまでよみがえる。

いいさ。ナムコがやらないなら、俺がやるから。


待ち時間はほとんどなく、
4人乗りセスナの助手席でシートベルトをしめる。
初セスナの緊張よりも、地上絵との遭遇に高鳴る胸。


隣席のパイロットにゲーム画面の写真を見せて、
俺がこのフライトをどれだけ夢に見ていたか伝える。

f

「Oh! Hachidori !」


よし。パイロットにも俺の熱が伝わったようだ。


実は旅行前日の深夜、東京で工作してきたものがある。
ここまでずっと貴重品袋に入れられて、
俺と共に今日のフライトを待っていたもの。

それは、手作りソルバルウ。

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この翼がなくては、地上絵の上を飛ぶことなどできまい!
夢を乗せてナスカの空を飛べ、割り箸つきソルバルウ!

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夢を乗せた小さなセスナは、

右に左に翼を傾けて、
俺にとってはオマケ地上絵である
クジラやサルの絵の上を旋回しながら、
少しずつハチドリに近づいていく。
オマケとはいえ、見事なライン構成で描かれた絵は、
上空写真では分かりにくいが、どれも100m超のサイズだ。

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(サル‥これでも画像は見やすく加工してます)


この巨大な地上絵を巡って、宇宙人説、宗教儀式説など
諸説が繰り広げられてきたわけだが、
俺はここに、ヒマ人説を説きたい。
現代のナスカ人が公園や家の前でボンヤリしているように、
太古のナスカ人も「ほかにやることないもんねぇ」と言いながら、
大地に落書きしてみただけなのではないだろうか。
自由な時間があるって、とにかく素晴らしいことなのだ。

そんな下らないことを考えながら、

いくつかの地上絵上空を通りすぎた時、

パイロット氏が鋭く叫んだ。

「Hachidori !」


ソルバルウ、いや割り箸を握る俺の手が汗ばむ。


見えた!!(見えない人は画像をクリック)

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シンメトリーの両翼が美しい、ヒマ人の傑作。
Hachidoriこと、ハミングバード。
額を窓に押し付けて、食い入るように見つめる俺。
ケンマン、マスター‥
オレ、本物、見ちゃったよ‥。
小学校時代の友に心の中で報告する。


いかんいかん。
のんびりなんてしていられないのだ。
地上絵上空を飛行するソルバルウを完成させなくては、
この地球の裏側までやって来た意味がない。


♪チャーチャ チャララッチャ チャッチャチャッチャ~
本物のナスカの空へ、ソルバルウ発進!


む?遠近感が難しいな、あれ?あれ?うわーっ。


hh


‥ソルバルウ、デカすぎ。

これじゃ、敵のボスみたいじゃんか‥。


俺の嘆きはプロペラの音にかき消され、
セスナは次の地上絵へと飛び去るのだった。

ナスカの空、ちがう意味で真っ白に燃え尽きた俺。


ていうかパイロットさん。
ゼビウスに出てるのって、Hachidoriじゃなくて、
明らかにこっちのコンドルの絵じゃないっすか。

k

マジすか?の表情のパイロット氏。

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もういいよ。俺も勉強不足だったしさ。
今度はもっと小さいソルバルウ作って、また来るよ。


つづく 


夢もつづく。

2005-05-05 11:13:05

インカぶろぐ、五日目。~でかい砂遊びの巻~

テーマ:ペルー旅行

早朝6時。

クスコの街とフスティーノさんに別れを告げ、
再び、リマ空港へ空の旅。


うるさいクラクションと鮮やかな彩り、

初めて見た昼間のリマは、まさに南米といった感じ。
ギラギラとした顔つきで俺たちを出迎えてくれた。

今日からのガイドはミゲル氏。
昨日までの現地ガイド、フスティーノさんの
インカ時代の前世が僧侶だとすると、
ミゲルさんの前世の職業は、間違いなく遊び人だ。
美人OLコンビに繰り出される
彼の軽妙なラテントークに軽い嫉妬を覚えながら、
黒光りする新ラブワゴンで太平洋沿いに南下する。

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昨日までの疲れと潮風の心地よさに居眠りすること300キロ。
イカの街で俺達の前に姿を現したのは、
見渡す限りの大砂漠だ。

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あっちを見ても、こっちを見ても、砂、砂、砂。
見たこともない風景に言葉を失う、東京人と大阪人。
まったく、地球というヤツはやってくれる。
「すげーなぁ」「すごいなぁ」

もう、そんな言葉しかでてこない。
しかも、見るだけが砂漠のおもしろさではないのだ。
さっと払えば落ちるサラサラの砂の上で、
サンドボードやバギードライブで笑い転げた。
地球上で遊んでいるのが自分達だけのような気持ちになる。
なんて贅沢な砂遊びなんだろう。

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砂遊びで笑い疲れたあとは、絵に描いたようなオアシスを訪ねたり、
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様々なペルーのご馳走を堪能したりして、

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イカの街にたくさんの思い出とエネルギーをもらうと、
ワゴンはさらに南へ150キロ。
出発地のリマからは450キロに及ぶ長い旅の果てに、
あのゼビウスのナスカが待っている。


つづく

2005-05-04 09:53:57

インカぶろぐ、四日目。 ~師匠は13歳の巻~

テーマ:ペルー旅行

筋肉痛も高山病もない快適な目覚め。


われわれがクスコで滞在しているホテルは、
クスコの中心、アルマス広場に面したプラザデアルマス。

インカと一体になりたい人におすすめなのが、
俺が拘留された301号室だ。
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このホテルの設計の都合上、

申し訳程度の小さな窓しか付いていないこの部屋では、
ちょっとした独房気分を味わうことができる。
スペイン軍に捕らえられたインカ人と心が重なる瞬間だ。
うーん、絶望的。


さて、本日は終日自由行動だ。
日の出と同時に脱獄して、一人クスコの街を散策した。


最近できたばかりだという美術館で、

プレインカ時代の文明に触れる。
壷や杯に模された、古代人のアートは
鳥山キャラクターかと見まごうばかりのキャラ立ち。
現代アーティストに注目されているというのも納得がいく。


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宗教的というより、遊び心が発達した文化、と俺なりに解釈した。
定番の12角の石カテドラルを見たあと、
ブラザーコーン似のオババ特製サンドイッチで昼食。
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パンの間に、思いついた素材を乱暴に押し込んだだけ。
なのに、最高にうまいから不思議だ。


腹ごしらえを済ませて、午後はタクシーでサクサイワマン遺跡へ。
クスコの街全体を見下ろすこの遺跡を起点に、
乗馬でアンデス山中の遺跡を巡ることができると聞いたのだ。


ここクスコは、動物と人間が垣根のない共存をしている街だ。
車で走っていると、ノラアルパカ、ノラリャマはもちろん、
ノラ牛、ノラ馬、ノラ羊、ノラ豚、ノラ山羊、ノラ犬‥
たくさんの自由で暢気な動物に出会うことができる。
まるで、草食動物のサファリパークだ。

俺の愛馬も、その辺で草を食んでたら捕まりました。
そんな、まるでやる気のない顔で現れた。

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面目ない‥とうなだれる馬を引いているのは

13歳のクスコの少年、ファン君。
平成生まれだが一人前のホースマンである彼が、
今日の俺の相棒であり、乗馬の師匠だ。

「スペイン語+インチキ英単語」で話すファン君と、
「中学英語+地球の歩き方スペイン語」で答える俺。

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二頭の馬を並べて走るという素敵なシチュエーションで、

俺達はなぜか、ドラゴンボールの話で盛り上がっている。


ピッコロ最強説を信じるファン先生に、
「ノ ピッコロ,スィ カカロット」と教える。
やはり、どこの国へ行っても子供にはドラゴンボールだな。
もちろんファン先生にも、
「クリリンのことかーっ!」の日本語を覚えてもらった。


馬に乗るのは初めてではないのだが、
数年前に乗馬したモンゴルの馬はかなり小型だった。
それに比べると、ペルーの馬はどいつもデカイ。
俺が乗っている やる気なし号でさえ、平らな草原に出ると
途端に暴れん坊将軍のオープニングペースで走り出す。
こっちは振り落とされないように必死だ。
そんな20歳年上の生徒を笑って見てるだけのファン君、
なかなかスパルタ教師なのだ。

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それにしても、なんて気持ちのいい時間だろう。
青空の下、アンデスの山麓を馬に任せて走っていると、
身も心もペルーと一体になったような気持ちになる。

もう、いつ死んでもええなぁ。

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だが、ここは標高3500m超。富士山よりも高い場所なのだ。
薄い空気に息切れして、気を抜くと本当に死にそうになる。
ゼイゼイ、ハァハァ。
まだ死ぬわけにはいかん、せめてナスカを見るまでは。
ぐいぐいと引っ張られる手綱を強く握り締めた。


俺の旅は、まだ折り返し地点だ。


つづく

2005-05-03 02:10:16

インカぶろぐ、三日目。 ~疾走空中都市の巻~

テーマ:ペルー旅行

「失われた都市 マチュピチュ」


歴史の教科書でその名前に出会ったときは、
なんてアタマの悪そうな都市名なんだろうと思った。

「恋するマチュピチュ」とかの方が似合う、そう思った。
こんなネーミングセンスじゃ、
インカ帝国もピサロにやられるわけだ、と。

だって、アンデスの山中に高度な文明って言われても、
どれだけスゴイか想像できないよな、高校生の俺。
まさか、その場所に行くことになるなんて、
想像してみようとも思わなかったよな、高校生の俺。


山と渓谷の隙間を走る列車に揺られること1時間。

頭の中で「世界の車窓から」のテーマソングを流しながら、
昔の自分を思い出して感慨に浸っていた。
だが、この車窓に見える山の頂にある遺跡からすれば、
俺の高校時代や受験勉強なんて鼻くそ以下の昔話だろう。
恋するマチュピチュめ、偉そうにしやがって。

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というわけで。
実は今回の旅には、俺の歴史とインカの歴史を
融合させるモノを日本から持って来ている。
「こんなに辛くてインカ帝国」

そう、カラムーチョだ。

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最近はハバネロ人気にすっかり押しやられてしまい、
コピーも変わって店でも見つけにくくなってしまった。
だが、婆ちゃんのキャラ、脈絡のないコピー、狂った辛さ。
俺はずっとカラムーチョ派だ。
インカ帝国といえば、カラムーチョ

これだけはペルーに譲るわけにはいかない。


都内のコンビニを駆け回って見つけたお宝は、
気圧のせいで袋が破裂。
スーツケースの中を大変なことにしてくれたが、
どうせ食べ物は持ち込み禁止のマチュピチュだ。
空き袋だけをバッグに忍ばせて来ている。
見てろよ、マチュピチュ。

揺れる列車の中、俺は一人ほくそ笑む。


終点の駅からは、つづら折りの長い山道をバスで登る。
我々が戻るまで、列車はここで待ってくれているのだという。
謎の空中都市は、数千年の時をかけて

通勤に便利な街になったのだ。


ところが、頂上で俺を待っていた風景は、
そんな軽口を黙らせるのに十分な威光を放っていた。


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目が覚めるような鮮やかな緑の芝生に残る居住区。
急斜面に美しい階段を描く段々畑。
その風景を雲の隙間から見下ろすように、
朝もやに包まれているワイナピチュ山。
その全容は、まさにパーフェクト・マチュピチュ。

インカ帝国、恐るべし。

標高2280mと2000年の歴史によろめきながら、

バッグからアレを取り出す、俺。

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俺のインカと、本物のインカが並んだ瞬間。
だが、もはや、おもろいのか分からないよ。
そう、マチュピチュは想像以上に偉大だったのだ。


だが、俺にはもう一つ大きな仕事が残っている。

東京に残る、友人との約束。
それはこのワイナピチュ山の頂上まで登ってくること。

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我々の半日見学ツアーでは時間的に難しい登山らしい。
「せめて挑戦だけでも」とガイドさんにお願いする。


「食事ハ無理デモ、電車ニハ間二アテクダサイ」

フスティーノさんに戻り時間を心配されながら、
遺跡の見学もそこそこに仲間と別れる俺。

もう後には引けない。ひたすら上を目指すだけだ。


ワイナピチュの頂点へ。ここにいる誰よりも高い場所へ。
山頂への細い登山道の階段を走る、走る、滑る。
重いバックは預けるべきだったと後悔しながら上る、上る、落ちる。


非情にも進んでいく時計の針。
こんなペースで列車の出発に間に合うのだろうか。
こんな場所に置き去りにされたらどうすればいいのだろうか。
「銀河鉄道999」の鉄郎の気持ちで、崖のような階段をよじ登る。


そして、登頂開始から40分。
這いつくばり、肩で息をしながら最後の斜面を乗り越えると、

そこには誰よりも高い場所があった。

m

あんなに広大なマチュピチュが、
あんなに長かったつづら折りが、こんなにも小さく。


で、2人分の広さしかないような頂上で、お約束の撮影。

w

「モハヤ、オモロイかワカラナイよ」


怪訝な目でカラムーチョを見つめる外人登山者に、
「今日の出先もアンデス」フリップを手にした姿の

記念写真シャッターを押してもらって、
この旅のきっかけ となった夢を成就させた。
言うまでもなく、今日のTシャツは六本木アンデスの社用Tシャツだ。


六本木ではないアンデスへ。ついに俺はやって来たのだ。


帰りの下り道は、神がかり的なスピード。
身体が軽い、軽い。まるで憑き物が落ちたようだ。
ワイナピチュ往復時間、1時間30分。
食事にもなんとか間に合って、汗だくでバイキング。
とても、味なんてわかる状況ではないが、メシがうまい。


帰りの列車では誰もが爆睡していたが、
俺は興奮のせいでまったく寝つけず、
出発から朝の始発駅まで、アンデスを見上げ続けていた。
日本アルプスと八ヶ岳に挟まれた信州の盆地で育った俺。
山なんてとっくに見飽きたと思っていたのだが、
まったくそんなことはなかった。

忘れていた気持ちをアンデスが思い出させてくれた。
なんて書いたら格好つけすぎだけど。


なんていうか、アンデス、サイコーっす。


つづく


2005-05-02 23:38:13

インカぶろぐ、二日目(再)。~写真日記の巻~

テーマ:ペルー旅行

いやはや、すんません


ペルーまで行って美人CAかよ、美人OLかよ!

お前は何しに20時間も飛んだのだ!
地球の裏側からの皆さんのお怒りと憤りの声、

回線など繋がっていなくても、
モニターのこちら側まで伝わって来ております。


ホントは昨日だって、アルパカ少年と心を通わせたり。
a


平成生まれの織り姫と、100歳の織り婆に心を打たれたり。

sb

ドラクエに出てきそうな山間のバザーで心をなごませたり。
dq

 

巨大なオリャイタイタンボ遺跡に心を震わせたりしてたんです。

o

こうしてあちこちをワゴンで巡り、やがて日が暮れると、

南十字星が埋もれるほどの星空に天の川。

早朝から深夜まで、僕らの心を鷲づかみにしてくれるペルー。
人も自然も遺跡も動物も、全力で僕らを歓迎してくれるペルー。

とても言葉にはできないくらい、素晴らしい国に来ています。


‥だったらどうして、そっちを書かないんだよ、と。
なんで、CA、OLなんだよ、と。
そのご指摘、ごもっともだ。あなたは正しい。正しすぎる。


でも、話には順序というものがあるわけで。

わかっておくれよ、アミーゴ。


つづく


2005-05-02 13:48:16

インカぶろぐ、二日目。~CAOLの巻~

テーマ:ペルー旅行

早朝のリマ。

シャワーと短い睡眠だけの一夜を終えると、

再び、土埃と排ガスを巻きあげるハイエース。
車内の誰もが、時差ボケ以前に疲労でボロボロだ。
まだ薄暗い、数時間前に来たばかりの空港へ到着。
今度は国内線へのチェックインを済ませて、
LAN PERU航空の搭乗口へと向かうためだ。

リマからクスコへ。そして、本当の旅が始まる。


朝のリマからクスコへというのはインカ旅行定番ルートだ。
GWだけあって、日本人の姿も多い。
やたら明るい添乗員さんの旗に率いられて

ぞろぞろと団体行動している彼らの姿は、
どうしても目に付いてしまうものだ。
ついつい、俺の中の人があだ名をつけたがる。


いや、やめておこう。俺は俺の旅をすればいいだけだ。


♪~(曲 コンドルは飛んでいく)
アンデス山脈の懐へ。ナスカの大空へ。地上絵の砂漠へ。
インカの面影を訪ねるハードボイルドな一人旅。
孤高にしてストイックな、南米ペルーの風まかせ。


‥そんな風に、
俺の旅を誤解している方が多いのではないだろうか。
なんて、男のロマンに溢れたゴールデンウイークだろう、と。
少なくとも上司や営業はそう思っているようだ。
この一人旅で考えたいこともあるのだろう。
その行動力に免じて危険な旅に行かせてやろう、
久しぶりに休ませてやろう、と。


おいおい、ちょっとちょっと。
この旅を思い立ったのって先週の京都だよ。
それから自分で予定を組むなんて無理、無理。
ツアー旅行に決まってるじゃんか。
風まかせどころか、丸ごと人まかせ、旅先だって運まかせ。
そもそも旅行代理店への発注だって、
適当な駆け込み電話一本だったんだし。


「もしもし。K旅行社さんですか。
えっとアンデス山脈とナスカ平原を中心に、
川口探検隊風な冒険旅行を現地ガイドと巡る、みたいな。
アマゾンとかモアイとかも絡んだら完璧。
そんなツアーありませんか。
え、モアイは別のとこ?じゃピラミッドでもいいですよ。
不思議したくて、冒険したくて、ウズウズしてるんです。
どこも予約いっぱい?じゃあキャンセル待ちでもなんでも。
でもね、団体観光ツアーだけは無理です。
定年夫妻のフルムーンと行動とか、ありえない。
あとね、ゴハンは美味しくなくちゃイヤですから。
ちなみにレバーと甘いものは食べられません。
というわけでお願いしますね。吉報、お待ちしてます~」


ハードボイルドって何ですか?ストイックって何ですか?
そう、俺はただのワガママな客。

時間のない中がんばってくれたのはツアー会社ですってば。
‥説明が足りなくて、みんな、ホントごめん。


というわけで、ツアー会社が無理してくれたおかげで、
俺はLAN PERUの小さな窓に張り付けている。
翼の下で、朝の光を浴びて輝き始めたアンデスの山並みに

さっきからずっと目を奪われっぱなしだ。

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眼下に広がる、本物のアンデス。

このまま眺め続けていたい‥。


だが、なぜだか美人揃いのLAN PERU社のCAさんを
チェックしないわけにもいかない。
ミスユニバース予選会場のような機内に、
隣席のドイツ人のジイさんと共にカメラの方向を間違う。

ca

‥もう一度言う。みんな、ホントごめん。


標高3300メートル。

酸素の薄いクスコ空港に降り立って数時間が経つ。
時速100キロのアンデス山脈が、
途切れることなく後ろから前へと流れていく。
助手席に座る現地ガイド、フスティーノ氏が話す
たどたどしい日本語をBGMに疾走するワゴン。
背中から現れては視界の向こうへ消えていく山肌。
俺は、BOXシートになった後部座席に、
ワゴンの進行方向と逆向きに座っているのだ。
クスコの乾いた風が、日焼けし始めた肌に心地いい。
そして、俺と向き合う格好で、
進行方向を向いてアンデスに感嘆している二人。
ここクスコに着いて、初めて出会った旅の仲間だ。

大阪から来はった、2年目OLさん二人旅やで、社長!
どっちも美人はんでっせ、社長!


ちなみに、大魔神佐々木似のドライバーが繰るこのワゴンは、
俺の中では、すでにラブワゴンと呼ばれています。

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美人OLコンビ、フスティーノ氏、佐々木、そして俺。


俺の旅、改め、ボクたちの旅が始まっている。


‥最後にもう一度だけ言うよ。みんな、ホントごめん。


つづく

2005-05-01 01:21:01

インカぶろぐ、初日。~第0夜の巻~

テーマ:ペルー旅行

その差、マイナス14時間。

日本時間を追いかけるようにして、
ここペルーでも、暦は5月を迎えた。
南米旅行はすでに二日目までの行程を終えている。

デジカメ写真用ハードディスク、
もしくはノート型ステレオと化した、
まったくネットにつなげないパソコンではあるが、
いつアップできるとも知れない、
まるひぶろぐ特別篇「インカぶろぐ」スタート。


品川ー成田ーアトランターリマ。

地球の裏側は本気で遠かった。

4月29日午前の快速で東京を出発してから、
約30時間の座りっぱなし。
エコノミーシートでこらえ続けた、
トイレの衝動、血栓の兆候。
かなり前から、ケツが二つに割れたよ症候群だ。


押し込められたシートで朦朧としていると、
デルタ航空の窓にリマの街のネオンが飛び込んできた。
ついに姿を現した夢の大地。
ゼビウスに憧れていたあの日の小学生は、

とうとう南米まで来たのだ。
思わず涙でにじむエアポート イルミネーション。
この思いつき旅行を日本で応援してくれている
まるひぶろぐ読者の方のやさしい笑顔が、
一人、二人、光点の中に浮かんでは消える。
って、誰にも会ったことはないのだが。


ペルー時間4月29日23時 リマ国際空港。

無事に入国審査を終えると、
この旅のたった一つの相棒である
夢が詰まったスーツケースと共に、深夜の出迎えロビーへ。

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すごい数の人だ。

自分には関係のないペルー人にも手を振って
ちょっとした韓流スター気分を味わったあと、
俺の名を掲げてくれているHさんの元へ。
Hさんは、今夜から早朝までの短い一夜を
お世話していただくペンションの方だ。


排気ガスと喧騒が渦巻く真夜中のリマを走ること15分。
日本人数名を乗せたハイエースが着いた先は、
ペンションというより、Hさんの実家。
オーナーであるHさんのお母さんに案内された部屋も、
息子の部屋が空いてるから、ここに泊まんなさいな感じ。
テレビ台代わりのダンボール箱が泣かせる。

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旅先ではまずテレビをつけることにしているのだが、
「TURBO」ボタンの使い道が理解不能な

TVリモコンと格闘しているうちに、

もうすぐそこに出発時間。
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テレビを見ることも、スーツケースを開けることもなく、
ペルービールとボールペンを手に、

まるひぶろぐをアナログ更新するのであった。

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ペルー初日。正しくは初夜。
長い長い、みどりの日がやっと終わる。
しかし、時差の壁は越えたが、時代の壁は越えていない。
5時間後には再び空の人になり、
ペルーの首都リマから、インカ帝国の首都クスコへ。
俺の旅はまだ始まってさえいない。


つづく


追記 5.7。ただいま帰国しました。
ペルー旅日記、少しずつ推敲してアップしていきます。

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