巨大ベッドで目覚めると11時。
チェックアウトを済ませ、ホテル目の前の食堂で関西風うどん。
あ、風はいらないか。本場関西うどんだ。
お皿に乗った作りおきのおかずを自分で選べる
学食のような庶民的なお店なのだが、
250円の天カスうどんがうまい、うまい。
大盛りにするんだった~と後悔しながら一気にすすりあげた。
春の日差しが暖かい神戸の坂を登って新神戸駅へ。
いつも夜だから気づかなかったけれど、
こんもりと、山に抱きかかえられてるような駅なんだな。
山から海に向かって下る斜面沿いに作られた町並み。
神戸は俺の故郷の風景に似てるんだって思った。
俺んとこのは規模もずっと小さいし、海でなくて湖だけど。
今回は会えなかった中学からの親友
が
この街を選んだ気持ちがなんとなく分かったような気がした。
次に来るときは、ロープウェイに乗ってみようと思う。
本日火曜は振り替え休日の消化日。
乗ったばかりの のぞみを京都で途中下車して、
修学旅行以来の京都のお寺さん見物をするのだ。
京都駅。学生服とセーラー服がいっぱい。
旅行用の慣れない班で、
バスの時刻表とにらめっこしてる中学生達の姿が
微笑ましくて、懐かしい。
なんて心やさしいことを書きながら、
オジサンはタクシーで金閣寺へ向かいますよ。
タバコも隠れずに吸いますよ。わるいね。
春の金閣寺に到着。
中学で見ているはずなのだが記憶のカケラもない。
やっぱり15の小僧に京都は早すぎるんだよ。
初めて友達と泊まったホテルの夜の思い出しかないもんな。
俺の中では、室町時代の百式として認識されているこの寺は、
ケバすぎるので実はあまり好きではない。
そそくさと見て廻るだけで外に出ると、
大文字を背にしてテクテクと散歩を始める。
衣笠山沿いの道は新緑のトンネルのようだ。
ソメイヨシノの花びらの絨毯を踏みながら歩く、歩く。
平日で人も少ないし、きもちえー。
ヘラヘラと坂を降りたり、登ったりしていると、
今日の一番の目的地、竜安寺に到着。
ワケあって、この寺の名前が好きなのと、
この苔生した空気、たまんないんだよな。
この寺の桜は、垂れ桜と八重桜がメイン。
つまり、今が満開ということだ。
あの有名な石庭にも垂れ桜がせり出していて、
子供も外人さんも、誰もが息をのんでいた。
俺も、日の当たる縁側に腰掛けて、
庭園と緑と桜色の美に時間を忘れる。
何百年もの間、人がここに座って庭を眺めてきたんだな。
縁側の板はつるつるに丸く擦れていて座り心地も柔らかい。
あなたと同じ、日本人でよかった。
石庭に後ろ髪をひかれつつ「吾ただ足るを知る」の水鉢へ。
五
矢口隹
止
ライターとしてもデザイナーとしても、
AA職人としても、これを考えた和尚さんはネ申だ。
竜安寺の締めくくりは、参道の途中にある湯どうふ屋さん。
「コーン ハフハフ」
ししおどしの音を聞きながら、
庭園を眺めて湯豆腐とビールに汗を流す。
う~む、吾唯足知♪
満腹、赤ら顔になった旅人、
竜安寺を後にして、仁和寺の五重塔へ再び歩く。
ここの御室桜も今がまさに満開。
背の低い御室桜の下、
ビールとおでんのお花見にまた時間を忘れる。
桜の上に顔を出す塔を眺めていると、空の色が変わり始めた。
名残惜しいけどタイムアップだ。
のぞみで、出張帰りのサラリーマンに溶け込んで思う。
3箇所しか廻れなかったけど京都はマイペースで見るもんだ、と。
一日10寺とか駆け回った修学旅行とは充実感がぜんぜん違う。
俺んちの最寄駅からは、たった3駅の京都。
のぞみに乗ってしまえば2時間ちょっとだ。
これからは、もっともっと来ようと思うけれど、
殿~新幹線代は高すぎまする。
4月19日 晴天。31歳最後の日。
贅沢な一日を自分にプレゼントできた。