2004-11-30 01:30:16
南ちゃんを探せ。
テーマ:長ブログ
(この日記は「カラス論 前後編」を大幅に加筆修正したものです)
恋の始まり方で、ひとつだけ夢に見てることがあった。
はじめにそれを思ったのは、中学生の時だったと思う。
タッチのカッちゃんが死んだ頃だった。
それは犬を助けるというヒーロイズム。
そして、そこから始まる出会いと恋。
例 その一「犬、ダンプにひかれそうになる」
間一髪で道路へ飛び込むオレ。オレ骨折。犬無傷。
例 その二「犬、川に流されてる」
橋から川へと飛び込むオレ。
書類びしょ濡れ(中学の頃はプリント)。犬無傷。
例 その三‥もういいか。
自分の身を犠牲(生活が困らない程度で)にしながら
誰かの愛犬を助ける。この泣かせるシチュエーションだ。
言うまでもなく、僕が守った犬の飼い主はキレイな女性。
しかも街に引っ越してきたばかりのお嬢様限定だ。
「ハァハァ‥キミの犬が無事でよかった」
「だけど、あなたの腕(プリント)が‥」
「いや、この子の命とくらべたら、
俺の明日の試合(テスト)なんて‥痛ッ!」
「だ、大丈夫ですか?」
「‥大丈夫さ、なぁイヌくん」「ワン!ワン!」
まぁ、序章はこんな感じだ。
この出会いが恋に燃え上がるまで時間はかかるまい。
‥このストーリーを考えてから20年近くたつ。
普通に正直に生きてたら、ありそうな話じゃないか。
しかし、今日という日まで助けるどころか、
犬のピンチにすら出くわすことがなかった。
そうなのだ。今日という日まで。
僕にとって、今日は運命の日であった。
仕事に出かけるためにマンションの階段を下りていると、
「キャン、キャン、キャン!」
突然、聞こえてきたのは、悲痛なイヌくんの鳴き声。
一瞬で前述の恋愛ストーリーを妄想する僕。
「キャンキャン、キャンキャン」「助けてー」
幻聴ではない。もう迷うことはない。
階段を一段飛ばしで駆け降りると、
エントランスのノブをひねることさえもどかしく外へ飛び出す。
すると想像どおりの光景がそこに。
小さな赤いリボンを小刻みに震わせながら、
全身でピンチを叫んでいる高そうなプードル。
ペットショップからマンションへ。
これまで何の苦労もなく生きてきたイヌくん。
生まれて初めての危機がイヌくんを飲みこもうとしていた。
プードルと飼い主に迫る巨大な影‥。
その間に割って入るように、身を挺する俺。
南無三!ダンプでもバイクでも来い!
あれれ~?影、ぜんぜん巨大じゃないじゃん。
影がうなる。「カーカー」
小さな犬をバカにしたカラスが、からんでるだけだった。
とはいえ、まぁ、これもピンチはピンチだね。
カラスの前でバタバタと地団駄を踏んでやる俺。
想像のヒーロー像からは、かけ離れすぎた格好悪さだ。
「アホー」ひと声鳴いて飛び去るカラス。
これにて、生まれて初めてのイヌくん救出劇閉幕。
「ぼくひとりで大丈夫なのにさ‥」
そんな目でにらみながら「どーも」とだけつぶやく飼い主。
あちゃー、美少女どころか、あのガキんちょだ。
もちろん、イヌくんからお礼の「ワン!」もなく出社。
「ボーヤ。消火隊長はいろんな火種を消すのさ。
自分が夢に見ていた恋の灯火もな」
おしまい
恋の始まり方で、ひとつだけ夢に見てることがあった。
はじめにそれを思ったのは、中学生の時だったと思う。
タッチのカッちゃんが死んだ頃だった。
それは犬を助けるというヒーロイズム。
そして、そこから始まる出会いと恋。
例 その一「犬、ダンプにひかれそうになる」
間一髪で道路へ飛び込むオレ。オレ骨折。犬無傷。
例 その二「犬、川に流されてる」
橋から川へと飛び込むオレ。
書類びしょ濡れ(中学の頃はプリント)。犬無傷。
例 その三‥もういいか。
自分の身を犠牲(生活が困らない程度で)にしながら
誰かの愛犬を助ける。この泣かせるシチュエーションだ。
言うまでもなく、僕が守った犬の飼い主はキレイな女性。
しかも街に引っ越してきたばかりのお嬢様限定だ。
「ハァハァ‥キミの犬が無事でよかった」
「だけど、あなたの腕(プリント)が‥」
「いや、この子の命とくらべたら、
俺の明日の試合(テスト)なんて‥痛ッ!」
「だ、大丈夫ですか?」
「‥大丈夫さ、なぁイヌくん」「ワン!ワン!」
まぁ、序章はこんな感じだ。
この出会いが恋に燃え上がるまで時間はかかるまい。
‥このストーリーを考えてから20年近くたつ。
普通に正直に生きてたら、ありそうな話じゃないか。
しかし、今日という日まで助けるどころか、
犬のピンチにすら出くわすことがなかった。
そうなのだ。今日という日まで。
僕にとって、今日は運命の日であった。
仕事に出かけるためにマンションの階段を下りていると、
「キャン、キャン、キャン!」
突然、聞こえてきたのは、悲痛なイヌくんの鳴き声。
一瞬で前述の恋愛ストーリーを妄想する僕。
「キャンキャン、キャンキャン」「助けてー」
幻聴ではない。もう迷うことはない。
階段を一段飛ばしで駆け降りると、
エントランスのノブをひねることさえもどかしく外へ飛び出す。
すると想像どおりの光景がそこに。
小さな赤いリボンを小刻みに震わせながら、
全身でピンチを叫んでいる高そうなプードル。
ペットショップからマンションへ。
これまで何の苦労もなく生きてきたイヌくん。
生まれて初めての危機がイヌくんを飲みこもうとしていた。
プードルと飼い主に迫る巨大な影‥。
その間に割って入るように、身を挺する俺。
南無三!ダンプでもバイクでも来い!
あれれ~?影、ぜんぜん巨大じゃないじゃん。
影がうなる。「カーカー」
小さな犬をバカにしたカラスが、からんでるだけだった。
とはいえ、まぁ、これもピンチはピンチだね。
カラスの前でバタバタと地団駄を踏んでやる俺。
想像のヒーロー像からは、かけ離れすぎた格好悪さだ。
「アホー」ひと声鳴いて飛び去るカラス。
これにて、生まれて初めてのイヌくん救出劇閉幕。
「ぼくひとりで大丈夫なのにさ‥」
そんな目でにらみながら「どーも」とだけつぶやく飼い主。
あちゃー、美少女どころか、あのガキんちょだ。
もちろん、イヌくんからお礼の「ワン!」もなく出社。
「ボーヤ。消火隊長はいろんな火種を消すのさ。
自分が夢に見ていた恋の灯火もな」
おしまい






