立ち尽したり、しゃがみこんだり、途方に暮れたりするとき、


ケイコさんは優しく抱きしめてくれたり、


背中をさすったりしてくれるようになった。


逆に、私がセリフを読み込んでいると、


ケイコさんは、急に隣で泣き出したりすることがあるので、


そんなときは、今度は私が、彼女をそっと抱きしめて、泣きやむまでじっとしている。


彼女と私は、偶然、体型がほとんど同じなので、


ああケイコさんてぷよぷよ柔らかくてあったかいな~と感じるって事は


彼女もきっと同じように感じてくれているはずた、と信じている。


誰かを慰めたくて抱きしめるとき、


気持ちを受けとめたくて抱きしめるとき、


こんな時ばかりは、自分がふくよかで
よかったと思う


このお肉も神様の道具なんだわ


と、ケイコさんは笑う。


年がら年中、ヤバイ、痩せなきゃっ(-。-;と、自動的に思う癖がついている私は


その言葉に、すこしだけ、救われる。


私には、このお肉以外に、神様の道具として使えるものがあるのだろうか?


そんな事を考えて、またどんよりしていると、ケイコさんは


考えてないで、とにかく動けと言う。


私は頭で考えて頭で悩んでばかりいるんだって。


動く、というのは?


じゃあ、ケイコさんは、何をしているんですか?


「今、あなたのカレーが美味しくなるように心を入れて作ってます!」


いつもの癖の、小鼻を膨らまして、いたずらっぽい目をして笑いをこらえるような表情で


ケイコさんは台所に消えた。






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文学座公演
「 何か いけないことを しましたでしょうか? と、いう私たちのハナシ。 」 

◆作   中島淳彦
◆演出   鵜山仁
◆会場   新宿南口 紀伊國屋サザンシアター
◆時   2016年6月3日(金)~12(日)
◆タイムテーブル
6/3 (金)  19:00(夜割料金)
6/4 (土)  14:00
6/5(日)   14:00
6/6(月)   14:00
6/7(火)   19:00(夜割料金)
6/8(水)   14:00(終演後アフタートークあり)
6/9(木)   14:00
6/10(金)  14:00    /   19:00
6/11(土)   14:00
6/12(日)  14:00

※開場は、開演の30分前
※上演時間は約2時間の予定です。

◆入場料
●一般   6000円
●夜割(6/3、6/7のみ) 4000円
●夫婦割   ワンペアで10000円
●ユースチケット(25歳以下。身分証提示必須。)3800円
●中学生、高校生(学生証提示必須)2500円
※未就学児の入場はご遠慮下さい。

◆チケット予約
以下の必要事項を明記の上、私のメアド宛に送信、もしくはこのまま、このブログ宛にメッセージにて送信してください。
①お名前(フリガナ)
②ご希望日時
➂券種(一般を何枚、夫婦割を何ペア、高校生を何枚など、各種の枚数を必ず明記して下さい)
④チラシ送付希望の方は、枚数と、ご住所を郵便番号からお知らせ下さい。

◆出演者
塩田朋子、金沢映子、名越志保、目黒未奈、渋谷はるか、吉野実紗、増岡裕子、高柳絢子、前東美菜子

◆文学座HPより抜粋:
女優だけのカンパニー、劇団ハートランドでも座付作家を務める中島淳彦は"女性シリーズ"を生む重要な原動力。今回は、マスコミ捏造事件の元祖と呼ばれた"イエスの方舟事件"を題材に2004年に書き下ろした旧作『プカプカ漂流記』をベースに、戦中戦後におこった劇的な価値観の変化、昨日と今日で言う事がコロッと変わる無責任な大衆という新たな視点を加え、全く新しい作品として書き下ろします。演出・鵜山仁と再びタッグを組み、市井を生きる普通の人たちが七転八倒しながらも人生を受け入れ強く生きていく姿を、笑いと涙に包んで描き出します。

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