6月10日(金曜日)
今日は記念すべき日となった。
人工心臓を取り外す手術なのだ。
体重は50キロ台まで順調に落ちてはいたが、本当はもう少し
落としてから望みたかったなと先生が言っていた。
しかし体重を落とすのを待っていると、感染症に負けるかもしれないということで
自分の心臓を信じて、むりやりにでも取り外しましょうということだ。
人工心臓を取り外したあとに、バルーンや補助人工心肺、人工肺などを
とりつける処置は行うかもしれないという説明を受ける。
この手術の危険性は50%
人工心臓を入れて20日以上が経っているため人工心臓のチューブが
体の中のいたるところに癒着しているだろうから、取り除くのが
とても大変な作業になるということを教えられた。
簡単に取れるもんだと思っていたので、そんなに危険なのか・・と
不安になる。
12時過ぎに手術室へ搬入される、ばたばたとお見送りに呼ばれ
手を握り、頑張ってねとしか声をかけれなかった、
頼むからこれが最後の手術になってくださいと願いながら
先生に頭をさげた
4,5、時間で出てこないでくれと。
もしそんなに早く出てきたとしたら人工心臓をはずすことが
できなかったということだろうから、頼むからでてこないでくれと
ずっと願いながら控え室で待機する。
3時間。。4時間、、5時間。。6時間。。7時間
もうこんなに経ったんだからはずし始めてはいるんだろうと
自分に言い聞かせる。
兄も到着し、二人で廊下のいすで待つことにする、
待てど暮らせど出てこない。
10時間経とうとしていたとき、担当の先生がでてくる。
終わったのか?と思ってかけよると
「実はまだ手術は終わっていません。
ですが、先に言うと、人工手術は取り外せました。
ご自分の心臓もよく動いています。
ですが癒着していた部分などから、なかなか血がとまらず
止血に時間がかかっていますので、もう少しかかると思います。」
といわれた。
人工心臓がはずせた!?ならもう大丈夫だね
よかった。これで安心だって
そんな気持ちでホッとして
なんとなくたわいもない話をしていたと思う。
0時を回った頃、看護師さんが声をかけにきた。
無事手術がおわりましたので、今ICUにもどってきましたよと
もうすこし処置があるので、処置が終わったらよびにきますと
言ってくれた。
よかった。長かったね12時間と話してまっていると
心臓外科の先生がでてくる
あまり明るい顔ではないことはすぐにわかった
「今しっかり止血をして大丈夫だろうということでICUにもどってきたのですが
どうもどこからかまだ出血しているようです。1時間に400CC
ドレーンというくだから出ている、これは数時間で
体の中の血液がすべてなくなってしまうような量です
このまま何もせずにいると失血死ということになってしまいます。
ですから今からもう一度手術室にもどり、再度胸をあけて、
出血箇所を探さなければなりません。
もしここだという出血箇所が見つかれば、そこを止血するだけですみますが
ここだというのがわからないで、どこからともなくじわじわと血液がもれてるような
状態ですと、止血することができず、最悪失血死は免れないでしょう」
私も兄も呆然だった
え。一度もどってきたのに、、また手術室?
え?失血死・・・?
なにをいってるんだ。。え?っていうような
そういう感覚だった
それからまた3時間、4時間・・・ 午前5時半ごろ
無事に止血ができました。という医師の報告をうける。
「お腹の穴を内側から糸で縫ってそこで結んでるんですけど
その結び目がどうも腸間膜という膜にこすれて
傷がついていたようです。3箇所ほど止血しました。
これでたぶん大丈夫だとは思いますが
もうすこし様子は見なければなりません。」
そんな風に言われた。
面会に行く。
輸血と、血を固める成分だけを集めた液体を随時体に送っている。
血液を固める成分はとても強いものだけども
体の血を固める体の構造が今は壊れているようです
これで止まらないようですと、もう打つ手はなくなってしまいます
といわれ、さらに頭は真っ白になっていた。
心臓が動いているのに?
人工心臓がやっととりはずすことができたのに?
失血死?そんなことがありえるのか。。という絶望感だった。
しかも心臓が耐えれるかわからない状態なので、
骨も皮膚も、胸を開けたままの状態だそうだ
人工の膜を縫い付けてあると。
しばらくして落ち着いてから胸を閉じる手術をしましょうということだった。
胸があいているっていったいなんだよ・・・なんなの・・
頭ははてなだらけで・・
一度9時ごろ家にかえったものの、いてもたってもいられなくて、
風呂に入って飯食ったらすぐに病院にもどることにした。
病院で仮眠を取ろうと思ったが気になって眠れない。
もう一度面会する。
目が覚めていたようなので、声をかけてみる
母さんわかる?もう手術おわって、これで家に帰れるからねと
声をかけると目は合わないものの、涙を流していた。
肝臓の機能がよくないのか、目には黄疸が出ている。
出血は少し落ち着いてきて、1時間に100CCほどになったということだったが
100CCでも止まらなければ命にかかわると、このまま続いても
危険だということだった。まだ安心はできないようだ