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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常


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『僕の叔父さん 網野善彦』 中沢新一著 2004年

 

 

本書は歴史学者の網野善彦さんが亡くなったときに書かれた本であるということが、あとがきまで読んで気がつきました。いわば義理の甥にあたる中沢新一さんによる、本一冊分の長い追悼文。

 

中沢新一の父親は在野の民俗学研究者、父親の弟は科学技術史家。そして父親の妹と結婚したのが網野善彦さん。このインテリファミリーがよく家庭内で歴史的な議論をしているのを新一少年は聞いて育ったようです。

 

特に「叔父さん」である網野氏とは互いに影響を与え合う特別な関係にあったことが本書の中で明らかにされます。

 

中沢氏の著作といえば内容は非常にユニークで面白いものの、独特な論理の飛躍で読者を煙に巻くようなところがあり、なんとなく釈然としない部分がいつも残るものですが、この本ではそんないつもの中沢新一ではありません。

 

セリフという形でいつもよりわかりやすく話が進むばかりでなく、それに対する相手からの反論や、「それはつまりこういうことかい?」というような要約するようなセリフもつけ加わり、網野善彦という人物の思想がまるで小説を読むような気軽さで把握することができるのです。

 

網野善彦さんは「悪党」、「非農業民」、「アジール」等を研究されましたが、佐世保の学生運動で学生たちが機動隊に石を投げるシーンをテレビで見て、中沢新一の父が子供の頃の石投げ合戦の話をし、そしてそれが「飛礫」(つぶて)の再発見につながるというエピソードが特に印象に残りました。

 

なぜならそれは網野さんが追い求めるものの正体が「人類の普遍的な衝動」であり、つまりは「野生の思考」そのものであることが判明する瞬間でもあるからです。

 

 

とにかく面白そうな主題が次々と現れるので、単純に読み物として面白いです。歴史学という学問や、歴史を今までと違う視点から見ることが好きという私と同じ嗜好の方は楽しめること請け合い。本当にオススメ。

 

次は網野善彦さんの著作も読みたくなりました。

 

 

 

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先日の台風一過のときに東京は地獄のような酷暑だったので、信州の原村に避難してきました。

 

行く途中、昨年の8月8日に火事で全焼した清里「萌木の村」のレストラン、ROCKがすでに復活しているというのでランチに訪れました。

 

 

萌木の村では夏に野外でフィールドバレエを毎年開催しており、今年で28年目なのだとか。

 

実は私も8年ほど前に一度だけバレエのオープニングで演奏させていただいたこともあるのですよ。

 

この時期は天候も不安定で雨天中止になることもありますが、バレエをやっている背景にある遠くの山で雷が光ったりして、それがまたとても幻想的なのです。自然という予測不可能な舞台で芸術を鑑賞できる貴重な場だと思いますので、是非一度ご体験ください。

 

 

 

 

さて、原村にほど近い茅野の康耀堂美術館では俳優で仏師でもある滝田栄さんの仏像展が開催されていました。

 

気仙沼のみちびき地蔵は来ていませんでしたが、滝田さんがわざわざ来てくれて解説をしてくれました。

 

廊下には滝田さんの作った陶芸も展示してあり、これもまた素晴らしいのですよ。芸術的な才能のある人ってなにをやらせてもすごいものが作れるのですね。

 

展示は9月15日まで。

 

 

 

 

原村に来た際にはできるだけ隣町の富士見にある瑞雲寺さんで朝の座禅に参加させていただいております。

 

副住職の根田泰聖さんは心から尊敬できる数少ないお坊さんの一人。毎日4時からの座禅を欠かしません。

 

よく「継続は力なり」と言いますが、そういう意味では泰聖さんは相当力があるのに違いなく、読経の声を聞いただけでもその徳の高さを窺い知ることができるのです。

 

一昨年に山梨の仏画美術館でコラボをしましたが、来年の春にまたご一緒する機会が作れそうです。

 

 

皆様も素敵な夏休みをお過ごしください!

 

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『100分de名著 レヴィ=ストロース 野生の思考』(NHKテキスト 2016年12月) 中沢新一著

 

 

私はテレビという映像受信装置を持っていないので観たことがないのですけれども、NHKで「100分de名著」という番組があるそうですね。

 

毎回25分×4回で名著を一冊を解説していく番組のようですが、昨年の12月はレヴィ=ストロースの『野生の思考』を中沢新一が解説するという、恐ろしく豪華な月だったようです。

 

このときのテキストがネットで販売されていたので読んでみました。100ページちょっとの薄さなのですが、これがまぁ面白いというか、ためになるというか、とにかく必読なのですよ。

 

 

『野生の思考』は1962年にクロード・レヴィ=ストロースというフランスの民俗学者・人類学者によって書かれた本で、「未開社会の思考法が未発達なものだというのは完全に思い違いである」という内容で世界に大きな衝撃を与えた一冊。

 

中沢氏もテキストの序盤で「私はこの本を、二十世紀後半にあらわれた思想的書物の中で最も重要な本の一つであると考えています。」と明言しておられます。

 

しかし実際のところ、「興味はあるけど難しそうで読んでない」とか「読んだけどよくわからなかった」とかいう方も多いのではないのでしょうか。

 

そんな人にこそ、このテキストです!

 

 

私も過去に『野生の思考』を読んで、「構造主義か。ブリコラージュか。なるほどね。うんうん」とわかった振りをしてきましたが、テキストを読んで目からウロコがたくさん落ちました。

 

しかしこのテキストの優れたところは、単に『野生の思考』の解説をしているだけでなく、この本を書くまでの若きレヴィ=ストロースの軌跡や、晩年の彼が日本を訪れて日本をどう見たかなどについて書かれている点ですね。そして最後には中沢氏の持論が続きます。

 

中沢新一はアカデミックな世界ではいまいち信用を得ていないところもあり、彼の持論が主張する第4回は好き嫌いが分かれることでしょう。しかし私が感心したのはまさに第4回なのです。

 

『野生の思考』を読んである意味「当たり前のことが難しく書いてある」とも感じてしまったものですが、それは書かれてから30年も40年も経ってから読んだという時代的な認識の変化も大きいのでしょうけれども、「野生の思考」が今も日本で息づいているからだということに気がつかされました。

 

特に印象に残ったのは、労働という概念が西洋では人類に科された神の罰(義務)であるのに対し、日本の職人は「土や木が望んでいることを実現する」という、神(自然)への奉仕のような考えを持っているというくだりです。

 

もう一つは、人類学者が調査をする際に現地のシャーマンや王族などに現地ガイドとして協力を仰ぐこともあるそうで、その一人であるハワイのプクイという女性の言葉が我々の社会の現代的思考と野生の思考の本質的な差をハッキリと言い表していたので、最後にそれもご紹介しておきましょう。

 

 

「ハワイの現地人の天然資源利用はほぼ完璧で、商業時代の現在のそれにはるかに勝っていた。現在は目前の経済的利益を与えてくれるあるいくらかのものは徹底的に利用するが、それ以外のものはすべて無視し、破壊してしまうこともしばしばである」

 

 

 

このような「野生の思考」をどこまで取り戻すことができるのかということが、これからの人類の運命を大きく左右することになると私は信じています。

 

そのためには、『野生の思考』を読むこと、インディアンフルートを聴くことが左脳と右脳におすすめ!

 

 

 

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