働きたくないイタチと言葉がわかるロボット
主題の通り、機械に仕事をさせるために、言葉の分かるAIを研究して製品化させようと奔走するイタチの話です。登場人物は動物(魚や昆虫も)を擬人化させたもので、それぞれの種族が持っている技術を集め、言葉を話すAIを完成させました。ところが、結果は失敗に終わります。この本を読むと、人間の言語能力が進化の過程で備わったものだと分かり、ブラックホールや宇宙の果てはどうなっているのかと思うほど不気味です。著者の川添愛さんは言語学者です。世間では「機械が将棋のプロを負かす事はできる」から、「言葉を話すことくらいディープラーニングを使えばできるはずだ」と言われ、彼女は言語の研究の現状と、世間での印象(普通に話せる機械はできるはず)のギャップが激しい事に危機感を覚えました。川添さんは、今のままだと、機械が言葉を理解して話すのは難しい、としています。論理的に話すということはどういうことか、そしてそれは誰もがやっている事だといいます。研究分野と、イタチ物語とを交互に書いてあるので、専門書として遠ざけるようなものではなく、「へぇ~!ふぅ~ん」と、専門家の話を面白く読めます。この著書は、数十年の研究成果のネタが満載のオススメ本です。